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エピローグ
最後の想い-04
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ここまでに関しては殆どギャグの様なお話になってしまいましたが、勿論この戦いによってアーミー隊や四六にお咎めが無かったわけではありません。
ですが、そのお咎めに関しては、全て二人の男性が罪を被る事によって収束したのです。
そのお二人とは、レビル・ガントレット大佐と、遠藤義明二佐の事です。
まず先に前提条件として、レビル・ガントレット大佐は亡くなっています。
テログループに扮した部隊を牽引し一人で敵UIGに突入、城坂修一の意識を彼一人に向けている間に撃ち込んだハープーンミサイルによる爆撃で、彼はその生涯を終えました。
決してこうは言いたくありませんが、死人に口なし。
彼が従えた部下は全て彼の命令に従い、福島県に存在する不法建造されたUIGへの襲撃を敢行し、それを裏付けるレビル・ガントレット大佐本人の音声データも残っていた為、生き残った彼の部下は誰一人として罰を受ける事はありませんでした。
そして次に、四六を実質指揮していた者が誰かという問題について。
実際に指揮を行っていたのは私と神崎紗彩子、戦闘状態となってからは各班に班長を設けて、それぞれの指揮によって戦闘は行われておりましたが、作戦の立案は私が立案した事もあり、私はその点について、罰を受けるつもりでした。
道を間違えたとは思っていません。
ですが、私がこうした作戦を立案した事によって、本来は雷神プロジェクトや風神プロジェクト、四六やアーミー隊、レイスと言った組織に無関係であった方々も巻き込んでしまったのですから、その責任を執るべきは私である筈です。
――それを止め、作戦を命令したのは自分であると名乗り上げた人物が、遠藤義明二佐だった。
「遠藤二佐、貴方はどうして」
「どうしてと言われてもね。君達は一応、私の部下だ。そして君の立案した作戦を許可したのも、私とガントレット大佐だ。ならばそれに責任を取るべきなのは誰か、一目瞭然だろう」
「私は自分の下した決断を誤りだと、過ちだと思っておりません。だからこそ、罰を自分で受けたいのです。そうする事で自分に納得する事が出来るのです。ですから、考え直して頂けないでしょうか?」
「楠君」
「……はい」
「私はね、こうする事が出来て嬉しいんだ。最後まで、私は自分の気持ちを偽る事なく、自衛隊に属する人間として、軍人として戦う事が出来たと思っている。
私は、ADに乗る事なんか出来ない。戦車を動かす事も、戦闘機パイロットも、言ってしまえば訓練以外で銃を撃ったことなど皆無だ。
それでも、出来る事がある」
「……それが」
「自分に出来る事を定め、時には部下へ一任し、その責任を背負う。――それこそ、私がなりたかった、正しい軍人としての在り方だ」
彼は、全ての責任を背負い、退役した。
過去例を見ない事態であるからこそ、拘留や逮捕等はなかったが、今でも防衛省へと出向して事態の証言などを行っている。
――あの人は、大人だったんだ。
決して自分の身近にいなかった、正しい大人の姿を見て、私はこれからの進路について、再び悩む事になるのですが、それはまた別の話です。
**
ここから先は現在となり、少々時間が跳んでしまう事をご了承ください。具体的に言うと二年ほど。
まず、久世良司会長補佐他三年生組と、神崎紗彩子は卒業しています。
私達一年生組はまだ卒業はしていませんが、そろそろ進路を決めなければなりません。
一人ひとり紹介をしていきましょう。
久世先輩は元々の進路を定めてはおりませんでしたが、在学中に防衛大学への進学を決定し、卒業後の所属を四六としました。
今は、AD総合学園の商業区画にあるカフェテリア。
私がアイスコーヒーを、久世先輩がキャラメルマキアートを飲み、ちょっとした歓談をしています。
「こうして会長とじっくりお話をする機会は、これまでありませんでしたね」
「久世先輩、会長はやめて下さい。私はもう」
「ああ、そうだった。貴女は二年生になってから、会長職を退いておりましたね」
「ですから、敬語も是非やめて頂けないですか? 私にとって、久世先輩の方が尊敬すべき先輩です」
「そうですか。ならば――これでどうかな、楠君」
「ふふ。本当に、何だか不思議です。一応部下だった久世先輩が私の事をそんな風に呼ぶなんて」
「敬語にするぞ?」
