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11.【挿絵】
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流石大都会だけある。
朝早くだというのに交通量は割と多い。立ち並ぶオフィスや高層ビル。魚眼レンズで覗いたものなら、その空を覆う独特の圧迫感は解りやすく写し出される事だろう。
周囲を見回すとショッピングモールに向かう主婦や、黒いスーツに身を包んだ会社員などが見てとれる。その中でも特に目を引くのがあの濃緑の学生服だろう。
外側線に沿って濃緑の制服の上を横断する白い線。差し色に使われたワインレッドのネクタイにリボン。学校の校章らしきボタンをあしらった金色のボタン。ブレザーは主にそんなデザイン。ズボンとスカートはありきたりな灰色幾何学模様といった具合で構成されている。
これこそが我の通う高校、東京都立豊洲総合高等学校の制服である。誇らしすぎて我と言っちゃうまであるのだ。
バランスのとれた色調はただならぬ品格を醸し出すのだが…いたよ…それをより具体化するような子が。
左髪を結んだ黒髪ロング。腕には濃緑の制服によく似合う牛革ベルトの時計。おまけに顔立ちは整った凛とした佇まい。目は青みがかった黒眼球。覗けば吸い込まれてしまうような深淵…。
実に容姿端麗という言葉が似合う少女である。更に才女という肩書もつくのだろうが、学力の程は分からないので伏せておく。
五、六メートル先をその子が歩いていた。
俺直ぐ後ろを歩く学生集団にも視認できたようで、「あーいう子って本当に要るんだね…」だとか「私もあんな容姿で生まれたらなぁ」と羨む小言が聞こえた。
羨む気持ちはよく分かる。俺も御伽話の世界と思ってましたよ。ガチャでいったら何レアだ?ともかく最高レアリティである事は間違いないだろう。
…そしてそんな学生諸君に朗報だ。なんと縦二連続美男美女揃いだという事を!
そう。その美麗少女の後に続く男子高校生、夜崎辰巳が更なる彩を諸君らに添えようじゃないか。
外面は清楚(自称)な俺はふとマスクを外しながら顔を右にやった。いわゆる甘い横顔をさり気なく見せる作戦。
…。
特に気にかける事もなく、談笑を続ける女子生徒らが通り過ぎていった。道端には彫像が如く硬直した男子生徒が一人。
結果は…予想していた通り何も起きなかった。驚かれることもなく。気にされることもなく。
別に他者の風評など、どうでもいいのだが率直に容姿の実用価値を知りたかった。
なんだ。意外と人って、他人の事は後回しで顔面すら見ていないらしい。
俺は見下すような視線を揺らしながら、再びマスクを着用した。
にしても今日は本当にいい陽気である。
サラサラと葉音をたてながら、柔らかな風に揺れる木々と、等間隔に植えられる植栽の数々。
新たな高校生活は目と鼻の先だ。
朝早くだというのに交通量は割と多い。立ち並ぶオフィスや高層ビル。魚眼レンズで覗いたものなら、その空を覆う独特の圧迫感は解りやすく写し出される事だろう。
周囲を見回すとショッピングモールに向かう主婦や、黒いスーツに身を包んだ会社員などが見てとれる。その中でも特に目を引くのがあの濃緑の学生服だろう。
外側線に沿って濃緑の制服の上を横断する白い線。差し色に使われたワインレッドのネクタイにリボン。学校の校章らしきボタンをあしらった金色のボタン。ブレザーは主にそんなデザイン。ズボンとスカートはありきたりな灰色幾何学模様といった具合で構成されている。
これこそが我の通う高校、東京都立豊洲総合高等学校の制服である。誇らしすぎて我と言っちゃうまであるのだ。
バランスのとれた色調はただならぬ品格を醸し出すのだが…いたよ…それをより具体化するような子が。
左髪を結んだ黒髪ロング。腕には濃緑の制服によく似合う牛革ベルトの時計。おまけに顔立ちは整った凛とした佇まい。目は青みがかった黒眼球。覗けば吸い込まれてしまうような深淵…。
実に容姿端麗という言葉が似合う少女である。更に才女という肩書もつくのだろうが、学力の程は分からないので伏せておく。
五、六メートル先をその子が歩いていた。
俺直ぐ後ろを歩く学生集団にも視認できたようで、「あーいう子って本当に要るんだね…」だとか「私もあんな容姿で生まれたらなぁ」と羨む小言が聞こえた。
羨む気持ちはよく分かる。俺も御伽話の世界と思ってましたよ。ガチャでいったら何レアだ?ともかく最高レアリティである事は間違いないだろう。
…そしてそんな学生諸君に朗報だ。なんと縦二連続美男美女揃いだという事を!
そう。その美麗少女の後に続く男子高校生、夜崎辰巳が更なる彩を諸君らに添えようじゃないか。
外面は清楚(自称)な俺はふとマスクを外しながら顔を右にやった。いわゆる甘い横顔をさり気なく見せる作戦。
…。
特に気にかける事もなく、談笑を続ける女子生徒らが通り過ぎていった。道端には彫像が如く硬直した男子生徒が一人。
結果は…予想していた通り何も起きなかった。驚かれることもなく。気にされることもなく。
別に他者の風評など、どうでもいいのだが率直に容姿の実用価値を知りたかった。
なんだ。意外と人って、他人の事は後回しで顔面すら見ていないらしい。
俺は見下すような視線を揺らしながら、再びマスクを着用した。
にしても今日は本当にいい陽気である。
サラサラと葉音をたてながら、柔らかな風に揺れる木々と、等間隔に植えられる植栽の数々。
新たな高校生活は目と鼻の先だ。
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