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第3章
第62話
しおりを挟むとりあえずレイはいろんな技を試していた。
例えば両手を開いて顔の前にやり…
「『太○拳』!!」
レイの頭を中心に、眩しい光が放たれたがブレイドは少し目を閉じるだけですぐに反撃してきた。
「くそっ!妖怪とかなら今の光で普通出て行くだろ!天津飯に謝れ!」
『マスター…何をしてるんですか?』
『ふざけておるのか?』
「違うわ!俺はいたって真面目に…おっと。」
レイがいたところに黒い棘の生えた触手のような物が迫ってきた。
「たくさっきからなんだよそれ…ゴ○ゴムの触手か?黒霧ver.なんて見た事ないぞ…」
触手は闘技場の壁をいとも簡単に破壊し、そのまま止まる事なくレイを追ってきた。
「あーもうめんどくさい!」
ブレイドに光弾を撃つが、当たったところが霧になりすり抜けていく。さっきからこれの繰り返しで、レイは疲れる事はないのだが、ブレイドの魔力がじわじわ上がっているのを感じていた。とりあえず空中に避難し、ブレイドを見下ろす。
「くっそ…どうすればいいんだ?」
『この闘技場全体に奴の魔力を感じますね…。』
『どういうつもりなんじゃアイツは。』
「もうめんどくさくーっ!」
見下ろしていたブレイドが、消えたと思ったらレイの背後にいた。
ブレイドは腕を黒い剣に変え、レイの頭めがけて振り下ろしてきた。
『転移魔法?!』
「いや…まさかこいつ!」
とりあえず地面に転移すると、今度は真横にブレイドがいた。
「そういうことかっ!」
顔面に蹴りを入れようとするが、顔が黒い霧になり足がすり抜けた。ブレイドはレイの足を掴むと、壁にめがけて投げつけた。
「レイ君!」
遠くからティナの叫ぶ声がするが、今は構ってられない。
『マスター、きます!』
「わかってる!」
急いで魔法障壁を貼ると、障壁に向かって黒弾が何発も撃ち込まれた。
とりあえず、撃たれている間に作戦を考える。
『あれは転移魔法じゃないのか?』
「うん、俺の予想があってれば…」
レイはブレイドの背後に転移し、霧になられる前に高速で脇腹に回し蹴りを入れた。ブレイドが吹っ飛んで行ったのを確認し、闘技場の壁に手を触れた。手に魔法陣が出現したと同時に、闘技場は全て砂となり崩れた。
「きゃっ!」
闘技場が崩れて驚いているティナの所に転移し、闘技場だった所にドーム状の魔法障壁を何重にも外からはった。
中で起き上がったブレイドが、障壁を殴ったがビクともしなかった。
「レイ君、一体何をしたの…?」
側にいたティナが驚きながら、闘技場があった場所を見ている。
「あいつを閉じ込めたんですよ。周りに僅かに漂ってる魔力と一緒にね。」
『確かに出てきませんね…。』
「やっぱりな。」
『どういう事じゃ?』
「あいつはここ全体に自分の魔力を霧散させてたんだよ。最初攻撃が当たりやすかったのも、まだ完全に魔力を霧散してなかったからかもな。でも時間が経ったら攻撃してもすり抜けるし、俺の背後に転移したみたいに現れたけど、実際は霧散している目に見えない霧状の魔力を高速で伝っていただけで、ここ全体があいつの実体みたいなもんだな。」
『……よくわからんぞ?』
『まぁあなたはわからなくても仕方ないですね。』
『なんじゃと?この使えない銃めが。』
『あなたこそ。』
レイは2人を無視して、魔法障壁に触れてどんどん縮小させていった。
ブレイドは壁を何度も壊そうと試みたが、一向に壊れる気配はなかった。
そして魔法障壁がブレイドの体に張り付き、ブレイドの体が押し潰されそうになった瞬間、ブレイドの全身から黒い霧が出てきて最後には消えていった。ブレイドはそのまま中で意識を失った。
「はぁ…疲れた。強くないけどめんどくさいのは初めてかも…。」
『お疲れ様です。それより闘技場を直さなければなりませんね。』
『まぁレイなら一瞬じゃな。』
「とりあえず闘技場をなおさな…ぐっ!」
突然、レイは後ろから回し蹴りをくらい吹っ飛んで行った。
すぐに起き上がって見ると、ティナが俯いて佇んでいた。
「まさかっ…!」
『マスター、これは…』
『今度はティナに?!』
顔を上げたティナの目は赤く血走り、口元は笑っていた。
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