誰の目にも輝きを

ヨージー

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 二人は舞台の端に立ち、向かい合う。足元にはテープが貼られている。
「あなたにはわからないしがらみが世の中にはあって、それを強引に引き寄せてしまえばそれは次の歪みになるだけなんだ」
獅童宰都はセリフを言う。
「それで諦めて大切なことを守れなかったら意味なんてない」
藤田飛鳥もセリフを返す。
「君は世の中を知らなすぎるよ」
「わからずや」
二人はセリフを交わしながら舞台上を時計回りに移動していく。間合いをとりながら刀を構えを変える。獅童宰都が動く。間合いをつめる。藤田飛鳥はかがみ獅童宰都の一打目をかわす。藤田飛鳥はその姿勢から低くとぶ。振り上げた刀が獅童宰都を捉えきれない。獅童宰都は横に転がる。藤田飛鳥が獅童宰都を目で追いかける。獅童宰都は藤田飛鳥の伸ばした腕を刀で衝く。藤田飛鳥は飛び退き、間合いをとる。
「ここにきて命を取らずに腕を狙うのか」
「わかってくれ、俺はお前のことを」
「どっちの?」
藤田飛鳥はつい口走ってしまった。
「え?」
「ごめん、やめようか」
二人の間に沈黙が落ちる。
「僕は知っているよ。君は」
獅童宰都が口を開く。
「ならわかるよね」
藤田飛鳥は感情的になっている自分を抑えようとする。しかし、気持ちと裏腹に獅童宰都への口調は強まる。
「はっきりすべきじゃないかな」
「わかってる」
「わかってない」
藤田飛鳥は上段へ打ち込む。シナリオ通りの動きだった。獅童宰都はシナリオ通りにそれを横へいなす。獅童宰都は稽古の通り次の手を続ける。弾いた勢いそのまま、刀を振り上げる。藤田飛鳥はあえてその刃を体で受ける。
「どうして」
「私には自分の気持ちを偽って望むものなんてないから」
台本のセリフに戻っていた。
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