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やっと気付いてくれました?!
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「はあ、もう、魂が抜けた…」
披露宴は無事にお開きとなり、身支度を整えた新郎新婦を見送ると、オフィスに戻った真菜は、デスクにバタリと突っ伏した。
「齊藤 真菜…、もはや胸が一杯です」
ボーッと呆けていると、久保にバシッと背中を叩かれた。
「いったーい!」
「何ボーッとしてるの!ほら、取材行ってらっしゃい。記者さん、サロンでお待ちよ」
「取材?取材…って。ああー!」
真菜は、ガバッと立ち上がると、急いでオフィスを出た。
「す、す、すみません!私ったら、途中から取材の事すっかり忘れてしまって…。菊池さんのことも、放ったらかしにしてしまいましたよね。本当にすみません」
サロンのテーブルで、何やら熱心にパソコンに打ち込んでいた菊池が、顔を上げて真菜に微笑む。
「いいえー。とっても素晴らしい式と披露宴だったわ。もう私、興奮しちゃって、手が止まらないの。すっごくいい記事になりそう」
お時間あるかしら?少しお話聞かせてもらえる?と言われ、はいと頷いた真菜は、菊池の斜め向かいに座っている人物に気付いた。
(誰?…って、真さんかいっ!忘れてた…この人も今日来てたんだ)
はあ、とため息をつきながら、真菜は真の隣の椅子に座った。
「じゃあ、真菜さんがウェディングプランナーを目指したのは、結婚式に憧れてたから?」
「はい。子どもの頃からお姫様ごっこが好きで、結婚式にも人一倍憧れが強かったんです。自分の時は、どんなドレスでどんな髪型にしようかなー、とか、式場はどこがいいかな?どんな式にしようかなって」
「なるほどねー」
真菜の話を聞きながら、菊池はパソコンをカタカタと打ち込んでいく。
「では、数あるウェディング会社の中から、このアニヴェルセル・エトワールを就職先に選んだのはなぜ?」
「はい。他の式場では、例えばプランナーは打ち合わせだけ、ドレス選びは衣裳係に、当日のサポートは介添えに任せるって所が多かったんです。でもここは、新郎新婦のお二人を、初めましての時から、挙式後におめでとうございましたとお見送りするまで、ずっと担当させてもらえます。私、せっかく担当させてもらえたお客様は、挙式と披露宴までずっと関わらせてもらいたくて、当日もお二人のそばでお手伝いしたくて。だからここで働こうと思いました」
「なるほど。それであんなにも、今日の新郎新婦とも打ち解けていたのね。私、もらい泣きしちゃいましたよ。さっきの披露宴」
す、すみません、と真菜は気まずくなってうつむく。
「いいえ、本当に素敵でしたよ。では続いて専務の齊藤さんにもお話聞かせてもらえますか?御社では、現場のスタッフをどの様に指導されているのですか?こちらのスタッフの方は、皆様、とても優れていらっしゃるとお見受けしましたが」
「いえ、弊社では、本社の人間が現場のスタッフを直接指導する事はありません。マニュアルや決まりなども一切なく、全て現場に任せています」
真が、淡々と話し出す。
「へえー、それは驚きました。でもなぜですか?スタッフの質、と言っては失礼ですが、接客態度など、きちんと出来ているか気になりませんか?」
「お客様のことを1番良く分かっているのは、現場にいるスタッフです。本社の人間は、お客様と接する機会もほとんどなく、挙式や披露宴でも、細部まで気が回りません。おかしな話、本社の役員達がお客様を担当しても、挙式や披露宴を滞りなく執り行う事は出来ないでしょう。私は現場のスタッフ1人1人を信頼し、そして尊敬しています。彼らはそれぞれのプロとして仕事をこなしてくれており、お客様から感謝のお言葉を頂く事も多いです」
菊池は大きく頷く。
「それは、今日1日拝見していて私も良く分かりました。こちらのスタッフの方々は、誰かに指示される事は全くなく、いつも自ら進んで行動されていました。そして連携も素晴らしい。きっとお互いを信頼し合っているからなのでしょうね」
「ありがとうございます」
真剣に話をしていた菊池は、やがてパソコンを打つ手を止めて、顔を上げた。
