13 / 22
青春
しおりを挟む僕達は中学では違うクラスだった為、休み時間になるとゆいちゃんは僕の教室に度々遊びに来ていた。
「ねえ、今度の花火大会もちろん行くよ
ね?」
僕の机の前にしゃがんで、ちょこんと顔と手を机の上に乗っけるゆいちゃん。
「花火大会?」
「そう!かずき用事とかないよね?」
「ないと思うけど」
「じゃあ決まりね!」
花火大会か楽しそうだな。やっぱ浴衣着るのかな。僕は浴衣姿のゆいちゃんを想像していた。
「なにニヤけてんの?」
「ニヤけてないよ!」
すぐ顔に出てしまう、今の僕は。
「もしかして変な事考えてるー?」
「考えてないよ!ただ‥‥」
「ただ?」
「浴衣、着るの?」
「うーん、どうしよっかなー。着て欲しい?」
「いやどっちでもいいけど、ゆいちゃんが浴衣着るなら僕も着ないと合わないかなって思って」
「なにそれー。正直に言ってくれたら着て行くのになあ」
「正直に言ったんだけど?」
「もー素直じゃないんだから!」
そう言って笑っている。
「‥‥かわいい」
「えっ?私の事?」
「なにが?」
「今かわいいって」
僕は心の声が出ていたようだ。
「あっ、とにかく花火大会楽しみだなー」
「はぐらかさないでよー!やっぱり浴衣姿見たいんでしょー?」
やっぱりゆいちゃんがいる生活は最高だ!!僕は充実した生活を送っていた。
花火大会当日。ゆいちゃんの様子から、浴衣を着てくるだろうと期待して僕も浴衣を来て公園で待っていた。
「お待たせ!」
後ろからゆいちゃんの声が聞こえて振り返ると、
はっ!浴衣‥‥じゃない。ゆいちゃんはいつも期待を裏切ってくる。
「あれ?なんで浴衣なの?」
「いや、ゆいちゃん着てくると思って」
「言ったっけ?」
言ってはいない、ただゆいちゃんはスマホで浴衣のどちらを前にするかを調べていたのを僕は見てしまったのだ。
「ううん、言ってない」
「だよね?じゃあ早く行こ!」
僕達は花火大会がある会場まで徒歩で向かう事にした。会場の近くの神社では色々な出店があった。
「たこ焼きあるよ!あっ焼きそばもあるよ!どっちにしようかなー!」
ゆいちゃんは子供のように興奮している。
「どっちも買って分けて食べたらいんじゃないかな?」
「それいいね!」
僕達はたこ焼きと焼きそばを買うと、神社の階段で食べる事にした。膝の上に広げ、半分ずつ順番に食べる。
「私先にたこ焼き食べたいな」
「いいよ」
箸を二つもらっておいてよかった。そう思っていた時、
「あっやばっ」
ゆいちゃんが箸を落としたのだ。
「あ、僕のまだ使ってないからこれ使っていいよ!」
「ありがとう」
箸をゆいちゃんに渡し、僕は新しいのをもらう為先程の店に向かったのだか、すごい行列になっていた。このまま並んでたら花火始まっちゃうな、どうしよ。悩んだ挙句、箸は諦めて戻る事にした。
「あれ?箸は?」
「うん、すごい行列でさ、諦めた」
「かずきが嫌じゃなかったらこれ使っていいよ?」
ゆいちゃんは自分が使ったものを僕に渡してきたのだ。ゆいちゃんはそうゆうの気にしないのかな?そう思ったが、小学校の頃から今までのゆいちゃんを見てきて、僕に対して、いや、誰に対してもあまり気にするような子じゃないって事に気付いた。
「ありがとう」
僕は箸を受け取り反対側を使って食べた。
「あぁ、そうすればいいんだ!頭いいね!」
「そうかな?」
本当はそのまま使いたかったけど流石にそんな勇気はなかったのだ。
「もうすぐだね!移動する?」
ゆいちゃんがよく見える所を知っているというのでそこに向かう事にした。
