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しおりを挟むもうすぐ16…じゃあ今15?
熊の嗅覚は犬の5倍以上だ。なんで基準が犬なのかは知らねぇ。何が言いたいかって?匂いで色々わかるんだよ。だからな?嘘じゃないのはわかるんだが…15には見えねぇ。頑張って…10くらいだろ。
抱き寄せた身体は小さく…少し骨が浮いて薄い。
…お前…ちゃんと飯食ってないだろ?
微妙にイラつく原因もわかってる。
不釣り合いな熟れた雌の匂いと…染み込んだ数えられないほど混じった雑魚な雄の匂いがするからだ。
それと…物騒な事を当たり前の事の様に言いやがって…嫌な予想が頭の中で組み立てられていくだろ?
薬漬けにして売りでもさせられてたんだな?
それが、正しいことだって教えられてきたんだな?
これは…どうすればいいんだ?
俺の唯一なんだが?何にも代え難い存在なんだが?
俺の眉間に皺がよってだんだろう「おかお にがそう」とか言ってふにゃっと笑ってる。
……考えても仕方がねぇな。今はこの冷えた身体をどうにかするか…風呂の温度をもう少し上げた。
歳を聞いただけで …不安に思うなら何話せばいいんだ?…天気か?
「さっきの雨は冷たかったなぁ」
「そろそろ雪が降り出しそうだな」
ちょっと頬に赤みが差してきた?
「…温まったかぁ?」
洗浄魔術で汚れを落とし風呂から上がり手早く風魔術で濡れた身体を乾かした。…脱ぎ捨てた服もチョイ。
「すごい まほう みたい」
「…簡単な生活魔法だな。」
…魔法は見た事がないのか?
驚き 羨望 期待…おい…それは照れ臭いからやめろ。
真っ裸で隣のクローゼットに移動して…この歳までひとりで生きてくると生活スタイルもそれなりに出来上がってて必要の無いものは置いてない。
泊まり客なんぞ来ないから客用の物もない。
俺の予備の寝衣の上を着せてみた。
裾から覗く足が卑猥だな?
袖をまくり上げてやる。
室内履きひとつ無いから縦抱きに抱えてベッドまで行き、引き寄せたケットで包んだ。
腹は減ってるか?と聞くと頭を横に振った。
…湯上がりの水くらいは欲しいよな?
「水をとってくる。ちょっと待ってろ。」
2階のリビング横のキッチンに水を取りに降りた。
…普段使っているのはこの小さいキッチンだ、1階に立派な厨房があるが俺は料理人じゃねぇから使った事は無い。…これで充分だ。
お茶入れるくらいしか使わないし…だから茶葉と蜂蜜しかない。…あれ?俺って駄目な奴か?…新発見だ。
水差しとグラスを持って上に上がった。
風呂上がりの水分を補給して眠くなるまでお喋りだ。
ベッドに入るとぺたりと身体を寄せてきた。風呂で温まったはずなのにもう身体が少し冷たい。
「くまさん あったかい」
呼吸が…もう眠そうだ。…俺も眠い。獣じゃないから冬眠はしないが…冬は眠いんだ。
そうだ …名前。名前聞こう。
「…俺はボリスって言うだが名前を聞いてもいいか?」
「ぼく いちじょう りお」
俺の胸元に顔を擦り寄せたまま…
「ぼりすさん いいにおい みかんみたいな におい」
「リオもいい匂いだ。金木犀の甘い匂いだ。」
なんだ?…この事後みたいな雰囲気は。
眠くて頭がまとまらねぇ…
「…リオ お前と離れたくない」
「 …? …ぼく ここにいて いいの?」
「ずっと一緒にいてくれるか?」
へらりと笑った顔と幸福 希望 安堵の匂い。
やたら幸せな気分で…そのまま抱え込んで寝た。
………緊急抑制剤…お前、いい仕事するじゃねぇか。
朝勃ちもしてねぇ。
そっとベッドを抜け出して家の結界を承認制の2重結界に張り直す。
戻って仕事に行く準備をしているとリオが目を覚ました。俺の室内履きを …ペタシペタシ音を立てながらトイレと洗顔を済ませて…可愛っ。
俺はその間に、朝飯用に買っておいたサンドイッチを2等分にカットしてお茶を入れた。
ベッドの横のティーテーブルで食べさせた。俺は出勤先で買って食う。…サンドイッチ半分で満腹か?
そろそろ家を出る時間だ。
「残りは昼飯に食べろ。お茶はポットに入ってる。」
「…あの」
もじもじ俺の機嫌を伺いってきた。
「あの おくすり ない? ごはんたべたら いつものんでたの」
「何の薬だ?」
「えっと おなかを とろとろにする くすり」
…催淫剤か?
「…今 その薬はないな。」
クソっ …過呼吸だ。落ち着くまで抱き寄せた。
無自覚だが薬にかなり依存している。身体も…心も。
普通に留守番させようと思っていたが駄目だ。目が離せねぇ。睡眠導入魔術をかけた。
…職場に走った。
遅刻ギリギリで滑り込んだ。
届いた手紙のチェックをして、上がってきた数日前の魔獣襲撃の報告書の処理をしていく。
雑務を押し付けようとするヤツをかわして巡回に出た。
…まずギルドに寄って魔獣襲撃による被害の確認と人族の探し人がいないか聞き込んだ。
その後、管轄内のいくつかの商会に行って被害を聞きつつ…時静止の術式の組み込まれたフォールフロントタイプのフードケースと室内用のムートンの踵の浅いスリッポンを買って昼飯は巡回しながら屋台で適当な物を食った。
もちろん、美味かった物は追加して持ち帰りだ。砦に戻って食堂で持ち帰り用のサンドイッチをいくつかと
併設されている売店でミルクと蜂蜜とチーズを買い収納空間にぶち込んだ。
事務室に入ると、待ってましたとばかりに半端な出来の書類が積み上がってやがった!
くそっ イライラする。
どいつもこいつも適当な仕事しやがって!あ?いつもは手伝ってくれる?いじわる?冷たい?あ?知るか!てめぇの仕事はてめぇでやれ!俺は定時で上がる!
すっ飛んで帰って部屋に入る前に緊急抑制剤を飲んだ。
リオは一日中寝てた事に …やたら驚いてた。
…すまん。
仕事お疲れ様でしたって言って…俺の股間に手を伸ばしてきた。奉仕をすると…言う。
疲れててそう言う気分じゃないんだと苦笑してみせた…嘘です。大嘘です。めっちゃ溜まってます!
咥えさせてぇ!突っ込みてぇ!あんあん言わせて孕ませてぇ!
…すげぇな!緊急抑制剤様!ぴくりともしねぇ。
目を離すのが怖くて…次の日も睡眠魔法をかけての出勤だった。
少し薬が抜けたのかザラつく嫌な匂いは薄まってきたが………駄目だ。話が進まない。リオの中に「先生の言う事は絶対」って言うルールがある…医者か薬が必要だ。
ギルドからの探し人の情報は今日もない。
巡回しながら焼き菓子と飴玉を買った。
東区で割と上質な物を置く商会でリオが持っていたタオルと似たような物を探したら…価格に驚いた。買ったけどな?
3日目。
補佐官が漸く気がついた。呼び出された。
……そうだった!コイツ医務官の資格持ってた!…なんだよ…手頃なのが近くに居たじゃねえかよ!
もっと早く呼び出せよ!
番絡みなら狼だ。お前らの執着は異常だ。やらかしネタも事欠かない。お前らの執着を逆手に取って最大の結果を掴み取ってやる……熊だが猫を被った。
10
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