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階段滑り落ち彼女
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「きゃーーーーっ!!」
「うわっ!!」
ズドドドドド……バサーッ
聞こえてきた悲鳴と派手な音に、エレベーターホールで階数ランプを見上げていた成瀬は思わず振り返った。
五基並んだエレベーターの横の階段下で、どうやら足を踏み外して落ちてきたらしい若い女性と、その下敷きになっている男性が目に入る。
「いってーなー。何やってんだよ、美怜」
「あ、卓!ちょうど良かった。今日の法人案内の件、確認したかったんだ。って、あれ?資料がない」
「資料ならあっちに飛んでったぞ。ってその前に降りろ!いつまで人の太ももに乗っかってんだよ?!」
「あ、ごめんごめん。あはは!」
「あははじゃねえよ、まったくもう」
成瀬は足元まで飛んできた数枚の資料を拾い上げると二人に近づき、手を差し伸べる。
「大丈夫か?」
「え?あ、はい!すみません」
女性の手を取って立たせると、資料を揃えて渡した。
「はい、これ」
「ありがとうございます」
頭を下げる女性の後ろで、ようやく立ち上がった男性がスーツのスラックスについた埃を払いながらブツブツと小言を言う。
「ったくもう、そそっかしいにも程があるぞ。階段の上から下まで落ちるなんて、漫画の世界かよ?」
「えへへー、見事な滑りだったでしょ?でも卓のおかげで助かった。ナイスキャッチ!」
「キャッチしとらんわ!巻き込んでおいてよく言うよ。はあ…、こんなんで今日の案件、大丈夫かな」
「まっかせなさーい!って、もうこんな時間?!大変!ミュージアムがオープンしちゃう。じゃあね!卓。あとでね」
「だから、前見ろっての!もう転ぶなよ」
はーい!と慌ただしく駆けて行く女性を見送ると、男性は成瀬に気づいて頭を下げた。
「あの、お騒がせしました。すみませんでした」
「いや、怪我がなくて何よりだ。さっきの女性もうちの社員?」
「はい。広報部のコーポレートミュージアムチームに所属している同期なんです。いつもミュージアムの方に勤務していて、こっちの本社にはめったに顔を出さないので、ご存知ないかと思いますが。あれ?ひょっとして…」
男性は怪訝そうに成瀬を見つめ、何かを思い出したような顔になる。
「もしかして、今日から本社に異動されてきた本部長でいらっしゃいますか?」
「ああ、そうだ」
「やっぱり!海外支社をいくつも立ち上げて帰国されたんですよね?お若いのにバリバリ仕事をこなすすごい方がいらっしゃるって、我々楽しみにしていたんです。あ!申し遅れました。私は営業部関東法人営業課の富樫と申します」
「成瀬だ。よろしく」
「こちらこそ、よろしくお願いいたします。ではオフィスにご案内いたしますね」
そして二人は連れ立って営業部のオフィスがある十階まで上がった。
ガラス張りの部屋が並ぶ廊下を、成瀬は懐かしさと新鮮さの入り混じった気持ちで歩く。
ここ『株式会社メゾンテール』は、創業から百年以上が経つ老舗のインテリアメーカーだ。
文明開化のあと西洋の文化に興味を持った創業者が、家具や小物などの貿易商を営むために作った会社だが、様々な時代の流れと共に社名変更や事業拡大を経て、今では国内最大手のメーカーと言われるまでに成長した。
家庭の家具やインテリアはもちろん、有名なオフィスやホテル、マンションの内装などにも多く携わっている。
成瀬は新卒でこの会社に入社し、営業部に配属されて以降六年間、ほぼ毎月営業成績トップの座を守り続けてきた。
二十八歳の時に海外事業部に異動となり、欧米諸国に五つの支社を立ち上げたのち、三十三歳の今年、本社勤務を命じられて帰国したばかりだった。
(社内の雰囲気も随分変わったな。若い社員も多い。俺なんか、もうおじさんの部類なんだろうな)
浦島太郎のような気分で苦笑いし、富樫と名乗った社員に案内されて営業部のオフィスに入る。
「部長、おはようございます。成瀬本部長をご案内してきました」
声をかけられて顔を上げた部長は、成瀬を一目見るなり破顔した。
「おお!成瀬くん。元気だったか?」
「はい。ご無沙汰しております。部長もお変わりなくお元気そうで」
「いやー、一気に老け込んだよ。君はますます男に磨きがかかったな。たくましくなって」
