異世界に転生したのでとりあえず好き勝手生きる事にしました

おすし

文字の大きさ
128 / 210
第7章

第115話

しおりを挟む

煙がはれると、地面に小さなロパープが気絶していた。

「まさかあれが本体だったとは。」

「それよりマスターは?!」

ロゼッタが飛び出していこうとした瞬間、地面に黒い穴が生じてそこからレイが出てきた。

「マスター!」

「た、ただいま?ってかなんかすごい地面えぐれてるね。」

ルージュたちも寄ってきて、レイの無事に安堵している様子だった。

「レイ君、大丈夫だったかい?」

「はい。それと、この魔物の大群を出したという奴に会ってきました。」

「本当?!どんな奴だったの?」

「ジョーカーという男でした。それと、今回の件はその…第二王妃から依頼された、と。」

俺の言葉に、その場にいた全員が少し納得したようななんともいえない表情をした。

「とりあえず、王城に戻って陛下に報告しようか。」

「了解です。」

ルージュの提案により、レイたちは急いで王国へと戻っていった。



王国に戻ってルージュにジョーカーの事を詳しく伝え、俺は家に帰った。
一応試験会場に向かったが、すでに試験は終わっており面接を受けることは叶わなかった。

「まじかよ…転生して入試不合格とか前例ないだろ…。」

「マスター、大丈夫ですか?」

「あ〝ぁぁぁあ…もうイヤ…。」

「大丈夫です!もしダメだったとしたら私と旅にでしましょう!楽しいですよ?」

「それも悪くないかもと思ってる自分がいる…。まじでどうしようかなぁ。」

「とりあえず、今日は帰って寝ましょう。今日は色々大変でしたからね。」

「そうだね…。」

俺はテンション下げ気味で家路に着いた。



「レイ様!試験はどうでしたか?」
「森の調査?に向かったんですか?」

家に帰ると、リゼとシュティレが待ち構えていた。俺は申し訳ない気もしながら、今日あった事を説明した。

「なるほど…レイ様、お疲れ様でした。」
「副団長ですからね、それはしかたありません。」

「2人とも怒らないの?」

「何にですか?」

「いや…だから試験すっぽかした、みたいな。」

「そんな事しませんよ。」

リゼはふわりと笑い、俺を優しく抱きしめた。

「それに、そのような事情があれば面接の分は免除してくれたりとかないですかね?」

「どうだろう…まぁご飯食べて今日は早く寝よっか。ありがとう2人とも。」

2人に礼を言い、俺は自室に戻った。



「どうしよう、これ…。」

俺は寝る前に、ベットのそばに布団を敷いてジョーカーから貰ったたまごを置いた。怪しい人から貰ったものとはいえど、流石にドラゴンが産まれて朝起きたら家が壊れてるなどはないと思うのでそのまま布団であっためる事にした。
たまごに毛布を巻いて、すぐに俺は眠りについた。



