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試しの祠の主
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長柄のモップを構えたまま、響は先陣を切り広場を進む。
その後ろをキルシィが続き、二人は広場の中心を横切る様に警戒しつつ移動していく。
すると、ズズズズズズズッ!と何が動く音と共に、広場の出入口に壁が出現する。
「!!閉じ込められたの!?」
慌てるキルシィとは対照的に、響は静かに周囲を確認する。
広場の中央部に、光と共に魔方陣が出現すると、キルシィは足元の魔方陣に目を向けて、表情を固くする。
「試しの祠の名に相応しい、祠の主が現れるだけですよ。」
そんなキルシィを気遣いながら、響は魔方陣の中央に集まる魔力に注意を向ける。
先程の中級魔族とは、比べ物に成らない位に強い力を感じて、キルシィに視線を向ける。
キルシィまでがターゲットされると、戦いにくそうだ。
どうしようかと考えて、キルシィに出会った時の緑の結界を思い出す。
「祠の主とは俺が戦いますから、キルシィさんは『緑の結界』で自分の身を守っていてくれませんか?」
響の有り得ない申し出に、キルシィは慌てて言葉を返す。
「何を言ってるのですか!祠の主なら尚の事、協力しあわなければ切り抜けて行けないじゃないですか!」
響はそんなキルシィに苦笑しつつ、真顔になって話す。
「相手は、先程の中級魔族とは比べ物にならない位の強さだと思います。キルシィさんを守りながら戦うのは、俺にとっては不利になるので、聞き入れてくれませんか?」
響の言い様は、暗に「キルシィが弱く足手まといだ」と言っている様な物だ。
本来の精霊魔法が自在に使える状態ならば、こんな事を響に言わせる気は毛頭無いが、使えない今は足手まといと思われるのは事実なので、キルシィは歯噛みする。
穏やかな性格と思われがちだが、エルフであるキルシィも他のエルフ達と同様にプライドが高い。
その上、割りと個人主義で、徒党を組まず、好んで一人で調査に赴く事も多い。
そんなキルシィは、好戦的では無いにしろ、慎重でありながらも、迅速に事柄に対処出来る様に、常日頃心掛けていた。
そして、必要な戦いであれば、相手が誰であろうと、躊躇無く全力を出す事を厭わない、屈強な冷徹さを持っているタイプでもあった。
現状を分析し、冷静に考えれば、響の提案に乗り、もし劣勢で有るならば、アシストに回るのがベストであろうと思い直す。
そして、響に真剣な顔で向き直ると、力強く答える。
「仕方無いですね。自身の守りについては、ヒビキさんに支障が出ない様に、責任を持って固めます。ですが、『緑の結界』では移動が出来ないですし、何か有った時の対処が遅れてしまいます。だから、『緑の守護盾』を使います。守護の力は同等なレベルで、移動可能ですから!それでかまわないでしょう?」
「それはキルシィさんに任せます。」
取り敢えず、キルシィに対しての心配を減らす事が出来て、響は安堵の息を付く。
二人がやり取りしている間にも、魔方陣の魔力は増していく。
「緑の守護盾!」
キルシィは精霊魔法を展開する。
キルシィと共に合わせて、響にも緑の光が集まって、盾の形を形成する。
「ヒビキさんにも『緑の守護盾』を使わせてもらいました。敵に対して認識阻害効果が有るので、ある程度は攻撃を受けにくくなる筈です。物理・魔法攻撃共にダメージ減少効果も有りますから。但し、火属性が弱点なので、其だけは注意して下さい。」
「ありがとうございます。」
キルシィの気遣いに感謝を伝えつつ、響はキルシィに後方に移動する様に目配せする。
魔方陣の魔力は最高潮に高まり、集束する。
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴッ
大地が揺れる様な音と共に、魔方陣から10メートル位の高さと5メートル位の幅の巨大な石のゴーレムが出現した。
『試しの祠に挑戦する者よ!その純然たる力を我に示すが良い!!』
ゴーレムの出現と共に、二人の頭の中に声が響く。
その強い魔力に、響は鑑定を行った。
