2 / 111
2, 異世界トリップ(改)
しおりを挟む
どの位の時間が過ぎたのだろうか?
俺は、真っ白で何も無い空間で、意識を取り戻した。
此処は何処なのだろう?
所謂あの世という場所だろうか?
俺、もしかして死んでしまったのかな?
最後の記憶は、勢い良く撥ね飛ばされて、嫌な音と共に直ぐにブラックアウトした所までしか無いので、その後どうなったのか確認の仕様が無い。
最後の耳障りな音が思考に過る。
「そうです。東田 創太(あずまだ そうた)享年16歳。幼少の頃より、空想が趣味で、生涯夢想する事を生業にしていた貴方の肉体は滅びました。」
突然、ニュースを読む女子アナウンサーの様に淡々とした口調でいながらも、綺麗な女性の声が何処からともなく響く。
誰か居るのかと周囲を見回しても、誰が居る様子は感じ取れない。
それなのに、綺麗な声とは裏腹に語られた内容は酷いものだった。
誰だか知らないが、くそー!
痛いこと言うなよ!
そうだよ!
俺は夢見がちな中二病だよ!
自覚はしてる···!
でも、言葉に出して言われると地味にキツイんだよ!
生業ってナンだよ!
職業じゃあるまいし!
憤って、キレ気味に叫んだつもりだったが、声にはならなかった。
というより、話せないという方が正しいのか?
考える事は出来るが、声が出せない。
つまり、声を出す為の肉体が無い。
肉体が滅びたって事は、今の俺は幽霊なのか?
改めて考えると虚脱感に苛まれる。
そうか、俺···死んだのか···。
走馬灯を体験する暇すら無かった。
父さん、母さん、親不孝者でごめん。
兄ちゃん、姉ちゃん、将来の約束を反故にしてしまってごめん。
きっと悲しんでるだろうな···。
俺の思考は慌ただしく巡る。
死んだという現実を突き付けられたという事は、ここは矢張りあの世かな?
天界の狭間とか、冥界のゲートとかだったら、カッコイイけどなぁ。
つい、現実逃避の為に空想しながら、思わず苦笑する。
俺、死んでも矢張り変わらないや···。
「そう、死んでも変わらない貴方は、貴重な存在なのです。」
相変わらず、淡々とした抑揚の無い女子アナウンサーの声がする。
誰だか知らないけど、空気読めない人ダナー。
俺のナチュラルな突っ込みも健在だ。
「はい。人ではなく神と呼ばれる存在ですから、あえて空気は読みませんよ?」
はい、痛いコメント頂きました!
はぁ···。
俺の造り出した妄想かぁ。
『中二病ここに極めり!』って所か。
あー!
ツッコミ不在で痛い!
痛すぎる!
「残念ですが、実在していますよ。全能神ではありませんが···。」
相変わらず感情のこもらない抑揚の無い声だが、マジで?
声だけだから、何時もの幻想だと思った···。
俺って想像力、神ってるレベルで豊だからさ!
「神は思念体ですから、姿を投影するのも力が必要なのです。」
声の抑揚の無さとは裏腹に、与えてくる印象がやけにベビーな感じだ。
神なのに力が無いって言いたいのか?
神が力が無いだなんて、そんな事ありえるの?
そんなの、存在意義が無いも同然じゃないか?
「そうです。神は何から力を得ているか分かりますか?」
俺の心の声は何の支障も無く、相手に余すこと無く伝わっている様だ。
世界からだろ?
存在する力が、神そのものなんだっけ?
俺は聞きかじりの知識を捻り出す。
「力のある神はそうですね。」
地の神とか、水の神とかはメジャーそうだもんな。
何と無く力強く神々しい姿をイメージする。
色んな神話の中に出てくる神々も、有名処は半端無く規格外だしね。
八百万の神っていうくらいだから、マイナーな弱い神も居るって事か。
神の世界にも力の格差社会があるのかな···。
世知辛い···。
弱いって事は、もしかして存在自体が希薄な神だから力が無いって事?
「はい。そういった弱い神が、力を得る方法が解りますか?」
はい?!
問答来たよ!?
力を手っ取り早く得る方法?
えー?
例えば、吸命?
憑依?
生け贄?
「それで力を得るのは邪神ですよ。」
邪神とかも矢張り居るんだね···。
じゃあ、御供え!
