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終章 魂の行方
9ー2 生者の時間
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「わたしは皆さんに大嘘をついていました」
バスでの近況報告はマーダヴァンの衝撃的告白で波乱の幕開けとなった。
「わたしは看護師ではなかったんです。病院で掃除や物の運搬やその他色々を引き受ける雑役夫でした。ずっと中で見ていたから演れると思ったんです」
「いやだって……」
絶句するスンダルに返す微笑みは変わらず穏やかだ。
「例のお金で学校に行って、今では本物の看護師ですから安心してください」
取り出した病院の職員証を見せる。
手に取ってまじまじと見てから返して、
「どうしてそんなことしたんです?」
驚きから醒めやらぬ顔で尋ねる。
「誰かひとり医療のことがわかる人がいると思えば安心するんじゃないかと思ったからだね」
目を細める。
元はと言えば、初日に逃亡を企て塀の上で感電死した少年に動揺してベランダから手を延ばすクリスティーナに、
『わたしは看護師です』
ととっさに言ったのが始まりだった。
「同じ言葉を話す同胞へ嘆いてベランダから滑り降りてしまうのではないかと心配でした。後から思えばクリスティーナさんならそんなことはしないとわかるのですが、まだどなたがどういう方かもわからない時期でしたから」
その後それらしき事を話し行動してきたがプージャの処置だけは自信がなかった。
本物の看護師だったなら自傷した彼女を死なせずに済んだのではないかー
その悔いと手元に来たお金が原動力となった。
「多くのいい出会いに恵まれました」
看護系受験用の塾に願書を出そうと並んでいた時、前にいた高校生と話した。
『あの、決してライバルを減らそうとかじゃないんですけど、このコースだと少し違うんじゃないかと思います』
高校生向け、それもハイレベルな受験に特化した内容だ。一度学校から離れた人がやり直すには向かないのではないか。願書受付以外に相談の窓口もあるそうだから聞いてみたらと勧めてくれた。
カウンセリングに出向くとやはり首を傾げられた。
家庭教師が付けられるなら別だがと追い返しにかかられたのに、
『わたしはお金はありませんが応援してくださる方がいます。出資のための見積りを書いていただけますか?』
家庭教師を紹介してもらい、塾へは追い込みシーズンだけ通った。
貧しい人間が急に小金持ったとわかれば、力ある人々はありとあらゆる圧力をかけて奪い取り自分のものとする。まして人狼ゲームの賞金は小金どころか結構な金額だ。
それがわからないほど愚かではない。
マーダヴァンは表に金銭的余裕が出ないよう注意して暮らしていた。
「小金っていうより一気に大金持ちになった気分だったけどなオレは」
スンダルの主張だ。
自分の学費などにまず使ったろうが、賞金の多くを彼はリアル人狼ゲームを企てた人間との闘いと被害者の補償に費やしている。
「お金持ちならロハンだろう? あの程度の金額なら実家の土地をちょっと売ればって言ってたと思うけど」
マーダヴァンがちらりと横目で見れば本人は天井に視線を廻らせる。
「金は動かせますけど故国に帰れる方が俺はいいかな」
念願叶った入学の日、多くの在校生が前庭で迎える中マーダヴァンは左右を見回しながら歩いた。学校に明確な目的持って通う。新しい現実が始まった。
『マーダヴァンさん?』
女性の声だ。
こういう所に知り合いがいるとは思えないが、と振り向き反応を失った。
『……レイチェル。だったよね。無事だったんだ、よかった!』
ようやく口を開く。ロハンとプラサット、レイチェルの三人は逃走ルートが違い安否を確認することが出来なかった。未成年の女性が生還出来たのはいいことだがー
彼女はマーダヴァンの顔と胸に付いたピンクのリボンの花を交互に見遣った。
細いリボンを花びら型にして留めたピンクの花は看護科の新入生の印だ。
『ごめん。わたしは嘘を吐いていた!』
九十度に腰を折って平謝りし今のように説明した。
『わたしは、あなたみたいに成りたくてここに入ったのに!!』
叫ばれた時はいたたまれず間もなく逃げるようにその場を去った。
「天地がひっくり返って再度天地創造が始まったかと思った」
マーダヴァンの隣でレイチェルが肩をすくめる。
「生き延びて戻ってから考えたんです。この人みたいになれたらって。わたしは頭も良くないし性格もそんなに良くないけど、でも何か人に出来たらいい。看護師だったら少なくとも仕事でたくさんの人を助けられる。せめて外側だけでも真似出来るならって」
真っ白になって帰宅してから考えた。
自分は高校在学中に猛勉強しても看護科へは成績が届かなかった。
マーダヴァンが勉強をやり直して看護科へ入ったのは凄いことではないか?