名前 : ゴッドアースゴーレム
年齢 : 1000
レベル : 99
性別 : 無し
種族 : 神造ゴーレム
体力 : 50000
魔力 : 50000
物理攻撃力 : 5000
物理防御力 : 5000
魔法攻撃力 : 5000
魔法防御力 : 5000
速さ : 500
精神力 : 500
知力 : 50
運 : 50
スキル : 心話 (レベル1) 目の前の相手の精神に直接話し掛ける事が出来る
自己再生 (レベルMAX) 体が破壊されても自動的に再生する
地属性攻撃 (レベルMAX) 地属性攻撃をする事が出来る
地属性魔法 (レベルMAX) 地属性の魔法を使う事が出来る
状態異常解除 (レベルMAX) 状態異常を解除する事が出来る
スキル封印 (レベルMAX) 強制的に戦闘中の相手のスキルを封印する事が出来る[戦闘終了迄効果持続]
スキル効果解除 (レベルMAX) 強制的に戦闘中の相手のスキル効果を解除する事が出来る[戦闘終了迄効果持続]
ティアの半分の能力値が有る。
数値の限界値を遥かに越えた存在、正しく神の造り出した過剰な試練だろう。
それに、スキルが凶悪だ。
肉体の能力値のみで、対峙出来る相手では最早無い。
響は思わず息を飲む。
これは、通常の挑戦相手を勝たせる気が無いのではないか?としか言い様が無い。
スキルに頼らず、自身の能力と武器や防具の力のみで戦わなければならない。
普通に考えれば、まともに相手が出来る存在では無い。
軍隊並みの人数で戦って、初めて形だけなら戦いと言えるレベルでは無いだろうか?
その後ろをキルシィが続き、二人は広場の中心を横切る様に警戒しつつ移動していく。
すると、ズズズズズズズッ!と何が動く音と共に、広場の出入口に壁が出現する。
「!!閉じ込められたの!?」
慌てるキルシィとは対照的に、響は静かに周囲を確認する。
広場の中央部に、光と共に魔方陣が出現すると、キルシィは足元の魔方陣に目を向けて、表情を固くする。
「試しの祠の名に相応しい、祠の主が現れるだけですよ。」
そんなキルシィを気遣いながら、響は魔方陣の中央に集まる魔力に注意を向ける。
先程の中級魔族とは、比べ物に成らない位に強い力を感じて、キルシィに視線を向ける。
キルシィまでがターゲットされると、戦いにくそうだ。
どうしようかと考えて、キルシィに出会った時の緑の結界を思い出す。
「祠の主とは俺が戦いますから、キルシィさんは『緑の結界』で自分の身を守っていてくれませんか?」
響の有り得ない申し出に、キルシィは慌てて言葉を返す。
「何を言ってるのですか!祠の主なら尚の事、協力しあわなければ切り抜けて行けないじゃないですか!」
響はそんなキルシィに苦笑しつつ、真顔になって話す。
「相手は、先程の中級魔族とは比べ物にならない位の強さだと思います。キルシィさんを守りながら戦うのは、俺にとっては不利になるので、聞き入れてくれませんか?」
響の言い様は、暗に「キルシィが弱く足手まといだ」と言っている様な物だ。
本来の精霊魔法が自在に使える状態ならば、こんな事を響に言わせる気は毛頭無いが、使えない今は足手まといと思われるのは事実なので、キルシィは歯噛みする。
穏やかな性格と思われがちだが、エルフであるキルシィも他のエルフ達と同様にプライドが高い。
その上、割りと個人主義で、徒党を組まず、好んで一人で調査に赴く事も多い。
そんなキルシィは、好戦的では無いにしろ、慎重でありながらも、迅速に事柄に対処出来る様に、常日頃心掛けていた。
そして、必要な戦いであれば、相手が誰であろうと、躊躇無く全力を出す事を厭わない、屈強な冷徹さを持っているタイプでもあった。
現状を分析し、冷静に考えれば、響の提案に乗り、もし劣勢で有るならば、アシストに回るのがベストであろうと思い直す。
そして、響に真剣な顔で向き直ると、力強く答える。
「仕方無いですね。自身の守りについては、ヒビキさんに支障が出ない様に、責任を持って固めます。ですが、『緑の結界』では移動が出来ないですし、何か有った時の対処が遅れてしまいます。だから、『緑の守護盾』を使います。守護の力は同等なレベルで、移動可能ですから!それでかまわないでしょう?」