海外に異動する前の二年間、同じ営業部でお世話になった部長は、五年ぶりの再会を喜び成瀬の肩をポンポンと叩く。
六十歳を過ぎて若干白髪が増えた気がするものの、目を細めた笑顔は当時のままで、成瀬は懐かしくなる。
「もう君が知っている営業メンバーはほとんどいないかな?みんな昇進して、違う部署の課長になってね。でも同じ社内にはいるから、そのうち会えると思うよ。おっと!いけない。君の方が役職が上だったな。気軽に話してしまって申し訳ない、本部長殿」
「とんでもない。私などまだまだ未熟者ですし、本社のことも何も分かっておりません。どうぞこれからもご指導いただければと思います」
「相変わらず律儀だね。では早速執務室に案内するよ。そうそう、前任の本部長からは引き継ぎもまだなんだよね?」
「はい。早速これからご挨拶に伺いたいと思います。前任の本部長は、今はどちらに?役員フロアでしょうか?」
すると部長は、困ったように少し顔をしかめた。
「あー、それがね。入江さん、今は広報部の課長なんだよ」
は?と成瀬は目が点になる。
「本部長だった方が、現在は課長、でいらっしゃるのですか?」
信じられないと思いつつ確かめてみる。
「そうなんだよ。あ、別に降職とかではないよ。入江さんが自らそう望んでね。いい人過ぎるんだよなあ、あの人は」
「はあ…」
本部長の次はおそらく役員の椅子が用意されていたのだろうが、本人がそれを断ったというのだろうか?
(役員を断ったとしても、一体なぜ望んで課長に?)
面識のない人ゆえに、さっぱり理由の見当がつかない。
「まあ、詳しくは直接本人から聞いてみるといいよ。引き継ぎのこともあるし、早速行ってみたら?私から入江さんに連絡しておくよ」
「ありがとうございます。それで、どちらに伺えばよろしいでしょうか?」
「ミュージアムにいるよ。あ、ひょっとして君は初めてかな?四年前に出来たばかりだしね。知ってる?うちの企業ミュージアム。ここから三つ隣の駅から歩いてすぐの所にあるんだ」
「はい。出来たことは存じておりますが、行くのは初めてです。なにせ、帰国したのが五年ぶりですので」
すると部長は、ええ?と驚いて目を見開く。
「君、海外赴任中、一時帰国もしなかったの?」
「はい。忙しさにかまけておりまして」
「おいおい、なんて親不孝な…。これからはちゃんと実家にも顔を出すんだよ?」
自分と同じくらいの年齢の息子がいる部長は、どうやら父親の心境らしい。
成瀬は、はいと頷いてからミュージアムのパンフレットを受け取り、早速向かうことにした。
***
(あった、ここか。へえ、予想より随分大きくてオシャレな建物だな)
パンフレット片手にたどり着いた真っ白な外観のミュージアムを、成瀬は感慨深げに見上げる。
以前からあるショールームとは別に、企業ミュージアムとして四年前に建てられたことは知っていたが、はっきり言ってどういうものなのかは大して気にしたことがなかった。
本社に併設されたショールームは自社製品がずらりと展示され、実際に目で見て手で触れながら選べる為、営業部の社員が取引先への提案や、商談のクロージングに活用しており、かつては成瀬も何度も利用していた。
対してこのミュージアムは、外観も洒落た造りの独立した建物になっており、紹介映像のエリア、展示物のエリア、デザインやレイアウトの体験コーナー、テーマごとに家具を並べたモデルルーム、そして実際にそこで製品を購入できるオンラインショッピングコーナーなど、多岐に渡って楽しめるコンテンツが揃っているらしい。
果たしてどんなところなのだろうと思いながら、成瀬は建物の裏口に回り、警備員に声をかけてからセキュリティゲートにIDカードをかざして中に入った。
廊下を進むと大きな窓のオフィスがあり、中にいた営業部長と同じくらいの年齢の男性が顔を上げる。
目が合った成瀬がお辞儀をすると、にこにこしながら立ち上がって近づいて来た。
「やあ、君が成瀬くんかい?」
「はい。初めまして、入江課長」
「おお、噂には聞いていたが、なかなかのいい男だね。これで仕事もバリバリこなすんだろ?いやー、パーフェクトじゃないか。弱点はあるの?」
…は?と成瀬は面食らう。
「ほら、どんな人にも意外な一面はあるだろう?それを知ってこそ、その人と腹を割って話せるようになるからさ。ちなみに私は、女房にはまったく頭が上がらない」
