異世界に転生したのでとりあえず好き勝手生きる事にしました

おすし

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第2章

第33話

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バハルが闇魔法を詠唱すると、手に氷の棒が造形され氷が割れて一本の刀が出来た。

『マスターの持っている刀と似た力を感じます。』


「これは『天之尾羽張あめのおはばり』という龍殺しの刀だ。この国を滅ぼすために愚息に作らせたが…ここで使うのもいいだろう。」

(だからあいつ右腕なかったのか…)

バハルのために右腕を無くしてまで龍殺しの加護を付与したのに、まさかバハルに殺されるとは思ってもいなかったろう。少しだけバレルが哀れになった。


『マスター、来ます!』


俺は叢雲を抜いて応戦した。やはり制御魔法をかけたので、少し押されそうになる。
押し切られる前に、左手のロゼッタをバハルの腹に向けすぐさま詠唱する。

「『光龍の咆哮』フラッシュ・ワイバーン』!」


光の光線がバハルの腹に穴を開けたが、バハルは後退しながら下の海に向かい魔法を放つと、海水が傷口に集まり傷は塞がった。


「っ!なんだあの魔法は…」

『おそらく古龍魔法かと』

「なんだそ…ぐっ!」

「戦闘中に雑談とは余裕だな。」


バハルは休むことなく襲いかかってきた。なんとか叢雲で防ぐが、今度は力で押し切られ吹っ飛んだ。
地面に激突した俺の方にも特にダメージはないが、このままでは終わらない戦いになってしまう。
とりあえずバハルの魔法を避けながら、ロゼッタの話を聞いた。


「さっき言ってた古龍魔法って何?」


『ここに来る時ゼリス様から少し聞きました。おそらくバハルが使っているのは、古の龍たちが使っていた魔法。破壊を目的とした魔法のため今は禁じられていますが、それを使っているとの事です。現五龍でも古龍魔法は対処出来ないそうです。』

「まじかよっ!」


俺とバハルは飛びながら、激しい白刃戦を繰り広げた。時折魔法を織り交ぜてみたが、バハルの魔力は先ほどに比べほんの少し減った程度であまり変化はなかった。

しばらくするとバハルは俺の攻撃をいなすのではなく、避けて距離を取り始めた。
俺はロゼッタで魔法を撃ちながらバハルの魔力を追うが、かなりすばしっこい。


「なんであいつ逃げてんだ…」

『おそらく何か大きな魔法を使う準備をしているのでは?』

「確かにありそうだな…」

するとバハルは前方で急停止し、俺の方を向いた。


「これでこの国諸共終わりだ、小僧!」


そう言ってバハルが短く詠唱したと思った途端、バハルを中心にいくつもの魔法陣がバハルの周りに出現し光り始めた。

「っ!なんだ?!」

あまりの光に直視できず、目を覆った。



光がおさまるにつれて、バハルの魔力がどんどん上がっていくのを感じた。

そして魔法陣が消えるとそこには1匹の黒い龍がいた。目は黄色に怪しく光っているが、口から血が少し流れている。

「ハハハハハ!成功だ!これで貴様を殺す!」

「あいついったい何を…それにこの魔力は…」

『古龍魔法の1つなのでしょうが、おそらく命を削っているのかと。」

「まじかよっ!」

「その通り!…ゴフッ…この魔法は我の残りの命を削るかわりに魔力を一時的に大幅上昇するものだっ!」

「お前っ!そんな事したら…」

「もちろん死だ。だがそんな事どうでも良い!今貴様と最高の状態でりあえるのならなっ!ゆくぞっ!」

「…こいっ!」

バハルの鋭い爪と俺の叢雲がぶつかりあった。




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