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バレンタインデー
連日、客室のリニューアルの為にルミエール ホテルに向かう日が続く。
「悪いね。もう少ししたら現場スタッフに全て任せられると思うんだけど」
行きの車の中で成瀬がハンドルを握りながら、美怜と卓に言う。
「遅くとも来週末には現場スタッフに引き継ごう。そのままバレンタインデーまでは彼らに任せる。カップル向けの客室が全室完了したら、次はファミリールームに着手するから、そこからはまたしばらく通うことになると思う」
「はい、承知しました」
美怜と卓は頷き、十時から十五時までは毎日ホテルで現場に立ち会う。
日に日に作業スピードも上がり、一月の最終週からは現場スタッフに任せられるようになった。
そして予定よりも早い二月十日、全てのカップル向けの客室リニューアルが無事に完了した。
「ありがとうございます。お陰様でバレンタインデーにはカップルのお客様に新しい客室で過ごしていただけます」
倉本に感謝され、美怜達も嬉しくなる。
「滞りなく完了してホッといたしました。次はファミリールームですが、予定は前倒しした方がよろしいですか?」
「いえ、既にこちらのスタッフのシフトを組んでしまいましたので、予定通り来週からでお願いいたします」
「かしこまりました。では本日はイベント会場の装飾が終わり次第、失礼させていただきます。また来週伺いますね」
「はい。本日もありがとうございました。しばしの休息になりますが、来週までどうぞゆっくりなさってください」
倉本と別れると、美怜達三人はイベント会場へ向かった。
そこでバレンタインデー前日と当日に、カップルがチョコレートケーキを作れるイベントが予定されている。
美怜は早速、用意したたくさんのハートの風船やピンクと赤のテーブルクロスなどで会場を飾っていった。
記念写真が撮れるブースも作り、背景も明るくカラフルに仕上げる。
「うーんと、ちょっと実際の写真写りを確かめたいので、このパネルの後ろに並んでもらえますか?」
美怜がパネルの後ろに置いてある椅子に卓と成瀬を促す。
「パネルの前に置いてあるこの台に、カップルのお二人が作ったばかりのケーキを置いて、記念写真を撮れるようにします。えっと、本部長。ちょっとこれを左手で顔の横に掲げてください。卓は右手でこれを」
言われるがままに、二人はハート型の小さなボードを顔の横で持つ。
「いいですね。では撮ります。はい、チーズ!」
カシャッとスマートフォンで撮影すると、すぐに画面に目を落とし、美怜は楽しそうに笑う。
「よく撮れてる。あはは!」
あはは?と、成瀬と卓は顔を見合わせた。
「ちょっと、結城さん。その写真見せて」
成瀬が手を差し出すと、美怜は、え?いえ、これは…とスマートフォンを隠そうとする。
「なに?なんで隠すの?」
詰め寄ろうとすると、後ろで卓が「あー!」と叫んだ。
振り向いた成瀬は、卓が手にしているボードを見て絶句する。
先程二人で顔の横に掲げたハートのボードの表面。
ピンク色になったそこには『LOVE』と『SWEET』の文字が躍っている。
つまりさっきの写真には、二人の間にこの文字が…
「結城さん!今すぐ消去して!」
「え、どうしてですか?これも何かの記念に」
「なんの記念だよ!頼むから消して!」
「サンプル画像に使わせていただきますので」
「ぜっっっったいにだめ!」
美怜に詰め寄る成瀬と、笑顔で身をかわす美怜。
仲良くじゃれ合うような二人を、卓は複雑な心境で眺めていた。
***
「ねえ、美怜。バレンタインデーって何か予定あるの?」
翌日の二月十一日。
終日ミュージアムで案内業務をこなした美怜に、ロッカールームで佳代が声をかける。
「バレンタインですか?いつもと同じで仕事だけですけど」
「じゃあさ、仕事上がりにまた疑似デート行って来たら?新しいプラン、美沙と一緒に考えたんだ」
「え?でも、この間行ってきたばかりですし、仕事のあとなんて夕食を食べるくらいしかできないですよ?」
「へっへー。そう言うと思って、ちょっと考えたんだ。美怜、ルミエール ホテルの様子、気にならない?実際のカップルがバレンタインをどう楽しんでるか」
「それは、気になりますけど」
「でしょ?そこで考えたこのプラン。ちょっと見てみてよ」
美怜は佳代が差し出したメモを受け取る。