「では最後に、せっかくですから、真菜さんと専務がお話されてる様子を写真に撮らせて頂けますか?お互い笑顔でお願いします」
「は?!」
真菜は、すっとんきょうな声を上げる。
「いえ、あの、専務は雲の上の存在ですから、私の様な下々の者とお話なんてそんな、滅相もない」
真菜がブンブン手を振っていると、隣から、
よく言うよ、と声がした。
「…はい?今、何かおっしゃいました?」
「別に。どの口が言ってんだって思っただけだ」
「この口ですけど、何か?」
小声でいがみ合う真菜と真を、まあまあと菊池がなだめる。
「えっと、さっきまで非常に良いお話を聞かせて頂いてましたが、どうしたんでしょうかねえ、ははは。では、とにかくお二人並んだお写真だけ撮らせて下さいね」
もう少し近付いて、と言われ、仕方なく真菜は真と肩を並べる。
と、ふいに真が声をかけてきた。
「おい、お前、その顔どうにかしろ」
「はいー?私に喧嘩売ってます?」
「そうじゃない。いくらなんでも酷すぎるぞ」
「失礼な!うら若き乙女に、顔が酷すぎるとは。例えお偉い方のお言葉でも、黙って聞き流す訳にはいきませぬ」
「その変な口調もやめろ。とにかく、鏡見て来い」
真菜がムッとすると、菊池も恐る恐る口を挟む。
「確かに。あの…真菜さん?ちょっとこれ見て?」
そう言って菊池が差し出したコンパクトミラーを覗き込み、真菜は、ギャー!と悲鳴を上げた。
「ったくもう、どんなに涙もろい新婦様だって、ここまで目を腫らした事はなかったわよ?もはや、私のメイクでも隠し切れん」
そう言って希は、ガーゼで包んだ保冷剤を真菜の両目に当てた。
「あー、気持ちいいー」
真菜は上を向いたまま、希に身を任せている。
久保はサロンに行き、真菜の顔を修復しますので、少々お待ち頂けますか?と、菊池と真に声をかけた。
仕方なく、二人はそのまま座って待つ。
菊池は自社の雑誌、ドリーム ウェディングをペラペラめくりながら、真に話しかけた。
「御社のブライダルフェアのお写真、いつも素敵ですよねー。このカップル、凄い美男美女ですけど、いつもこのモデルさんに頼んでいらっしゃるんですか?」
「そういう訳ではないです。別のモデルがやる時もありますし…」
そこまで言ってから、真は急に、あー!と声を上げて、菊池を驚かせた。
披露宴は無事にお開きとなり、身支度を整えた新郎新婦を見送ると、オフィスに戻った真菜は、デスクにバタリと突っ伏した。
「齊藤 真菜…、もはや胸が一杯です」
ボーッと呆けていると、久保にバシッと背中を叩かれた。
「いったーい!」
「何ボーッとしてるの!ほら、取材行ってらっしゃい。記者さん、サロンでお待ちよ」
「取材?取材…って。ああー!」
真菜は、ガバッと立ち上がると、急いでオフィスを出た。
「す、す、すみません!私ったら、途中から取材の事すっかり忘れてしまって…。菊池さんのことも、放ったらかしにしてしまいましたよね。本当にすみません」
サロンのテーブルで、何やら熱心にパソコンに打ち込んでいた菊池が、顔を上げて真菜に微笑む。
「いいえー。とっても素晴らしい式と披露宴だったわ。もう私、興奮しちゃって、手が止まらないの。すっごくいい記事になりそう」
お時間あるかしら?少しお話聞かせてもらえる?と言われ、はいと頷いた真菜は、菊池の斜め向かいに座っている人物に気付いた。
(誰?…って、真さんかいっ!忘れてた…この人も今日来てたんだ)
はあ、とため息をつきながら、真菜は真の隣の椅子に座った。
「じゃあ、真菜さんがウェディングプランナーを目指したのは、結婚式に憧れてたから?」
「はい。子どもの頃からお姫様ごっこが好きで、結婚式にも人一倍憧れが強かったんです。自分の時は、どんなドレスでどんな髪型にしようかなー、とか、式場はどこがいいかな?どんな式にしようかなって」
「なるほどねー」
真菜の話を聞きながら、菊池はパソコンをカタカタと打ち込んでいく。
「では、数あるウェディング会社の中から、このアニヴェルセル・エトワールを就職先に選んだのはなぜ?」