翌日、昼の時間に食堂に陣取ってマーダヴァンを見つけて声をかけた。ドンと白いテーブルの正面に座り、
『教科書、先輩からもらいました?』
『いいや。気がついたらあぶれてた』
レイチェルは三冊を重ねて差し出した。
看護科は圧倒的に女子学生が多い。少数派の男性は取りこぼされるか、同じく少数の男子上級生に目をかけられるかどちらだろうと思ったが前者だったようだ。
『もし良かったら。共通科目の本です。線とか引いちゃってて綺麗じゃないのが気にならなければ』
『いいの? ありがとう!』
マーダヴァンは目を輝かせた。医療系の本は高価で節約は皆が考える。
「レイチェルの教科書は大事な所にきちんと線が引かれていて、内容がとても理解しやすかったんです。家庭教師になってくれたようなものでした。それでお礼に食事に誘って、何度もやりとりがあって、まあそういうことにー」
「この人、食事の時でも何でもどうやったら患者さんのためになるかってことばかり話してたんですよ。ただ治すだけではなくて少しでも患者さんの苦痛を減らしたいって。お義母様が長く病気でいらして余計気遣うようになったみたいなんだけど……。思ったんです」
この人は自分が憧れたままの人だ。
自分は間違っていなかった!
「わたしが就職したところで結婚することにしました」
マーダヴァンが続ける。
「頼りないと思われるのはもっともなことでスムーズとは言えませんでしたが、最終的にお義父様からお許しをいただけました。思いがけなく立派な新婚旅行もいただきましたし」
裏を見せずにこにこ笑うのはなかなか食えないところだ。
一方レイチェルは憤懣やる方ない様子で主張する。
「ここの人ならわかってもらえると思うんですけど。あの酷い『ゲーム』の中で最初から最後まで、そして再会しても彼は全く変わらなかったんです。いつでも周りの人を思いやっていました。何が逆玉です? 最高の男性と結婚したのはわたしの方ですから!」
「だから、わたしは大嘘吐きだったって皆さんに謝罪しているところなんだよ、今」
このあたりになるとバスは生温かい視線に満ちてきた。
交際中は宗教まで違い家族や親戚あたりが障害になったことはたやすく想像出来るが、新婚夫婦の惚気合いは勝手にしろといったところだ。
「職業詐称は私だけじゃなかったってことね」
とはラクシュミだ。彼女は連中から「職業詐称女」と呼ばれていたと報告書にあった。
「ラクシュミさんは『職業』では嘘を吐いていないでしょう。実際水道のお仕事をしていらしたんだし。公務員なのを隠すのはわかりますしね」
かばうマーダヴァン。
「マーダヴァンの方は職場は本当だったってことだよね。病院に勤めていたことは間違いないんだから」
とアンビカ。
「殺されなくてよかったよな」
女が「上方」の婚姻や交際は名誉殺人の種になりうる。踏まえてロハンが趣味の悪いことを言えばスンダルが続けて、
「役所も襲われなかったし」
「わたしそんな大物じゃないですから」
レイチェルは憮然として返した。
「あのさ。レイチェルがマーダヴァンを気に入ったのはわかるんだけど、マーダヴァンの方はどうだったの? 結婚したいって思ったきっかけってある?」
アンビカが尋ねた。
「わたしは元々人生が楽しい人間なんです」
口を横に結び少し緊張を見せるレイチェルの隣で普通に説明する。
「ただ、この人といると『すごく楽しい』の山がいっぱい来ました」
大きな波を手で描く。
「一緒にいたら人生もっと楽しくなるんじゃないかな、って多分にエゴイスティックですね」
「良かった。わたしばっかりいい思いしてマイケルには何もないかと思った」
「そんなことないでしょうが……」
レイチェルはべそをかきはじめマーダヴァンが懸命になだめる。
窓を開けて走るクーラーのないバス車内はますます暑い。
アンビカはあの前後で「変わらなかった」のは自分くらいだと思った。
まず、学生は卒業して仕事に就いている。
スンダルはアメリカの大学を出て向こうのベンチャー企業で働いている。
今いる所は事件の報告書を読んだ経営者が「爆弾魔」に興味を持ってスカウトしたという。機械工学を修めた彼は現在は職務での必要性と「自分の趣味」もあって再度ITの勉強で大学にも通い始めたそうだ。
「って爆弾作ってるテロリストじゃないですからね!」
