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瑠璃と麗華
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総支配人室に戻って来た早瀬の後ろに瑠璃の姿を見つけ、驚いて一生は立ち上がった。
問い詰めるように早瀬を見ると、小さく頷きながらも床に視線を落とす。
そんな二人の様子は目にも留めず、瑠璃はソファに近づいた。
「高坂 麗華様、初めまして。早乙女と申します。滞在中はわたくしがお世話をさせて頂きますので、何なりとお申しつけくださいませ」
麗華は相変わらず足を高く組み、スマートフォンをいじっていたが、ふと顔を上げると、瑠璃を上から下までジロジロと無遠慮に眺め回した。
そしてまた、スマートフォンに視線を戻すと、ボソッと紅茶…と言う。
「はい?」
「だから紅茶!まだ飲んでないの。淹れ直してよ!」
「かしこまりました。お好みの種類はございますか?」
「アールグレイをレモンで。私、それしか飲まないから」
「承知しました。すぐご用意致します」
一生と早瀬は、もはや仕事には手もつけられず、ひたすら目で瑠璃を追う。
瑠璃はカウンター裏で準備をすると、ソファに戻った。
「お待たせ致しました」
麗華の傍らに腰を落とし、丁寧にポットから紅茶を注ぐ。
麗華の前にソーサーを置くと、スッと右側に持ち手がくるように向きを直した。
砂糖と、スライスしたレモンの小皿も並べると、どうぞ、とにこやかな笑顔を麗華に向ける。
麗華は、フンッと言わんばかりの態度で、乱暴にレモンと砂糖を入れると、カチャカチャとスプーンで混ぜてからカップに口をつけた。
「お口に合いますでしょうか?」
「ふん、まあ、いいわ」
瑠璃は頷いて立ち上がった。
と、麗華が瑠璃に声をかける。
「あなたさ、私のクラスメイトにそっくり」
「わたくしが、ですか?」
「そう。女子校の時のクラスメイト。いっつも先生に褒められてた。立ち居振る舞いが美しいわねーとか、所作がきれいだわーとか。でもそいつ、先生がいない時はガサツなの。先生の前だけ上品に振る舞って、媚を売ってた。その嫌なクラスメイトにそっくり!」
思わず一生が立ち上がった時だった。
「まあ、そうなのですね」
そう言って、瑠璃が頷く。
「麗華様は、そのクラスメイトとは今も連絡を?」
「はあ?そんな訳ないでしょ」
「そうですか。どうしておられるのでしょうねえ、その方」
そして、では失礼致しますと頭を下げる。
麗華は、ポカンとした顔で瑠璃を見送った。
***
静かな総支配人室。
一生、早瀬、そして麗華も、チラチラと瑠璃の様子を気にする。
そんな視線など全く気にせず、瑠璃はカタカタとパソコンを操作していた。
先程、瑠璃は麗華に、
ご用があればいつでもお申しつけくださいませ。わたくしはここで仕事をしておりますので。
と言って、早瀬の隣にパソコンを置いた。
早瀬は、
「瑠璃さん、こちら側に」
と言って、前回とは違う自分の左側に座らせた。
自分が電話に出られるように、との意図もあるが、何より麗華から少しでも遠ざけてやりたかった。
しばらくは、それぞれが自分のことに集中し、沈黙が続く。
と、ふいに瑠璃が立ち上がった。
ソファに近づくと、麗華様、と声をかける。
「な、何よ?」
「わたくしこれから、少し席を外させて頂きたいのですが、その前に何かお飲み物でもお持ちしましょうか?」
「いらないわ」
「かしこまりました。30分ほどで戻りますので」
そう言って一礼する。
瑠璃は早瀬に、庭園の写真を撮ってきますと断ってから出口に向かう。
「ちょっと待って」
その背中に麗華が声をかけた。
はい?と振り向いた瑠璃の横を通り過ぎながら、私も行く、と早口で言った。
二人が出ていったあと、早瀬は一生に急いでたずねる。
「どうしましょう、私も追いかけましょうか?」
一生は、考えを巡らせた。
先程の瑠璃の様子…落ち着いていた。
こちらの心配など、まるで気にする素振りもなかった。
「いや、任せよう。瑠璃さんに」
***
瑠璃はロビーを横切り、中庭につながる扉の前に立つと、どうぞ、と麗華をうながす。