「ああ、誤解なさらないで下さい。違和感ではありますが、嫌なわけではないですし、けなしてもいません」
「全く――初めて君と話した時は、君と理事長がいきなり生徒会室に現れて『今日からこの子が会長だから現会長の良君は会長から会長補佐に格下げね!』と言われた時以来だな」
「あれは、流石に私もドン引きしました……お姉ちゃんってホント、そういう所はずさんなんですよね」
「だが、結果として理事長の判断は正しかったと思う。僕には、雷神プロジェクトいうトンデモ計画を率いる事など出来なかっただろう。
責任ある立場では無かったから、面白そうだという理由だけでプロジェクトに参加できたしね」
「……久世先輩、一つ、伺っても良いでしょうか?」
「何だい?」
「久世先輩は――雷神プロジェクトが実現不可能になった今、何故四六を進路に定めたのでしょうか?」
「おや、返答に困る質問が来た」
クククと笑いながら、眼鏡の位置を正して一口キャラメルマキアートを飲んだ彼が、考えるように時間をおいてから「理由は二つかな」と前置きました。
「元々僕は卒業後の進路に悩んでいた。防衛省にも高田重工にもAB社にも推薦を頂いていたのにも関わらず。そういう話は織姫君ともしたね」
「お兄ちゃんとそんな事を?」
「ああ。そんな僕に彼はこう言った。『久世先輩は贅沢だと思う』と。『悩める選択肢があるんだ』とね。
僕もその意見には同感で、雷神プロジェクトへ属すれば、少しは違う道を見つける事が出来るのではないかと思ったんだ」
「見つける事は、出来ましたか」
「いいや。出来ていない。今でも悩んでいる」
「なのに……四六へと進路を定めたのですか?」
「もう一つ、理由があってね。
――君は、雷神プロジェクトが今や実現不可能と言ったね?」
「はい。もう、雷神と言う機体も、その機体を動かす為のパーツも、失われました」
「失われていない。――僕は何時までも信じている。再び雷神と言う機体が生まれ、その叶う筈の無い夢を実現すべく、立ち上がる筈だとね」
右腕に付けていた腕時計を見て「そろそろ時間だ」と立ち上がり、伝票を取った久世先輩。しかし私は、まだこの場所にいなければなりません。
「その一杯分は奢るよ。もっと注文するならば、それは清水にでも支払ってもらえ」
「自分で払えますよっ」
「――ああ。君が笑顔で、本当に良かった」
最後に、久世先輩は今まで見た事の無いような清々しい笑顔を浮かべて、去っていきました。
ですが、そのお咎めに関しては、全て二人の男性が罪を被る事によって収束したのです。
そのお二人とは、レビル・ガントレット大佐と、遠藤義明二佐の事です。
まず先に前提条件として、レビル・ガントレット大佐は亡くなっています。
テログループに扮した部隊を牽引し一人で敵UIGに突入、城坂修一の意識を彼一人に向けている間に撃ち込んだハープーンミサイルによる爆撃で、彼はその生涯を終えました。
決してこうは言いたくありませんが、死人に口なし。
彼が従えた部下は全て彼の命令に従い、福島県に存在する不法建造されたUIGへの襲撃を敢行し、それを裏付けるレビル・ガントレット大佐本人の音声データも残っていた為、生き残った彼の部下は誰一人として罰を受ける事はありませんでした。
そして次に、四六を実質指揮していた者が誰かという問題について。
実際に指揮を行っていたのは私と神崎紗彩子、戦闘状態となってからは各班に班長を設けて、それぞれの指揮によって戦闘は行われておりましたが、作戦の立案は私が立案した事もあり、私はその点について、罰を受けるつもりでした。
道を間違えたとは思っていません。
ですが、私がこうした作戦を立案した事によって、本来は雷神プロジェクトや風神プロジェクト、四六やアーミー隊、レイスと言った組織に無関係であった方々も巻き込んでしまったのですから、その責任を執るべきは私である筈です。
――それを止め、作戦を命令したのは自分であると名乗り上げた人物が、遠藤義明二佐だった。
「遠藤二佐、貴方はどうして」
「どうしてと言われてもね。君達は一応、私の部下だ。そして君の立案した作戦を許可したのも、私とガントレット大佐だ。ならばそれに責任を取るべきなのは誰か、一目瞭然だろう」
「私は自分の下した決断を誤りだと、過ちだと思っておりません。だからこそ、罰を自分で受けたいのです。そうする事で自分に納得する事が出来るのです。ですから、考え直して頂けないでしょうか?」
「楠君」
「……はい」
「私はね、こうする事が出来て嬉しいんだ。最後まで、私は自分の気持ちを偽る事なく、自衛隊に属する人間として、軍人として戦う事が出来たと思っている。