「………………ん………?」

朝起きると、なんだかくすぐったい気がして目が覚めた。

『ぴゃぁっ!』

「んあっ?」

可愛い声がした気がして少し顔を上げると、胸元に小さい犬のようなモフモフ動物が尻尾を振って俺を見つめていた。

「……あれ?どこから来たの、きみ。」

とりあえずモフモフを抱えてあたりを見ると、下の布団にあったはずのたまごが粉々になっている。

「え…?犬ってたまごから産まれないよね?」

鑑定すると、【フェンリル(幼獣)】と書かれていた。

「フェンリルってたまごから産まれるの?」

『ぴゅぃ~?』

何言ってんだお前みたいな感じで首を傾げられ、俺はため息をついた。

「まぁいいか、よろしくな。」

『ぴゃぁっ!』

今度は嬉しそうに俺の周りをぴょんぴょん跳ね回っている。なんだか父性をくすぐられる可愛さだ。

「あれ、契約とかした方がいい?」

『ぴゃっ!』

今度は俺の体にすり寄ってきたので、優しく撫でながら名前を考える事にした。

「うーん…なんかあるかな。かっこいい系とかの方がお好みか?」

『ぴぃゃ~』

なんだがご機嫌なので方針はかっこいい系で決まった。だが、ペットの名前などスライムのベム以来考えたことがないので、なかなか決まらなかった。

「みんなで考えるか。」

『ぴゃっ!』

とりあえずフェンリルを抱きかかえてリビングに向かった。



しおりを挟む
感想 192

あなたにおすすめの小説

最強無敗の少年は影を従え全てを制す

ユースケ
ファンタジー
不慮の事故により死んでしまった大学生のカズトは、異世界に転生した。 産まれ落ちた家は田舎に位置する辺境伯。 カズトもといリュートはその家系の長男として、日々貴族としての教養と常識を身に付けていく。 しかし彼の力は生まれながらにして最強。 そんな彼が巻き起こす騒動は、常識を越えたものばかりで……。

S級クラフトスキルを盗られた上にパーティから追放されたけど、実はスキルがなくても生産力最強なので追放仲間の美少女たちと工房やります

内田ヨシキ
ファンタジー
[第5回ドラゴンノベルス小説コンテスト 最終選考作品] 冒険者シオンは、なんでも作れる【クラフト】スキルを奪われた上に、S級パーティから追放された。しかしシオンには【クラフト】のために培った知識や技術がまだ残されていた! 物作りを通して、新たな仲間を得た彼は、世界初の技術の開発へ着手していく。 職人ギルドから追放された美少女ソフィア。 逃亡中の魔法使いノエル。 騎士職を剥奪された没落貴族のアリシア。 彼女らもまた、一度は奪われ、失ったものを、物作りを通して取り戻していく。 カクヨムにて完結済み。 ( https://kakuyomu.jp/works/16817330656544103806 )

お前には才能が無いと言われて公爵家から追放された俺は、前世が最強職【奪盗術師】だったことを思い出す ~今さら謝られても、もう遅い~

志鷹 志紀
ファンタジー
「お前には才能がない」 この俺アルカは、父にそう言われて、公爵家から追放された。 父からは無能と蔑まれ、兄からは酷いいじめを受ける日々。 ようやくそんな日々と別れられ、少しばかり嬉しいが……これからどうしようか。 今後の不安に悩んでいると、突如として俺の脳内に記憶が流れた。 その時、前世が最強の【奪盗術師】だったことを思い出したのだ。

異世界転生したらたくさんスキルもらったけど今まで選ばれなかったものだった~魔王討伐は無理な気がする~

宝者来価
ファンタジー
俺は異世界転生者カドマツ。 転生理由は幼い少女を交通事故からかばったこと。 良いとこなしの日々を送っていたが女神様から異世界に転生すると説明された時にはアニメやゲームのような展開を期待したりもした。 例えばモンスターを倒して国を救いヒロインと結ばれるなど。 けれど与えられた【今まで選ばれなかったスキルが使える】 戦闘はおろか日常の役にも立つ気がしない余りものばかり。 同じ転生者でイケメン王子のレイニーに出迎えられ歓迎される。 彼は【スキル:水】を使う最強で理想的な異世界転生者に思えたのだが―――!? ※小説家になろう様にも掲載しています。

40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私 とうとうキレてしまいました なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが 飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした…… スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます

捨てられた前世【大賢者】の少年、魔物を食べて世界最強に、そして日本へ

月城 友麻
ファンタジー
辺境伯の三男坊として転生した大賢者は、無能を装ったがために暗黒の森へと捨てられてしまう。次々と魔物に襲われる大賢者だったが、魔物を食べて生き残る。 こうして大賢者は魔物の力を次々と獲得しながら強くなり、最後には暗黒の森の王者、暗黒龍に挑み、手下に従えることに成功した。しかし、この暗黒龍、人化すると人懐っこい銀髪の少女になる。そして、ポーチから出したのはなんとiPhone。明かされる世界の真実に大賢者もビックリ。 そして、ある日、生まれ故郷がスタンピードに襲われる。大賢者は自分を捨てた父に引導を渡し、街の英雄として凱旋を果たすが、それは物語の始まりに過ぎなかった。 太陽系最果ての地で壮絶な戦闘を超え、愛する人を救うために目指したのはなんと日本。 テンプレを超えた壮大なファンタジーが今、始まる。

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる

竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。 評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。 身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。

処理中です...