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1章 結成
18.タスクの発明品
しおりを挟むいざ歩き出すというとき、タスクは思い出したというようにたてのりの後ろに乗り上がるトウカに小さな玉をふたつ渡した。
「これは?」
トウカの白銀の手に黒ずんだ玉はやけにはっきりと見える。
タスクは自信満々に笑うと腰の巾着から同じものを取り出し、地面に叩きつけた。
「うわっ!」
途端に大量の煙が噴き出し、続いて細い光が勢いよく空へ飛び上がる。
光は重く弛れる空に一瞬赤と青の花を描いた。
その儚い花を追うように耳朶を震わせる大きな音が響き渡る。
「俺らが離れるときに使ってる連絡手段や。渡し忘れるところやった!今回やったら青をモンスター発見、赤を緊急事態発生で使おか」
「これ、タスクが作ったの?すごいね」
トウカは素直な賛辞を口にして玉を大切に持つとたてのりのマフラーを掴んだ。
たてのりはそれを合図にエレジーの横腹を蹴って駆け出す。
見る間にふたりの姿は東の闇へと溶けて消えた。
「じゃあ俺らも行こうか」
「今夜中に見つかるかなぁ」
弱気な莉音の背をタスクが叩きガウを走らせる。
一瞬の間を置いてすぐに己の足で駆けてきたアルアスルが隣にぴったりとついた。
タスクは美しい装飾の施された板のようなものに乗って激しい音を立てながら少し後ろをついてきている。
「わからんけどなぁ、お得意の神さんに頼んどいてぇや」
一糸も乱さない呼吸でアルアスルがそんなことを言ったばかりに、アルアスルとタスクはしばらく大音量のソプラノに付き合わされることとなってしまった。
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