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第6章 狼はすぐそこに(6日目)
6ー2 嘘吐きは人狼の始まり
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9人のうちナイナは調子が悪いと朝から部屋にこもり広間には出てきていない。
「チャイをお持ちしました」
中央窓前にたたずむ7人。ナラヤン、スディープ、イジャイ、ルチアーノ、アッバース、ヴィノード、アディティ。ラジューが彼らに声をかける。
「人狼が入れたものなんて飲めるか。ダウドみたいに殺されたくはない!」
ナラヤンが強く言って手を振る。奥のテーブルに置いておくと移動する彼を追うように七人もソファー回りに動く。
椅子を引っ張ってきて少し離して座るアディティ。
時計側、奥のソファーにヴィノード。テーブルを挟んだ窓側にアッバースとイジャイ。その背中側にスディープとルチアーノが立つ。
アッバースの向こうに椅子を置いてナラヤンが座る。
見事に部屋ごとに分かれている。アディティは思った。
それはそうだろう。「真実」を共有するのは同室者だけだ。
5号室ではスレーシュ、7号室ではニルマラが殺された。
全員が残る唯一の部屋4号室と、脱出権を行使されひとり部屋となったナラヤンの3号室、アディティの10号室の3部屋が何もなかった、夜中に部屋を抜け出た人間もいなかったと証言している。
全ての話が本当ならば誰も犠牲者は出ない。
誰かが、どこかの部屋が嘘を吐いている。
「ぼく貰う」
スディープが回ってテーブルに手を伸ばし、ガラスコップのチャイをぐびぐびと飲んだ。
「おいしい」
言えばラジューが小さく微笑む。続いてアッバースが声をかけたルチアーノにコップを渡し自分も手にしてそれぞれに飲む。
「あの、食事の支度についてですがー」
「それは少しだけ待って。ラジューもここにいてくれる?」
アディティもテーブルからチャイを持ち上げた。彼はその場で頷く。
「ナラヤン。昨日の占いの結果を教えて欲しい」
ソファー向こうの彼に声を響かせる。
「それは会議の時に。言えるのは……昨日はリクエスト通り4号室から占った。で人狼だった」
暗い声。
「それだけだ」
「誰を占った。今言ってくれ」
アッバースが隣に顔を向ける。
少しの後にナラヤンが言った。
「それ意味ないだろう? 人狼部屋がどこかはわかった。誰をなんてもうどうでもいい」
「オイ!」
アッバースは怒鳴る。がすぐに落ち着いて、
「教えてもらわねえと困る。俺は人狼じゃない。うちの部屋に人狼がいるってなら身を守る必要があるんだ」
項垂れたナラヤンが小さく首を横に振るのが見えた。
「俺も人狼じゃない」
ルチアーノが言えば、
「俺だって違う」
「ぼくも違うよ」
イジャイとスディープもそれぞれに主張する。
ナラヤンは4号室が人狼部屋だと暗に言っている。ルチアーノ・イジャイ・スディープに加え親友のアッバースもだと口にしたくないのだろう。
ここにいるのはナラヤンを除けばその4号室の人間と、占いで人狼と出たラジュー、人狼陣営のヴィノードだけだ。
ならば自分が指摘するしかない。
「ナラヤン。私もアッバースのために教えてあげてほしい。4号室は全員が人狼じゃない」
「どうしてそうなる?」
痛みを含んだ声がアッバースとイジャイの頭上を越えアディティに届く。
「ルールから。今朝少しアッバースと話したんだけど今ここにいる人狼は3人か4人だよ」
「だからその4人が、って言わせるな」
「占いでラジューが人狼だと見つけ出したのはあなたでしょ。4号室全員が人狼だったら全部で5人になってしまう。あり得ない」
「!」
ヴィノードが、
「なんでだよ」
と唸る。対してアッバースが、
「このルールを見てくれ」