「ん?ルミエールに視察に行くんですか?」
「そう。で、そのあとはバレンタインの特別メニューがあるレストランで食事をして、バレンタインの特典がある展望台で夜景を眺めて、これまたバレンタインのスペシャルカクテルが楽しめるバーに行く。っていう、この日だけのデートプランなの。ね?行っておいでよ」
うーん、と美怜は渋い顔になる。
「卓も本部長もお忙しいからなあ。ご迷惑かもしれないし」
「なら、卓くんだけ誘えばいいじゃない」
「でもルミエールに視察に行くなら、本部長と三人で伺って先方にご挨拶した方がいいですよね」
「じゃあ先方に気づかれないように、こっそり見るだけにしたら?」
「それで見つかったら、それこそなんて挨拶すればいいか。それに私達、かなりたくさんのホテルスタッフの方々に顔を覚えていただいてるので、こっそりは難しそうです」
んんー!と佳代はじれったそうな声を上げる。
「とにかく!一度誘ってみなよ。ね?無理なら無理でいいからさ」
ぐいぐいと迫ってくる佳代に押し切られ、はい、と美怜は仕方なく頷いた。
***
「という訳なんだけど、どう思う?卓」
着替えを終えて帰宅した美怜は、卓に電話で相談する。
「確かにルミエールには様子を見に行きたい気持ちはあるけど、こっそりなんて無理そうだし。疑似デートも、忙しいこの時期に行かなくてもいいかなって思うんだけど」
すると電話口の卓も、うーん、と考えあぐねている。
「じゃあさ、ルミエールの視察だけ行く?あとは、バレンタインデー当日はどこも予約が取れなくて行けなかったってことにすれば?」
卓の言葉に、美怜は、なるほど!と納得した。
「確かにそうだね。その日はカップルの行きそうなところなんて、どこも混んでるだろうし。うん、そうしよう」
「ああ。佳代先輩もそれなら納得してくれると思うしな」
「そうだね。ありがとう、卓。じゃあ、本部長に連絡しておくね。お忙しそうなら、私達二人でルミエールに行って、倉本さんに挨拶してこよう」
「分かった。決まったらまた連絡して」
「うん。ありがとね、卓」
電話を切ると、美怜は早速成瀬にメッセージを送る。
すると意外にもすぐに、「分かった。一緒に行こう」と返事がきた。
「ええ?!本部長、お忙しくないのかな?」
心配になりつつも、それ以上やり取りするのもご迷惑かと思い、美怜は「よろしくお願いいたします」とだけ書いて送信した。
***
迎えたバレンタインデー当日。
美怜はミュージアムで通常業務を終えると、ロッカールームで私服に着替えてから本社に向かった。
これからルミエール ホテルに行くが業務時間内ではないし、スーツだとカップルのお客様の中で浮いてしまって雰囲気を壊しかねない。
そう思い、オフホワイトのスカートにネイビーのノーカラージャケットを合わせた、少しかしこまった印象のコーディネートにした。
電車で向かう途中、カバンの中の二つの包みが潰れていないか確認する。
バレンタインデーに会うとあって、美怜は卓と成瀬にチョコレートを用意していた。
ふと周りを見ると、いつもよりカップルの姿が多い気がする。
これからデートに行くのだろう。
腕を組んで顔を寄せ合い、楽しそうにおしゃべりしている。
(今頃ルミエールでも、たくさんのカップルが素敵な時間を過ごしてるのかな。チョコレートケーキ作りも賑わってるといいな)
そんなことを考えているうちに、あっという間に本社の最寄駅に着く。
いつものように本部長の執務室に向かうと、既に卓の姿があった。
「お疲れ様です。卓、早かったんだね」
「ああ。なんかうちのオフィス、定時になったら一気にみんな帰っちゃってさ。一人で取り残されて居心地悪いから、俺もさっさと切り上げてきた」
「そっか。やっぱりバレンタインって、恋人がいる人にとったら特別な日なんだね」
すると成瀬がデスクから声をかけてきた。
「そんな日に定時後も仕事の予定入れるなんて、本当に大丈夫なのか?二人とも」
「私は大丈夫です。でも巻き込んじゃってごめんね、卓」
「いや。どうせ何も予定ないし、一人でいるより気が紛れていいよ」
「そう?良かった。本部長も、お忙しいのに申し訳ありません」
美怜の言葉に成瀬は首を振る。
「とんでもない。礼を言うのは俺の方だ。二人にはどれだけ感謝してもしきれない。いつも仕事に真摯に取り組んでくれてありがとう」
いいえ、と微笑むと、美怜はカバンから包みを取り出した。