聖水!
縁起物!
「当たらずとも、遠からずですね。」
じゃあ···。
そうだなー。
あっ!
判った!
信仰心でしょ!?
「正解です。正確には、存在を認知される事で存在する事が出来て、尚且つ信じ尊ばれる事で神格が確立され、更に必要とされる事で神力が得られて、最終的に神を体現する力となるのですが···。」
やった!
正解者に褒賞は?
「ありません。残念ですが···。力の無い弱い神なので。」
ナンだ。
ぬか喜びか···。
「話しが逸れた様ですので、もう一度言います。あなたは貴重な存在なのです。」
自称神様の声に、力が入った様に感じた。
俺が?
貴重?
どういう理由で?
どこにも居る冴えない高校生だよ?
「はい。どこにも居る冴えない高校生ですね。」
そこは嘘でも否定して欲しかった···。
「神は、虚構は言いません。」
いたいけない子供相手に、本当に容赦ないな···おい!
だったら、何が貴重なの?
納得の行く回答を求む!
「純真に、幻想を信じる心です。まるで幼子の様に、幻想を現実に投影している。」
納得出来るか!?
そんな回答!!
他人の口から聞くとキツイわ~!
恥ずか死ぬ!
「もう死んでいますから。」
本当に、空気読まない神様だよ!
何様なんだ!?
神様だよ!!
一人ボケ、一人ツッコミ···。
虚しくなった···。
それで!?
俺に何かしてもらいたい訳なの?
やけっぱちに、心の中で叫ぶ。
「察しが良いですね。とある世界に行って欲しいのです。」
ヤッパリね!
何だか地味に小馬鹿にされてる感が、半端無いけど···。
これだけフラグ構築されたら、普通に解るよ。
とある世界って、どんな所?
「所謂、剣と魔法の世界です。」
鉄板だね!
ラノベやゲームでは、良く在る設定だ。
「しかし、問題があるのです。」
問題?
何と無く、嫌な予感のフラグが立った様な気がする···。
「実は、その世界は神という概念が無いのです。神の御業である奇跡すら認知されていない世界なのです。」
概念が無いって···。
そうか!
居ても存在を知られて無いって事は、信仰されてないって事で···。
「神の力を行使する事が出来ないのです。」
その世界の事情は解ったけど···。
その世界にも、世界を創り出して礎となった神様は居るんだろ?
もしくは、その世界を管理する神様とか···。
神様なら何とか出来るんじゃないの?
「過去には、その世界を創り出した神も管理していた神も、確かに存在していたらしいのですが···。」
らしい···って事は、今は居ないって事?
「そうですね。」
もしかして俺に、その世界に行って欲しい理由に、何の関係が有るのか?
「貴方の幻想を現実に投影出来る力があれば、貴方を中継点にして、弱い神でも力を行使する事が出来るかもしれないのです。」
行使出来るでなくて、出来るかもしれない···なのか···。
ギャンブル要素強めのリスキーな事例って訳?
「はい。何分、神の力の及ばない世界ですので、神の思惑通りとは行かず。その世界への外部からの神の干渉が全て弾かれてしまっていて、神自身が降臨する事も出来ず、神の眷族も受け入れられないばかりか、異世界から使いを流入させる事も出来ないまま、永らく放置されてきた上に、不祥事として問題に上がったものの、誰にもどうする事も出来ずに上位神から下位神へとたらい回しにされてきた曰く付きの困難案件でして···。」
うわぁ···。
諸に、デリケートな内情ぶっちゃけちゃったよ···。
良いのかよ···神様がそんな事で···。
守秘義務とか無いのかよ···。
「今更···ですよ···。」
そんな、上位神でも投げ出すような困難案件···。
そのまま放置する、という訳には行かない理由でもあるの?
「このままだともうじき、この世界は終末を迎えてしまうのです。」
終末···。
来ました···中二的フラグワード!
もしかして、消えちゃうって事?
「はい。造り出された時に込められた、神の力が枯渇するのです。本来なら、神が定期的に介入する事で補われるものなのですが、何らかの不確定要素により世界から神の概念が消失した為にそれが出来なかったのです。」
消えちゃうと不味い訳?
神様が八百万存在するなら、世界はそれこそ星の数なんて目じゃない程、存在する筈だろ?