とテーブルからラミネート紙を掴んでかざした。
「人狼の最大人数と最小人数を考える。まず今残っているのは9人。人狼の方が多かったら『ゲーム』は終わるはずだから5人ってことはない。最大は4人。この場合残りの5人全員が村人ってことになる」
アッバースらしい明るい調子だが場には緊張が走る。
この中の誰が? との疑惑。人狼であることを隠している側の露見の恐怖。
「一方、昨日は人狼にふたりが殺された。ならシャキーラは嘘を言っていたことが明らかだ。あいつはおととい『祝福』をかけて昨日逃げて行った」
5日目脱出権を行使する気なら前夜の4日目に「祝福」で身の安全を計る気持ちもわかる。アディティには責められない。人狼が象を襲ったという自分の推測は場違いだったのだ。
祝福後は人狼が殺害出来る人数が増える。だから昨夜ニルマラとスレーシュが殺された。
「祝福後は1日につきひとりずつ人狼の殺害可能人数が増えるが、その時いる人狼の数が上限だ」
アッバースはルールの書かれた紙を叩く。
「だから昨夜の時点での人狼はふたり。実際ヴィノードたちもナイナもふたりの『人狼』を見ているしな」
「……」
「それから今日は『変成狼』でひとり人狼が増えている」
「……っっ……」
誰かが声を漏らした。
「だから人狼の最低人数は3人。この場合は、」
・人狼3 村人6
・人狼3 象1 村人5
・人狼3 象2 村人4
「の3パターンになる。これに、」
・人狼4 村人5
「を加えた四つの可能性しかここにはない。ラジューが人狼である以上、」
本人は首を横に振るが、
「俺たちの部屋全員が人狼ということはない。ナラヤン、どこか間違ってたら教えてくれ」
彼は時折指を折って少し考えていたが、
「その通りだ。そうか、君は本当に人狼じゃないんだ」
良かったとナラヤンの頬が緩む。
「なら言うよ。人狼はスディープだ」
いっせいに視線が彼に注がれた。当惑の目で彼は首を横に振る。
アッバースは腕を組んで黙り込んだ。
「それなら残りの人狼はイジャイってことになる」
指摘したアディティに、
「なんでだよ! 俺も人狼じゃねえよ。俺たちの部屋からは昨日誰も外になんて出なかったて言っただろっ!」
唾が飛ぶ勢いでイジャイがわめき散らした。
4号室の証言によればアッバースは12時50分に時計を見た時までは起きていた。ルチアーノは自信があるのは12時半まで。イジャイとスディープは寝たり起きたりで何時とは言えないが部屋への出入りには気づかなかったとしている。
「消去法。悪いけど、体型から。ルチアーノだったら背でわかると思う」
独立系で殺戮に手をかけていない人狼がラジューなら、虎面と猿面の人狼は4号室だ。180越えのアッバース、自称160(だが少し足りないとアディティは見ている)のルチアーノなら体格が目立ち過ぎる。残りのイジャイとスディープは男子として平均的な身長だ。
「ぼくも人狼じゃない。本当だよ」
スディープが泣き出しそうな声で訴える。
「アッバース。君を信じる。なら部屋のどこかに人狼だけが出入り出来る別の通路がある。その他に何か可能性は?」
前に言ったのと同じことをナラヤンが訴える。
同室の人間に気づかれないというなら、例えば、
「壁やクローゼットの中、ベッドの下に抜け道があるのかもしれない。上下は確かめられないけど壁二方向は外から調べられる」
アディティは言った。
「ナラヤン。それとヴィノードも立ち合ってもらえるか」
アッバースの求めにそれぞれ了承する。
寝室は奥に窓、外壁に面するのが一面。後の二面は廊下と隣り合う。
隠し扉の類があったなら同室者が気づかなくても仕方がない。アディティがこの仮説に納得出来るのは今も不明なスティーブンの死の原因だ。彼は早いうちにこの手の通路に気付き、どれかで外に出てしまい戻れなくなったのではないか。