「は、はあ。私はまだ独身ですので、実際どうなるかは分かりかねますが…」
「君もきっと同じかもよ?ははは!まあ、冗談はさておき。早速ご案内しようか。初めてなんだってね、ミュージアム」
「はい。今日はしっかり勉強させていただきます。よろしくお願いいたします」
「うん。じゃあ行こう」
成瀬を促した入江は、廊下を進んだ先の扉を開けて、ミュージアムのエントランスホールに出た。
「本社のショールームは一般開放はされずに、いわゆるB to Bの企業間取引に使われているだろう?だがこのミュージアムはそれだけではない。企業への営業活動やコミュニケーションツールとしても活用しているけど、一般のお客様にも開放して、認知獲得といったブランディングの役割もしているんだ」
話しながらミュージアムの入口に足を踏み入れた入江は、ふと成瀬を振り返った。
「君は営業畑出身だよね?ショールームでは、営業の社員は取引先の企業に何を説明しているの?」
「はい。先方にとって我が社のどの製品が一番ふさわしいか、どんな製品なら喜んでいただけるか、その時々で最善のご提案ができるよう心がけております」
入江は頷くでもなくその言葉を聞くと、話を続けた。
「うちのミュージアムチームのメンバーは、営業マンの十倍の知識量を備えていると言っても過言ではない」
「ええ?!十倍ですか?それは一体どういう類の…」
「創業から現在までの我が社の百年以上の歴史、創業者の想いや経営理念、CSRやサステナビリティといった社会的責任と取り組み、製品へのこだわり、製造プロセス、デザインのコンセプト、製造から流通までの管理とノウハウ、数え上げればキリがない」
そう言って入江は、受付カウンターのスタッフに軽く手を挙げてからIDカードでゲートを通り、成瀬もそれに続く。
ミュージアムの高い天井からは自然光が降り注ぎ、外観とは違って内装は木材がふんだんに使われていた。
広々とした開放的な空間のあちこちで、様々なコンテンツを楽しむ来場者に、ワンピースの制服姿の女性スタッフが何人か笑顔で接客している。
「ここは予約をすれば誰でも入れる無料の施設だ。家族連れ、カップルといったごく普通のお客様に紛れて、同業他社の偵察もやって来る。なんなら毎年、新入社員の研修にここを使っている企業もある」
「研修に?自分の会社ではなく、うちを使って、ですか?」
「そうだよ。悪びれる様子もなく、皆スーツを着て来てね。『いいか、これが今世間で一番売れている製品だ。アイデアをしっかり持ち帰れよ』なんて、ふんぞり返って新人にレクチャーしてる」
成瀬は信じられないとばかりに目を見開く。
「よろしいのですか?ここをそのように利用されても」
「ん?まあね。いいんじゃない?それだけうちがすごいって認めてもらえてる訳だしさ。さすがに自社の製品を一般のお客様に売り込もうとしたり、うちの製品の悪口をこれ見よがしに話し始めたら止めるけどね」
「はあ…」
思ってもみなかった話に半信半疑になる成瀬に、入江は笑い出した。
「ははは!さては信じてないだろう?じゃあ、インカムを着けてみるといいよ。それが一番分かりやすい」
入江は受付カウンターへ行き、女性スタッフに声をかけると、無線機を二つ手にして戻って来た。
手渡された一つを成瀬も着けてみる。
するとすぐに女性スタッフ達のやり取りが聞こえてきた。
『相田さん。今そちらの映像エリアに向かった男性二人組のお客様、普段着ですが恐らく同業他社です』
『了解です、気にかけておきます。あ、結城さん。右斜め後ろにいる男性、あなたのこと盗撮しようとしてるわよ。気をつけて』
『はい、気をつけます。ありがとうございます。佐野さん。展示エリアにいらっしゃる中国の方、英語があまり通じません。中国語の対応お願いできますか?』
『分かりました、すぐに向かいます。結城さん。デザイン体験中のお子様のグループ、会社訪問を夏休みの自由研究にするそうです。フォローしてもらえますか?』
『承知しました、お声かけしますね。西川さん、今オンラインショッピングコーナーに向かっていらっしゃる若いご夫婦、フローラルシリーズをご検討中です』
『フローラルね、了解しました。ラインナップ表示しておきます』
次々と耳に飛び込んでくる内容に、成瀬は驚きを隠せずに目をしばたたかせる。
これが本当に今、広いフロアのあちこちで、笑顔で接客しているスタッフ達の言葉なのだろうか?