私は、ADに乗る事なんか出来ない。戦車を動かす事も、戦闘機パイロットも、言ってしまえば訓練以外で銃を撃ったことなど皆無だ。
それでも、出来る事がある」
「……それが」
「自分に出来る事を定め、時には部下へ一任し、その責任を背負う。――それこそ、私がなりたかった、正しい軍人としての在り方だ」
彼は、全ての責任を背負い、退役した。
過去例を見ない事態であるからこそ、拘留や逮捕等はなかったが、今でも防衛省へと出向して事態の証言などを行っている。
――あの人は、大人だったんだ。
決して自分の身近にいなかった、正しい大人の姿を見て、私はこれからの進路について、再び悩む事になるのですが、それはまた別の話です。
**
ここから先は現在となり、少々時間が跳んでしまう事をご了承ください。具体的に言うと二年ほど。
まず、久世良司会長補佐他三年生組と、神崎紗彩子は卒業しています。
私達一年生組はまだ卒業はしていませんが、そろそろ進路を決めなければなりません。
一人ひとり紹介をしていきましょう。
久世先輩は元々の進路を定めてはおりませんでしたが、在学中に防衛大学への進学を決定し、卒業後の所属を四六としました。
今は、AD総合学園の商業区画にあるカフェテリア。
私がアイスコーヒーを、久世先輩がキャラメルマキアートを飲み、ちょっとした歓談をしています。
「こうして会長とじっくりお話をする機会は、これまでありませんでしたね」
「久世先輩、会長はやめて下さい。私はもう」
「ああ、そうだった。貴女は二年生になってから、会長職を退いておりましたね」
「ですから、敬語も是非やめて頂けないですか? 私にとって、久世先輩の方が尊敬すべき先輩です」
「そうですか。ならば――これでどうかな、楠君」
「ふふ。本当に、何だか不思議です。一応部下だった久世先輩が私の事をそんな風に呼ぶなんて」
「敬語にするぞ?」
「ああ、誤解なさらないで下さい。違和感ではありますが、嫌なわけではないですし、けなしてもいません」
「全く――初めて君と話した時は、君と理事長がいきなり生徒会室に現れて『今日からこの子が会長だから現会長の良君は会長から会長補佐に格下げね!』と言われた時以来だな」
「あれは、流石に私もドン引きしました……お姉ちゃんってホント、そういう所はずさんなんですよね」
「だが、結果として理事長の判断は正しかったと思う。僕には、雷神プロジェクトいうトンデモ計画を率いる事など出来なかっただろう。
責任ある立場では無かったから、面白そうだという理由だけでプロジェクトに参加できたしね」
「……久世先輩、一つ、伺っても良いでしょうか?」
「何だい?」
「久世先輩は――雷神プロジェクトが実現不可能になった今、何故四六を進路に定めたのでしょうか?」
「おや、返答に困る質問が来た」
クククと笑いながら、眼鏡の位置を正して一口キャラメルマキアートを飲んだ彼が、考えるように時間をおいてから「理由は二つかな」と前置きました。
「元々僕は卒業後の進路に悩んでいた。防衛省にも高田重工にもAB社にも推薦を頂いていたのにも関わらず。そういう話は織姫君ともしたね」
「お兄ちゃんとそんな事を?」
「ああ。そんな僕に彼はこう言った。『久世先輩は贅沢だと思う』と。『悩める選択肢があるんだ』とね。
僕もその意見には同感で、雷神プロジェクトへ属すれば、少しは違う道を見つける事が出来るのではないかと思ったんだ」
「見つける事は、出来ましたか」
「いいや。出来ていない。今でも悩んでいる」
「なのに……四六へと進路を定めたのですか?」
「もう一つ、理由があってね。
――君は、雷神プロジェクトが今や実現不可能と言ったね?」
「はい。もう、雷神と言う機体も、その機体を動かす為のパーツも、失われました」
「失われていない。――僕は何時までも信じている。再び雷神と言う機体が生まれ、その叶う筈の無い夢を実現すべく、立ち上がる筈だとね」
右腕に付けていた腕時計を見て「そろそろ時間だ」と立ち上がり、伝票を取った久世先輩。しかし私は、まだこの場所にいなければなりません。
「その一杯分は奢るよ。もっと注文するならば、それは清水にでも支払ってもらえ」
「自分で払えますよっ」
「――ああ。君が笑顔で、本当に良かった」
最後に、久世先輩は今まで見た事の無いような清々しい笑顔を浮かべて、去っていきました。
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