例えば、こんな学校生活。

ARuTo/あると

文字の大きさ
5 / 94

5.

しおりを挟む
 渋々、階段を三階まで登り、長い廊下を突き当たりまで進んだ。俺達の一年Dクラスはアルファベット順で最後のクラスにあたるのである。どうやらここが目的の場所らしい。

 教室後方の戸を壱琉がスライドさせると、中に入るよう手招きしてきた。これから一年間過ごしていく教室だというのに俺は「失礼します…」だなんて随分と弱々しい声を漏らしながら中へ入る。

 静まり返った教室。

 フェミニンな香りが鼻孔をくすぐる。

 目に飛び込んできたのは教卓に佇む若い女性教師でプリントを何やら整理している。

 茶がかった黒髪ポニーテールに美しい顔立ち、モデルではないかと疑うほっそりとした足、くびれ。モカ色のカーディガンにこじゃれた模様であしらわれた長めのスカート…ファッションセンスもかなりレベルの高い方ではないだろうか?

 教室の全体像はというと実に閑散としており、その際たる理由としてほぼ全ての席が後方へと寄せられ(掃除をする時のような)、中央に横整列された席が二つ設けられているだけという何とも殺風景な状態だった。

 いや、なんだよこれ。俺ってそんな問題児なの?確かに昨日女子に苦言を吐いたけど、本質だから俺に罪はないはず…もしかしてそれをチクられたのか?

 苦い表情をする俺を見て壱琉は「大丈夫」と補完した上で座るよう促した。席につくが否やプリント束をストンッと立てる音がして、

「おはようございます。皆さんというか…そう!お二方」

 やや不恰好に話し始めた女性教師。

 か、可愛い…じゃなくて何だこのフワフワした先生らしくない先生は。

「おはようございます綾崎先生。なんとか彼を連れてくる事が出来ました」

「ご苦労様ですっ壱琉くん。おお~この子が噂に聞く辰巳(たつみ)くん…なかなかイケメ…」

「先生」

「はっ!そ、そうでしたねっ。早速ですが、これから学期始めの確認テストを行いますっ」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

チート魔力を持ったせいで世界を束ねる管理者に目を付けられたが、巻き込まれたくないので金稼ぎします

桜桃-サクランボ-
ファンタジー
金さえあれば人生はどうにでもなる――そう信じている二十八歳の守銭奴、鏡谷知里。 交通事故で意識が朦朧とする中、目を覚ますと見知らぬ異世界で、目の前には見たことがないドラゴン。 そして、なぜか“チート魔力持ち”になっていた。 その莫大な魔力は、もともと自分が持っていた付与魔力に、封印されていた冒険者の魔力が重なってしまった結果らしい。 だが、それが不幸の始まりだった。 世界を恐怖で支配する集団――「世界を束ねる管理者」。 彼らに目をつけられてしまった知里は、巻き込まれたくないのに狙われる羽目になってしまう。 さらに、人を疑うことを知らない純粋すぎる二人と行動を共にすることになり、望んでもいないのに“冒険者”として動くことになってしまった。 金を稼ごうとすれば邪魔が入り、巻き込まれたくないのに事件に引きずられる。 面倒ごとから逃げたい守銭奴と、世界の頂点に立つ管理者。 本来交わらないはずの二つが、過去の冒険者の残した魔力によってぶつかり合う、異世界ファンタジー。 ※小説家になろう・カクヨムでも更新中 ※表紙:あニキさん ※ ※がタイトルにある話に挿絵アリ ※月、水、金、更新予定!

ネットワーカーな私は異世界でも不労所得で生きたい 悪役令嬢として婚約破棄を狙ったら、王家全員に謙虚な聖女と勘違いされて外堀を埋められました

来栖とむ
ファンタジー
「私の目標は、十七歳での完全リタイア。――それ以外はすべて『ノイズ』ですわ」 ブラックIT企業のネットワークエンジニア兼、ガチ投資家だった前世を持つ公爵令嬢リゼット。 彼女が転生したのは、十七歳の誕生日に「断罪」が待ち受ける乙女ゲームの世界だった。 「婚約破棄? 結構です。むしろ退職金(慰謝料)をいただけます?」 死を回避し、優雅な不労所得生活(FIRE)を手に入れるため、リゼットは前世の知識をフル稼働させる。 魔法を「論理回路」としてハックし、物理法則をデバッグ。 投資理論で王国の経済を掌握し、政治的リスクを徹底的にヘッジ。 ……はずだったのに。 面倒を避けるために効率化した魔法は「神業」と称えられ、 資産を守るために回避した戦争は「救国の奇跡」と呼ばれ、 気づけば「沈黙の賢者」として全国民から崇拝されるハメに!? さらには、攻略対象の王子からは「重すぎる信仰」を向けられ、 ライバルのはずのヒロインは「狂信的な弟子」へとジョブチェンジ。 世界という名のバックエンドをデバッグした結果、リゼットは「世界の管理者(創造主代行)」として、永遠のメンテナンス業務に強制就職(王妃確定)させられそうになっていて――!? 「勘弁して。私の有給休暇(隠居生活)はどこにあるのよ!!」 投資家令嬢リゼットによる、勘違いと爆速の隠居(できない)生活、ここに開幕!