庭には、金木犀やダリア、桔梗の花が美しく咲いている。
瑠璃は、スマートフォンで次々と写真を撮っては画面を確認し、その度に嬉しそうに笑った。
「…ねえ、何がそんなに楽しいのよ?」
しばらく瑠璃の様子を黙って見ていた麗華が、呆れたように声をかける。
「すみません、我ながらきれいに撮れたなと思って思わず…」
瑠璃は、満面の笑みでそう答える。
麗華は、近寄ってきて横から画面をのぞき込んだ。
何てことはない、ただの花の写真だった。
「これ、どうするつもりなの?」
「ホテルのSNSや、季節のお便りに載せたりします」
「は?この写真を?加工もしないで?」
「加工?と言うのは…」
「だから、インスタ映えするように、もっと盛るのよ」
「も、もる?」
「そうよ。もっとこう、明るくしたりキラキラさせたり。そんなの普通よ」
「は、はあ…」
瑠璃は気の抜けた返事をする。
麗華はイラッとしたように、自分のスマートフォンで花の写真を撮ると、慣れた手つきで画面を操作し、ほら、と瑠璃に画面を見せた。
「うわー、すごいですね!キラキラして、おとぎの国のお花みたい」
「こんなの、なんだって出来るわよ。ほら、こんなのも」
「まあ!おしゃれですね。こんな縁取りも出来るのですね」
「フレームよ。種類もたくさんある」
へえーと、終始感心しながら麗華の手元を見つめていた瑠璃は、やがてじっと目の前の花を見つめた。
「けれどお花は、やっぱり自然のままの美しさが1番です。私が手を加えることなんて、全く必要とされていないのでしょうね」
そう言うと、麗華に笑いかけた。
「麗華様、このダリアと一緒にお写真撮りますよ。ほら、並んでください」
ええ?と戸惑う麗華を、強引に花の横に立たせると、はい!笑ってーと言って写真を撮る。
「ほら!自然のままが1番きれい!」
ダリアの横で、少し困ったように控えめに笑う麗華の写真を、瑠璃は嬉しそうに見せて笑った。
***
やがて夕食の時間になり、瑠璃は運ばれてきた食事を麗華の前に並べる。
パンのおかわりはいかがですか?お飲み物は?と何度か声をかけるが、麗華はただ、いらないと答えるだけだった。
最後に、デザートのケーキとアールグレイの紅茶をテーブルに置き、どうぞごゆっくりと立ち上がった時だった。
瑠璃の右腕を、麗華がガシッと掴んだ。
「麗華様?どうされました?」
瑠璃が麗華の顔をのぞき込む。
「あんたさ、あんただって金持ちなんでしょ?お嬢様なんでしょ?なのにこんなところで、私みたいな年下のガキにこき使われて…悔しくないの?麗華様なんて言って、平気なの?あんたにはプライドってもんがないわけ?」
ガタガタッと一生と早瀬が立ち上がり、こちらに駆け寄ろうとしていた。
瑠璃は、スッと二人に目線を送り、真剣な顔で首を横に振る。
二人は、ピタリと動きを止めた。
「なんでよ。なんでなのよ。私達はお嬢様なのよ?仕事なんてしなくていい。一生お金に困らないで生きていけるのよ。それって幸せなことでしょ?なのになんで私はっ!」
フォークを何度もケーキに突き刺す麗華の右手を、瑠璃が自分の手を載せて止める。
「ねえ、言ってよ!仕事するなんて不幸だって。ちっともおもしろくないって。働いたっていいことないって。でないと私、何を信じたらいいのよっ!!」
今にも泣き出しそうな麗華の叫び声を、瑠璃は静かに受け止めていた。
麗華の左手を両手で握り、ゆっくりと話し出す。
「ええ、そうですよね。仕事しても幸せだとか、楽しいとか、私も思ったことはなかったです。半年前までは」
視線を落としたまま、瑠璃は続ける。
「親の決めた相手と結婚する、それが私の幸せなんだってずっと思ってました。一生お金に困らずに生きていける、そのことに感謝しなければ、幸せだって思わなければって。でも本当は、苦しかったです。そしてそんな弱い私の態度で、相手を傷つけてしまいました」
麗華は、黙って瑠璃の話を聞いている。
「そんな時、ちょっとしたことがきっかけで、このホテルで働くことになりました。意欲的に自分から働きたいと思った訳でもなく、むしろ自分に出来ることなんてあるのだろうかって、最初はそんな感じでした。でも、気づけば仕事に夢中になっていました。ここで働くと、なんて言うか、心が豊かになるんです」