創意工夫と現実化の腕が買われたと弁明する。
「インド人ならわりと普通なんだけど」
いや、誰も彼もが爆弾を作れたら大変だ。
ロハンは一族の会社のアメリカ支社長兼古武術教師だ。
最年少、中学生だったのが信じられないほど大人びて見えたトーシタだが、実際大人になってみればまだあの頃はあどけなかったとわかる。彼女も今年から地元の農業組合で勤務を始めている。
「綺麗になった。ほんと大人になったんだね」
アンビカの言葉には素直に照れる。
「化粧濃くない?」
疑問をこぼすスンダルに、
「それぞれの地域文化にあったメイクってのがあるでしょう。アメリカにいる君がそれ言う?」
ラクシュミが返す。
目立つアイラインの上、瞼は強いブルーに塗られて確かに派手だが服に合っている。今日のこの場に正装に近い服装で来てくれたのだから別にいいとアンビカは思う。
生者と死者の断絶は残酷だ。
「イムラーンお兄さんは初恋の人でした」
と白状するトーシタには婚約者がいて間もなく結婚する。
イムラーンの母校に肖像画が飾られると聞けば、
「ちゃんとハンサムに描いてもらえるのかしら、心配ね」
と頬を膨らませ、父親である中尉が苦笑すればスンダルが、
「そこは厳しいんじゃない。顔がいいってのは生きているからこその表情込みだからね」
となだめる。
高校生のまま死んだ少年の時間はもう進まない。
自分をかばい全身で衝撃を受けたあの夜から。
下の子を産んでアンビカの家には家族が増えたが、中尉は息子を失っただけだ。
「……」
次に皆へ驚きを与えたのはラクシュミだった。
彼女の現職が調査会社だというのは不思議はない。聡明な彼女らしい。
今回の件が明るみに出るまでの間彼女は一番矢面に立ち、弁護士というプロの家族総出で危機を逃れるために転々とした。
そのラクシュミはアンビカには復讐に関わらないでほしいと言ってきた。
『あなたにはランドマークになってほしい』
アンビカ一家に何か起こったなら家族だけではなく、雇っている職人に家族へと広範囲に影響が及ぶ。それは避けたい。
『その代わりもし私たちの誰かが姿を消さなければならなくなった時、または消されたとしても』
あのストリートの絨毯屋と言えば誰もが覚えられる。
必要なメッセージをアンビカの元に残し、別の誰かがそれを引き継ぐ。
幼い子どもたちのためにもアンビカは危険なことには手を出さず、
『私たちの燈台でいてほしい』
アンビカが関わったのはいくつかのメッセージのやり取り、そして「料理教室」だけだ。
『アンビカさんに習ったら急に美味しくなりすぎてバレるってことありませんか』
スンダルは聞いたらしい。
『そんな簡単に料理は上達しないから心配無用。彼女に習うのは大量の料理をスムーズに調理するやり方。ただゴパルはノンベジだから食べてるのかー』
舌というのは意外と記憶に残る。
アンビカならではの癖でもあったら見破られかねない。少なくともダルはあの時とは系統を変えたレシピで頼むとラクシュミは注文した。
『そこは問題ないかな。私、あの時どのお料理も普通じゃないレシピで作ってたんだ。その日起こったことに打ちひしがれて、それでも食べられる、元気が出るものをって思ったらいつものとはだいぶ違ってた』
だから大丈夫だとは思うが系統は変えると受けあった。
ラクシュミは今回の旅に「弟」を連れてきた。去年両親が養子に迎えて、
「元はジョージの子なの」
「!」
皆まじまじと視線を注ぐ。
小学校高学年くらいだろうか。少年ならではの元気さをよそ行きの服に閉じ込めた彼に、
「ここにいる人は皆あなたを誕生させてくれた『お父さん』のことを知っている。いる間よければ聞いてみなさい」
ラクシュミは勧めた。
「元のお父さんのことを皆悪く言いました。でも姉さんや今の父さんや母さんはそんなことない、その人の息子だから僕を引き取るんだって言ってくれました。……ジョージお父さんのこと、聞きたいです」
礼儀正しく頭を下げる。
ラクシュミはリアル人狼ゲームの影響で縁談が望めなくなったと父親に通告された。
本来ならラクシュミの夫が婿となる予定だったため妹は家に入るには難しい相手と交際していて、
「あの子の幸せを壊したくなかった。だから早めに養子を取るのが一番だって親を説得して信頼出来る両親から生まれた子がいいっていうから提案した」