「本部長、私からもこれを。もう既にたくさん贈られていらっしゃるとは思いますが」
そう言って成瀬にチョコレートを手渡す。
「ありがとう。実は一つももらってなかったから嬉しいよ」
「ええ?嘘ですよ、そんなの」
「そう言われるとグサッと傷つくんだけど」
「え、本当に?だって秘書さんからは?」
「今日は会ってない。役員会議以外はずっと一人でここに籠ってたし」
そうなんですか、と美怜は腑に落ちないながらも引き下がる。
「卓にも、どうぞ。いつもお世話になってます」
にっこり笑う美怜から、卓はありがとうと少し照れながら受け取った。
ブルーのリボンが掛けられたシルバーの包みを両手に持ち、くすぐったいような何とも言えない気持ちになる。
中学生か?と自分に呆れながらカバンにしまうと、ん?と美怜が首を傾げた。
「卓、ひょっとしてチョコレートすごくたくさんもらったの?」
「いや、そうでもないけど」
「だってパンパンに溢れてるよ?ほら、カバンからこぼれ落ちそうになってる」
美怜が指差した先を見て、成瀬が「うわっ」と声を上げる。
「富樫。どんだけもらったんだ?下駄箱開けたらザー!ってやつか?」
「成瀬さん、オフィスに下駄箱あるんですか?」
「じゃあ、あれだ。休み時間に行列作られるってやつ。それともあれか?トイレから戻って来たら、机の中がチョコだらけ」
「成瀬さん、ここは学校じゃありません」
「くー!余裕だな、富樫。今夜はお前が大人に見えるぞ」
「いつもは子どもだみたいに言わないでください」
二人のやり取りに、美怜がふふっと笑う。
「なんだかいつもと会話が逆だね。卓、ほんとに今夜はかっこいいよ」
え…と、卓は言葉に詰まる。
顔が赤くなるのを感じて、慌てて立ち上がった。
「それよりそろそろ行きましょう」
「そうだな。今片づけるから少し待ってくれるか?」
「はい」
成瀬がパソコンの電源を落とし、加湿器やエアコン、部屋の電気もオフにする。
「じゃあ行こうか」
コートとカバンを手に歩き出した成瀬に続いて、美怜と卓も部屋を出た。
***
「これはこれは。お越しくださってありがとうございます、成瀬さん。富樫さんと結城さんも」
「お忙しいところをお邪魔して申し訳ありません、倉本さん。とても賑わってますね」
「はい、お陰様で。ケーキ作りもすぐに満席、プラネタリウムの貸し出しも、あっという間に全て出払いました。追加で購入することになりましたよ」
「そうでしたか。我々も嬉しい限りです」
少しご挨拶に伺うと連絡すると、倉本はロビーで三人を出迎えてくれた。
平日にもかかわらず、ホテルは多くのカップルで賑わっている。
レストランも客室も、今夜は全て予約で埋まっているらしかった。
「倉本さん、よろしければこちらをどうぞ。皆様で召し上がってください」
美怜が用意しておいた菓子折りを手渡すと、倉本は恐縮して受け取る。
「お気遣いいただき、ありがとうございます。いつもお世話になっている上にこんなことまで。お若いのに素晴らしい社員さんがいらっしゃって、御社は安泰ですね、成瀬さん」
「嬉しいお言葉をありがとうございます、倉本さん。今日はひと際お忙しいと思いますので、どうかもうお構いなく。少し館内の様子を見させていただいてから失礼しますので」
「分かりました。次回はゆっくりお食事にご招待させてくださいね」
にこやかにそう言って、倉本は持ち場に戻って行った。
「さてと。どこから見て回る?」
成瀬が美怜を振り返る。
「イベント会場から見てもよろしいでしょうか?そのあと、ロビーとガーデンテラスのフォトスポットを」
「ああ、分かった」
三人はまず初めにケーキ作りのイベント会場に向かった。
「盛り上がってますね。皆さん楽しそう。あ!記念撮影のパネルに列ができてる」
美怜の言葉に卓と成瀬も目を向けると、でき上がったケーキを前に笑顔で頬を寄せ合うカップルを、ホテルのスタッフが撮影していた。
手にはあの『LOVE』と『SWEET』のハートパネルを持っている。
「なんかちょっと、嬉しい反面照れちゃいますね」
「結城さんが用意したのに?」
「いやだって、もっと軽いノリでおふざけ半分で使っていただけるかなと思ってましたが、案外皆さん普通に使っていらっしゃって」
「結城さんは、彼氏とはああいうことしないタイプ?」
「はい、恐らく。本部長は?」
「おじさんに聞かないでよ」