「心が、豊か…?」
怪訝そうに聞き返す麗華に頷く。
「ええ。お庭でお花の写真を撮っていると、この時期にはこんなお花がきれいに咲くんだなーとか、季節のイベントを企画していると、毎日をとても愛おしく大事に思えたり。お客様の喜ぶ姿や、大きな仕事を一緒にやり遂げた時の仲間の笑顔。私の周りには、こんなにもすてきなことがいっぱいあるって。それが嬉しくて、楽しくて…これが私の幸せなんだって。だから…」
瑠璃は、麗華の顔をしっかり見据えて言う。
「今、このホテルで働けることを、私は誇りに思います」
輝くような瑠璃の笑顔に、一生は、とてつもなく大きな感情が押し寄せ、体中がしびれるのを感じた。
両手の拳を握りしめ、必死に涙を堪える。
早瀬もまた、目を潤ませながら唇を噛み締めている。
瑠璃はもう一度、麗華の手を両手で優しく包み込んだ。
***
「おはようございます」
次の日の朝、9時前に総支配人室に入ると、一生と早瀬はすでにデスクに向かっていた。
「おはよう。瑠璃さん、夕べ遅かったんだから、もっとゆっくりしていても良かったのに」
早瀬の言葉に、瑠璃は笑う。
「いえ、それが。オフィス棟に泊まったので思いがけず時間がたくさんあって。8時間も寝ちゃいました」
「そう?それならいいんだけど」
「それより、麗華さんは?」
「ああ、まだ寝てるみたい。起きたらこちらにいらっしゃるだろうから、ここで仕事しながら待っていればいいよ」
「はい」
しかし、10時になっても麗華は姿を現さない。
「大丈夫かしら…」
瑠璃は少し心配になってくる。
「そうだね、確かにいつもよりは遅いけど。若い人って、夜ふかしして、お昼まで寝てたりするしね」
「ええ。そうですね…」
だが、11時になっても何の連絡もなかった。
瑠璃はいよいよ、居ても立ってもいられなくなる。
「早瀬さん、内線電話かけてもいいですか?」
早瀬が一生を見ると、一生は頷いてみせた。
「うん、かけてみよう」
瑠璃は、手早くロイヤルスイートの番号を押す。
しかし、呼び出し音が鳴り続けるだけだった。
「私、部屋に行ってみます」
瑠璃がそう言うと、一生も立ち上がった。
「俺も行く。早瀬、マスターキーを」
「かしこまりました」
三人は、急いでロイヤルスイートに向かう。
瑠璃はチャイムを押しながら、ドアをノックする。
「麗華様、早乙女です。いらっしゃいますか?」
何度声をかけても返事はない。
三人の間に、緊張感が走る。
「早瀬、開けてくれ」
「はい」
マスターキーを差し込み、鍵のランプが青に変わる。
ドアノブに手をかけた早瀬の手を、瑠璃が止めた。
「あの、最初に私だけ行かせてください。女性のお客様ですし…」
少しためらったあと、一生は頷いた。
「何かあったらすぐ呼んでください。ここにいますので」
瑠璃は、はいと返事をしてから、ドアを開けた。
「失礼します。麗華様?いらっしゃいますか?早乙女です」
声をかけながら、部屋に入っていく。
通路には、タオルや脱ぎ捨てた服が散らばっていた。
(いつもの靴もある…ということは、やっぱり中にいらっしゃるはず)
呼びかけながら、恐る恐る進んでいく。
バスルームにもトイレにも姿はない。
さらに奥に進むと、ソファやテーブルが見えたがそこにもいない。
カーテンも閉められ、暗がりの中、ドキドキしながら部屋を見回す。
(もう、なんだってこうも広いのよ)
2つ並んだベッドに目をやったが、シーツが乱れているだけで、やはり姿はない。
と、ふとベッドの影から床に足が見えた。
ハッとして瑠璃は慌てて駆け寄る。
下着姿の麗華がうつ伏せに倒れていた。
「れ、麗華様?麗華様!」
必死に耳元で叫ぶ。
すると、うーん…と麗華が顔を歪めた。
反応があったことに少しホッとしながら、瑠璃はなおも名前を呼び続ける。
「麗華様!」
「んー、うるさいってば!」
麗華はゆっくり目を開けた。
「良かった…麗華様?大丈夫ですか?」
「痛い…頭が割れそう」
「え?」
瑠璃は、ふとサイドテーブルに目をやった。
ビールの缶がたくさん転がっている。
(もしかして、二日酔い?)