ジョージは男性最年長、処刑者に引導を渡す役割を引き受け、会場が移ってからの夜に首輪の針で殺された落ち着いた社会人だった。その肝の座り方は人狼かと警戒もされ、思慮深さは頼りにもされた。
残された妻子のことをさかんに心配していたのにー
ジョージの遺族がたどった道を聞きアンビカは心の内で涙を拭う。
孫を、息子を、娘を。
可愛がっていたメイド失った女主人も、一様に悲しい。
だが紙一重の差で殺人者になったことは忌まわしいゲームの場にいた者にしか理解されないだろう。荒れ狂う怒りは同じ誘拐被害者、同じく悲嘆にくれていただろう遺族に向けられてしまった。
多大なる損害賠償の請求でジョージの子の保護者と闘ってきた詩人回りの人々も今回は当惑をみせた。
『私は事件に巻き込まれたことで家督を継ぐに足る縁談の機会を失うこととなりました。ジョージの人柄を知っていたこともありその息子を「弟」として迎えました』
ラクシュミも証言に立ちやがて示談が成立した。
条件にはセザール祖父の詩人の遺作詩集の購入も入っていたとパンジャーブ語の、薄緑の表紙の小型詩集がバス内全ての人々に配られた。
「巻末のコードを読み込めば朗読が聴ける。私もパンジャーブ語はわからないけれど響きは楽しめているから」
「連中から金踏んだくる裁判の中で知ってラクシュミさんには話してたんだ。いいところに落ち着いて良かった」
スンダルは満足そうに締めた。
水道開通式のテープカットはスンダルとラクシュミが共に行うこととなった。
話をまとめ精力的に進めてきたのはスンダルだが、海外在住故に実務では昔の仕事での知識もあるラクシュミが動くことが多かった。
ふたり共短い挨拶の中にこの村で育ったその人の名を入れた。
「クリスティーナの記念に」
ラクシュミが言った時、隣の村長が明確に大きく首を傾げ秘書か部下らしい男が耳元でささやいたのに頷く。
ラクシュミとスンダルは連絡の過程で感じ始めていたが、今日ここで気付いたアンビカやレイチェル、ロハンといった面々の表情は曇る。予想では大歓迎されると思ったのではないか。
誤解を招かないために言えば水道については大変歓迎されている。
この贈り物の理由がこの村で育ったクリスティーナの存在ゆえだと話すと、村長同様にピントの外れたことを言ってくるよそ者という顔をされる。
ラクシュミですらここまでとは思わなかった。
家族の代わりに「大きな家族」故郷の村に報いることにした。だが。
(クリスティーナは名前すら覚えてもらえていない)
〈注〉
・役所の襲撃
違うカースト同士の結婚手続をした役所が政党関係者に襲撃される事件が2024年に起こっている。
バスでの近況報告はマーダヴァンの衝撃的告白で波乱の幕開けとなった。
「わたしは看護師ではなかったんです。病院で掃除や物の運搬やその他色々を引き受ける雑役夫でした。ずっと中で見ていたから演れると思ったんです」
「いやだって……」
絶句するスンダルに返す微笑みは変わらず穏やかだ。
「例のお金で学校に行って、今では本物の看護師ですから安心してください」
取り出した病院の職員証を見せる。
手に取ってまじまじと見てから返して、
「どうしてそんなことしたんです?」
驚きから醒めやらぬ顔で尋ねる。
「誰かひとり医療のことがわかる人がいると思えば安心するんじゃないかと思ったからだね」
目を細める。
元はと言えば、初日に逃亡を企て塀の上で感電死した少年に動揺してベランダから手を延ばすクリスティーナに、
『わたしは看護師です』
ととっさに言ったのが始まりだった。
「同じ言葉を話す同胞へ嘆いてベランダから滑り降りてしまうのではないかと心配でした。後から思えばクリスティーナさんならそんなことはしないとわかるのですが、まだどなたがどういう方かもわからない時期でしたから」
その後それらしき事を話し行動してきたがプージャの処置だけは自信がなかった。
本物の看護師だったなら自傷した彼女を死なせずに済んだのではないかー
その悔いと手元に来たお金が原動力となった。
「多くのいい出会いに恵まれました」
看護系受験用の塾に願書を出そうと並んでいた時、前にいた高校生と話した。
『あの、決してライバルを減らそうとかじゃないんですけど、このコースだと少し違うんじゃないかと思います』
高校生向け、それもハイレベルな受験に特化した内容だ。一度学校から離れた人がやり直すには向かないのではないか。願書受付以外に相談の窓口もあるそうだから聞いてみたらと勧めてくれた。
カウンセリングに出向くとやはり首を傾げられた。
家庭教師が付けられるなら別だがと追い返しにかかられたのに、
『わたしはお金はありませんが応援してくださる方がいます。出資のための見積りを書いていただけますか?』
家庭教師を紹介してもらい、塾へは追い込みシーズンだけ通った。
貧しい人間が急に小金持ったとわかれば、力ある人々はありとあらゆる圧力をかけて奪い取り自分のものとする。まして人狼ゲームの賞金は小金どころか結構な金額だ。
それがわからないほど愚かではない。
マーダヴァンは表に金銭的余裕が出ないよう注意して暮らしていた。
「小金っていうより一気に大金持ちになった気分だったけどなオレは」
スンダルの主張だ。
自分の学費などにまず使ったろうが、賞金の多くを彼はリアル人狼ゲームを企てた人間との闘いと被害者の補償に費やしている。
「お金持ちならロハンだろう? あの程度の金額なら実家の土地をちょっと売ればって言ってたと思うけど」
マーダヴァンがちらりと横目で見れば本人は天井に視線を廻らせる。
「金は動かせますけど故国に帰れる方が俺はいいかな」
念願叶った入学の日、多くの在校生が前庭で迎える中マーダヴァンは左右を見回しながら歩いた。学校に明確な目的持って通う。新しい現実が始まった。
『マーダヴァンさん?』
女性の声だ。
こういう所に知り合いがいるとは思えないが、と振り向き反応を失った。
『……レイチェル。だったよね。無事だったんだ、よかった!』
ようやく口を開く。ロハンとプラサット、レイチェルの三人は逃走ルートが違い安否を確認することが出来なかった。未成年の女性が生還出来たのはいいことだがー
彼女はマーダヴァンの顔と胸に付いたピンクのリボンの花を交互に見遣った。
細いリボンを花びら型にして留めたピンクの花は看護科の新入生の印だ。
『ごめん。わたしは嘘を吐いていた!』
九十度に腰を折って平謝りし今のように説明した。
『わたしは、あなたみたいに成りたくてここに入ったのに!!』
叫ばれた時はいたたまれず間もなく逃げるようにその場を去った。
「天地がひっくり返って再度天地創造が始まったかと思った」
マーダヴァンの隣でレイチェルが肩をすくめる。
「生き延びて戻ってから考えたんです。この人みたいになれたらって。わたしは頭も良くないし性格もそんなに良くないけど、でも何か人に出来たらいい。看護師だったら少なくとも仕事でたくさんの人を助けられる。せめて外側だけでも真似出来るならって」
真っ白になって帰宅してから考えた。
自分は高校在学中に猛勉強しても看護科へは成績が届かなかった。
マーダヴァンが勉強をやり直して看護科へ入ったのは凄いことではないか?
翌日、昼の時間に食堂に陣取ってマーダヴァンを見つけて声をかけた。ドンと白いテーブルの正面に座り、
『教科書、先輩からもらいました?』
『いいや。気がついたらあぶれてた』
レイチェルは三冊を重ねて差し出した。
看護科は圧倒的に女子学生が多い。少数派の男性は取りこぼされるか、同じく少数の男子上級生に目をかけられるかどちらだろうと思ったが前者だったようだ。
『もし良かったら。共通科目の本です。線とか引いちゃってて綺麗じゃないのが気にならなければ』
『いいの? ありがとう!』
マーダヴァンは目を輝かせた。医療系の本は高価で節約は皆が考える。
「レイチェルの教科書は大事な所にきちんと線が引かれていて、内容がとても理解しやすかったんです。家庭教師になってくれたようなものでした。それでお礼に食事に誘って、何度もやりとりがあって、まあそういうことにー」
「この人、食事の時でも何でもどうやったら患者さんのためになるかってことばかり話してたんですよ。ただ治すだけではなくて少しでも患者さんの苦痛を減らしたいって。お義母様が長く病気でいらして余計気遣うようになったみたいなんだけど……。思ったんです」
この人は自分が憧れたままの人だ。
自分は間違っていなかった!
「わたしが就職したところで結婚することにしました」
マーダヴァンが続ける。
「頼りないと思われるのはもっともなことでスムーズとは言えませんでしたが、最終的にお義父様からお許しをいただけました。思いがけなく立派な新婚旅行もいただきましたし」
裏を見せずにこにこ笑うのはなかなか食えないところだ。
一方レイチェルは憤懣やる方ない様子で主張する。
「ここの人ならわかってもらえると思うんですけど。あの酷い『ゲーム』の中で最初から最後まで、そして再会しても彼は全く変わらなかったんです。いつでも周りの人を思いやっていました。何が逆玉です? 最高の男性と結婚したのはわたしの方ですから!」
「だから、わたしは大嘘吐きだったって皆さんに謝罪しているところなんだよ、今」
このあたりになるとバスは生温かい視線に満ちてきた。
交際中は宗教まで違い家族や親戚あたりが障害になったことはたやすく想像出来るが、新婚夫婦の惚気合いは勝手にしろといったところだ。
「職業詐称は私だけじゃなかったってことね」
とはラクシュミだ。彼女は連中から「職業詐称女」と呼ばれていたと報告書にあった。
「ラクシュミさんは『職業』では嘘を吐いていないでしょう。実際水道のお仕事をしていらしたんだし。公務員なのを隠すのはわかりますしね」
かばうマーダヴァン。
「マーダヴァンの方は職場は本当だったってことだよね。病院に勤めていたことは間違いないんだから」
とアンビカ。
「殺されなくてよかったよな」
女が「上方」の婚姻や交際は名誉殺人の種になりうる。踏まえてロハンが趣味の悪いことを言えばスンダルが続けて、
「役所も襲われなかったし」
「わたしそんな大物じゃないですから」
レイチェルは憮然として返した。
「あのさ。レイチェルがマーダヴァンを気に入ったのはわかるんだけど、マーダヴァンの方はどうだったの? 結婚したいって思ったきっかけってある?」
アンビカが尋ねた。
「わたしは元々人生が楽しい人間なんです」
口を横に結び少し緊張を見せるレイチェルの隣で普通に説明する。
「ただ、この人といると『すごく楽しい』の山がいっぱい来ました」
大きな波を手で描く。
「一緒にいたら人生もっと楽しくなるんじゃないかな、って多分にエゴイスティックですね」
「良かった。わたしばっかりいい思いしてマイケルには何もないかと思った」
「そんなことないでしょうが……」
レイチェルはべそをかきはじめマーダヴァンが懸命になだめる。
窓を開けて走るクーラーのないバス車内はますます暑い。
アンビカはあの前後で「変わらなかった」のは自分くらいだと思った。
まず、学生は卒業して仕事に就いている。
スンダルはアメリカの大学を出て向こうのベンチャー企業で働いている。
今いる所は事件の報告書を読んだ経営者が「爆弾魔」に興味を持ってスカウトしたという。機械工学を修めた彼は現在は職務での必要性と「自分の趣味」もあって再度ITの勉強で大学にも通い始めたそうだ。
「って爆弾作ってるテロリストじゃないですからね!」
創意工夫と現実化の腕が買われたと弁明する。
「インド人ならわりと普通なんだけど」
いや、誰も彼もが爆弾を作れたら大変だ。
ロハンは一族の会社のアメリカ支社長兼古武術教師だ。
最年少、中学生だったのが信じられないほど大人びて見えたトーシタだが、実際大人になってみればまだあの頃はあどけなかったとわかる。彼女も今年から地元の農業組合で勤務を始めている。
「綺麗になった。ほんと大人になったんだね」
アンビカの言葉には素直に照れる。
「化粧濃くない?」
疑問をこぼすスンダルに、
「それぞれの地域文化にあったメイクってのがあるでしょう。アメリカにいる君がそれ言う?」
ラクシュミが返す。
目立つアイラインの上、瞼は強いブルーに塗られて確かに派手だが服に合っている。今日のこの場に正装に近い服装で来てくれたのだから別にいいとアンビカは思う。
生者と死者の断絶は残酷だ。
「イムラーンお兄さんは初恋の人でした」
と白状するトーシタには婚約者がいて間もなく結婚する。
イムラーンの母校に肖像画が飾られると聞けば、
「ちゃんとハンサムに描いてもらえるのかしら、心配ね」
と頬を膨らませ、父親である中尉が苦笑すればスンダルが、
「そこは厳しいんじゃない。顔がいいってのは生きているからこその表情込みだからね」
となだめる。
高校生のまま死んだ少年の時間はもう進まない。
自分をかばい全身で衝撃を受けたあの夜から。
下の子を産んでアンビカの家には家族が増えたが、中尉は息子を失っただけだ。
「……」
次に皆へ驚きを与えたのはラクシュミだった。
彼女の現職が調査会社だというのは不思議はない。聡明な彼女らしい。