「似合ってましたけどね」
すると、思い出したとばかりに成瀬はまた美怜に詰め寄る。
「ちゃんと消してくれた?あの写真」
「はい、多分」
「多分ってなんだよ!おい、富樫。お前からも…」
卓を振り返った成瀬は、言葉を止めて真顔になる。
「富樫?どうかしたか?」
「え?いえ、何も」
「…そうか」
そう言ったあと成瀬は、何かを考えるようにうつむいていた。
***
「じゃあ、ここで。悪いね、マンションまで送ってやれなくて」
「いえ、とんでもない。遅くまでお仕事お疲れ様です。今夜はありがとうございました」
仕事が残っているからと最寄り駅で二人を降ろし、去っていく成瀬の車を美怜と並んで見送りながら、卓は心の中で考える。
(きっと気を遣ったんだな、成瀬さん。執務室に戻る予定なんてなかっただろうし、だいたい会社は反対方向だ)
だが美怜は疑っていないらしく、「お忙しいのにお誘いしてご迷惑だったかな」と呟いている。
車が見えなくなると、美怜は卓を振り返った。
「卓、お腹減らない?何か食べていく?」
「ん?ああ、そうだな」
「どこも混んでるかな。あ、ファミレスなら空いてるかも。あそこでもいい?」
「もちろん」
美怜が指差した駅前の小さめのチェーン店に二人で入る。
「やっぱり空いてる!読みが当たったね」
美怜はにっこりと卓に笑いかける。
美怜といられるならどこだっていい、と卓は強く思った。
「それにしても卓、すごい数のチョコだね」
料理のオーダーを済ませてドリンクを取ってくると、美怜は卓のカバンに目をやって感心する。
「卓ってモテるんだね。本命チョコなんだろうな」
「全部義理チョコだよ。うちの課の女子社員が、みんなに配ってくれたんだ」
「でも開けてみたら告白のお手紙とか入ってるかもよ?」
「ないってば」
少しムッとしたような卓の口調に、美怜は声を潜めて聞いた。
「卓、ひょっとして彼女できた?」
えっ!と卓は顔を上げて美怜を見る。
「やっぱりそうなんだ」
「な、なんで?」
「最近卓、仕事してても今までみたいに明るくないし、今もちょっと迷惑そうな感じだから。ごめんね。二人で会うのはこれで最後にするから。彼女との時間、大切にしてね」
「いや、それは…」
卓は思わず言葉に詰まる。
否定したいが、何と言えばいいのか分からない。
結局美怜に誤解されたまま、食事を終えると早々に駅で別れてしまった。
(どうすればいいんだろう、俺)
楽しそうに行き交うカップルに混じって、卓は暗い気持ちを抱えながら電車に乗った。
***
一方、美玲と卓を駅前で降ろした成瀬は、自宅マンションに戻り、ふう…とソファに身体を預ける。
(富樫、やっぱり結城さんが好きなんだろうな)
最近、車に乗っても以前のようにはしゃぐこともなく、どこか思い詰めた様子の卓が気になっていた。
先程ホテルのイベント会場で振り返った時に目にした、卓の切なげな表情。
その視線の先には、笑顔の美怜がいた。
そこで全てを悟った成瀬は、今夜二人が水入らずで過ごせるように、仕事が残っていると嘘をついて二人と別れたのだった。
(富樫、今頃告白してるだろうか。上手くいくといいんだが)
若い二人を心から応援したい、成瀬はそう思っていた。
水でも飲もうと立ち上がり、ふと足元に置いたカバンに目をやる。
美怜からチョコレートをもらったことを思い出した。
取り出して、そっとラッピングを解く。
「えっ、なんだこれ」
思わず声を出してしまった。
箱の中には、有名な車のメーカー名が入った丸い缶。
チョコレートではないのか?と思いながら、缶のふたを開ける。
「え、すごい!」
またしても声を上げてしまった。
入っていたのは、精巧に作られた車のチョコレート。
ひと目で有名なクラシックカーだと分かった。
その横には、四つの丸いタイヤまである。
「こんなのあるのか!」
どうやらバレンタイン限定で有名チョコレートメーカーとコラボしたらしい。
「知らなかったな。それに良くできてる。もしかして、このタイヤ…」
いやまさか、と思いつつ車のボディを持ち上げ、タイヤの一つを当ててみると、ぴたりとはまった。
おおー!と目を輝かせながら、残りの三つのタイヤもはめる。
かっこいい…と呟き、缶のふたに載せると写真を撮った。
「いいなー、すごいな、これ」
嬉々として写真と実物を交互に眺める。
そして、ガクッと肩を落とした。
「どうしよう…、食べられない」