そんな中のたった一つの世界が消失してしまう位の些細な事に、神様は頓着しないようなイメージが···。
「本来ならそうですが、上位神から降りてきた案件だとそういう訳にはいかないのです。私の管理不行き届きという扱いになり、私の神格が下がります。これ以上、神格が下がってしまうと、私が存在出来なくなってしまうのです。押し付けられ案件で存在が消されてしまうのは、流石に受け入れられません。あの世界は本来なら神の外部干渉は弾かれてしまうのですが、幸いにも力が弱いゆえに神との認識がされずに、針穴程度の隙間を開ける事が私にも出来ましたから、あの世界からしたら取るに足りない存在の貴方を、送り込む事が出来るのです。」
痛いほど自虐的だし、シビアだね···。
でも、そこまで崖っぷちなら尚更、俺に何かメリットあるの?
骨折り損のくたびれ儲けは、ぶっちゃけツライし···。
「成功した暁には、次に転生する時に特典を付けさせて頂きます。」
先長!!Σ( ̄□ ̄;)
詐欺の常套句の荒唐無稽なのでは····?
無茶苦茶、嫌な予感···。
「此方も後が在りませんので、申し訳ないですが拒否権は有りません。藁にも縋りたい此方の心境を慮って頂ければうれしいのですが···。力が無いのでチートも能力附与も無理ですが、ささやかながら持てる力で祝福をさせて下さい。何かの役にたてるとよいのですが。」
俺は藁なのか····。
割りと絶望的な未来予想図が見えて来そうで、ぞっとする。
祝福って、何か御利益でもあるの?
希望的観測を込めて問う。
「ほんの気休めです。」
なんじゃそりゃー!?
ジョークでも何でも無く、マジで言ってるよ!?
この神!!
「それでは、幸運をお祈りいたします!行ってらっしゃい!此方からは一切、手助けは出来ませんので、自力で生き延びて下さいね!!私たちは所謂、運命共同体の様なものなのですから、くれぐれも消されない様に用心して下さい!!」
それって、無茶振りだろ!?
藁に、運命共同体と無責任にほざく愚か者はお前だ~!!!
俺の罵倒と共に、俺の意識は又してもブラックアウトして行ったのだった。
俺は、真っ白で何も無い空間で、意識を取り戻した。
此処は何処なのだろう?
所謂あの世という場所だろうか?
俺、もしかして死んでしまったのかな?
最後の記憶は、勢い良く撥ね飛ばされて、嫌な音と共に直ぐにブラックアウトした所までしか無いので、その後どうなったのか確認の仕様が無い。
最後の耳障りな音が思考に過る。
「そうです。東田 創太(あずまだ そうた)享年16歳。幼少の頃より、空想が趣味で、生涯夢想する事を生業にしていた貴方の肉体は滅びました。」
突然、ニュースを読む女子アナウンサーの様に淡々とした口調でいながらも、綺麗な女性の声が何処からともなく響く。
誰か居るのかと周囲を見回しても、誰が居る様子は感じ取れない。
それなのに、綺麗な声とは裏腹に語られた内容は酷いものだった。
誰だか知らないが、くそー!
痛いこと言うなよ!
そうだよ!
俺は夢見がちな中二病だよ!
自覚はしてる···!
でも、言葉に出して言われると地味にキツイんだよ!
生業ってナンだよ!
職業じゃあるまいし!
憤って、キレ気味に叫んだつもりだったが、声にはならなかった。
というより、話せないという方が正しいのか?
考える事は出来るが、声が出せない。
つまり、声を出す為の肉体が無い。
肉体が滅びたって事は、今の俺は幽霊なのか?
改めて考えると虚脱感に苛まれる。
そうか、俺···死んだのか···。
走馬灯を体験する暇すら無かった。
父さん、母さん、親不孝者でごめん。
兄ちゃん、姉ちゃん、将来の約束を反故にしてしまってごめん。
きっと悲しんでるだろうな···。
俺の思考は慌ただしく巡る。
死んだという現実を突き付けられたという事は、ここは矢張りあの世かな?
