雷神姫の異世界現代物語

ユウイチ

文字の大きさ
15 / 50

15 家族会議

しおりを挟む
あれから二週間がたった。

あれから何回も家に帰れないかな~とさりげなくアピールしたけれど、お祖父様に全部却下された。

曰く、また失踪したらどうするんだ、らしい。

心配させすぎたせいで無茶苦茶過保護になってる。お母さんもお父さんもそれに同意してた。

心配かけたのは悪かったけどさ、いくらなんでも行き過ぎだと思う。

それに、そろそろ向こうに行かないとどうなっているかがわからない。一応わたしは統治者だし、命を預かる以上責任がある。

ということでその旨をお祖父様とお父さん、お母さんに伝えたのだけれど


「ダメだ」


「なんで!?」


真っ向から否定された。

いや、また怪我したりとかを心配してるんだろうけど、そんなこと言ってたらこっちの外も歩けない。命の危険といえばこっちにも通り魔とかがいるのだし。


「見ず知らずの者のためにお前が傷付く必要はないだろう」


「傷付くって······」


別にわたしだって進んで傷つこうとしているわけじゃない。というかそんなやつがいてたまるか。

それに


「見ず知らずというわけじゃない。わたしが彼らを受け入れたのだし、責任がある」


「責任なんて····あなたが危険を冒すくらいならしなくていいでしょう?」


「そうだ。別に無理しなくても·····」


別にみんながわたしを心配していってくれているというのはわかる。それでも向こうには少しの間だけでも一緒に過ごした人たちだ。


「それに、わたしのことを慕ってくれている子もいるから」


「·······」


三人が口をつぐんだ。


「·····わかった。そこまで意思が硬いなら仕方ない」


「お父さま!?」


「お義父さん!?」


はあ、と二人の声を聞きながらお祖父様がため息を吐いた。


「仕方ないだろう。詩織は一度決めたら意見を曲げることは殆ど無い。説得も難しいだろう。かと言って止めても黙っていきかねない」


「·····それは、確かに」


「お父さまの血を引いていますからね」


わたしのことをなんだと思ってるのかな?まあ確かに強硬に反対されたら黙っていくことも考えていたけど。なんですぐにそれに思い至るのか。


「行くのはまあ、仕方ないが3つ条件がある」


「········何ですか」


流石に許容範囲外のものは受け入れられないし······お祖父様のことだから無茶なことは言わないと思うけど。


「一つは一週間に一回は顔を出すこと。ちゃんとやれているか確認したいしな」


これはまあ、想定内。当然の条件だ。


「2つ目はなにか困ったら私達に相談すること」


これは·····素直にありがたいな。向こうじゃ立場的におちおち弱気を見せられないし、聞いてくれる人がいるだけでも助かるし。


「3つ目は、絶対に生きて帰ってきなさい。これは前の2つを超える絶対条件だ」


じっと見つめてくる憂いと真剣さを宿したお祖父様の目に素直にうなずく。


「わかった。その条件は守るよ。もともと死ぬ気はないから!」


「うむ。それではこれでいいな、二人とも」


「ええ」


「はい」


お父さんはともかく、お母さんは若干の不満を見せながら一応同意した。


「それじゃあわたしは三日後に行くから」


「「「え?」」」


「え?」


四人で顔を見合わせる。

? と一瞬言っている意味がわからない、と疑問符を浮かべる。


「「「な、なん(ですって~)だって~!!??」」」


「うひゃっ!?」


絶叫が屋敷中に炸裂した。

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

クラス最底辺の俺、ステータス成長で資産も身長も筋力も伸びて逆転無双

四郎
ファンタジー
クラスで最底辺――。 「笑いもの」として過ごしてきた佐久間陽斗の人生は、ただの屈辱の連続だった。 教室では見下され、存在するだけで嘲笑の対象。 友達もなく、未来への希望もない。 そんな彼が、ある日を境にすべてを変えていく。 突如として芽生えた“成長システム”。 努力を積み重ねるたびに、陽斗のステータスは確実に伸びていく。 筋力、耐久、知力、魅力――そして、普通ならあり得ない「資産」までも。 昨日まで最底辺だったはずの少年が、今日には同級生を超え、やがて街でさえ無視できない存在へと変貌していく。 「なんであいつが……?」 「昨日まで笑いものだったはずだろ!」 周囲の態度は一変し、軽蔑から驚愕へ、やがて羨望と畏怖へ。 陽斗は努力と成長で、己の居場所を切り拓き、誰も予想できなかった逆転劇を現実にしていく。 だが、これはただのサクセスストーリーではない。 嫉妬、裏切り、友情、そして恋愛――。 陽斗の成長は、同級生や教師たちの思惑をも巻き込み、やがて学校という小さな舞台を飛び越え、社会そのものに波紋を広げていく。 「笑われ続けた俺が、全てを変える番だ。」 かつて底辺だった少年が掴むのは、力か、富か、それとも――。 最底辺から始まる、資産も未来も手にする逆転無双ストーリー。 物語は、まだ始まったばかりだ。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

死んだはずの貴族、内政スキルでひっくり返す〜辺境村から始める復讐譚〜

のらねこ吟醸
ファンタジー
帝国の粛清で家族を失い、“死んだことにされた”名門貴族の青年は、 偽りの名を与えられ、最果ての辺境村へと送り込まれた。 水も農具も未来もない、限界集落で彼が手にしたのは―― 古代遺跡の力と、“俺にだけ見える内政スキル”。 村を立て直し、仲間と絆を築きながら、 やがて帝国の陰謀に迫り、家を滅ぼした仇と対峙する。 辺境から始まる、ちょっぴりほのぼの(?)な村興しと、 静かに進む策略と復讐の物語。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

冤罪で辺境に幽閉された第4王子

satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。 「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。 辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。

処理中です...