どうすればいいんだ?と、成瀬は本気で悩み始めた。
「悪いね。もう少ししたら現場スタッフに全て任せられると思うんだけど」
行きの車の中で成瀬がハンドルを握りながら、美怜と卓に言う。
「遅くとも来週末には現場スタッフに引き継ごう。そのままバレンタインデーまでは彼らに任せる。カップル向けの客室が全室完了したら、次はファミリールームに着手するから、そこからはまたしばらく通うことになると思う」
「はい、承知しました」
美怜と卓は頷き、十時から十五時までは毎日ホテルで現場に立ち会う。
日に日に作業スピードも上がり、一月の最終週からは現場スタッフに任せられるようになった。
そして予定よりも早い二月十日、全てのカップル向けの客室リニューアルが無事に完了した。
「ありがとうございます。お陰様でバレンタインデーにはカップルのお客様に新しい客室で過ごしていただけます」
倉本に感謝され、美怜達も嬉しくなる。
「滞りなく完了してホッといたしました。次はファミリールームですが、予定は前倒しした方がよろしいですか?」
「いえ、既にこちらのスタッフのシフトを組んでしまいましたので、予定通り来週からでお願いいたします」
「かしこまりました。では本日はイベント会場の装飾が終わり次第、失礼させていただきます。また来週伺いますね」
「はい。本日もありがとうございました。しばしの休息になりますが、来週までどうぞゆっくりなさってください」
倉本と別れると、美怜達三人はイベント会場へ向かった。
そこでバレンタインデー前日と当日に、カップルがチョコレートケーキを作れるイベントが予定されている。
美怜は早速、用意したたくさんのハートの風船やピンクと赤のテーブルクロスなどで会場を飾っていった。
記念写真が撮れるブースも作り、背景も明るくカラフルに仕上げる。
「うーんと、ちょっと実際の写真写りを確かめたいので、このパネルの後ろに並んでもらえますか?」
美怜がパネルの後ろに置いてある椅子に卓と成瀬を促す。
「パネルの前に置いてあるこの台に、カップルのお二人が作ったばかりのケーキを置いて、記念写真を撮れるようにします。えっと、本部長。ちょっとこれを左手で顔の横に掲げてください。卓は右手でこれを」
言われるがままに、二人はハート型の小さなボードを顔の横で持つ。
「いいですね。では撮ります。はい、チーズ!」
カシャッとスマートフォンで撮影すると、すぐに画面に目を落とし、美怜は楽しそうに笑う。
「よく撮れてる。あはは!」
あはは?と、成瀬と卓は顔を見合わせた。
「ちょっと、結城さん。その写真見せて」
成瀬が手を差し出すと、美怜は、え?いえ、これは…とスマートフォンを隠そうとする。
「なに?なんで隠すの?」
詰め寄ろうとすると、後ろで卓が「あー!」と叫んだ。
振り向いた成瀬は、卓が手にしているボードを見て絶句する。
先程二人で顔の横に掲げたハートのボードの表面。
ピンク色になったそこには『LOVE』と『SWEET』の文字が躍っている。
つまりさっきの写真には、二人の間にこの文字が…
「結城さん!今すぐ消去して!」
「え、どうしてですか?これも何かの記念に」
「なんの記念だよ!頼むから消して!」
「サンプル画像に使わせていただきますので」
「ぜっっっったいにだめ!」
美怜に詰め寄る成瀬と、笑顔で身をかわす美怜。
仲良くじゃれ合うような二人を、卓は複雑な心境で眺めていた。
***
「ねえ、美怜。バレンタインデーって何か予定あるの?」
翌日の二月十一日。
終日ミュージアムで案内業務をこなした美怜に、ロッカールームで佳代が声をかける。
「バレンタインですか?いつもと同じで仕事だけですけど」
「じゃあさ、仕事上がりにまた疑似デート行って来たら?新しいプラン、美沙と一緒に考えたんだ」
「え?でも、この間行ってきたばかりですし、仕事のあとなんて夕食を食べるくらいしかできないですよ?」
「へっへー。そう言うと思って、ちょっと考えたんだ。美怜、ルミエール ホテルの様子、気にならない?実際のカップルがバレンタインをどう楽しんでるか」
「それは、気になりますけど」
「でしょ?そこで考えたこのプラン。ちょっと見てみてよ」
美怜は佳代が差し出したメモを受け取る。
「ん?ルミエールに視察に行くんですか?」