「確か、ここって聞いたんだけど」
そこは神社の裏の山を登った所で、本当にここか?って思う程暗くて前が見えない。僕は少し不安になった為戻ろうと言ったのだが、ゆいちゃんは大丈夫って言って聞かずに先々進んでしまった。
「本当に大丈夫なの?」
「もっと進んだら開けてくるかも」
「足元、気を付けてよ!」
「分かって‥‥」
その瞬間、前を歩いていたゆいちゃんの気配が急に消えた。
「あれ?ゆいちゃん?どこいるの?」
声をかけても返事がない。焦った僕は辺りをくまなく探した。
「わあ!!」
僕は足を滑らせてどこかへ落ちてしまった。
「う、いててて、真っ暗だな」
「‥‥かずき?」
暗闇の中からゆいちゃんの声がした。
「ゆいちゃん?!」
「よかった、誰も来てくれないと思った」
ゆいちゃんも足を滑らせて落ちてしまっていたのだ。
「ゆいちゃん大丈夫?怪我してない?」
「うん、立てないかな」
そう言って少し笑っていたが、本当は泣きそうになっていたのを僕は知っている。
少し時間はかかったが、僕はゆいちゃんをおんぶしてどうにか神社まで戻る事が出来た。
「花火、終わっちゃったね」
ゆいちゃんが申し訳なさそうに言っている。
「また来年見たらいいじゃん」
「ごめんね」
「気にしないでよ、僕は平気だから」
正直僕はそんな事よりもゆいちゃんの足の方が心配だった。
次の日病院に行くと、ゆいちゃんの足は骨折していたようで、しばらく学校も休んだ方がいいと言われたらしい。しかし、どうしても学校には行きたいと言うので僕が手伝う事になった。
0
あなたにおすすめの小説
ため息ひとつ――王宮に散る花びらのように
柴田はつみ
恋愛
「離縁を、お願いしたいのです」
笑顔で、震えずに、エレナはそう言った。
夫は言葉を失った。泣いてくれれば、怒ってくれれば、まだ受け止め方があった。しかしあの静けさは、エレナがもう十分に泣き終わった後の顔だと、ヴィクトルにはわかった。
幼なじみと結ばれた三年間。すれ違いは静かに始まり、深紅のドレスの令嬢によって加速した。ため息を飲み込み、完璧な微笑みを保ち続けた公爵夫人が、最後に選んだのは――。
王宮に散る花びらのような、夫婦の崩壊と再生の物語。
つまらない妃と呼ばれた日
柴田はつみ
恋愛
公爵令嬢リーシャは政略結婚で王妃に迎えられる。だが国王レオニスの隣には、幼馴染のセレスが“当然”のように立っていた。祝宴の夜、リーシャは国王が「つまらない妃だ」と語る声を聞いてしまい、心を閉ざす。
舞踏会で差し出された手を取らず、王弟アドリアンの助けで踊ったことで、噂は一気に燃え上がる――「王妃は王弟と」「国王の本命は幼馴染」と。
さらに宰相は儀礼と世論を操り、王妃を孤立させる策略を進める。監視の影、届かない贈り物、すり替えられた言葉、そして“白薔薇の香”が事件現場に残る冤罪の罠。
リーシャは微笑を鎧に「今日から、王の隣に立たない」と決めるが、距離を取るほど誤解は確定し、王宮は二人を引き裂いていく。
――つまらない妃とは、いったい誰が作ったのか。真実が露わになった時、失われた“隣”は戻るのか。
二年間の花嫁
柴田はつみ
恋愛
名門公爵家との政略結婚――それは、彼にとっても、私にとっても期間限定の約束だった。
公爵アランにはすでに将来を誓い合った女性がいる。私はただ、その日までの“仮の妻”でしかない。
二年後、契約が終われば彼の元を去らなければならないと分かっていた。
それでも構わなかった。