今回の件が明るみに出るまでの間彼女は一番矢面に立ち、弁護士というプロの家族総出で危機を逃れるために転々とした。
そのラクシュミはアンビカには復讐に関わらないでほしいと言ってきた。
『あなたにはランドマークになってほしい』
アンビカ一家に何か起こったなら家族だけではなく、雇っている職人に家族へと広範囲に影響が及ぶ。それは避けたい。
『その代わりもし私たちの誰かが姿を消さなければならなくなった時、または消されたとしても』
あのストリートの絨毯屋と言えば誰もが覚えられる。
必要なメッセージをアンビカの元に残し、別の誰かがそれを引き継ぐ。
幼い子どもたちのためにもアンビカは危険なことには手を出さず、
『私たちの燈台でいてほしい』
アンビカが関わったのはいくつかのメッセージのやり取り、そして「料理教室」だけだ。
『アンビカさんに習ったら急に美味しくなりすぎてバレるってことありませんか』
スンダルは聞いたらしい。
『そんな簡単に料理は上達しないから心配無用。彼女に習うのは大量の料理をスムーズに調理するやり方。ただゴパルはノンベジだから食べてるのかー』
舌というのは意外と記憶に残る。
アンビカならではの癖でもあったら見破られかねない。少なくともダルはあの時とは系統を変えたレシピで頼むとラクシュミは注文した。
『そこは問題ないかな。私、あの時どのお料理も普通じゃないレシピで作ってたんだ。その日起こったことに打ちひしがれて、それでも食べられる、元気が出るものをって思ったらいつものとはだいぶ違ってた』
だから大丈夫だとは思うが系統は変えると受けあった。
ラクシュミは今回の旅に「弟」を連れてきた。去年両親が養子に迎えて、
「元はジョージの子なの」
「!」
皆まじまじと視線を注ぐ。
小学校高学年くらいだろうか。少年ならではの元気さをよそ行きの服に閉じ込めた彼に、
「ここにいる人は皆あなたを誕生させてくれた『お父さん』のことを知っている。いる間よければ聞いてみなさい」
ラクシュミは勧めた。
「元のお父さんのことを皆悪く言いました。でも姉さんや今の父さんや母さんはそんなことない、その人の息子だから僕を引き取るんだって言ってくれました。……ジョージお父さんのこと、聞きたいです」
礼儀正しく頭を下げる。
ラクシュミはリアル人狼ゲームの影響で縁談が望めなくなったと父親に通告された。
本来ならラクシュミの夫が婿となる予定だったため妹は家に入るには難しい相手と交際していて、
「あの子の幸せを壊したくなかった。だから早めに養子を取るのが一番だって親を説得して信頼出来る両親から生まれた子がいいっていうから提案した」
ジョージは男性最年長、処刑者に引導を渡す役割を引き受け、会場が移ってからの夜に首輪の針で殺された落ち着いた社会人だった。その肝の座り方は人狼かと警戒もされ、思慮深さは頼りにもされた。
残された妻子のことをさかんに心配していたのにー
ジョージの遺族がたどった道を聞きアンビカは心の内で涙を拭う。
孫を、息子を、娘を。
可愛がっていたメイド失った女主人も、一様に悲しい。
だが紙一重の差で殺人者になったことは忌まわしいゲームの場にいた者にしか理解されないだろう。荒れ狂う怒りは同じ誘拐被害者、同じく悲嘆にくれていただろう遺族に向けられてしまった。
多大なる損害賠償の請求でジョージの子の保護者と闘ってきた詩人回りの人々も今回は当惑をみせた。
『私は事件に巻き込まれたことで家督を継ぐに足る縁談の機会を失うこととなりました。ジョージの人柄を知っていたこともありその息子を「弟」として迎えました』
ラクシュミも証言に立ちやがて示談が成立した。
条件にはセザール祖父の詩人の遺作詩集の購入も入っていたとパンジャーブ語の、薄緑の表紙の小型詩集がバス内全ての人々に配られた。
「巻末のコードを読み込めば朗読が聴ける。私もパンジャーブ語はわからないけれど響きは楽しめているから」
「連中から金踏んだくる裁判の中で知ってラクシュミさんには話してたんだ。いいところに落ち着いて良かった」
スンダルは満足そうに締めた。
水道開通式のテープカットはスンダルとラクシュミが共に行うこととなった。
話をまとめ精力的に進めてきたのはスンダルだが、海外在住故に実務では昔の仕事での知識もあるラクシュミが動くことが多かった。
ふたり共短い挨拶の中にこの村で育ったその人の名を入れた。
「クリスティーナの記念に」
ラクシュミが言った時、隣の村長が明確に大きく首を傾げ秘書か部下らしい男が耳元でささやいたのに頷く。
ラクシュミとスンダルは連絡の過程で感じ始めていたが、今日ここで気付いたアンビカやレイチェル、ロハンといった面々の表情は曇る。予想では大歓迎されると思ったのではないか。