「そう。で、そのあとはバレンタインの特別メニューがあるレストランで食事をして、バレンタインの特典がある展望台で夜景を眺めて、これまたバレンタインのスペシャルカクテルが楽しめるバーに行く。っていう、この日だけのデートプランなの。ね?行っておいでよ」
うーん、と美怜は渋い顔になる。
「卓も本部長もお忙しいからなあ。ご迷惑かもしれないし」
「なら、卓くんだけ誘えばいいじゃない」
「でもルミエールに視察に行くなら、本部長と三人で伺って先方にご挨拶した方がいいですよね」
「じゃあ先方に気づかれないように、こっそり見るだけにしたら?」
「それで見つかったら、それこそなんて挨拶すればいいか。それに私達、かなりたくさんのホテルスタッフの方々に顔を覚えていただいてるので、こっそりは難しそうです」
んんー!と佳代はじれったそうな声を上げる。
「とにかく!一度誘ってみなよ。ね?無理なら無理でいいからさ」
ぐいぐいと迫ってくる佳代に押し切られ、はい、と美怜は仕方なく頷いた。
***
「という訳なんだけど、どう思う?卓」
着替えを終えて帰宅した美怜は、卓に電話で相談する。
「確かにルミエールには様子を見に行きたい気持ちはあるけど、こっそりなんて無理そうだし。疑似デートも、忙しいこの時期に行かなくてもいいかなって思うんだけど」
すると電話口の卓も、うーん、と考えあぐねている。
「じゃあさ、ルミエールの視察だけ行く?あとは、バレンタインデー当日はどこも予約が取れなくて行けなかったってことにすれば?」
卓の言葉に、美怜は、なるほど!と納得した。
「確かにそうだね。その日はカップルの行きそうなところなんて、どこも混んでるだろうし。うん、そうしよう」
「ああ。佳代先輩もそれなら納得してくれると思うしな」
「そうだね。ありがとう、卓。じゃあ、本部長に連絡しておくね。お忙しそうなら、私達二人でルミエールに行って、倉本さんに挨拶してこよう」
「分かった。決まったらまた連絡して」
「うん。ありがとね、卓」
電話を切ると、美怜は早速成瀬にメッセージを送る。
すると意外にもすぐに、「分かった。一緒に行こう」と返事がきた。
「ええ?!本部長、お忙しくないのかな?」
心配になりつつも、それ以上やり取りするのもご迷惑かと思い、美怜は「よろしくお願いいたします」とだけ書いて送信した。
***
迎えたバレンタインデー当日。
美怜はミュージアムで通常業務を終えると、ロッカールームで私服に着替えてから本社に向かった。
これからルミエール ホテルに行くが業務時間内ではないし、スーツだとカップルのお客様の中で浮いてしまって雰囲気を壊しかねない。
そう思い、オフホワイトのスカートにネイビーのノーカラージャケットを合わせた、少しかしこまった印象のコーディネートにした。
電車で向かう途中、カバンの中の二つの包みが潰れていないか確認する。
バレンタインデーに会うとあって、美怜は卓と成瀬にチョコレートを用意していた。
ふと周りを見ると、いつもよりカップルの姿が多い気がする。
これからデートに行くのだろう。
腕を組んで顔を寄せ合い、楽しそうにおしゃべりしている。
(今頃ルミエールでも、たくさんのカップルが素敵な時間を過ごしてるのかな。チョコレートケーキ作りも賑わってるといいな)
そんなことを考えているうちに、あっという間に本社の最寄駅に着く。
いつものように本部長の執務室に向かうと、既に卓の姿があった。
「お疲れ様です。卓、早かったんだね」
「ああ。なんかうちのオフィス、定時になったら一気にみんな帰っちゃってさ。一人で取り残されて居心地悪いから、俺もさっさと切り上げてきた」
「そっか。やっぱりバレンタインって、恋人がいる人にとったら特別な日なんだね」
すると成瀬がデスクから声をかけてきた。
「そんな日に定時後も仕事の予定入れるなんて、本当に大丈夫なのか?二人とも」
「私は大丈夫です。でも巻き込んじゃってごめんね、卓」
「いや。どうせ何も予定ないし、一人でいるより気が紛れていいよ」
「そう?良かった。本部長も、お忙しいのに申し訳ありません」
美怜の言葉に成瀬は首を振る。
「とんでもない。礼を言うのは俺の方だ。二人にはどれだけ感謝してもしきれない。いつも仕事に真摯に取り組んでくれてありがとう」
いいえ、と微笑むと、美怜はカバンから包みを取り出した。
「本部長、私からもこれを。もう既にたくさん贈られていらっしゃるとは思いますが」
そう言って成瀬にチョコレートを手渡す。