瑠璃はパタパタと冷蔵庫に向かい、中からミネラルウォーターのペットボトルを取り出すとコップに注いだ。
「麗華様、お水です」
そう言って抱き起こすと、瑠璃からコップを受け取り、一気に飲み干した。
「ふう。あー、まだ頭が重い」
「もう少し横になっていた方がいいですわ。ベッドへ。立てますか?」
肩を貸して立たせると、ドサッと横たわった麗華に毛布をかける。
「何かあったら、内線で呼んでくださいね」
そう言って立ち去ろうとすると、麗華が腕を伸ばして瑠璃の手を取った。
「ねえ、私でもなれる?」
「え?どうしましたか?」
「私もなれるかな?幸せに」
瑠璃は麗華の横にしゃがむと、顔を近づけた。
「もちろん。なれますよ」
「ほんとに?どうやったら?」
「そうですね…」
瑠璃は少し考えてから、もう一度麗華の顔をのぞき込む。
「あなたの周りには、今もきっと、たくさんの幸せの種が散らばっていると思います。そのひとつひとつを大事に、丁寧に向き合っていれば、それがいつか幸せにつながる、私はそう思います」
そう言って瑠璃が微笑むと、麗華も頷いて微笑んだ。
まるで花が咲いたような笑顔だった。
***
「ど、どうでしたか?」
後ろ手にドアを閉めると、一生と早瀬が瑠璃ににじり寄ってきた。
「えーっと、二日酔いでした」
「は?二日酔い?」
拍子抜けしたように二人はため息をつく。
「まったく、お騒がせだなあ」
「ふふ。さ、戻りましょう!」
瑠璃は笑顔で二人をうながした。
昼過ぎになってようやく姿を現した麗華は、遅い朝食を食べながら、これを食べたら帰る、と唐突に言った。
「え?でも滞在は1週間のはずでは…」
「帰るって言ったら帰るの!私だって忙しいんだから」
「は、はあ。かしこまりました」
三人は、キツネにつままれたような顔で頷いた。
***
迎えのリムジンが到着すると、三人は揃って麗華を見送りに出た。
麗華は、はにかんだように笑って、三人にペコリと頭を下げる。
「色々、ありがとうございました」
「いえ。またのお越しをお待ちしております」
一生が総支配人らしくそう言うと、麗華は急にいつもの真顔になった。
「一生さん。私、あなたとは結婚出来ません。諦めてください」
「…は?」
そして隣の早瀬の前に立つと、ポンポンと肩を叩く。
「早瀬…まあ、健闘を祈る!」
「…は?」
最後に麗華は、瑠璃と向き合った。
「早く結婚しなさいよね!私、あなたを手本にするんだから、先に結婚してもらわないと困るの!」
「…は?」
「じゃあねー!」
後ろ向きに手を振ると、麗華は車に乗り込み、あっという間に見えなくなった。
三人は、お辞儀も忘れて呆然とする。
「…プロポーズした覚えもないのに断られた」
「…呼び捨てにされた上に、同情された」
「…早く結婚しろなんて、親にも言われたことないのに」
三人とも、パチパチと瞬きしながら、しばらくは現実に戻れず立ち尽くした。
***
「あ、もしもし?おじい様?」
ホテルをあとにした麗華は、車の中から祖父に電話をかける。
「これから帰るね。うん、とっても楽しかったよ。それでね、おじい様にお願いがあるの」
分かっとるよ。一生くんとの結婚だろう?と言う祖父の言葉を否定する。
「ううん。私、結婚相手は自分で見つけたいの。そうじゃなくてね。おじい様、周りの人に言っておいてくれない?フォルトゥーナはいいホテルだぞー!悪く言うやつは許さんぞー!って。ね?お願い」
麗華のお願いならなんでもするよ、と言われ、麗華はいつもの甘い声で喜んだ。
「ありがとう!おじい様、だーいすき!」
問い詰めるように早瀬を見ると、小さく頷きながらも床に視線を落とす。
そんな二人の様子は目にも留めず、瑠璃はソファに近づいた。
「高坂 麗華様、初めまして。早乙女と申します。滞在中はわたくしがお世話をさせて頂きますので、何なりとお申しつけくださいませ」
麗華は相変わらず足を高く組み、スマートフォンをいじっていたが、ふと顔を上げると、瑠璃を上から下までジロジロと無遠慮に眺め回した。
そしてまた、スマートフォンに視線を戻すと、ボソッと紅茶…と言う。
「はい?」
「だから紅茶!まだ飲んでないの。淹れ直してよ!」
「かしこまりました。お好みの種類はございますか?」
「アールグレイをレモンで。私、それしか飲まないから」
「承知しました。すぐご用意致します」
一生と早瀬は、もはや仕事には手もつけられず、ひたすら目で瑠璃を追う。
瑠璃はカウンター裏で準備をすると、ソファに戻った。
「お待たせ致しました」
麗華の傍らに腰を落とし、丁寧にポットから紅茶を注ぐ。
麗華の前にソーサーを置くと、スッと右側に持ち手がくるように向きを直した。
砂糖と、スライスしたレモンの小皿も並べると、どうぞ、とにこやかな笑顔を麗華に向ける。
麗華は、フンッと言わんばかりの態度で、乱暴にレモンと砂糖を入れると、カチャカチャとスプーンで混ぜてからカップに口をつけた。
「お口に合いますでしょうか?」
「ふん、まあ、いいわ」
瑠璃は頷いて立ち上がった。
と、麗華が瑠璃に声をかける。
「あなたさ、私のクラスメイトにそっくり」
「わたくしが、ですか?」
「そう。女子校の時のクラスメイト。いっつも先生に褒められてた。立ち居振る舞いが美しいわねーとか、所作がきれいだわーとか。でもそいつ、先生がいない時はガサツなの。先生の前だけ上品に振る舞って、媚を売ってた。その嫌なクラスメイトにそっくり!」
思わず一生が立ち上がった時だった。
「まあ、そうなのですね」
そう言って、瑠璃が頷く。
「麗華様は、そのクラスメイトとは今も連絡を?」
「はあ?そんな訳ないでしょ」
「そうですか。どうしておられるのでしょうねえ、その方」
そして、では失礼致しますと頭を下げる。
麗華は、ポカンとした顔で瑠璃を見送った。
***
静かな総支配人室。
一生、早瀬、そして麗華も、チラチラと瑠璃の様子を気にする。
そんな視線など全く気にせず、瑠璃はカタカタとパソコンを操作していた。
先程、瑠璃は麗華に、
ご用があればいつでもお申しつけくださいませ。わたくしはここで仕事をしておりますので。
と言って、早瀬の隣にパソコンを置いた。
早瀬は、
「瑠璃さん、こちら側に」
と言って、前回とは違う自分の左側に座らせた。
自分が電話に出られるように、との意図もあるが、何より麗華から少しでも遠ざけてやりたかった。
しばらくは、それぞれが自分のことに集中し、沈黙が続く。
と、ふいに瑠璃が立ち上がった。
ソファに近づくと、麗華様、と声をかける。
「な、何よ?」
「わたくしこれから、少し席を外させて頂きたいのですが、その前に何かお飲み物でもお持ちしましょうか?」
「いらないわ」
「かしこまりました。30分ほどで戻りますので」
そう言って一礼する。
瑠璃は早瀬に、庭園の写真を撮ってきますと断ってから出口に向かう。
「ちょっと待って」
その背中に麗華が声をかけた。
はい?と振り向いた瑠璃の横を通り過ぎながら、私も行く、と早口で言った。
二人が出ていったあと、早瀬は一生に急いでたずねる。
「どうしましょう、私も追いかけましょうか?」
一生は、考えを巡らせた。
先程の瑠璃の様子…落ち着いていた。
こちらの心配など、まるで気にする素振りもなかった。
「いや、任せよう。瑠璃さんに」
***
瑠璃はロビーを横切り、中庭につながる扉の前に立つと、どうぞ、と麗華をうながす。
庭には、金木犀やダリア、桔梗の花が美しく咲いている。
瑠璃は、スマートフォンで次々と写真を撮っては画面を確認し、その度に嬉しそうに笑った。
「…ねえ、何がそんなに楽しいのよ?」
しばらく瑠璃の様子を黙って見ていた麗華が、呆れたように声をかける。
「すみません、我ながらきれいに撮れたなと思って思わず…」
瑠璃は、満面の笑みでそう答える。
麗華は、近寄ってきて横から画面をのぞき込んだ。
何てことはない、ただの花の写真だった。
「これ、どうするつもりなの?」
「ホテルのSNSや、季節のお便りに載せたりします」
「は?この写真を?加工もしないで?」
「加工?と言うのは…」
「だから、インスタ映えするように、もっと盛るのよ」
「も、もる?」
「そうよ。もっとこう、明るくしたりキラキラさせたり。そんなの普通よ」
「は、はあ…」
瑠璃は気の抜けた返事をする。
麗華はイラッとしたように、自分のスマートフォンで花の写真を撮ると、慣れた手つきで画面を操作し、ほら、と瑠璃に画面を見せた。
「うわー、すごいですね!キラキラして、おとぎの国のお花みたい」
「こんなの、なんだって出来るわよ。ほら、こんなのも」
「まあ!おしゃれですね。こんな縁取りも出来るのですね」
「フレームよ。種類もたくさんある」
へえーと、終始感心しながら麗華の手元を見つめていた瑠璃は、やがてじっと目の前の花を見つめた。
「けれどお花は、やっぱり自然のままの美しさが1番です。私が手を加えることなんて、全く必要とされていないのでしょうね」
そう言うと、麗華に笑いかけた。
「麗華様、このダリアと一緒にお写真撮りますよ。ほら、並んでください」
ええ?と戸惑う麗華を、強引に花の横に立たせると、はい!笑ってーと言って写真を撮る。
「ほら!自然のままが1番きれい!」
ダリアの横で、少し困ったように控えめに笑う麗華の写真を、瑠璃は嬉しそうに見せて笑った。
***
やがて夕食の時間になり、瑠璃は運ばれてきた食事を麗華の前に並べる。
パンのおかわりはいかがですか?お飲み物は?と何度か声をかけるが、麗華はただ、いらないと答えるだけだった。
最後に、デザートのケーキとアールグレイの紅茶をテーブルに置き、どうぞごゆっくりと立ち上がった時だった。
瑠璃の右腕を、麗華がガシッと掴んだ。
「麗華様?どうされました?」
瑠璃が麗華の顔をのぞき込む。
「あんたさ、あんただって金持ちなんでしょ?お嬢様なんでしょ?なのにこんなところで、私みたいな年下のガキにこき使われて…悔しくないの?麗華様なんて言って、平気なの?あんたにはプライドってもんがないわけ?」
ガタガタッと一生と早瀬が立ち上がり、こちらに駆け寄ろうとしていた。
瑠璃は、スッと二人に目線を送り、真剣な顔で首を横に振る。
二人は、ピタリと動きを止めた。
「なんでよ。なんでなのよ。私達はお嬢様なのよ?仕事なんてしなくていい。一生お金に困らないで生きていけるのよ。それって幸せなことでしょ?なのになんで私はっ!」
フォークを何度もケーキに突き刺す麗華の右手を、瑠璃が自分の手を載せて止める。
「ねえ、言ってよ!仕事するなんて不幸だって。ちっともおもしろくないって。働いたっていいことないって。でないと私、何を信じたらいいのよっ!!」
今にも泣き出しそうな麗華の叫び声を、瑠璃は静かに受け止めていた。
麗華の左手を両手で握り、ゆっくりと話し出す。
「ええ、そうですよね。仕事しても幸せだとか、楽しいとか、私も思ったことはなかったです。半年前までは」
視線を落としたまま、瑠璃は続ける。
「親の決めた相手と結婚する、それが私の幸せなんだってずっと思ってました。一生お金に困らずに生きていける、そのことに感謝しなければ、幸せだって思わなければって。でも本当は、苦しかったです。そしてそんな弱い私の態度で、相手を傷つけてしまいました」
麗華は、黙って瑠璃の話を聞いている。
「そんな時、ちょっとしたことがきっかけで、このホテルで働くことになりました。意欲的に自分から働きたいと思った訳でもなく、むしろ自分に出来ることなんてあるのだろうかって、最初はそんな感じでした。でも、気づけば仕事に夢中になっていました。ここで働くと、なんて言うか、心が豊かになるんです」
「心が、豊か…?」
怪訝そうに聞き返す麗華に頷く。
「ええ。お庭でお花の写真を撮っていると、この時期にはこんなお花がきれいに咲くんだなーとか、季節のイベントを企画していると、毎日をとても愛おしく大事に思えたり。お客様の喜ぶ姿や、大きな仕事を一緒にやり遂げた時の仲間の笑顔。私の周りには、こんなにもすてきなことがいっぱいあるって。それが嬉しくて、楽しくて…これが私の幸せなんだって。だから…」
瑠璃は、麗華の顔をしっかり見据えて言う。
「今、このホテルで働けることを、私は誇りに思います」
輝くような瑠璃の笑顔に、一生は、とてつもなく大きな感情が押し寄せ、体中がしびれるのを感じた。
両手の拳を握りしめ、必死に涙を堪える。
早瀬もまた、目を潤ませながら唇を噛み締めている。
瑠璃はもう一度、麗華の手を両手で優しく包み込んだ。
***
「おはようございます」
次の日の朝、9時前に総支配人室に入ると、一生と早瀬はすでにデスクに向かっていた。
「おはよう。瑠璃さん、夕べ遅かったんだから、もっとゆっくりしていても良かったのに」
早瀬の言葉に、瑠璃は笑う。
「いえ、それが。オフィス棟に泊まったので思いがけず時間がたくさんあって。8時間も寝ちゃいました」
「そう?それならいいんだけど」
「それより、麗華さんは?」
「ああ、まだ寝てるみたい。起きたらこちらにいらっしゃるだろうから、ここで仕事しながら待っていればいいよ」
「はい」
しかし、10時になっても麗華は姿を現さない。
「大丈夫かしら…」
瑠璃は少し心配になってくる。
「そうだね、確かにいつもよりは遅いけど。若い人って、夜ふかしして、お昼まで寝てたりするしね」
「ええ。そうですね…」
だが、11時になっても何の連絡もなかった。
瑠璃はいよいよ、居ても立ってもいられなくなる。
「早瀬さん、内線電話かけてもいいですか?」
早瀬が一生を見ると、一生は頷いてみせた。
「うん、かけてみよう」
瑠璃は、手早くロイヤルスイートの番号を押す。
しかし、呼び出し音が鳴り続けるだけだった。
「私、部屋に行ってみます」
瑠璃がそう言うと、一生も立ち上がった。
「俺も行く。早瀬、マスターキーを」
「かしこまりました」
三人は、急いでロイヤルスイートに向かう。
瑠璃はチャイムを押しながら、ドアをノックする。
「麗華様、早乙女です。いらっしゃいますか?」
何度声をかけても返事はない。
三人の間に、緊張感が走る。
「早瀬、開けてくれ」
「はい」
マスターキーを差し込み、鍵のランプが青に変わる。
ドアノブに手をかけた早瀬の手を、瑠璃が止めた。
「あの、最初に私だけ行かせてください。女性のお客様ですし…」
少しためらったあと、一生は頷いた。
「何かあったらすぐ呼んでください。ここにいますので」
瑠璃は、はいと返事をしてから、ドアを開けた。
「失礼します。麗華様?いらっしゃいますか?早乙女です」
声をかけながら、部屋に入っていく。
通路には、タオルや脱ぎ捨てた服が散らばっていた。
(いつもの靴もある…ということは、やっぱり中にいらっしゃるはず)
呼びかけながら、恐る恐る進んでいく。
バスルームにもトイレにも姿はない。
さらに奥に進むと、ソファやテーブルが見えたがそこにもいない。
カーテンも閉められ、暗がりの中、ドキドキしながら部屋を見回す。
(もう、なんだってこうも広いのよ)
2つ並んだベッドに目をやったが、シーツが乱れているだけで、やはり姿はない。
と、ふとベッドの影から床に足が見えた。
ハッとして瑠璃は慌てて駆け寄る。
下着姿の麗華がうつ伏せに倒れていた。
「れ、麗華様?麗華様!」
必死に耳元で叫ぶ。
すると、うーん…と麗華が顔を歪めた。
反応があったことに少しホッとしながら、瑠璃はなおも名前を呼び続ける。
「麗華様!」
「んー、うるさいってば!」
麗華はゆっくり目を開けた。
「良かった…麗華様?大丈夫ですか?」
「痛い…頭が割れそう」
「え?」
瑠璃は、ふとサイドテーブルに目をやった。
ビールの缶がたくさん転がっている。
(もしかして、二日酔い?)
瑠璃はパタパタと冷蔵庫に向かい、中からミネラルウォーターのペットボトルを取り出すとコップに注いだ。
「麗華様、お水です」
そう言って抱き起こすと、瑠璃からコップを受け取り、一気に飲み干した。
「ふう。あー、まだ頭が重い」
「もう少し横になっていた方がいいですわ。ベッドへ。立てますか?」
肩を貸して立たせると、ドサッと横たわった麗華に毛布をかける。
「何かあったら、内線で呼んでくださいね」
そう言って立ち去ろうとすると、麗華が腕を伸ばして瑠璃の手を取った。
「ねえ、私でもなれる?」
「え?どうしましたか?」
「私もなれるかな?幸せに」
瑠璃は麗華の横にしゃがむと、顔を近づけた。
「もちろん。なれますよ」
「ほんとに?どうやったら?」
「そうですね…」
瑠璃は少し考えてから、もう一度麗華の顔をのぞき込む。
「あなたの周りには、今もきっと、たくさんの幸せの種が散らばっていると思います。そのひとつひとつを大事に、丁寧に向き合っていれば、それがいつか幸せにつながる、私はそう思います」
そう言って瑠璃が微笑むと、麗華も頷いて微笑んだ。
まるで花が咲いたような笑顔だった。
***
「ど、どうでしたか?」
後ろ手にドアを閉めると、一生と早瀬が瑠璃ににじり寄ってきた。
「えーっと、二日酔いでした」
「は?二日酔い?」
拍子抜けしたように二人はため息をつく。
「まったく、お騒がせだなあ」
「ふふ。さ、戻りましょう!」
瑠璃は笑顔で二人をうながした。
昼過ぎになってようやく姿を現した麗華は、遅い朝食を食べながら、これを食べたら帰る、と唐突に言った。
「え?でも滞在は1週間のはずでは…」
「帰るって言ったら帰るの!私だって忙しいんだから」
「は、はあ。かしこまりました」
三人は、キツネにつままれたような顔で頷いた。
***
迎えのリムジンが到着すると、三人は揃って麗華を見送りに出た。
麗華は、はにかんだように笑って、三人にペコリと頭を下げる。
「色々、ありがとうございました」
「いえ。またのお越しをお待ちしております」
一生が総支配人らしくそう言うと、麗華は急にいつもの真顔になった。
「一生さん。私、あなたとは結婚出来ません。諦めてください」
「…は?」
そして隣の早瀬の前に立つと、ポンポンと肩を叩く。
「早瀬…まあ、健闘を祈る!」
「…は?」
最後に麗華は、瑠璃と向き合った。
「早く結婚しなさいよね!私、あなたを手本にするんだから、先に結婚してもらわないと困るの!」
「…は?」
「じゃあねー!」
後ろ向きに手を振ると、麗華は車に乗り込み、あっという間に見えなくなった。
三人は、お辞儀も忘れて呆然とする。
「…プロポーズした覚えもないのに断られた」
「…呼び捨てにされた上に、同情された」
「…早く結婚しろなんて、親にも言われたことないのに」
三人とも、パチパチと瞬きしながら、しばらくは現実に戻れず立ち尽くした。
***
「あ、もしもし?おじい様?」
ホテルをあとにした麗華は、車の中から祖父に電話をかける。
「これから帰るね。うん、とっても楽しかったよ。それでね、おじい様にお願いがあるの」
分かっとるよ。一生くんとの結婚だろう?と言う祖父の言葉を否定する。
「ううん。私、結婚相手は自分で見つけたいの。そうじゃなくてね。おじい様、周りの人に言っておいてくれない?フォルトゥーナはいいホテルだぞー!悪く言うやつは許さんぞー!って。ね?お願い」
麗華のお願いならなんでもするよ、と言われ、麗華はいつもの甘い声で喜んだ。
「ありがとう!おじい様、だーいすき!」
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