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26話

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俺は…また怪我をした。

しかも…俺の最後の希望だった右足…。
これで、俺の両足は…柔道をやらせてくれないだろう。

美月…怒ってるかな…笑。

俺は…松葉杖をついて…必死にみんなのもとへ戻った。

一哉『…』

武道館の扉を開けて…中へ進む。

ステージが見れる位置に行くと…そこには…。

瑠夏『皆!!いくよー!!!』
観客『ウォォォォォ!!』

一哉『なんだよ…これ…試合は…』

俺はスマホを取り出して、七瀬にかけた。


TEL

一哉『七瀬…?』
七瀬『一哉…大丈夫…?』
一哉『…うん……今どこにいる?』
七瀬『楽屋だけど…だめだよ!?来ちゃ!!安静にしなきゃ…』
一哉『ごめん…もう来てるんだ…』
七瀬『えぇ!?…どこ!?』
一哉『…1階の…勇紀ともめた場所…』
七瀬『わかった…今行くから待ってて』
一哉『…ごめん』


そこから…5分後…七瀬がやって来た。

七瀬『ばか!!なんできたの!!』
一哉『俺は…手術なんてしない…大丈夫だってことを皆に伝えにきた…』
七瀬『ばか!!!左足はシンスプリントになってるはずでしょ!?安静にしなきゃ…本当に…』
一哉『俺がしっかりしなきゃだめなんだよ!!!』
七瀬『…!!』
一哉『俺は…勇紀を追い出した。…瑠夏にも勝った…しかも完敗という形で恥をかかせた。…だったら!!俺が勝ち進まなきゃ…!』
七瀬『…!!』

バシン!!


一哉『…なっ…』
七瀬『馬鹿じゃないの!!!』
一哉『なに……』
七瀬『もういい…勝手にして…』
一哉『待てよ!!』
七瀬『知らない…』

七瀬は…立ち去ってしまった。

一哉『どうしろって言うんだよ…!!!!!』

手術を受けても…術後2週間は動けなくなる。
さらに、リハビリで6ヶ月以上まともに柔道はできない。

世界のレベルの高さに…インターハイの時のような奇跡は通じない。
そもそもが…ロッキングの恐怖を知った体で…戦える世界じゃない。

俺は…もう自由になったはずなのに…
なんでこんな目に…遭わなきゃいけないんだよ…。



七瀬目線


私が…もっと医療に特化してれば…機械じゃないから特化とは
言わないのかな…。
もっと…早く気づいてれば…。

あんなに近くにいたのに…あんなに一緒にいたのに…
気づいてあげれなかった…。

一哉の辛い気持ちをわかってあげれなくて…
私は○○を叩いてしまった…。

最低な彼女だ…婚約までしたのに…。
今までこんな喧嘩したことなかったのに…。

もっと…自分の体を大事にしてよ………
私の気持ちを…わかって…。

違う…そうじゃない…私がもっとわかってあげなきゃ…。
手術をしないなら…私がもっと助けてあげなきゃ…。
するように勧めなきゃ…。



一哉目線

一哉『くそっ!!!!!!』

ドスン!!!!


俺は…近くにあった壁をおもいっきり殴った。

一哉『こんなの…痛くもねぇや…』

?『馬鹿じゃないの』

そこにやって来ていたのは…。
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