前世の彼女が狼だった件

うさみん

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バトル中

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「うぎゅっ!!」

 全方向から押されて変な声が出る。

 ここは戦場。

 押合いへし合いかろうじて、呼吸が出来る。

 今日に限って、周囲は高く堅牢な壁だ。

 その一つと視線が合った。

 見下ろされる不快感は胃をムカムカさせる。

 つむじ見えているんだろうな~(怒)

 180以上はあるんだろうから、150の自分じゃ埋没ですよね~(怒)

 睨み付けたら視線をそらされた。

 少し自虐的になりながら、目的のアナウンスを待つ。

 そう、ここは······満員電車という戦場だ!



 ドアが開き新たなる増員が成された。

 更に押され身動きが全く出来なくなった。

 もぞっ。

 お尻の辺りで何かが動いた。

 誰だ?

 視線を飛ばしたが、誰も此方に意識を向けた素振りは無い。

 中身は前世と同じで男率が高くて残念ではあるが、外身は女の子だもんね~。

 気持ちはわからないではないけれども、合意じゃないから天誅。

 動いてる物目掛けておもいっきり爪を立てる。

 背後で身をよじる気配があった。

 ざまぁみろ。

 ちょうど降りる駅に着いて、ドアが開いたので急いで下車する。

「バトル終了!」

 ため息をつきながら、会社に向かう。



 
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