天界の狭間とか、冥界のゲートとかだったら、カッコイイけどなぁ。
つい、現実逃避の為に空想しながら、思わず苦笑する。
俺、死んでも矢張り変わらないや···。
「そう、死んでも変わらない貴方は、貴重な存在なのです。」
相変わらず、淡々とした抑揚の無い女子アナウンサーの声がする。
誰だか知らないけど、空気読めない人ダナー。
俺のナチュラルな突っ込みも健在だ。
「はい。人ではなく神と呼ばれる存在ですから、あえて空気は読みませんよ?」
はい、痛いコメント頂きました!
はぁ···。
俺の造り出した妄想かぁ。
『中二病ここに極めり!』って所か。
あー!
ツッコミ不在で痛い!
痛すぎる!
「残念ですが、実在していますよ。全能神ではありませんが···。」
相変わらず感情のこもらない抑揚の無い声だが、マジで?
声だけだから、何時もの幻想だと思った···。
俺って想像力、神ってるレベルで豊だからさ!
「神は思念体ですから、姿を投影するのも力が必要なのです。」
声の抑揚の無さとは裏腹に、与えてくる印象がやけにベビーな感じだ。
神なのに力が無いって言いたいのか?
神が力が無いだなんて、そんな事ありえるの?
そんなの、存在意義が無いも同然じゃないか?
「そうです。神は何から力を得ているか分かりますか?」
俺の心の声は何の支障も無く、相手に余すこと無く伝わっている様だ。
世界からだろ?
存在する力が、神そのものなんだっけ?
俺は聞きかじりの知識を捻り出す。
「力のある神はそうですね。」
地の神とか、水の神とかはメジャーそうだもんな。
何と無く力強く神々しい姿をイメージする。
色んな神話の中に出てくる神々も、有名処は半端無く規格外だしね。
八百万の神っていうくらいだから、マイナーな弱い神も居るって事か。
神の世界にも力の格差社会があるのかな···。
世知辛い···。
弱いって事は、もしかして存在自体が希薄な神だから力が無いって事?
「はい。そういった弱い神が、力を得る方法が解りますか?」
はい?!
問答来たよ!?
力を手っ取り早く得る方法?
えー?
例えば、吸命?
憑依?
生け贄?
「それで力を得るのは邪神ですよ。」
邪神とかも矢張り居るんだね···。
じゃあ、御供え!
聖水!
縁起物!
「当たらずとも、遠からずですね。」
じゃあ···。
そうだなー。
あっ!
判った!
信仰心でしょ!?
「正解です。正確には、存在を認知される事で存在する事が出来て、尚且つ信じ尊ばれる事で神格が確立され、更に必要とされる事で神力が得られて、最終的に神を体現する力となるのですが···。」
やった!
正解者に褒賞は?
「ありません。残念ですが···。力の無い弱い神なので。」
ナンだ。
ぬか喜びか···。
「話しが逸れた様ですので、もう一度言います。あなたは貴重な存在なのです。」
自称神様の声に、力が入った様に感じた。
俺が?
貴重?
どういう理由で?
どこにも居る冴えない高校生だよ?
「はい。どこにも居る冴えない高校生ですね。」
そこは嘘でも否定して欲しかった···。
「神は、虚構は言いません。」
いたいけない子供相手に、本当に容赦ないな···おい!
だったら、何が貴重なの?
納得の行く回答を求む!
「純真に、幻想を信じる心です。まるで幼子の様に、幻想を現実に投影している。」
納得出来るか!?
そんな回答!!
他人の口から聞くとキツイわ~!
恥ずか死ぬ!
「もう死んでいますから。」
本当に、空気読まない神様だよ!
何様なんだ!?
神様だよ!!
一人ボケ、一人ツッコミ···。
虚しくなった···。
それで!?
俺に何かしてもらいたい訳なの?
やけっぱちに、心の中で叫ぶ。
「察しが良いですね。とある世界に行って欲しいのです。」
ヤッパリね!
何だか地味に小馬鹿にされてる感が、半端無いけど···。
これだけフラグ構築されたら、普通に解るよ。
とある世界って、どんな所?
「所謂、剣と魔法の世界です。」
鉄板だね!
ラノベやゲームでは、良く在る設定だ。
「しかし、問題があるのです。」
問題?
何と無く、嫌な予感のフラグが立った様な気がする···。
「実は、その世界は神という概念が無いのです。神の御業である奇跡すら認知されていない世界なのです。」
概念が無いって···。
そうか!