よく見ると彼女達は笑顔を崩さずお客様と話しながら、時折少し身体の角度を変えて胸元の発信ボタンに手をかけている。
さりげなくスタッフ同士で会話のやり取りをしているなど、お客様は気づいていないだろう。
「どうだい?一日中こんな感じだよ。今日は団体予約が立て込んでないから、まだ余裕がある方かな」
「はっ、その、驚きすぎて言葉が…」
「ははは!そうだろうな。他の部署の社員もほとんどがこの実態を知らない。彼女達が我が社の先鋭部隊だってことをね」
先鋭部隊、と成瀬は呟く。
「ここでは、もちろん一般のお客様の接客や企業への営業もするが、外国企業のCEOのVIP待遇や行政への対応もする。マスコミの取材も受けるし、子ども達の課外授業や社会科見学ではレクチャーもする。B to B、B to Cだけでなく、B to G、つまりBusiness to Governmentや、D to C、Direct to Consumerにも対応しているんだ」
入江は実際にミュージアムの中を歩きながら説明する。
成瀬もあとをついて歩きながら、お客様とスタッフの会話に耳を傾けた。
「ここって、加山?」
聞こえてきた男性客の言葉に、何の話だ?と眉根を寄せていると、まだ若い女性スタッフが笑顔で答える。
「はい。このミュージアムの建設は加山建設、設計は日向設計にお願いしました。今年の空間ベストデザインアワードをいただいております」
「あー、やっぱり加山と日向か。シーリングハイは?八か九?」
「天井高は九メートルございます」
会話の流れについていけず、成瀬はただ困惑するばかりだ。
(建築業界の人か?確かにこのミュージアムは見ごたえある造りだが、そんな質問までされるとは)
質問にスラスラと答えてみせた若いスタッフにもう一度目を向けた成瀬は、ん?と首をひねる。
(彼女、どこかで見かけたような…)
しばし考えてから、あ!と思い出す。
(今朝、階段から滑って落ちてきたあの子だ)
私服で髪を下ろしていた朝とは違い、髪型も後ろでシニヨンにまとめ、オフホワイトにネイビーのバイカラーの制服を着ているが、大きな瞳と笑顔が印象的な彼女は、あの時富樫に、じゃあね!と笑いかけていた本人に間違いない。
そう思っていると、入江が近づいて行って彼女に声をかけた。
「結城さん、十一時からの法人案内、彼も同行していいかな?ミュージアムに来るのは初めてなんだって」
「はい、もちろんです」
笑顔で振り返った彼女は、次の瞬間目を丸くする。
「もしかして、今朝の方ですか?」
「ん?なんだ。結城さん、成瀬くんと知り合いだったの?」
「いえ、違うんです。今朝階段から落ちたところを、こちらの方が助け起こしてくださって…」
「ええ?!結城さん、また階段から落ちたの?」
「またって、課長。まだ三回目ですよ?」
「三回も落ちれば充分だよ!」
あんなに派手に階段から滑り落ちるのが三回目とは!と、成瀬は心の中でおののく。
すると、階段滑り落ち彼女が、にっこり笑ってお辞儀をした。
「初めまして。広報部コーポレートミュージアムチーム所属の結城と申します。どうぞよろしくお願いいたします」
成瀬も慌てて姿勢を正す。
「初めまして。本日から本社に異動になった成瀬です。今日は色々勉強させてもらいます。邪魔にならないよう気をつけるので、どうぞよろしく」
「はい、こちらこそよろしくお願いいたします。そろそろ営業担当者が法人のお客様をお連れする頃ですので、エントランスでお迎えしたいと思います」
「分かりました」
そして二人でエントランスホールに戻った。
「うわっ!!」
ズドドドドド……バサーッ
聞こえてきた悲鳴と派手な音に、エレベーターホールで階数ランプを見上げていた成瀬は思わず振り返った。
五基並んだエレベーターの横の階段下で、どうやら足を踏み外して落ちてきたらしい若い女性と、その下敷きになっている男性が目に入る。
「いってーなー。何やってんだよ、美怜」
「あ、卓!ちょうど良かった。今日の法人案内の件、確認したかったんだ。って、あれ?資料がない」
「資料ならあっちに飛んでったぞ。ってその前に降りろ!いつまで人の太ももに乗っかってんだよ?!」
「あ、ごめんごめん。あはは!」
「あははじゃねえよ、まったくもう」
成瀬は足元まで飛んできた数枚の資料を拾い上げると二人に近づき、手を差し伸べる。
「大丈夫か?」
「え?あ、はい!すみません」
女性の手を取って立たせると、資料を揃えて渡した。
「はい、これ」
「ありがとうございます」
頭を下げる女性の後ろで、ようやく立ち上がった男性がスーツのスラックスについた埃を払いながらブツブツと小言を言う。
「ったくもう、そそっかしいにも程があるぞ。階段の上から下まで落ちるなんて、漫画の世界かよ?」
「えへへー、見事な滑りだったでしょ?でも卓のおかげで助かった。ナイスキャッチ!」
「キャッチしとらんわ!巻き込んでおいてよく言うよ。はあ…、こんなんで今日の案件、大丈夫かな」
「まっかせなさーい!って、もうこんな時間?!大変!ミュージアムがオープンしちゃう。じゃあね!卓。あとでね」
「だから、前見ろっての!もう転ぶなよ」
はーい!と慌ただしく駆けて行く女性を見送ると、男性は成瀬に気づいて頭を下げた。
「あの、お騒がせしました。すみませんでした」
「いや、怪我がなくて何よりだ。さっきの女性もうちの社員?」
「はい。広報部のコーポレートミュージアムチームに所属している同期なんです。いつもミュージアムの方に勤務していて、こっちの本社にはめったに顔を出さないので、ご存知ないかと思いますが。あれ?ひょっとして…」
男性は怪訝そうに成瀬を見つめ、何かを思い出したような顔になる。
「もしかして、今日から本社に異動されてきた本部長でいらっしゃいますか?」
「ああ、そうだ」
「やっぱり!海外支社をいくつも立ち上げて帰国されたんですよね?お若いのにバリバリ仕事をこなすすごい方がいらっしゃるって、我々楽しみにしていたんです。あ!申し遅れました。私は営業部関東法人営業課の富樫と申します」
「成瀬だ。よろしく」
「こちらこそ、よろしくお願いいたします。ではオフィスにご案内いたしますね」
そして二人は連れ立って営業部のオフィスがある十階まで上がった。
ガラス張りの部屋が並ぶ廊下を、成瀬は懐かしさと新鮮さの入り混じった気持ちで歩く。
ここ『株式会社メゾンテール』は、創業から百年以上が経つ老舗のインテリアメーカーだ。
文明開化のあと西洋の文化に興味を持った創業者が、家具や小物などの貿易商を営むために作った会社だが、様々な時代の流れと共に社名変更や事業拡大を経て、今では国内最大手のメーカーと言われるまでに成長した。
家庭の家具やインテリアはもちろん、有名なオフィスやホテル、マンションの内装などにも多く携わっている。
成瀬は新卒でこの会社に入社し、営業部に配属されて以降六年間、ほぼ毎月営業成績トップの座を守り続けてきた。
二十八歳の時に海外事業部に異動となり、欧米諸国に五つの支社を立ち上げたのち、三十三歳の今年、本社勤務を命じられて帰国したばかりだった。
(社内の雰囲気も随分変わったな。若い社員も多い。俺なんか、もうおじさんの部類なんだろうな)
浦島太郎のような気分で苦笑いし、富樫と名乗った社員に案内されて営業部のオフィスに入る。
「部長、おはようございます。成瀬本部長をご案内してきました」
声をかけられて顔を上げた部長は、成瀬を一目見るなり破顔した。
「おお!成瀬くん。元気だったか?」
「はい。ご無沙汰しております。部長もお変わりなくお元気そうで」
「いやー、一気に老け込んだよ。君はますます男に磨きがかかったな。たくましくなって」
海外に異動する前の二年間、同じ営業部でお世話になった部長は、五年ぶりの再会を喜び成瀬の肩をポンポンと叩く。
六十歳を過ぎて若干白髪が増えた気がするものの、目を細めた笑顔は当時のままで、成瀬は懐かしくなる。
「もう君が知っている営業メンバーはほとんどいないかな?みんな昇進して、違う部署の課長になってね。でも同じ社内にはいるから、そのうち会えると思うよ。おっと!いけない。君の方が役職が上だったな。気軽に話してしまって申し訳ない、本部長殿」
「とんでもない。私などまだまだ未熟者ですし、本社のことも何も分かっておりません。どうぞこれからもご指導いただければと思います」
「相変わらず律儀だね。では早速執務室に案内するよ。そうそう、前任の本部長からは引き継ぎもまだなんだよね?」
「はい。早速これからご挨拶に伺いたいと思います。前任の本部長は、今はどちらに?役員フロアでしょうか?」
すると部長は、困ったように少し顔をしかめた。
「あー、それがね。入江さん、今は広報部の課長なんだよ」
は?と成瀬は目が点になる。
「本部長だった方が、現在は課長、でいらっしゃるのですか?」
信じられないと思いつつ確かめてみる。
「そうなんだよ。あ、別に降職とかではないよ。入江さんが自らそう望んでね。いい人過ぎるんだよなあ、あの人は」
「はあ…」
本部長の次はおそらく役員の椅子が用意されていたのだろうが、本人がそれを断ったというのだろうか?
(役員を断ったとしても、一体なぜ望んで課長に?)
面識のない人ゆえに、さっぱり理由の見当がつかない。
「まあ、詳しくは直接本人から聞いてみるといいよ。引き継ぎのこともあるし、早速行ってみたら?私から入江さんに連絡しておくよ」
「ありがとうございます。それで、どちらに伺えばよろしいでしょうか?」
「ミュージアムにいるよ。あ、ひょっとして君は初めてかな?四年前に出来たばかりだしね。知ってる?うちの企業ミュージアム。ここから三つ隣の駅から歩いてすぐの所にあるんだ」
「はい。出来たことは存じておりますが、行くのは初めてです。なにせ、帰国したのが五年ぶりですので」
すると部長は、ええ?と驚いて目を見開く。
「君、海外赴任中、一時帰国もしなかったの?」
「はい。忙しさにかまけておりまして」
「おいおい、なんて親不孝な…。これからはちゃんと実家にも顔を出すんだよ?」
自分と同じくらいの年齢の息子がいる部長は、どうやら父親の心境らしい。
成瀬は、はいと頷いてからミュージアムのパンフレットを受け取り、早速向かうことにした。
***
(あった、ここか。へえ、予想より随分大きくてオシャレな建物だな)
パンフレット片手にたどり着いた真っ白な外観のミュージアムを、成瀬は感慨深げに見上げる。
以前からあるショールームとは別に、企業ミュージアムとして四年前に建てられたことは知っていたが、はっきり言ってどういうものなのかは大して気にしたことがなかった。
本社に併設されたショールームは自社製品がずらりと展示され、実際に目で見て手で触れながら選べる為、営業部の社員が取引先への提案や、商談のクロージングに活用しており、かつては成瀬も何度も利用していた。
対してこのミュージアムは、外観も洒落た造りの独立した建物になっており、紹介映像のエリア、展示物のエリア、デザインやレイアウトの体験コーナー、テーマごとに家具を並べたモデルルーム、そして実際にそこで製品を購入できるオンラインショッピングコーナーなど、多岐に渡って楽しめるコンテンツが揃っているらしい。
果たしてどんなところなのだろうと思いながら、成瀬は建物の裏口に回り、警備員に声をかけてからセキュリティゲートにIDカードをかざして中に入った。
廊下を進むと大きな窓のオフィスがあり、中にいた営業部長と同じくらいの年齢の男性が顔を上げる。
目が合った成瀬がお辞儀をすると、にこにこしながら立ち上がって近づいて来た。
「やあ、君が成瀬くんかい?」
「はい。初めまして、入江課長」
「おお、噂には聞いていたが、なかなかのいい男だね。これで仕事もバリバリこなすんだろ?いやー、パーフェクトじゃないか。弱点はあるの?」
…は?と成瀬は面食らう。
「ほら、どんな人にも意外な一面はあるだろう?それを知ってこそ、その人と腹を割って話せるようになるからさ。ちなみに私は、女房にはまったく頭が上がらない」
「は、はあ。私はまだ独身ですので、実際どうなるかは分かりかねますが…」
「君もきっと同じかもよ?ははは!まあ、冗談はさておき。早速ご案内しようか。初めてなんだってね、ミュージアム」
「はい。今日はしっかり勉強させていただきます。よろしくお願いいたします」
