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第7章
第111話
しおりを挟む魔物たちとの距離が1km強となった所で、俺たちは動いた。
「全員、突撃!」
ルージュの掛け声とともに、戦いが始まった。
俺は光魔法で剣を作り、 両手に握って地面スレスレを飛んで突っ込んでいった。
そして魔物が目の前に来たあたりで、剣を逆手に持ち体を駒のように回転させた。そのまま縦横無尽に飛んで、魔物たちの胴体を切っていく。どこぞの兵士長みたいだ。
斬り損ねたヤツらは、後ろのゾルタたちに任せて俺はどんどん突っ込んでいった。
ティナとロゼッタは、右端で魔物たちを殲滅していた。
ティナたちが地上で戦い、ロゼッタが魔物たちの頭上を飛びながら9本の剣で斬り殺していった。
「いや~ここまでの数はなかなか見れないね!」
ジェラールは迫ってくる魔物を見て、歓喜の声をあげた。そして魔物たちに向かって、人差し指を向けた。
「『地を翔ける稲妻』」
ジェラールの指先に大きな魔法陣が出現し、そこから何本もの稲妻が出て魔物たちを感電死させた。
真ん中ではルージュが、退屈そうに魔物を殲滅していた。ルージュは魔法メインだが、前線で戦っている。
「数が多いと言っても…弱いヤツばかりね。『豪炎隕石』」
ルージュが詠唱すると、魔物たちの上空にいくつもの赤い魔法陣が浮かび、そこから燃え盛る隕石が降り注いだ。
1番左では、サレアとスサノオが魔物たちを消し去っている。
スサノオは飛行しながら、魔物を殴ったり蹴り飛ばしたりしていた。スサノオの拳や足が当たると、魔物はその威力で粉々に弾けとんでいる。
サレアは魔物たちを次から次へと斬り倒していたが、何故か途中で足が止まった。
「今度は、僕の番だね。」
一瞬でサレアからイフに変わり、剣に魔力を流した。剣は氷を纏い、イフが剣を振ると氷の斬撃が何発も飛んでいった。
「おい!急に出てくるなって言ったろ!」
「いいじゃーん、僕にも少しやらせてよ。」
「全く、怪我するんじゃないぞ。お前だけの体じゃないんだからな。」
「僕がそんなヘマしないって。」
1つの体で、2人の人間が器用に入れ替わって話しながら魔物を倒していった。
「紅葉様!」
マリアの部屋に突然、部屋の影から男が現れ紅葉の後頭部に短剣を投げつけた。だが、紅葉は振り返る事もなく手で短剣を止め、そのまま男に投げ返した。
短剣は男の左胸に刺さり、男はその場で崩れ落ちた。
「バカなやつじゃ。ずっと気配ははしておったが、まさか影の中に隠れていたとは…。」
紅葉が男の顔を確認しようとすると、頭に念話が響いた。
『紅葉ー!なんか変なの来たけど弱かった!』
エリザベスの部屋にも暗殺者が来たようだが、エレナが無事に倒したようだ。
「こっちもじゃ。まぁレイの魔道具があるから心配はないだろう。問題は、こいつらが誰に送られてきたかじゃ。」
『うーん…わかんない。』
「特に何も持っていない…ん?」
紅葉が男を物色すると、右腕に何かの紋章のような物が彫られていた。紋章は、黒い狼のようなものだった。
「マリア、これはなんのマークじゃ?」
「なんでしょう、見た事ないですね…。」
「そうか…エレナ、お前の所に来た者の体に、何か狼のようなマークはないか?」
『狼…?あ、あったよ!でもこれなーに?』
「わからないな…。何かの宗教か?」
『紅葉!これ闇ギルドの紋章かもって、エリザベスさんが!』
「なるほどな、やはり誰かに雇われておったか…。」
紅葉は紋章を記憶して、廊下にいた護衛たちに遺体の処理を頼んだ。
魔物の大群はどんどん数を減らしていったが、奥の方から少しずつ増えているのでまだ1万くらいはいる。
「まとめて終わらすか…。」
俺は大群の中心の方へ飛び、下に手を向けた。
「みんなその場を離れてくれ!」
俺が声をかけると同時に、地面に巨大な筒型の魔法障壁を張った。仲間は中に入らなかったが、何匹かこぼれてしまったのでそっちは任せることにする。
何匹か飛行型が俺の方に向かってきてたので、その前に短く詠唱した。
「『火女神の雫』」
すると、小さな魔法陣から一滴の雫が地面に落ちていった。俺は障壁から出て、筒の上にさらに魔法障壁を張った。
雫が地面に落ちた瞬間、筒の中は豪炎に包まれて魔物たちは呻き声を上げて死んでいった。
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