「はい。他の式場では、例えばプランナーは打ち合わせだけ、ドレス選びは衣裳係に、当日のサポートは介添えに任せるって所が多かったんです。でもここは、新郎新婦のお二人を、初めましての時から、挙式後におめでとうございましたとお見送りするまで、ずっと担当させてもらえます。私、せっかく担当させてもらえたお客様は、挙式と披露宴までずっと関わらせてもらいたくて、当日もお二人のそばでお手伝いしたくて。だからここで働こうと思いました」
「なるほど。それであんなにも、今日の新郎新婦とも打ち解けていたのね。私、もらい泣きしちゃいましたよ。さっきの披露宴」
す、すみません、と真菜は気まずくなってうつむく。
「いいえ、本当に素敵でしたよ。では続いて専務の齊藤さんにもお話聞かせてもらえますか?御社では、現場のスタッフをどの様に指導されているのですか?こちらのスタッフの方は、皆様、とても優れていらっしゃるとお見受けしましたが」
「いえ、弊社では、本社の人間が現場のスタッフを直接指導する事はありません。マニュアルや決まりなども一切なく、全て現場に任せています」
真が、淡々と話し出す。
「へえー、それは驚きました。でもなぜですか?スタッフの質、と言っては失礼ですが、接客態度など、きちんと出来ているか気になりませんか?」
「お客様のことを1番良く分かっているのは、現場にいるスタッフです。本社の人間は、お客様と接する機会もほとんどなく、挙式や披露宴でも、細部まで気が回りません。おかしな話、本社の役員達がお客様を担当しても、挙式や披露宴を滞りなく執り行う事は出来ないでしょう。私は現場のスタッフ1人1人を信頼し、そして尊敬しています。彼らはそれぞれのプロとして仕事をこなしてくれており、お客様から感謝のお言葉を頂く事も多いです」
菊池は大きく頷く。
「それは、今日1日拝見していて私も良く分かりました。こちらのスタッフの方々は、誰かに指示される事は全くなく、いつも自ら進んで行動されていました。そして連携も素晴らしい。きっとお互いを信頼し合っているからなのでしょうね」
「ありがとうございます」
真剣に話をしていた菊池は、やがてパソコンを打つ手を止めて、顔を上げた。
「では最後に、せっかくですから、真菜さんと専務がお話されてる様子を写真に撮らせて頂けますか?お互い笑顔でお願いします」
「は?!」
真菜は、すっとんきょうな声を上げる。
「いえ、あの、専務は雲の上の存在ですから、私の様な下々の者とお話なんてそんな、滅相もない」
真菜がブンブン手を振っていると、隣から、
よく言うよ、と声がした。
「…はい?今、何かおっしゃいました?」
「別に。どの口が言ってんだって思っただけだ」
「この口ですけど、何か?」
小声でいがみ合う真菜と真を、まあまあと菊池がなだめる。
「えっと、さっきまで非常に良いお話を聞かせて頂いてましたが、どうしたんでしょうかねえ、ははは。では、とにかくお二人並んだお写真だけ撮らせて下さいね」
もう少し近付いて、と言われ、仕方なく真菜は真と肩を並べる。
と、ふいに真が声をかけてきた。
「おい、お前、その顔どうにかしろ」
「はいー?私に喧嘩売ってます?」
「そうじゃない。いくらなんでも酷すぎるぞ」
「失礼な!うら若き乙女に、顔が酷すぎるとは。例えお偉い方のお言葉でも、黙って聞き流す訳にはいきませぬ」
「その変な口調もやめろ。とにかく、鏡見て来い」
真菜がムッとすると、菊池も恐る恐る口を挟む。
「確かに。あの…真菜さん?ちょっとこれ見て?」
そう言って菊池が差し出したコンパクトミラーを覗き込み、真菜は、ギャー!と悲鳴を上げた。
「ったくもう、どんなに涙もろい新婦様だって、ここまで目を腫らした事はなかったわよ?もはや、私のメイクでも隠し切れん」
そう言って希は、ガーゼで包んだ保冷剤を真菜の両目に当てた。
「あー、気持ちいいー」
真菜は上を向いたまま、希に身を任せている。
久保はサロンに行き、真菜の顔を修復しますので、少々お待ち頂けますか?と、菊池と真に声をかけた。
仕方なく、二人はそのまま座って待つ。
菊池は自社の雑誌、ドリーム ウェディングをペラペラめくりながら、真に話しかけた。
「御社のブライダルフェアのお写真、いつも素敵ですよねー。このカップル、凄い美男美女ですけど、いつもこのモデルさんに頼んでいらっしゃるんですか?」
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