極上の彼女と最愛の彼 Vol.3

葉月 まい

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みんなで…

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その年の12月。

透と亜由美の結婚式からちょうど1年後の同じ日に、吾郎と莉沙の結婚式が執り行われていた。

「わあ、莉沙ちゃん綺麗!」

式の前に皆で控え室を訪れ、莉沙の美しいウェディングドレス姿にうっとりする。

「吾郎もイケてるぞ。馬子にも衣装、凱旋門にもタキシード!」

「やめんかーい!」

真顔で透に突っ込む吾郎に、皆で、あはは!と笑い合った。

「いやー、なんかアートプラネッツにとってもめでたい日だな」

洋平の言葉に大河も頷く。

「そうだな。俺達みんなが幸せになれたんだから。誰一人残らずな」

「うん!まさに大団円だね」

透がそう言うと、亜由美も口を開く。

「マダムプラネッツにとってもめでたい日よ。ようやくメンバーが4人揃ったんだもん」

「そうよね。しかも個性豊かで、グループメッセージがとっても楽しいし」

そう言う泉に、瞳子と亜由美も、うんうんと頷く。

「これから家族も増えるし、いつまでもみんなで楽しくやっていこうね!」

透が明るく皆を見渡し、誰もが笑顔で頷き合った。

厳かな挙式のあとは、大階段でのフラワーシャワー。

幸せそうな吾郎と莉沙を、ビデオカメラ片手に撮影する透は、もう片方の手は亜由美と繋いで離さない。

「亜由美!フラフラどっか行かないの。転んだらどうするの?」

「大丈夫だもーん」

「大丈夫じゃないから言ってるの!ママになるのに、子どもみたいなこと言わないで。ほら、ちゃんと手を繋ぐ!」

「もう!心配性なパパでしゅねー?赤ちゃん」

「ママが子どもなんだろ?ねえー、赤ちゃん」

ビデオの画面はブレブレで、こっ恥ずかしいセリフも拾っている。

大河は苦笑いすると透の手からビデオカメラを取り上げ、吾郎達を撮影し始めた。

「瞳子、ちゃんと俺のそばにいろよ?」

「はい、分かりました」

「あ!動くなよ?階段なんだから、足を踏み外したら大変だ」

「大丈夫です。ゆっくり歩きますから」

「ダメだ!お腹が大きくて足元見えないだろ?俺の腕にちゃんと掴まってろ」

「はーい」

「そんなんじゃダメだ。もっとしっかり、ピタッとくっついてろ!」

同じくブレブレの画面と恥ずかしい会話になり、今度は洋平がカメラを大河から取り上げた。

「泉、ちゃんと横にいるか?」

「大丈夫、いるわよ」

「海斗は?平気か?」

「大丈夫だってば。ちゃんと抱っこしてます」

「おい、階段気をつけろよ?海斗抱いたまま足を踏み外すなよ」

「そんなことしません」

「油断するな!しっかり俺と腕を組んでるんだ」

「えー、海斗抱いたまま腕組めない」

「なにー?それなら俺が海斗ごと泉を抱くから」

結局夫婦3組とも、こっ恥ずかしいセリフがビデオにしっかり残ることとなった。



「ね、瞳子さん。赤ちゃんの性別、ほんとに聞いてないんですか?」

吾郎と莉沙がトオルを抱いて大階段で記念撮影している間、階段の下で亜由美は瞳子の大きなお腹に目をやって尋ねる。

「うん、聞いてないよ。先生はバッチリ分かったっておっしゃってたけどね」

「えー、私だったら我慢出来ない。分かったらすぐに教えてください!って、毎回エコーの時に言ってるんです」

「そうなんだ。泉さんの時は?性別、聞いたんですか?」

ん?と、海斗を抱いた泉が振り返る。

「ああ、生まれる前のこと?それがね、聞く前に見えちゃった。あはは!」

なるほどー!と、亜由美と瞳子は頷く。

「男の子ならそういうこともあるって聞きますもんね。じゃあ瞳子さんの赤ちゃんは、女の子かな?」

亜由美は人差し指を口元に当てて、じっと瞳子のお腹を見つめる。

「お腹もまあるい感じだし、やっぱり女の子じゃないですかね?」

「女の子なら瞳子ちゃんに似て、とびきり美人になるわよねー」

亜由美と泉の会話を聞きながら、瞳子は少し苦笑いする。

「ん?どうかしたんですか?瞳子さん」

「うん、それがね。これは単なる私の勘なんだけど…。なんとなく男の子のような気がするの」

「ええ?!どうして?」

「だって、想像つくんだもん。大河さんそっくりの男の子が、むむっ!て眉間にしわを寄せて産まれてくるのが」

そう言うと、亜由美も泉も笑い出す。

「確かに!今頭の中で、まさにその姿が想像出来ちゃった!」

「ほんとほんと!これはもう間違いないわね」

「でも瞳子さんそっくりの女の子も見てみたいなー」

「あら、いずれ女の子も産まれてくるわよ。2人目か3人目に。ね?瞳子ちゃん」

真顔で泉に聞かれて、瞳子は顔を赤くする。

「そ、そうです、かね?はい」

「大河さん、ああ見えて子煩悩なパパだろうなー。瞳子ちゃん、もう4人作っちゃえば?」

「あ!泉さん、それナイス!4人でベビープラネッツ!」

「上手い!亜由美ちゃん」

あははー!と笑う亜由美と泉に、瞳子は、ええー?!とおののく。

だがすぐあとに、それもいいな、と呟いて微笑んだ。



「おーい!マダムプラネッツー!そろそろ披露宴会場に行くよー」

透に呼ばれて、はーい!と3人で返事をする。

歩き出したその先には、それぞれの旦那様が優しく手を伸ばして待っていた。

透と亜由美。
洋平と泉。
そして大河と瞳子。

それぞれが腕を組み、吾郎と莉沙のもとへと歩いて行く。

みんなの幸せは自分の幸せ。
自分の幸せはみんなの幸せ。

この仲間なら、そう思える。

誰一人残らず、必ずみんなで幸せになろう。

大丈夫、きっとみんなで幸せになれる。

そう信じて、誰もが皆、笑顔を輝かせていた。

その先に広がる、明るい未来のように…

(完)
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