たとえ短い時間でも、ずっと想い続けてきた彼のそばにいられるなら――。
けれど、私の知らないところで、アランは密かに策略を巡らせていた。
この結婚は、ただの義務でも慈悲でもない。
彼にとっても、私を手放すつもりなど初めからなかったのだ。
やがて二人の距離は少しずつ近づき、契約という鎖が、甘く熱い絆へと変わっていく。
期限が迫る中、真実の愛がすべてを覆す。
――これは、嘘から始まった恋が、永遠へと変わる物語。
夫と息子に邪険にされたので王太子妃の座を譲ります~死に戻ってから溺愛されても今更遅い
青の雀
恋愛
夫婦喧嘩の末に置き去りにされた妻は、旦那が若い愛人とイチャついている間に盗賊に襲われ、命を落とした。
神様の温情により、10日間だけこの世に戻った妻と護衛の騎士は、その10日間の間に心残りを処分する。それは、娘の行く末と……もし、来世があるならば、今度は政略といえども夫以外の人の妻になるということ。
もう二度と夫と出会いたくない彼女は、彼女を蔑ろにしてきた息子とも縁を切ることを決意する。
生まれかわった妻は、新しい人生を強く生きることを決意。
過去世と同じ轍を踏みたくない……
初夜に暴言を吐いた夫は後悔し続ける──10年後の償い【完結】
星森 永羽(ほしもりとわ)
恋愛
王命により、辺境伯ロキアのもとへ嫁いだのは、金髪翠眼の美しき公爵令嬢スフィア。
だが、初夜に彼が告げたのは、愛も権限も与えないという冷酷な宣言だった。噂に踊らされ、彼女を「穢れた花嫁」と罵ったロキア。
しかし、わずか一日でスフィアは姿を消し、教会から届いたのは婚姻無効と慰謝料請求の書状──。
王と公爵の怒りを買ったロキアは、爵位も領地も名誉も奪われ、ただの補佐官として生きることに。
そして十年後、運命のいたずらか、彼は被災地で再びスフィアと出会う。
地位も捨て、娘を抱えて生きる彼女の姿に、ロキアの胸に去来するのは、悔恨と赦しを乞う想い──。
⚠️本作はAIの生成した文章を一部に使用しています。
新婚初夜に『白い結婚にしてほしい』と言われたので論理的に詰めたら夫が泣きました
ささい
恋愛
「愛人がいるから、白い結婚にしてほしい」
政略結婚の初夜にそう告げた夫ルーファス。
妻カレンの反応は——
「それ、契約不履行ですよね?」
「あなたの感情論、論理的に破綻してますよ?」
泣き落としは通じない。
そして初夜の翌朝、夫は泣いていた。
逃げ道は全部塞がれ、気づけば毎日論破されていた。
これは、論破され続けた夫がなぜか幸せになる話。
【完結】冷酷伯爵ディートリヒは、去った妻を取り戻せない
くろねこ
恋愛
名門伯爵家に政略結婚で嫁いだ、正妻エレノア・リーヴェルト。夫である伯爵ディートリヒ・フォン・アイゼンヴァルトは、
軍務と義務を最優先し、彼女に関心を向けることはなかった。
言葉も、視線も、愛情も与えられない日々。それでも伯爵夫人として尽くし続けたエレノアは、ある一言をきっかけに、静かに伯爵家を去る決意をする。
――そして初めて、夫は気づく。
自分がどれほど多くのものを、彼女から与えられていたのかを。
一方、エレノアは新たな地でその才覚と人柄を評価され、
「必要とされる存在」として歩き始めていた。
去った妻を想い、今さら後悔する冷酷伯爵。前を向いて生きる正妻令嬢。
これは、失ってから愛に気づいた男と、
二度と戻らないかもしれない夫婦の物語。
――今さら、遅いのです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる