異世界に転生したのでとりあえず好き勝手生きる事にしました

おすし

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第3章

第48話

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今、俺とジャン率いるパーティーはギルドの裏にある物置などが置いてある、ギルド所有の敷地に向かい合って立っている。
ジャンは剣を構え、俺は手ぶらで突っ立っている。周りには勝負の行方を賭けた冒険者達と、酔い潰れた紅葉を背負うロゼッタなどがいた。

真ん中にはギルドマスターのジェラールが立ち、審判の役をしている。そして俺の方を見つめ嬉しそうな顔をした。


(なんでこんな面倒な事に…)

  


時は少し前まで遡る。


「あの、離してくれません?」 

まだ丁寧に話してあげているのだが、ジャンは怒り心頭なのか全く聞いてくれない。
(いい加減にしてほしい。お前はそれでも兵士かよ!あ、冒険者だったか。)

「いいから俺と勝負しろ!」

他の受付時達も困っており、うざいどうしよかと思っていると、2階から金髪の男が降ってきた。
男はキレイに着地すると、ジャンから俺を奪い嬉しそうにたかいたかいをした。
その動きの速さに、ロゼッタも少し感心していた。

「いやーレイ君久しぶり!ほんと君を見てると楽しいよ!」

「ちょっ、何するんだ!ってあんたどっかで…」

「えー忘れちゃったの?僕だよ、ジェラールだよ!」

(なんだこの人、新手のボクボク詐欺か?しかも素顔晒してるんだが…)

ジェラールと名乗った男の登場に、他の受付嬢も周りの冒険者達も固まっていた。そしてようやくレイもこの男を思い出した。

「そういえば前に声をかけてきた…」

「そう正解!」

そう言うと、ジェラールはようやく俺を下ろして挨拶してきた。

「ここのギルドマスターのジェラール・サーガだよ!よろしくね、レイ君☆」

「ギ、ギルドマスターだったんですか…。」


確かにジェラールから感じる魔力はそこらへんの冒険者なんかと比べ物にならなかった。
さすがのジャンもギルドマスターの登場に顔面蒼白になっている。

「ギ、ギルドマスター、こ、これはその…」

「あぁえっと、君はー」

「ジャ、ジャンです!Eランク冒険者のジャン・ランサムですっ!」

「そう、ジャン君ね。君は僕のレイ君に決闘を挑んでいたのかな?」

「そ、それはその…」

さすがのジャンも、さっきまでの威勢が嘘のように縮こまっている。

(というかいつから俺はあんたの物になったんだ。野郎の相手はゴメンだぞ。ロゼッタを見ろ、目が絶対零度だ。あれならアカ○が斬る!のエスデス様でも凍っちゃうよ、きっと。)

怯えるジャンに特に気を留めることもなく、ジェラールは話を続けた。

「確かギルドの決まりでは、冒険者同士の争い事は模擬戦とか以外では基本禁止だよね。しかも、この子は冒険者登録も済ませてない一般人だ。普通なら、登録抹消になってもおかしくないね…。」

「そ、そんなっ…!」

こういうタイプの人間は一度痛い目を見たほうがいいと思った俺は、「ギルドマスターそのまま言ってしまえ」と思っていたが、ジェラールはある提案をした。

「でも、今回はある条件を出してあげよう。それを呑んでくれたら、君の不祥事には目を、瞑ろう。」

まるで大和○常務みたいな言い方をしたジェラールに、ジャンは少し希望がさした顔をした。

「や、やります!条件とはなんですか?!」

「ここにいるレイ君と勝負してくれればいいよ☆ジャン君の方はパーティー全員でね。」

「………は?」

「し、します!」   

「うぉい!」

「じゃ決まりだね!」

嬉しそうなジェラールは俺の耳元で囁いた。

「君の戦いが見たくてさ、許してね☆」

この人は本当にギルドマスターなのかと思ったレイだった。



そして今に至る。


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