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②
しおりを挟む日に日に暖かくなっていく。
何度も思うが、こんな幸せな発情期初めてで、
思考力はサボテン並み。
久しぶりの休み。飛び石連休の1日目、やたら白い花ばかり咲く庭で跳ね回る白い毛玉を見ながら、イチャイチャお茶をしてた時に庭の花を見て「幸せな花」ってリオが呟いた。
幸せない花?どれが?
「外敵や環境に怯える事なく、頑張って他の花と競わなくても次の花を咲かせる事のできる花は白いの」……初めて聞いた。それならこの庭の花は幸せって事か?別に俺は黄色も赤も好きだけどな?
「リオは何の花か好きなんだ?」
「…わからない」
リオの好きなモノを見つけるのは難しい。今のところ分かってるのは美味し物と肌触りが柔らかい物。
リオが焼いたパンを食って
リオを味わって
腹も心も満たされて…そんな日常、最高。
次の日は出勤。転移最高。秒で家に着く。
定時きっかりに玄関開けると嗅いだことのないリオの匂い。
…ん? ぷりっ? ん? 怒ってる?
早足で2階に上がるとリビングでお茶飲んでた。
ちょっとジト目…うわぁ 唇がくちばしになってる。…怒ってる。
「あした おみせに つれていって」
珍しいと言うか初めてだ。
「どこの店だ?」
「おっきい おみせ?」
なんで山羊を見る?山羊の眉毛が困ってるな?何か失言でもしたか?…まぁいい。疑問系って言う事は欲しい物がそこに有るかわからないって事だろう?一緒に探そう。
リオの怒りはすぐに何処かに消え去って何に怒っていたかわからなかった。
次の日、買い物に何故だか山羊もついて来た。
眉毛を困らせて…匂いでバレない様に遮断してる?秘密なの?
商談室から追い出された…何故?
山羊はいいのか?店員もそっちサイド?何故?
こう言う時…リオは自分の匂いを消すんだよ。
すげぇ技を使うな?まあ…いい!
この店に用事があったのは俺の方だ。
侯爵家の双子が番ってそのお披露目がある。
……番同伴で。自分だけ出ればいいと思ってた。
俺は制服だからタイを新調すれば足りる。
問題はリオのドレスだ。…時間がない。かなり。マジで。既製品を少し手直しする程度しか出来ない。…慶事用のスリングとケープも用意しないといけない…後4日で合うのか?
なんで知ったかって?
昨日イケオジが番の新調したドレスがやっと届いたって…久しぶりの慶事だから奮発しちゃったって隊長と雑談をしてたのを偶然聞いたからだ…巡回って名目でタオル作ってもらってるドワーフの所に駆け込んだよ。で紹介状を手に入れて今その商会に来てる。
ドワーフが「ひとつ貸しだな。ワシから話を通しておく。」って先触れを入れておいてくれた。
とりあえず俺は別室でお茶飲みながらリオ待ち。
リオと山羊が少し大きめの箱を持ってこっちの部屋に入ってきた。機嫌は治ったな?欲しい物が見つかってよかった。
秘密 内緒 秘密 だめぇ…って…なんだよ!
俺が匂いで色々わかるって事がわかってきたリオの最近の遊び。くすくす笑ってて楽しそうだな?
…用事を済ませないと。必要なのは俺のタイ。慶事用のスリング。リオのドレスとケープと靴。ドレスコードは白のホルターネックのロング。ボトムの型は自由。長さだけ。もちろんリオにも話はしてある。
…ん?俺のタイから選ぶの?