「うん。じゃあ行こう」
成瀬を促した入江は、廊下を進んだ先の扉を開けて、ミュージアムのエントランスホールに出た。
「本社のショールームは一般開放はされずに、いわゆるB to Bの企業間取引に使われているだろう?だがこのミュージアムはそれだけではない。企業への営業活動やコミュニケーションツールとしても活用しているけど、一般のお客様にも開放して、認知獲得といったブランディングの役割もしているんだ」
話しながらミュージアムの入口に足を踏み入れた入江は、ふと成瀬を振り返った。
「君は営業畑出身だよね?ショールームでは、営業の社員は取引先の企業に何を説明しているの?」
「はい。先方にとって我が社のどの製品が一番ふさわしいか、どんな製品なら喜んでいただけるか、その時々で最善のご提案ができるよう心がけております」
入江は頷くでもなくその言葉を聞くと、話を続けた。
「うちのミュージアムチームのメンバーは、営業マンの十倍の知識量を備えていると言っても過言ではない」
「ええ?!十倍ですか?それは一体どういう類の…」
「創業から現在までの我が社の百年以上の歴史、創業者の想いや経営理念、CSRやサステナビリティといった社会的責任と取り組み、製品へのこだわり、製造プロセス、デザインのコンセプト、製造から流通までの管理とノウハウ、数え上げればキリがない」
そう言って入江は、受付カウンターのスタッフに軽く手を挙げてからIDカードでゲートを通り、成瀬もそれに続く。
ミュージアムの高い天井からは自然光が降り注ぎ、外観とは違って内装は木材がふんだんに使われていた。
広々とした開放的な空間のあちこちで、様々なコンテンツを楽しむ来場者に、ワンピースの制服姿の女性スタッフが何人か笑顔で接客している。
「ここは予約をすれば誰でも入れる無料の施設だ。家族連れ、カップルといったごく普通のお客様に紛れて、同業他社の偵察もやって来る。なんなら毎年、新入社員の研修にここを使っている企業もある」
「研修に?自分の会社ではなく、うちを使って、ですか?」
「そうだよ。悪びれる様子もなく、皆スーツを着て来てね。『いいか、これが今世間で一番売れている製品だ。アイデアをしっかり持ち帰れよ』なんて、ふんぞり返って新人にレクチャーしてる」
成瀬は信じられないとばかりに目を見開く。
「よろしいのですか?ここをそのように利用されても」
「ん?まあね。いいんじゃない?それだけうちがすごいって認めてもらえてる訳だしさ。さすがに自社の製品を一般のお客様に売り込もうとしたり、うちの製品の悪口をこれ見よがしに話し始めたら止めるけどね」
「はあ…」
思ってもみなかった話に半信半疑になる成瀬に、入江は笑い出した。
「ははは!さては信じてないだろう?じゃあ、インカムを着けてみるといいよ。それが一番分かりやすい」
入江は受付カウンターへ行き、女性スタッフに声をかけると、無線機を二つ手にして戻って来た。
手渡された一つを成瀬も着けてみる。
するとすぐに女性スタッフ達のやり取りが聞こえてきた。
『相田さん。今そちらの映像エリアに向かった男性二人組のお客様、普段着ですが恐らく同業他社です』
『了解です、気にかけておきます。あ、結城さん。右斜め後ろにいる男性、あなたのこと盗撮しようとしてるわよ。気をつけて』
『はい、気をつけます。ありがとうございます。佐野さん。展示エリアにいらっしゃる中国の方、英語があまり通じません。中国語の対応お願いできますか?』
『分かりました、すぐに向かいます。結城さん。デザイン体験中のお子様のグループ、会社訪問を夏休みの自由研究にするそうです。フォローしてもらえますか?』
『承知しました、お声かけしますね。西川さん、今オンラインショッピングコーナーに向かっていらっしゃる若いご夫婦、フローラルシリーズをご検討中です』
『フローラルね、了解しました。ラインナップ表示しておきます』
次々と耳に飛び込んでくる内容に、成瀬は驚きを隠せずに目をしばたたかせる。
これが本当に今、広いフロアのあちこちで、笑顔で接客しているスタッフ達の言葉なのだろうか?