誤解を招かないために言えば水道については大変歓迎されている。
この贈り物の理由がこの村で育ったクリスティーナの存在ゆえだと話すと、村長同様にピントの外れたことを言ってくるよそ者という顔をされる。
ラクシュミですらここまでとは思わなかった。
家族の代わりに「大きな家族」故郷の村に報いることにした。だが。
(クリスティーナは名前すら覚えてもらえていない)
〈注〉
・役所の襲撃
違うカースト同士の結婚手続をした役所が政党関係者に襲撃される事件が2024年に起こっている。
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「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
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でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
母の下着 タンスと洗濯籠の秘密
MisakiNonagase
青春
この物語は、思春期という複雑で繊細な時期を生きる少年の内面と、彼を取り巻く家族の静かなる絆を描いた作品です。
颯真(そうま)という一人の高校生の、ある「秘密」を通して、私たちは成長の過程で誰もが抱くかもしれない戸惑い、罪悪感、そしてそれらを包み込む家族の無言の理解に触れます。
物語は、現在の颯真と恋人・彩花との関係から、中学時代にさかのぼる形で展開されます。そこで明らかになるのは、彼がかつて母親の下着に対して抱いた抑えがたい好奇心と、それに伴う一連の行為です。それは彼自身が「歪んだ」と感じる過去の断片であり、深い恥ずかしさと自己嫌悪を伴う記憶です。
しかし、この物語の核心は、単なる過去の告白にはありません。むしろ、その行為に「気づいていたはず」の母親が、なぜ一言も問い詰めず、誰にも告げず、ただ静かに見守り続けたのか——という問いにこそあります。そこには、親子という関係を超えた、深い人間理解と、言葉にされない優しさが横たわっています。
センシティブな題材を、露骨な描写や扇情的な表現に頼ることなく、あくまで颯真の内省的な視点から丁寧に紡ぎ出しています。読者は、主人公の痛みと恥ずかしさを共有しながら、同時に、彼を破綻から救った「沈黙の救済」の重みと温かさを感じ取ることでしょう。
これは、一つの過ちと、その赦しについての物語です。また、成長とは時に恥ずかしい過去を背負いながら、他者の無償の寛容さによって初めて前を向けるようになる過程であること、そして家族の愛が最も深く現れるのは、時に何も言わない瞬間であることを、静かにしかし確かに伝える物語です。
どうか、登場人物たちの静かなる心の襞に寄り添いながら、ページをめくってください。
中1でEカップって巨乳だから熱く甘く生きたいと思う真理(マリー)と小説家を目指す男子、光(みつ)のラブな日常物語
jun( ̄▽ ̄)ノ
大衆娯楽
中1でバスト92cmのブラはEカップというマリーと小説家を目指す男子、光の日常ラブ
★作品はマリーの語り、一人称で進行します。
日本の運命を変えた天才少年-日本が世界一の帝国になる日-
ましゅまろ
歴史・時代
――もしも、日本の運命を変える“少年”が現れたなら。
1941年、戦争の影が世界を覆うなか、日本に突如として現れた一人の少年――蒼月レイ。
わずか13歳の彼は、天才的な頭脳で、戦争そのものを再設計し、歴史を変え、英米独ソをも巻き込みながら、日本を敗戦の未来から救い出す。
だがその歩みは、同時に多くの敵を生み、命を狙われることも――。
これは、一人の少年の手で、世界一の帝国へと昇りつめた日本の物語。
希望と混乱の20世紀を超え、未来に語り継がれる“蒼き伝説”が、いま始まる。
※アルファポリス限定投稿
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話
桜井正宗@オートスキル第1巻発売中
青春
――結婚しています!
それは二人だけの秘密。
高校二年の遙と遥は結婚した。
近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。
キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。
ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。
*結婚要素あり
*ヤンデレ要素あり
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