「ありがとう。実は一つももらってなかったから嬉しいよ」
「ええ?嘘ですよ、そんなの」
「そう言われるとグサッと傷つくんだけど」
「え、本当に?だって秘書さんからは?」
「今日は会ってない。役員会議以外はずっと一人でここに籠ってたし」
そうなんですか、と美怜は腑に落ちないながらも引き下がる。
「卓にも、どうぞ。いつもお世話になってます」
にっこり笑う美怜から、卓はありがとうと少し照れながら受け取った。
ブルーのリボンが掛けられたシルバーの包みを両手に持ち、くすぐったいような何とも言えない気持ちになる。
中学生か?と自分に呆れながらカバンにしまうと、ん?と美怜が首を傾げた。
「卓、ひょっとしてチョコレートすごくたくさんもらったの?」
「いや、そうでもないけど」
「だってパンパンに溢れてるよ?ほら、カバンからこぼれ落ちそうになってる」
美怜が指差した先を見て、成瀬が「うわっ」と声を上げる。
「富樫。どんだけもらったんだ?下駄箱開けたらザー!ってやつか?」
「成瀬さん、オフィスに下駄箱あるんですか?」
「じゃあ、あれだ。休み時間に行列作られるってやつ。それともあれか?トイレから戻って来たら、机の中がチョコだらけ」
「成瀬さん、ここは学校じゃありません」
「くー!余裕だな、富樫。今夜はお前が大人に見えるぞ」
「いつもは子どもだみたいに言わないでください」
二人のやり取りに、美怜がふふっと笑う。
「なんだかいつもと会話が逆だね。卓、ほんとに今夜はかっこいいよ」
え…と、卓は言葉に詰まる。
顔が赤くなるのを感じて、慌てて立ち上がった。
「それよりそろそろ行きましょう」
「そうだな。今片づけるから少し待ってくれるか?」
「はい」
成瀬がパソコンの電源を落とし、加湿器やエアコン、部屋の電気もオフにする。
「じゃあ行こうか」
コートとカバンを手に歩き出した成瀬に続いて、美怜と卓も部屋を出た。
***
「これはこれは。お越しくださってありがとうございます、成瀬さん。富樫さんと結城さんも」
「お忙しいところをお邪魔して申し訳ありません、倉本さん。とても賑わってますね」
「はい、お陰様で。ケーキ作りもすぐに満席、プラネタリウムの貸し出しも、あっという間に全て出払いました。追加で購入することになりましたよ」
「そうでしたか。我々も嬉しい限りです」
少しご挨拶に伺うと連絡すると、倉本はロビーで三人を出迎えてくれた。
平日にもかかわらず、ホテルは多くのカップルで賑わっている。
レストランも客室も、今夜は全て予約で埋まっているらしかった。
「倉本さん、よろしければこちらをどうぞ。皆様で召し上がってください」
美怜が用意しておいた菓子折りを手渡すと、倉本は恐縮して受け取る。
「お気遣いいただき、ありがとうございます。いつもお世話になっている上にこんなことまで。お若いのに素晴らしい社員さんがいらっしゃって、御社は安泰ですね、成瀬さん」
「嬉しいお言葉をありがとうございます、倉本さん。今日はひと際お忙しいと思いますので、どうかもうお構いなく。少し館内の様子を見させていただいてから失礼しますので」
「分かりました。次回はゆっくりお食事にご招待させてくださいね」
にこやかにそう言って、倉本は持ち場に戻って行った。
「さてと。どこから見て回る?」
成瀬が美怜を振り返る。
「イベント会場から見てもよろしいでしょうか?そのあと、ロビーとガーデンテラスのフォトスポットを」
「ああ、分かった」
三人はまず初めにケーキ作りのイベント会場に向かった。
「盛り上がってますね。皆さん楽しそう。あ!記念撮影のパネルに列ができてる」
美怜の言葉に卓と成瀬も目を向けると、でき上がったケーキを前に笑顔で頬を寄せ合うカップルを、ホテルのスタッフが撮影していた。
手にはあの『LOVE』と『SWEET』のハートパネルを持っている。
「なんかちょっと、嬉しい反面照れちゃいますね」
「結城さんが用意したのに?」
「いやだって、もっと軽いノリでおふざけ半分で使っていただけるかなと思ってましたが、案外皆さん普通に使っていらっしゃって」
「結城さんは、彼氏とはああいうことしないタイプ?」
「はい、恐らく。本部長は?」
「おじさんに聞かないでよ」
「似合ってましたけどね」
すると、思い出したとばかりに成瀬はまた美怜に詰め寄る。
「ちゃんと消してくれた?あの写真」
「はい、多分」
