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02 仲間
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姫川への復讐を誓った翌日。
俺は、下駄箱を開けて靴を履き替えると、足早に教室へと向かった。
ガラリと扉を開けると、丁度教室から出ようと扉の前に来ていた姫川と鉢合わせる。
「おはようございます。影山君」
平然と笑みを浮かべる姫川。
次の瞬間、俺の脳内に昨日の記憶がフラッシュバックする。
姫川の人を見下すような表情に、嘲笑の声。俺を軽蔑する言葉に、不気味な笑顔。
俺は思わず気分が悪くなり、吐き気を催した。
咳き込みながら苦しむ俺を見て姫川は問う。
「大丈夫ですか、影山君。何かあったんですか?」
不気味な笑みを浮かべる姫川。
俺は「大丈夫」と言って姫川を押しのけ、逃げるように教室の中へと入った。
俺はその勢いのまま席に着く。
はぁはぁ、とまだ少し息が荒い。
その様子を見かねた俺の前の席の男、田辺さとるが心配そうに尋ねる。
「藍斗、どうかしたのか?そんなに息切れして」
さとるは俺の顔を覗き込む。
「ああ、さとるか…、丁度良かった。後で話したいことがあるから、昼に屋上これるか?」
「屋上……?いいけど……なんでだ?」
「うん……ちょっとな…」
俺は「とりあえず後で詳しく説明するから」と、半ば強引に押し切り、さとるを説得する。
あのこと・・・・を相談するには教室だと都合が悪いからな。
○
時刻は昼の0時すぎ。
俺とさとるは、学校の屋上で昼食をとっていた。
「なあ、藍斗。結局、話ってなんだ?」
「ああ、そのことなんだけど――」
俺はさとるに真剣な眼差しを向け、話し始めた。
このとき俺がさとるにした話っていうのは簡単に言えば、復讐の協力をしてくれないか、という相談だった。
俺は先ず、何も知らないさとるに実は姫川と付き合っていたことや、その姫川に散々な捨てられかたをしたことなど、事の次第を簡潔に話した。
だが、全てを聞いたさとるは片手で頭を抑えながら「ちょっと待ってくれ…」と黙り込んでしまった。
まあ、無理もない。俺自身でさえこんな漫画のような話が現実で有り得るのかと驚いているくらいだ。
束の間の沈黙が流れた後、さとるが口を開く。
「その話は本当なのか?」
「全部事実だよ」
「お前は……本気か?」
「うん……。俺はあの女に…復讐をする」
俺の鋭い眼光が、決意の固さを物語る。
「……分かった。……協力しよう」
「本当か…!」
さとるは、俺の肩にポンと手を置く。
やはり、持つべきものは友人だなとつくづく思う。
さとると俺は小学校からの付き合いであり、昔から何かと関わりがあった。
だから、この姫川復讐計画においてさとるをどうにか仲間に加えたいと思っていた。
協力関係において、「信頼」以上に必要なものはないからな。
そして案の定、さとるは無茶な願いにも関わらず文句一つ言わずに受け入れてくれた。
知ってはいたが、本当に良い奴だ。
俺は再びさとるに深く礼を言う。
「でも分かっているとは思うが……暴力は反対だぞ?」
「うん……問題ない」
暴力を禁止とする復讐。すなわち、今現在俺が考えている作戦とは、皆に慕われている姫川の地位を崩し物理的にではなく精神的に苦しめるというものだった。
あの悪魔のような姫川の姿を皆に広めれば、上品なお嬢様という姫川のイメージがガラリと変わりきっと幻滅してくれるに違いない。
慕っている人が多い分幻滅されるときのダメージもでかいため、この作戦にはそこそこ期待が持てる。
俺がこの作戦を提案するとさとるからも高評価を得た。
だが、そこで問題となるのがどうやって広めるかだが、それは慎重に検討していくとしよう。
俺たちは、来るべき日に備えて刻一刻と作戦を練り進めていった。