​『イージス艦長、インパール最前線へ。――牟田口廉也に転生した俺は、地獄の餓死作戦を「鉄壁の兵站要塞」に変える』

月神世一
SF
​【あらすじ】 ​「補給がなければ、戦場に立つ資格すらない」 ​ 坂上真一(さかがみ しんいち)、50歳。  かつてイージス艦長として鉄壁の防空網を指揮し、現在は海上自衛隊で次世代艦の兵站システムを設計する男。  背中には若き日の過ちである「仁王」の刺青を隠し持ち、北辰一刀流の達人でもある彼は、ある日、勤務中に仮眠をとる。 ​ 目が覚めると、そこは湿気と熱気に満ちた1944年のビルマだった。  鏡に映っていたのは、小太りで口髭の男――歴史の教科書で見た、あの「牟田口廉也」。 ​ しかも時期は、日本陸軍史上最悪の汚点とされる「インパール作戦」決行の直前。  部下たちは「必勝の精神論」を叫び、無謀な突撃を今か今かと待っている。 ​ (……ふざけるな。俺に、部下を餓死させろと言うのか?) ​ 現代の知識と、冷徹な計算、そして海自仕込みのロジスティクス能力。  すべてを駆使して、坂上(中身)は歴史への介入を開始する。  精神論を振りかざすふりをして上層部を欺き、現地改修で兵器を強化し、密かに撤退路を整備する。 ​ これは、「史上最も無能な指揮官」の皮を被った「現代の有能な指揮官」が、確定した敗北の運命をねじ伏せ、数万の命を救うために戦う、逆転の戦記ドラマ。

俺様御曹司に飼われました

馬村 はくあ
恋愛
新入社員の心海が、与えられた社宅に行くと先住民が!? 「俺に飼われてみる?」 自分の家だと言い張る先住民に出された条件は、カノジョになること。 しぶしぶ受け入れてみるけど、俺様だけど優しいそんな彼にいつしか惹かれていって……

「美少女157人も召喚できるだと!?」社畜の俺、尖ったトラウマを全部『まあるく』収めて大賢者になる。── やっぱりせかいはまあるいほうがいい

あとりえむ
ファンタジー
『ヒロイン全員 挿絵付き』の異世界セラピーファンタジー。あなたの推しのヒロインは誰ですか? 「やはり、世界は丸いほうがいい……」 過労死した元データアナリスト参 一肆(まいる かずし)が女神様から授かったのは、アホみたいな数式から導き出された究極のハーレム召喚だった。 157人のヒロインたちに埋もれて、尖った世界を『まあるく』浄化しくしていく…… Dカップの村娘からIカップの竜の姫君まで、あらゆる属性のヒロイン達と一緒に、襲い来る「社畜のトラウマ」に立ち向かう。 全人類の半分の夢が詰め込まれた、極上のスキンシップの冒険譚が今開幕する! 余談: なお、作者は本作のキャラで恋愛シミュレーション的なwebアプリを作成中だそうです……現在、ようやく一人目が完成したけど大変すぎて早くも心が折れました……と思ったら、何故かもう一本追加で作ったそうです。 ただいま個人サイトにて見切り発車で公開中! 詳細は近況ボードでご確認ください。 https://www.alphapolis.co.jp/diary/view/306787

還暦の性 若い彼との恋愛模様

MisakiNonagase
恋愛
還暦を迎えた和子。保持する資格の更新講習で二十代後半の青年、健太に出会った。何気なくてLINE交換してメッセージをやりとりするうちに、胸が高鳴りはじめ、長年忘れていた恋心に花が咲く。 そんな還暦女性と二十代の青年の恋模様。 その後、結婚、そして永遠の別れまでを描いたストーリーです。 全7話

俺は異世界の潤滑油!~油使いに転生した俺は、冒険者ギルドの人間関係だってヌルッヌルに改善しちゃいます~

あけちともあき
ファンタジー
冒険者ナザルは油使い。 魔力を油に変換し、滑らせたり燃やしたりできるユニークスキル持ちだ。 その特殊な能力ゆえ、冒険者パーティのメインメンバーとはならず、様々な状況のピンチヒッターをやって暮らしている。 実は、ナザルは転生者。 とある企業の中間管理職として、人間関係を良好に保つために組織の潤滑油として暗躍していた。 ひょんなことから死んだ彼は、異世界パルメディアに転生し、油使いナザルとなった。 冒険者の街、アーランには様々な事件が舞い込む。 それに伴って、たくさんの人々がやってくる。 もちろん、それだけの数のトラブルも来るし、いざこざだってある。 ナザルはその能力で事件解決の手伝いをし、生前の潤滑油スキルで人間関係改善のお手伝いをする。 冒険者に、街の皆さん、あるいはギルドの隅にいつもいる、安楽椅子冒険者のハーフエルフ。 ナザルと様々なキャラクターたちが織りなす、楽しいファンタジー日常劇。

上司、快楽に沈むまで

赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。 冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。 だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。 入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。 真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。 ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、 篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」 疲労で僅かに緩んだ榊の表情。 その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。 「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」 指先が榊のネクタイを掴む。 引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。 拒むことも、許すこともできないまま、 彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。 言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。 だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。 そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。 「俺、前から思ってたんです。  あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」 支配する側だったはずの男が、 支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。 上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。 秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。 快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。 ――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。

処理中です...