皇后マルティナの復讐が幕を開ける時[完]

風龍佳乃

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突然のファンファーレに驚いたのは
ジュークスとナミリュだ
2人の後ろにかかっていた幕が下りると
1段高い位置に椅子が用意されている

アナウンスが流れた

「皇帝陛下、皇后陛下のご到着です」

貴族達が一斉に頭を下げる

ジュークスとナミリュは呆然としている

テリウスとマルティナが腕を組んで
入場した

そして2人の隣には宰相と秘書官
護衛騎士達が囲んでいた

そう、これが正式な王族の入場なのだ

テリウスが声をかける

「皆の者 面を上げよ」

貴族達が一斉に壇上を見上げた

テリウスは続けた

「今日は皇帝として皆の顔を見れた事
嬉しく思う
新たな中央帝国の歴史を共に築いて
行こう」

会場からは拍手が起こった

宰相が会場を静し

「本日、この場にて新たな皇帝陛下
そして皇后陛下が即位した事を
正式に発表致します」

そして宰相が王冠をテリウスに捧げ
秘書官が皇帝の剣をテリウスに渡した

会場からは再び拍手が響いた

マルティナが会場を見ると
ローガンが口をあんぐりと開き
瞬きを繰り返していた

「ま、待て貴様ら!! どういう事だ!
これは反逆だぞー!
騎士共、、何をしているのだ!
捕まえろ!」

ジュークスが勢いよく階段を上がって
来ようとした時、
騎士達が盾となりテリウスとマルティナを守った

「コノヤロー!」

ジュークスが騎士を殴ろうとしたが

「ジュークス殿下落ち着いて下さい」

マルティナの声が聞こえた

「殿下…だと?俺は皇帝だ…」

宰相は続けた

「皆様もご存知の通り政権に疑問を掲げ政権交代を望む声があり
過半数を超える署名が集まった事で
前皇帝である
ジュークス殿下の退位が決定しました
争い無く遂行出来た事を感謝致します
そしてこの中央帝国は本日より
テリウス皇帝陛下が治めてまいります」

何だ?何があった…?

崩れたジュークスにナミリュが
寄り添う

「ちょっと待ってよ!」

ナミリュが声を上げたが
マルティナが言葉を遮った

「ナミリュ・ローガン伯爵令嬢
無礼は許しませんよ」

「は?伯爵令嬢って、何よそれ!」

「では伺います
ジュークス殿下とはいつ婚姻を?」

「え?」

「ですから、いつ貴女が妃になったのか
教えて頂けるかしら?」

「そんなのは私が来た時に決まってるわねぇジュークス、何か言ってよ」

ジュークスは声を絞り出した

「お前がやったんだろう」

「何をですか?」マルティナは問う

「だからお前が書類を出したんだろう!
俺達の婚姻状を提出したんだろう!」

「存じませんね。
私はそのような手続きはしておりません何故そう思われたのですか?」

「「……??」」

ジュークスとナミリュは呆然とした

「お2人は婚姻されていませんよ?
つまり、ナミリュ様は貴族という
立場で国費を使っていたのです」

貴族達から冷たい視線を向けられ
失笑や悪口が聞こえてくる

テリウスが騎士に指示を出した

「ナミリュ・ローガンを横領罪で
拘束せよ」

騎士がナミリュを取り押さえた。

慌てたのはローガン伯爵だ

「何を?娘が何をしたと?間違いだ!」

マルティナは冷静に言う

「ローガン伯爵よ
そなたの無礼は呆れる程だった
まるで王族の如く振舞っていたな」

テリウスは命じた

「ローガン伯爵を不敬罪、
そして貴族達にも嘘をつき混乱させた
虚偽罪で拘束しろ」

ローガン伯爵父娘は騎士達に
拘束されると会場から引き摺り出された

「さて、兄上…この混乱どうしますか」

ジュークスは諦めていなかった

「ネイサン!ネイサンが居るんだぞ!
王族の血だ…」

マルティナは呆れた

「ジュークス殿下…王族の血を引くといえ
ネイサン皇子は婚外子ですのよ?」

「うるさい!レドモンドとは違うぞ」

「えぇ、そうですわね…確かに」

「そうだ!」

「私とジュークス殿下は既に離縁し
テリウス陛下と新たに婚姻しています
レドモンドは正式な夫婦間で授かった子
ですから婚外子ではありませんね」

「は?」

「ですから、レドモンドは
私達 夫婦の子。正式な後継者です」

「兄上これからレドモンドの
皇太子任命式がありますので
静かにお願いします」

事前に聞かされていた貴族達は
レドモンドを迎える為に花道を作り
知らなかった貴族達はひきつりながら
会場の入口を見ていた

「レドモンド皇子殿下のご入場」

アナウンスと共に扉が開き騎士に
囲まれながらレドモンドが入ると
貴族達は頭を下げて迎えた

レドモンドが皇帝テリウスの前で
膝まづいた

「レドモンド・サジアス
そなたを中央帝国の皇太子として
正式に任命する」

「ありがとうございます
私、レドモンド・サジアスは
国の為 民の見本となれる様 勤めます」

テリウスが皇太子に授与する
冠をレドモンドに被せると
会場から拍手が起きた

そして長く時間をかけてきた
マルティナの復讐計画は遂行されたのだ

ダンスや社交が行われている場で
ただ1人抜け殻の様になっていた
ジュークスは騎士に伴われ
静かに会場を出ていった

そして部屋で待たされていた
ネイサンはいつの間にか眠ってしまった様だ

任命式を終えたテリウスとマルティナは
レドモンドを寝かした後
牢に連れて行かれたローガン伯爵父娘に
会いに向かった
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