唐揚げ

唐揚げ

自転車であのお店まで。
よく潰れてしまう場所にできたから、存続が心配だ。
あのお店ができてから、私は5キロは太った。
でもいい。
今は唐揚げを食い溜めしておきたい。
年頃の乙女にあるまじき食欲を爆発させ、唐揚げを買った。
ソースがたっぷりかかった唐揚げ串は、食べ出すと止まらない。
サクサクの衣が口の中で弾けるたび、じゅわっと油がでる。
今日のソースはスィートチリソースとマヨネーズ。
うまい。
ガラガラと扉が開いて、後輩が入ってきた。
「あっ林さんいい物たべちゅう。」
「やろー。うまい。」
彼女は私の食いしん坊の師匠である。
「あーもー、匂い嗅いだだけで幸せ。」
そういうと私の倍、紙袋をかかえて戻ってきた。
「今日のスペシャル、林さん買いました？」
「もちのろん。半分たべー。」
「ありがとうございます！」
とびきりの笑顔でかぶりつく。
「いやぁ、うまいねー、幸せだ。この後デザートを食べましょう。」
「うん！」
また自転車にまたがる。
私たちはうまいものに恋してる。