「それはキルシィさんに任せます。」
取り敢えず、キルシィに対しての心配を減らす事が出来て、響は安堵の息を付く。
二人がやり取りしている間にも、魔方陣の魔力は増していく。
「緑の守護盾!」
キルシィは精霊魔法を展開する。
キルシィと共に合わせて、響にも緑の光が集まって、盾の形を形成する。
「ヒビキさんにも『緑の守護盾』を使わせてもらいました。敵に対して認識阻害効果が有るので、ある程度は攻撃を受けにくくなる筈です。物理・魔法攻撃共にダメージ減少効果も有りますから。但し、火属性が弱点なので、其だけは注意して下さい。」
「ありがとうございます。」
キルシィの気遣いに感謝を伝えつつ、響はキルシィに後方に移動する様に目配せする。
魔方陣の魔力は最高潮に高まり、集束する。
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴッ
大地が揺れる様な音と共に、魔方陣から10メートル位の高さと5メートル位の幅の巨大な石のゴーレムが出現した。
『試しの祠に挑戦する者よ!その純然たる力を我に示すが良い!!』
ゴーレムの出現と共に、二人の頭の中に声が響く。
その強い魔力に、響は鑑定を行った。
名前 : ゴッドアースゴーレム
年齢 : 1000
レベル : 99
性別 : 無し
種族 : 神造ゴーレム
体力 : 50000
魔力 : 50000
物理攻撃力 : 5000
物理防御力 : 5000
魔法攻撃力 : 5000
魔法防御力 : 5000
速さ : 500
精神力 : 500
知力 : 50
運 : 50
スキル : 心話 (レベル1) 目の前の相手の精神に直接話し掛ける事が出来る
自己再生 (レベルMAX) 体が破壊されても自動的に再生する
地属性攻撃 (レベルMAX) 地属性攻撃をする事が出来る
地属性魔法 (レベルMAX) 地属性の魔法を使う事が出来る
状態異常解除 (レベルMAX) 状態異常を解除する事が出来る
スキル封印 (レベルMAX) 強制的に戦闘中の相手のスキルを封印する事が出来る[戦闘終了迄効果持続]
スキル効果解除 (レベルMAX) 強制的に戦闘中の相手のスキル効果を解除する事が出来る[戦闘終了迄効果持続]
ティアの半分の能力値が有る。
数値の限界値を遥かに越えた存在、正しく神の造り出した過剰な試練だろう。
それに、スキルが凶悪だ。
肉体の能力値のみで、対峙出来る相手では最早無い。
響は思わず息を飲む。
これは、通常の挑戦相手を勝たせる気が無いのではないか?としか言い様が無い。
スキルに頼らず、自身の能力と武器や防具の力のみで戦わなければならない。
普通に考えれば、まともに相手が出来る存在では無い。
軍隊並みの人数で戦って、初めて形だけなら戦いと言えるレベルでは無いだろうか?
応援ありがとうございます!
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※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。
あと、最初にAランクの魔物を倒しているのに、レベルアップしないのでしょうか?
主人公が規格外なので、あの一体では経験値が足りずレベルが上がりませんでした。
モンスターの経験値表示は書き込んでいませんが、倒したモンスター全ての経験値計算をしながらレベルを上げています。
一話がもう少し長くならないですかねぇ?
二話~三話で一話分ぐらいの長さがないと、細切れ過ぎるような感じです。
貴重なご意見ありがとうございます。
1話辺りの長さを延ばせる様に頑張ってみます(; ̄ー ̄A
作業時間が捻出しづらいのが現行の悩みですが、よろしければ楽しんで頂ければと思います。
人間への掃除と魔族への掃除は違う?
ご質問ありがとうございます(*´ω`*)
清掃用スプレーの魔法は基本的にどの様な物でも掃除出来ちゃうので、思想や存在も関係ないのですが、主人公がその辺りは使い分けをしてます。
ちなみに武器での攻撃は物理攻撃です。
魔物や魔族はやっつけてしまってますね(; ̄ー ̄A
これからもよろしくお願いします(*´ω`*)