よく見ると彼女達は笑顔を崩さずお客様と話しながら、時折少し身体の角度を変えて胸元の発信ボタンに手をかけている。
さりげなくスタッフ同士で会話のやり取りをしているなど、お客様は気づいていないだろう。
「どうだい?一日中こんな感じだよ。今日は団体予約が立て込んでないから、まだ余裕がある方かな」
「はっ、その、驚きすぎて言葉が…」
「ははは!そうだろうな。他の部署の社員もほとんどがこの実態を知らない。彼女達が我が社の先鋭部隊だってことをね」
先鋭部隊、と成瀬は呟く。
「ここでは、もちろん一般のお客様の接客や企業への営業もするが、外国企業のCEOのVIP待遇や行政への対応もする。マスコミの取材も受けるし、子ども達の課外授業や社会科見学ではレクチャーもする。B to B、B to Cだけでなく、B to G、つまりBusiness to Governmentや、D to C、Direct to Consumerにも対応しているんだ」
入江は実際にミュージアムの中を歩きながら説明する。
成瀬もあとをついて歩きながら、お客様とスタッフの会話に耳を傾けた。
「ここって、加山?」
聞こえてきた男性客の言葉に、何の話だ?と眉根を寄せていると、まだ若い女性スタッフが笑顔で答える。
「はい。このミュージアムの建設は加山建設、設計は日向設計にお願いしました。今年の空間ベストデザインアワードをいただいております」
「あー、やっぱり加山と日向か。シーリングハイは?八か九?」
「天井高は九メートルございます」
会話の流れについていけず、成瀬はただ困惑するばかりだ。
(建築業界の人か?確かにこのミュージアムは見ごたえある造りだが、そんな質問までされるとは)
質問にスラスラと答えてみせた若いスタッフにもう一度目を向けた成瀬は、ん?と首をひねる。
(彼女、どこかで見かけたような…)
しばし考えてから、あ!と思い出す。
(今朝、階段から滑って落ちてきたあの子だ)
私服で髪を下ろしていた朝とは違い、髪型も後ろでシニヨンにまとめ、オフホワイトにネイビーのバイカラーの制服を着ているが、大きな瞳と笑顔が印象的な彼女は、あの時富樫に、じゃあね!と笑いかけていた本人に間違いない。
そう思っていると、入江が近づいて行って彼女に声をかけた。
「結城さん、十一時からの法人案内、彼も同行していいかな?ミュージアムに来るのは初めてなんだって」
「はい、もちろんです」
笑顔で振り返った彼女は、次の瞬間目を丸くする。
「もしかして、今朝の方ですか?」
「ん?なんだ。結城さん、成瀬くんと知り合いだったの?」
「いえ、違うんです。今朝階段から落ちたところを、こちらの方が助け起こしてくださって…」
「ええ?!結城さん、また階段から落ちたの?」
「またって、課長。まだ三回目ですよ?」
「三回も落ちれば充分だよ!」
あんなに派手に階段から滑り落ちるのが三回目とは!と、成瀬は心の中でおののく。
すると、階段滑り落ち彼女が、にっこり笑ってお辞儀をした。
「初めまして。広報部コーポレートミュージアムチーム所属の結城と申します。どうぞよろしくお願いいたします」
成瀬も慌てて姿勢を正す。
「初めまして。本日から本社に異動になった成瀬です。今日は色々勉強させてもらいます。邪魔にならないよう気をつけるので、どうぞよろしく」
「はい、こちらこそよろしくお願いいたします。そろそろ営業担当者が法人のお客様をお連れする頃ですので、エントランスでお迎えしたいと思います」
「分かりました」
そして二人でエントランスホールに戻った。
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慣れない海外生活に戸惑い、異国ならではの苦労もするが、やがて、日々の生活がリズムに乗り始めたころ、とてつもなく魅力的な男性と出会う。
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先生
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‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐
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