居ても存在を知られて無いって事は、信仰されてないって事で···。
「神の力を行使する事が出来ないのです。」
その世界の事情は解ったけど···。
その世界にも、世界を創り出して礎となった神様は居るんだろ?
もしくは、その世界を管理する神様とか···。
神様なら何とか出来るんじゃないの?
「過去には、その世界を創り出した神も管理していた神も、確かに存在していたらしいのですが···。」
らしい···って事は、今は居ないって事?
「そうですね。」
もしかして俺に、その世界に行って欲しい理由に、何の関係が有るのか?
「貴方の幻想を現実に投影出来る力があれば、貴方を中継点にして、弱い神でも力を行使する事が出来るかもしれないのです。」
行使出来るでなくて、出来るかもしれない···なのか···。
ギャンブル要素強めのリスキーな事例って訳?
「はい。何分、神の力の及ばない世界ですので、神の思惑通りとは行かず。その世界への外部からの神の干渉が全て弾かれてしまっていて、神自身が降臨する事も出来ず、神の眷族も受け入れられないばかりか、異世界から使いを流入させる事も出来ないまま、永らく放置されてきた上に、不祥事として問題に上がったものの、誰にもどうする事も出来ずに上位神から下位神へとたらい回しにされてきた曰く付きの困難案件でして···。」
うわぁ···。
諸に、デリケートな内情ぶっちゃけちゃったよ···。
良いのかよ···神様がそんな事で···。
守秘義務とか無いのかよ···。
「今更···ですよ···。」
そんな、上位神でも投げ出すような困難案件···。
そのまま放置する、という訳には行かない理由でもあるの?
「このままだともうじき、この世界は終末を迎えてしまうのです。」
終末···。
来ました···中二的フラグワード!
もしかして、消えちゃうって事?
「はい。造り出された時に込められた、神の力が枯渇するのです。本来なら、神が定期的に介入する事で補われるものなのですが、何らかの不確定要素により世界から神の概念が消失した為にそれが出来なかったのです。」
消えちゃうと不味い訳?
神様が八百万存在するなら、世界はそれこそ星の数なんて目じゃない程、存在する筈だろ?
そんな中のたった一つの世界が消失してしまう位の些細な事に、神様は頓着しないようなイメージが···。
「本来ならそうですが、上位神から降りてきた案件だとそういう訳にはいかないのです。私の管理不行き届きという扱いになり、私の神格が下がります。これ以上、神格が下がってしまうと、私が存在出来なくなってしまうのです。押し付けられ案件で存在が消されてしまうのは、流石に受け入れられません。あの世界は本来なら神の外部干渉は弾かれてしまうのですが、幸いにも力が弱いゆえに神との認識がされずに、針穴程度の隙間を開ける事が私にも出来ましたから、あの世界からしたら取るに足りない存在の貴方を、送り込む事が出来るのです。」
痛いほど自虐的だし、シビアだね···。
でも、そこまで崖っぷちなら尚更、俺に何かメリットあるの?
骨折り損のくたびれ儲けは、ぶっちゃけツライし···。
「成功した暁には、次に転生する時に特典を付けさせて頂きます。」
先長!!Σ( ̄□ ̄;)
詐欺の常套句の荒唐無稽なのでは····?
無茶苦茶、嫌な予感···。
「此方も後が在りませんので、申し訳ないですが拒否権は有りません。藁にも縋りたい此方の心境を慮って頂ければうれしいのですが···。力が無いのでチートも能力附与も無理ですが、ささやかながら持てる力で祝福をさせて下さい。何かの役にたてるとよいのですが。」
俺は藁なのか····。
割りと絶望的な未来予想図が見えて来そうで、ぞっとする。
祝福って、何か御利益でもあるの?
希望的観測を込めて問う。
「ほんの気休めです。」
なんじゃそりゃー!?
ジョークでも何でも無く、マジで言ってるよ!?
この神!!
「それでは、幸運をお祈りいたします!行ってらっしゃい!此方からは一切、手助けは出来ませんので、自力で生き延びて下さいね!!私たちは所謂、運命共同体の様なものなのですから、くれぐれも消されない様に用心して下さい!!」
それって、無茶振りだろ!?
藁に、運命共同体と無責任にほざく愚か者はお前だ~!!!
俺の罵倒と共に、俺の意識は又してもブラックアウトして行ったのだった。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
33
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる