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78,活用法

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 中継地を出てある程度離れたのを見計らい、走る馬車の中から奇跡を発動させる。

 時限式の仕掛けが発動しているのを感じながら、自動的に仕掛けが発動する仕組みが出来ないか考える。

 そうすれば俺が結界を操作出来る範囲内に居なくても発動可能になるから、自由自在に奇跡のタイミングを設定出来る。

 実験的に時間指定を意識した結界を幾つか作ってみる。

 設定を5分後づつ増やしてみたら、誤差は有るもののある程度時間が過ぎたら解除された。

 作り貯める時に注意が必要だが、出来るのなら是非とも活用しようと決める。

 連動して結界が解除出来る仕組みは既に活用していたので、これに自動時限式が加われば恐ろしく便利だ。

 もうそろそろ最後の中継地に到着するだろう。

 明日の日暮れに合わせて発動する様に設定しよう。

 なるべく家族が揃う時間帯を狙う方が、効果的に広める事が出来る。

 1時間程で最後の中継地の村に着いた。

 ここで1泊して、明日の昼頃に目的地の町に着く。

 馬車を降りてから、一息付く間も惜しんで村の中を歩く。

 宿のある村は中規模から大規模な所が多い。

 交易も盛んで街道沿いであるし、人が集まりやすい。

 仕掛けを余すことなく設置し終えると、宿に向かう。

 宿の食堂で食事をしていたテリーに声を掛けられる。

「ソウタ!こっちに来いよ!」

 テリーの表情は明るく、前向きな気持ちに溢れているのが見てとれる。

 席に着いた俺にテリーは小声で耳打ちする。

「お前のくれた石、宝石類も扱う行商人に見てもらったら、最低額でも妹を取り戻せる額に届く値が付くらしい。」

 テリーの目に涙が滲んでいたが、気付かない振りをする。

「よかった。幸せを掴んでください。」

 微笑みを返すと手を強く握られた。

「俺にとってはお前が奇跡を起こす神様だ!本当にありがとう!」

 握られた力の強さから、テリーの感謝の強さが分かる。

 体が暖かくなり、想いの強さも感じる事が出来た。

 人々の想いが俺に少しづつ力を与えてくれている。

 作り貯めを行っているお陰で魔力の消費も穏やかで、強化と並行して行えていることで確実に精神力・魔力ともに底上げ出来ているようだ。

 テリーと夕食を共にした後は宿の部屋で、次の準備を行う。

 明日の朝に響かない時間まで、それを続けて就寝した。

 
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