沈黙が落ちた広間でアディティは言った。
「後は朝ご飯の後でもいいんじゃない? ただ、そのご飯のことで私とナイナから知らせておくことがある」
聞いた男子はここまでとは別に、ある意味「命に関わる」問題に直面した。
「チャイをお持ちしました」
中央窓前にたたずむ7人。ナラヤン、スディープ、イジャイ、ルチアーノ、アッバース、ヴィノード、アディティ。ラジューが彼らに声をかける。
「人狼が入れたものなんて飲めるか。ダウドみたいに殺されたくはない!」
ナラヤンが強く言って手を振る。奥のテーブルに置いておくと移動する彼を追うように七人もソファー回りに動く。
椅子を引っ張ってきて少し離して座るアディティ。
時計側、奥のソファーにヴィノード。テーブルを挟んだ窓側にアッバースとイジャイ。その背中側にスディープとルチアーノが立つ。
アッバースの向こうに椅子を置いてナラヤンが座る。
見事に部屋ごとに分かれている。アディティは思った。
それはそうだろう。「真実」を共有するのは同室者だけだ。
5号室ではスレーシュ、7号室ではニルマラが殺された。
全員が残る唯一の部屋4号室と、脱出権を行使されひとり部屋となったナラヤンの3号室、アディティの10号室の3部屋が何もなかった、夜中に部屋を抜け出た人間もいなかったと証言している。
全ての話が本当ならば誰も犠牲者は出ない。
誰かが、どこかの部屋が嘘を吐いている。
「ぼく貰う」
スディープが回ってテーブルに手を伸ばし、ガラスコップのチャイをぐびぐびと飲んだ。
「おいしい」
言えばラジューが小さく微笑む。続いてアッバースが声をかけたルチアーノにコップを渡し自分も手にしてそれぞれに飲む。
「あの、食事の支度についてですがー」
「それは少しだけ待って。ラジューもここにいてくれる?」
アディティもテーブルからチャイを持ち上げた。彼はその場で頷く。
「ナラヤン。昨日の占いの結果を教えて欲しい」
ソファー向こうの彼に声を響かせる。
「それは会議の時に。言えるのは……昨日はリクエスト通り4号室から占った。で人狼だった」
暗い声。
「それだけだ」
「誰を占った。今言ってくれ」
アッバースが隣に顔を向ける。
少しの後にナラヤンが言った。
「それ意味ないだろう? 人狼部屋がどこかはわかった。誰をなんてもうどうでもいい」
「オイ!」
アッバースは怒鳴る。がすぐに落ち着いて、
「教えてもらわねえと困る。俺は人狼じゃない。うちの部屋に人狼がいるってなら身を守る必要があるんだ」
項垂れたナラヤンが小さく首を横に振るのが見えた。
「俺も人狼じゃない」
ルチアーノが言えば、
「俺だって違う」
「ぼくも違うよ」
イジャイとスディープもそれぞれに主張する。
ナラヤンは4号室が人狼部屋だと暗に言っている。ルチアーノ・イジャイ・スディープに加え親友のアッバースもだと口にしたくないのだろう。
ここにいるのはナラヤンを除けばその4号室の人間と、占いで人狼と出たラジュー、人狼陣営のヴィノードだけだ。
ならば自分が指摘するしかない。
「ナラヤン。私もアッバースのために教えてあげてほしい。4号室は全員が人狼じゃない」
「どうしてそうなる?」
痛みを含んだ声がアッバースとイジャイの頭上を越えアディティに届く。
「ルールから。今朝少しアッバースと話したんだけど今ここにいる人狼は3人か4人だよ」
「だからその4人が、って言わせるな」
「占いでラジューが人狼だと見つけ出したのはあなたでしょ。4号室全員が人狼だったら全部で5人になってしまう。あり得ない」
「!」
ヴィノードが、
「なんでだよ」
と唸る。対してアッバースが、
「このルールを見てくれ」
とテーブルからラミネート紙を掴んでかざした。
「人狼の最大人数と最小人数を考える。まず今残っているのは9人。人狼の方が多かったら『ゲーム』は終わるはずだから5人ってことはない。最大は4人。この場合残りの5人全員が村人ってことになる」