「多分ってなんだよ!おい、富樫。お前からも…」
卓を振り返った成瀬は、言葉を止めて真顔になる。
「富樫?どうかしたか?」
「え?いえ、何も」
「…そうか」
そう言ったあと成瀬は、何かを考えるようにうつむいていた。
***
「じゃあ、ここで。悪いね、マンションまで送ってやれなくて」
「いえ、とんでもない。遅くまでお仕事お疲れ様です。今夜はありがとうございました」
仕事が残っているからと最寄り駅で二人を降ろし、去っていく成瀬の車を美怜と並んで見送りながら、卓は心の中で考える。
(きっと気を遣ったんだな、成瀬さん。執務室に戻る予定なんてなかっただろうし、だいたい会社は反対方向だ)
だが美怜は疑っていないらしく、「お忙しいのにお誘いしてご迷惑だったかな」と呟いている。
車が見えなくなると、美怜は卓を振り返った。
「卓、お腹減らない?何か食べていく?」
「ん?ああ、そうだな」
「どこも混んでるかな。あ、ファミレスなら空いてるかも。あそこでもいい?」
「もちろん」
美怜が指差した駅前の小さめのチェーン店に二人で入る。
「やっぱり空いてる!読みが当たったね」
美怜はにっこりと卓に笑いかける。
美怜といられるならどこだっていい、と卓は強く思った。
「それにしても卓、すごい数のチョコだね」
料理のオーダーを済ませてドリンクを取ってくると、美怜は卓のカバンに目をやって感心する。
「卓ってモテるんだね。本命チョコなんだろうな」
「全部義理チョコだよ。うちの課の女子社員が、みんなに配ってくれたんだ」
「でも開けてみたら告白のお手紙とか入ってるかもよ?」
「ないってば」
少しムッとしたような卓の口調に、美怜は声を潜めて聞いた。
「卓、ひょっとして彼女できた?」
えっ!と卓は顔を上げて美怜を見る。
「やっぱりそうなんだ」
「な、なんで?」
「最近卓、仕事してても今までみたいに明るくないし、今もちょっと迷惑そうな感じだから。ごめんね。二人で会うのはこれで最後にするから。彼女との時間、大切にしてね」
「いや、それは…」
卓は思わず言葉に詰まる。
否定したいが、何と言えばいいのか分からない。
結局美怜に誤解されたまま、食事を終えると早々に駅で別れてしまった。
(どうすればいいんだろう、俺)
楽しそうに行き交うカップルに混じって、卓は暗い気持ちを抱えながら電車に乗った。
***
一方、美玲と卓を駅前で降ろした成瀬は、自宅マンションに戻り、ふう…とソファに身体を預ける。
(富樫、やっぱり結城さんが好きなんだろうな)
最近、車に乗っても以前のようにはしゃぐこともなく、どこか思い詰めた様子の卓が気になっていた。
先程ホテルのイベント会場で振り返った時に目にした、卓の切なげな表情。
その視線の先には、笑顔の美怜がいた。
そこで全てを悟った成瀬は、今夜二人が水入らずで過ごせるように、仕事が残っていると嘘をついて二人と別れたのだった。
(富樫、今頃告白してるだろうか。上手くいくといいんだが)
若い二人を心から応援したい、成瀬はそう思っていた。
水でも飲もうと立ち上がり、ふと足元に置いたカバンに目をやる。
美怜からチョコレートをもらったことを思い出した。
取り出して、そっとラッピングを解く。
「えっ、なんだこれ」
思わず声を出してしまった。
箱の中には、有名な車のメーカー名が入った丸い缶。
チョコレートではないのか?と思いながら、缶のふたを開ける。
「え、すごい!」
またしても声を上げてしまった。
入っていたのは、精巧に作られた車のチョコレート。
ひと目で有名なクラシックカーだと分かった。
その横には、四つの丸いタイヤまである。
「こんなのあるのか!」
どうやらバレンタイン限定で有名チョコレートメーカーとコラボしたらしい。
「知らなかったな。それに良くできてる。もしかして、このタイヤ…」
いやまさか、と思いつつ車のボディを持ち上げ、タイヤの一つを当ててみると、ぴたりとはまった。
おおー!と目を輝かせながら、残りの三つのタイヤもはめる。
かっこいい…と呟き、缶のふたに載せると写真を撮った。
「いいなー、すごいな、これ」
嬉々として写真と実物を交互に眺める。
そして、ガクッと肩を落とした。
「どうしよう…、食べられない」
どうすればいいんだ?と、成瀬は本気で悩み始めた。
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