中二な僕がささやかな祝福で生き延びる方法

66,期待外れ？

　普通は町の子供ですら６～７才にも成れば、ナイフの扱いは心得たものである。

　羽根をむしった後、おっかなびっくりナイフを扱う様子に、余計にでも世間知らずの裕福な育ちを連想させて、男は笑みを深める。

「ナイフの扱いが不慣れなようだが、父親から手解きは受けなかったのかい？」

　それとなく情報を探るための会話が織り混ぜられていく。

「ナイフの扱いは独学なので、解体はまだしたことがないんです。」

　しかし意識せずとも、会話は意図からずれた物となる。

「随分、過保護に育てられたんだな。俺なんかは物心つく頃には狩りにも同行して一通りこなしたものだよ。」

「過保護というより、放任主義でしたね···。物心つく前から自己責任で自分のしたい事は自分で選ぶように言われてきましたから。」

　何処かの懐かしむ様なソウタの様子に、男は微かな違和感を感じる。

　解体を何とか終えて、ソウタはほっとする。

　工程は理解したので、次はそつなく行えそうだ。

「解体の練習をさせて頂き、ありがとうございました。」

　礼を告げると、男から離れて視線を外した隙に姿を消す。