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属性攻撃を試してみる2

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 裏通りに入って1ヤー(1分)もせずに、柄の悪い連中が響の前に立ち塞がる。

 響は無言でミニタイプのモップを仕舞いこむ。


「兄ちゃんよ~!こんな所に独りでお散歩か?悪いんだが、貧しい俺達に施しをお願い出来ね~か?」 


 下品な笑いを浮かべながら、強面の男が進み出た。


「残念ながら、此処には掃除に来ただけなので、施しは出来ません。」


 丁寧に返しながら、5人の男達と対峙する。


「何を!!その生意気な口を利けなくしてやる!!」


 男が拳を振りかぶったその瞬間、響の姿が消えた。


「うぎゃ!?」


 男達が『消えた』と認識した瞬間、強面の男が声を上げて倒れた。

 響は軽いステップで男達の背後に回り込み、当て身を食らわせていく。


「ぎゃ!」


「うぐっ!!」


「ぐえっ!!」


「ひっ!?」


 5秒もしないうちに、男達は地面に這いつくばってしまう。


「うん·······いけそうだ。」


 響は自分の手刀を眺めながら頷く。


「よし、後は実験だ。」
 

 響は道具袋から、光の文字の入ったスプレーを取り出す。


「何でも片付けられる職業の可能性を模索してみるとしようか。」


 スプレーを男達に向けて吹き掛ける。

 男達の体が発光して、魔法の効果が発動した事が判った。

 響は[鑑定]を使い、満足の行く結果を得られた事を知り、笑みを深める。


「悪意すら片付けられるとは、恐ろしく万能だな。」


 ある意味精神操作と言えるだろう。

 男達は[悪人]から[良心的な町人]へと称号が変わっていた。



 



 


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