勧められたのがリオの瞳の色の薄紫の地に白と銀の刺繍の入ったヤツ…確かにコレ一択だ。
次はスリング。慶事用のスリングは白。刺繍の柄を季節感のある春の花にするか縁起のいい古典柄にするかの2択。…古典柄で。
下着のリボンとプラグを見つけてリオが固まった。
「ノーパンでプラグ&リボンは決定だ。下着のライン気にしなくていいしトイレ問題も解決するからな?」
「わかった」
…そこ納得しちゃうんだ。半分俺の趣味なのに。
本題はリオのドレス。
大幅なサイズ変更は出来ないから1番小さいサイズがあるデザインだけ。既製品と言っても元々ハーフオーダー。
トップはV字とハイネックタイプの2種類、ボトムはフィッシュテイルとコンシャスとシレーヌの3種類しか…無かった。…すまん。
「好きな組み合わせで選んでいいぞ。」
…ザッとひと通り見てから、何かが切り替わったのか躊躇いなく脱いでドレスを試着しはじめた。
…1番小さいサイズでもブカブカ。
「ご要望にお応えいたします。どうぞ。」
「おねがい します」
リオの指示通りに羊のお針子が細いピンでつめていく。
選んだトップは背中全出しのハイネックタイプ。
「えりの とめがねは こはぜで」
「はい」
「みはばは ひろめに さいどは ほうぶつせんの しぜんな らいんで けして ください」
「はい」
「ぼりす すかーとに すりっとは いれる?」
「ギリギリまで。」
「……ぼとむは しれーぬ にします」
「はい」
羊がシレーヌタイプのボトムを持ってきた。
「針にお気をつけください。」
「ありがとう」
手を借りてボトムを履いて…。
「かのうなかぎり しぼって ふぃっと させてください」
「はい」
「ひざうえ 21せんちで きりかえます」
「はい …少々お待ちください」
メジャーで所々計りながら物凄い速さで羊の手が動く。針が刺さりそうで…見ている俺が緊張する。
「きりかえから すりっとを いれます」
「はい」
「こういうふくを きるのが ひさしぶり なので まえを ゆかから 10せんち みじかく ばっくろんぐに してください」
「はい」
「……すその ぼりゅーむが たりないので ちゅーるを かさねることは かのうですか?」
「縁の始末がパイピングでしたら可能です。
「では それで」
「はい」
「ぼりす ほんとうに すりんぐから いちどもでない?」
「…1度くらいは出るかも。」
「…おしりの ぼりゅーむが たりないので ともぬので とりはずし かのうな おおきい りぼんを このあたりに たしたいんですけど」
「…刺繍を入れないのであれば可能です。」
「ぼりす」
その決定権は俺なのね?
刺繍無しとか…不甲斐なさ過ぎて涙が出そうだが、そもそもドレスが間に合わなければ話にならない。
「…今回は刺繍は入れない。」
「畏まりました。」
ケープはロールカラーのオフショルダータイプでウエストの少し上辺りまで丈。白のモコモコ。
可愛い!
最後は靴。
奥からドワーフの爺さんが出てきた。
コレはドワーフの力技。補填用の魔石を渡して。
別料金でその場で直す以外の方法がない。
履く前からリオの注文が入った。
厚底は苦手です
太いヒールも苦手です
つま先を少し丸くしてください
ヒールの高さは10センチでお願いします
「コレでどうだ?」
靴べらを使って履いて、部屋の端から端まで小さな音を立てて歩いて。
ヒールの位置を少しだけ内側にしてください
土踏まずにクッションが欲しいです
もう1度隅まで歩いて
浅い位置にストラップをお願い出来ますか?
もう1度。…歩く音が消えた?
「ぼりす かみは? あげる?」
手櫛でまとめて捻り上げて左手で押さえて…腰を捻って振り向いた。
決定?……決めるの早いね?もっと時間がかかると思っていた。なんなら今日全部は決まらないかも…って思ってた。マズいなって思ってた。
追加で花飾りのついた髪留めと靴の飾りと俺のコサージュを頼んだら…良い笑顔の羊に「お届けでは間に合いません」と言われて…当日の早朝に取りにくる事になった。…無理言ってすまん。
手ぶらで帰るのも気が引けて、庭に出る時用のツバの広い帽子を買って帰った。…羊の分も。
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