アッバースらしい明るい調子だが場には緊張が走る。
この中の誰が? との疑惑。人狼であることを隠している側の露見の恐怖。
「一方、昨日は人狼にふたりが殺された。ならシャキーラは嘘を言っていたことが明らかだ。あいつはおととい『祝福』をかけて昨日逃げて行った」
5日目脱出権を行使する気なら前夜の4日目に「祝福」で身の安全を計る気持ちもわかる。アディティには責められない。人狼が象を襲ったという自分の推測は場違いだったのだ。
祝福後は人狼が殺害出来る人数が増える。だから昨夜ニルマラとスレーシュが殺された。
「祝福後は1日につきひとりずつ人狼の殺害可能人数が増えるが、その時いる人狼の数が上限だ」
アッバースはルールの書かれた紙を叩く。
「だから昨夜の時点での人狼はふたり。実際ヴィノードたちもナイナもふたりの『人狼』を見ているしな」
「……」
「それから今日は『変成狼』でひとり人狼が増えている」
「……っっ……」
誰かが声を漏らした。
「だから人狼の最低人数は3人。この場合は、」
・人狼3 村人6
・人狼3 象1 村人5
・人狼3 象2 村人4
「の3パターンになる。これに、」
・人狼4 村人5
「を加えた四つの可能性しかここにはない。ラジューが人狼である以上、」
本人は首を横に振るが、
「俺たちの部屋全員が人狼ということはない。ナラヤン、どこか間違ってたら教えてくれ」
彼は時折指を折って少し考えていたが、
「その通りだ。そうか、君は本当に人狼じゃないんだ」
良かったとナラヤンの頬が緩む。
「なら言うよ。人狼はスディープだ」
いっせいに視線が彼に注がれた。当惑の目で彼は首を横に振る。
アッバースは腕を組んで黙り込んだ。
「それなら残りの人狼はイジャイってことになる」
指摘したアディティに、
「なんでだよ! 俺も人狼じゃねえよ。俺たちの部屋からは昨日誰も外になんて出なかったて言っただろっ!」
唾が飛ぶ勢いでイジャイがわめき散らした。
4号室の証言によればアッバースは12時50分に時計を見た時までは起きていた。ルチアーノは自信があるのは12時半まで。イジャイとスディープは寝たり起きたりで何時とは言えないが部屋への出入りには気づかなかったとしている。
「消去法。悪いけど、体型から。ルチアーノだったら背でわかると思う」
独立系で殺戮に手をかけていない人狼がラジューなら、虎面と猿面の人狼は4号室だ。180越えのアッバース、自称160(だが少し足りないとアディティは見ている)のルチアーノなら体格が目立ち過ぎる。残りのイジャイとスディープは男子として平均的な身長だ。
「ぼくも人狼じゃない。本当だよ」
スディープが泣き出しそうな声で訴える。
「アッバース。君を信じる。なら部屋のどこかに人狼だけが出入り出来る別の通路がある。その他に何か可能性は?」
前に言ったのと同じことをナラヤンが訴える。
同室の人間に気づかれないというなら、例えば、
「壁やクローゼットの中、ベッドの下に抜け道があるのかもしれない。上下は確かめられないけど壁二方向は外から調べられる」
アディティは言った。
「ナラヤン。それとヴィノードも立ち合ってもらえるか」
アッバースの求めにそれぞれ了承する。
寝室は奥に窓、外壁に面するのが一面。後の二面は廊下と隣り合う。
隠し扉の類があったなら同室者が気づかなくても仕方がない。アディティがこの仮説に納得出来るのは今も不明なスティーブンの死の原因だ。彼は早いうちにこの手の通路に気付き、どれかで外に出てしまい戻れなくなったのではないか。
沈黙が落ちた広間でアディティは言った。
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