9 / 97

才能

とりあえず水魔法を試してみよう。

さっきと同じ要領でいいんだとすると、難しくはない。

私は火球があらわれるのをイメージしたときと同様のイメージで……

手のひらの上に水球が現れるイメージをした。

すると。

(おお……!)

水球の生成に成功する。

魔法って面白い!

私は興奮で、心がワクワクした。

もっといろいろ試してみたい。

この水球……凍らせたりできないかな?

とりあえず、やってみよう。

……結果。

できない。

なんでだろ?

火や水とは違うのかな?

うーん。

とりあえず。

(チョコレート的な思考をしてみようか)

たとえば。

水を凍らせようと思うんじゃなくて。

チョコレートを凍らせると思ってみよう。

チョコレートを凍らせるといえば。

チョコアイス。

ああ。

チョコアイス、食べたいね。

食べたい。

食べたい。

ぬおおおおおおおおおおおおおお!

「……!」

私は、魔法をイメージした。

すると。

水球が、氷の塊へと変化する。

まるで透明感のあるクリスタルのような氷が、手のひらのうえに浮かんでいた。

(やったー! よくわかんないけど成功した!)

氷魔法だ!

今回の実践で、一つの教訓を得たね。

チョコレートは全てを解決するということ。

さすがチョコレートである。

と、そのときだった。

「な、なにしてるんだ? セレナ?」

クレアベルが、驚いた様子で尋ねてきた。

私は言った。

「あ、ごめんなさい。暇だったから、いろいろ魔法を試してました」

「そうか。……それ、氷か?」

「え? えっと、はい」

「まさか、氷魔法を習得したのか?」

「たぶんそうだと思います」

氷を生成できたんだし、習得した、と言ってもいいよね?

するとクレアベルが、本当に驚いたように言った。

「氷魔法は、私でも習得できないような魔法だぞ?」

「え……そうなんですか?」

「ああ、訓練で習得できる水魔法や火魔法とは違い、氷魔法は、よほどセンスがないと習得できないとされている」

クレアベルいわく。

氷魔法は上級魔法の一つであり、魔法における高い素質がないと使えない。

実際に、習得している人間も限られるという。

ちなみに氷は冷たい飲み物を造ったりするのに用いられるため、氷魔法が使えることは、一芸になるし、カネになるのだそうだ。

「それを、こんなあっという間に習得してしまうなんて、お前は本当にすごいな」

「褒めすぎですよ。習得できたのは偶然です」

私は答える。

実際に、ウソでも謙遜でもない。

本当に偶然、習得できただけだ。

いわばチョコレート魔法によるゴリ押し。

それでなぜ習得できるのかも、正確に分析できていない。

「偶然であれ、なんであれ、習得できたのなら実力さ」

クレアベルは微笑み、述べる。

「以前から思っていたことだが……お前には、天賦てんぷの才が宿っているのかもな」

「天賦の才……」

「ああ。神様から与えられた才能のことだ。お前には他者より抜きんでた何かがある。薄々感じていたことだが、今はっきりと確信したよ。私は、お前の将来が本当に楽しみだ」

「えっと……あはは」

苦笑いをする。

チョコレート魔法の意外性に助けられているだけで……

私に才能なんてないと思うよ。

たぶん。




感想 2

あなたにおすすめの小説

レベル上限5の解体士 解体しかできない役立たずだったけど5レベルになったら世界が変わりました

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
前世で不慮な事故で死んだ僕、今の名はティル 異世界に転生できたのはいいけど、チートは持っていなかったから大変だった 孤児として孤児院で育った僕は育ての親のシスター、エレステナさんに何かできないかといつも思っていた そう思っていたある日、いつも働いていた冒険者ギルドの解体室で魔物の解体をしていると、まだ死んでいない魔物が混ざっていた その魔物を解体して絶命させると5レベルとなり上限に達したんだ。普通の人は上限が99と言われているのに僕は5おかしな話だ。 5レベルになったら世界が変わりました

余命半年のはずが?異世界生活始めます

ゆぃ♫
ファンタジー
静波杏花、本日病院で健康診断の結果を聞きに行き半年の余命と判明… 不運が重なり、途方に暮れていると… 確認はしていますが、拙い文章で誤字脱字もありますが読んでいただけると嬉しいです。

没落した建築系お嬢様の優雅なスローライフ~地方でモフモフと楽しい仲間とのんびり楽しく生きます~

土偶の友
ファンタジー
優雅な貴族令嬢を目指していたクレア・フィレイア。 しかし、15歳の誕生日を前に両親から没落を宣言されてしまう。 そのショックで日本の知識を思いだし、ブラック企業で働いていた記憶からスローライフをしたいと気付いた。 両親に勧められた場所に逃げ、そこで楽しいモフモフの仲間と家を建てる。 女の子たちと出会い仲良くなって一緒に住む、のんびり緩い異世界生活。

異世界修行の旅

甲斐源氏
ファンタジー
何事にも無気力な少年が雷に打たれて死んだ。目の前に現れた神様に奈落へと落とされてしまう。そこでの修行は厳しく、何度も死んでも修行は続いた。そして、修行の第1段階を終えた少年は第2段階として異世界に放り込まれる。そこで様々な人達と出会い、成長していくことになる。

外れスキルは、レベル1!~異世界転生したのに、外れスキルでした!

武蔵野純平
ファンタジー
異世界転生したユウトは、十三歳になり成人の儀式を受け神様からスキルを授かった。 しかし、授かったスキルは『レベル1』という聞いたこともないスキルだった。 『ハズレスキルだ!』 同世代の仲間からバカにされるが、ユウトが冒険者として活動を始めると『レベル1』はとんでもないチートスキルだった。ユウトは仲間と一緒にダンジョンを探索し成り上がっていく。 そんなユウトたちに一人の少女た頼み事をする。『お父さんを助けて!』

転生貴族の移動領地~家族から見捨てられた三子の俺、万能な【スライド】スキルで最強領地とともに旅をする~

名無し
ファンタジー
とある男爵の三子として転生した主人公スラン。美しい海辺の辺境で暮らしていたが、海賊やモンスターを寄せ付けなかった頼りの父が倒れ、意識不明に陥ってしまう。兄姉もまた、スランの得たスキル【スライド】が外れと見るや、彼を見捨ててライバル貴族に寝返る。だが、そこから【スライド】スキルの真価を知ったスランの逆襲が始まるのであった。

異世界転生したので森の中で静かに暮らしたい

ボナペティ鈴木
ファンタジー
異世界に転生することになったが勇者や賢者、チート能力なんて必要ない。 強靭な肉体さえあれば生きていくことができるはず。 ただただ森の中で静かに暮らしていきたい。

アワセワザ! ~異世界乳幼女と父は、二人で強く生きていく~

eggy
ファンタジー
 もと魔狩人《まかりびと》ライナルトは大雪の中、乳飲み子を抱いて村に入った。  村では魔獣や獣に被害を受けることが多く、村人たちが生活と育児に協力する代わりとして、害獣狩りを依頼される。  ライナルトは村人たちの威力の低い攻撃魔法と協力して大剣を振るうことで、害獣狩りに挑む。  しかし年々増加、凶暴化してくる害獣に、低威力の魔法では対処しきれなくなってくる。  まだ赤ん坊の娘イェッタは何処からか降りてくる『知識』に従い、魔法の威力増加、複数合わせた使用法を工夫して、父親を援助しようと考えた。  幼い娘と父親が力を合わせて害獣や強敵に挑む、冒険ファンタジー。 「カクヨム」「小説家になろう」にも掲載しています。