「………」
遠くから一部始終を目撃していた人物の存在など露知らず……。
俺は、下駄箱を開けて靴を履き替えると、足早に教室へと向かった。
ガラリと扉を開けると、丁度教室から出ようと扉の前に来ていた姫川と鉢合わせる。
「おはようございます。影山君」
平然と笑みを浮かべる姫川。
次の瞬間、俺の脳内に昨日の記憶がフラッシュバックする。
姫川の人を見下すような表情に、嘲笑の声。俺を軽蔑する言葉に、不気味な笑顔。
俺は思わず気分が悪くなり、吐き気を催した。
咳き込みながら苦しむ俺を見て姫川は問う。
「大丈夫ですか、影山君。何かあったんですか?」
不気味な笑みを浮かべる姫川。
俺は「大丈夫」と言って姫川を押しのけ、逃げるように教室の中へと入った。
俺はその勢いのまま席に着く。
はぁはぁ、とまだ少し息が荒い。
その様子を見かねた俺の前の席の男、田辺さとるが心配そうに尋ねる。
「藍斗、どうかしたのか?そんなに息切れして」
さとるは俺の顔を覗き込む。
「ああ、さとるか…、丁度良かった。後で話したいことがあるから、昼に屋上これるか?」
「屋上……?いいけど……なんでだ?」
「うん……ちょっとな…」
俺は「とりあえず後で詳しく説明するから」と、半ば強引に押し切り、さとるを説得する。
あのこと・・・・を相談するには教室だと都合が悪いからな。
○
時刻は昼の0時すぎ。
俺とさとるは、学校の屋上で昼食をとっていた。
「なあ、藍斗。結局、話ってなんだ?」
「ああ、そのことなんだけど――」
俺はさとるに真剣な眼差しを向け、話し始めた。
このとき俺がさとるにした話っていうのは簡単に言えば、復讐の協力をしてくれないか、という相談だった。
俺は先ず、何も知らないさとるに実は姫川と付き合っていたことや、その姫川に散々な捨てられかたをしたことなど、事の次第を簡潔に話した。
だが、全てを聞いたさとるは片手で頭を抑えながら「ちょっと待ってくれ…」と黙り込んでしまった。
まあ、無理もない。俺自身でさえこんな漫画のような話が現実で有り得るのかと驚いているくらいだ。
束の間の沈黙が流れた後、さとるが口を開く。
「その話は本当なのか?」
「全部事実だよ」
「お前は……本気か?」
「うん……。俺はあの女に…復讐をする」
俺の鋭い眼光が、決意の固さを物語る。
「……分かった。……協力しよう」
「本当か…!」
さとるは、俺の肩にポンと手を置く。
やはり、持つべきものは友人だなとつくづく思う。
さとると俺は小学校からの付き合いであり、昔から何かと関わりがあった。
だから、この姫川復讐計画においてさとるをどうにか仲間に加えたいと思っていた。
協力関係において、「信頼」以上に必要なものはないからな。
そして案の定、さとるは無茶な願いにも関わらず文句一つ言わずに受け入れてくれた。
知ってはいたが、本当に良い奴だ。
俺は再びさとるに深く礼を言う。
「でも分かっているとは思うが……暴力は反対だぞ?」
「うん……問題ない」
暴力を禁止とする復讐。すなわち、今現在俺が考えている作戦とは、皆に慕われている姫川の地位を崩し物理的にではなく精神的に苦しめるというものだった。
あの悪魔のような姫川の姿を皆に広めれば、上品なお嬢様という姫川のイメージがガラリと変わりきっと幻滅してくれるに違いない。
慕っている人が多い分幻滅されるときのダメージもでかいため、この作戦にはそこそこ期待が持てる。
俺がこの作戦を提案するとさとるからも高評価を得た。
だが、そこで問題となるのがどうやって広めるかだが、それは慎重に検討していくとしよう。
俺たちは、来るべき日に備えて刻一刻と作戦を練り進めていった。
「………」
遠くから一部始終を目撃していた人物の存在など露知らず……。
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