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#4 正体
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メッシュバッグから半身を出した状態で僕に会釈する。
そして、【しーちゃん】は短い両手を挙げる。
左手にはメモ、右手には刃の出ていないカッターを持っている。
メッシュバッグに引っかかりながらも短い手足を駆使して這い出て、メモを僕に渡す。
メモには【しーちゃん】の背中の絵が描かれてあり、《点線に沿ってカッターで慎重に切り開いて下さい》と書いてあった。
メモを読み上げた僕に【しーちゃん】はカッターを渡して背を向けた。
薄くではあるが点線が描かれている。
僕はメモに書かれていた通り慎重にカッターを走らせる。
【しーちゃん】の背中はぱっくりと開き、現れたのは大きなファスナー。
ドキドキしながら、ファスナーを下ろしていく。
今まで何度も会いに行った【しーちゃん】の中の人に会える。
はやる気持ちを抑えながら、ゆっくりと中の女性を想像しながら。
僕はすぐにファスナーの下に人肌が現れると思っていたのだが、現れたのは【しーちゃん】の体と同じピンク色のネオプレーンゴム。
メモを見返すと、ファスナーはしっかりと最後まで下げるように書かれている。
メモに従いファスナーを最後まで下ろすと、【しーちゃん】はうつ伏せに倒れた。
僕は心配になり声をかけようとした時、【しーちゃん】の中身が体を揺すり始めた。
僕は何もできずに、この状況をただただ傍観する。
【しーちゃん】の背中のファスナーから中身がゆっくりと出てくる。
中身が出て、皮だけとなった【しーちゃん】が床に落ちる。
僕の目の前には目だけが見えているピンク色の人が現れた。
その目は僕を見て微笑んでいるようだった。
ピンク色の人は目だけが見えているマスクを外し、僕の前に現れたその姿は真奈美だった。
髪はしっとりと汗で濡れている。
真奈美は僕の帰りをかなり長い時間、【しーちゃん】の中で待ってれていたのだろう。
真奈美はピンク色のネオプレーンゴムのスーツを着たまま、僕と向かい合うと言った。
「私が【しーちゃん】なの」
だから、お店に行っても当然【しーちゃん】に会うこともできないし、何よりお父さんに付き合っている事を知られたくなかった事を聞かされた。
そして、高校の時に手伝いをしていたお店で、よく来店していた僕の事が好きになり、【しーちゃん】としてでも一緒にいたかった事も教えてくれた。
さらに本当はダメなことなのだが、個人情報から僕の大学やクラブを調べ、同じ大学、同じクラブに入り付き合うまで至った事を。
僕はそれを聞いて真奈美をギュッと抱きしめた。
そして疑問に思っていた事を真奈美に聞いてみた。
「このスーツはファスナーはないけど、どうなってるの?」
真奈美は首のところを引っ張り言う。
「凄く伸びるでしょ、ここから着るの」
「じゃあ、スーツの中は?」
真奈美は黙って下を向く。
「確かめてもいい?」
真奈美は顔を赤らめて頷いた。
俺は小柄な真奈美をお姫様抱っこして、ベッドへ連れて行き、スーツの中身を確認した。
事が済んだ後で、真奈美にはもう一度【しーちゃん】になってもらい、【しーちゃん】を初めて抱きしめました。
僕は大好きな真奈美と【しーちゃん】の両方を手に入れる事ができました。
完
そして、【しーちゃん】は短い両手を挙げる。
左手にはメモ、右手には刃の出ていないカッターを持っている。
メッシュバッグに引っかかりながらも短い手足を駆使して這い出て、メモを僕に渡す。
メモには【しーちゃん】の背中の絵が描かれてあり、《点線に沿ってカッターで慎重に切り開いて下さい》と書いてあった。
メモを読み上げた僕に【しーちゃん】はカッターを渡して背を向けた。
薄くではあるが点線が描かれている。
僕はメモに書かれていた通り慎重にカッターを走らせる。
【しーちゃん】の背中はぱっくりと開き、現れたのは大きなファスナー。
ドキドキしながら、ファスナーを下ろしていく。
今まで何度も会いに行った【しーちゃん】の中の人に会える。
はやる気持ちを抑えながら、ゆっくりと中の女性を想像しながら。
僕はすぐにファスナーの下に人肌が現れると思っていたのだが、現れたのは【しーちゃん】の体と同じピンク色のネオプレーンゴム。
メモを見返すと、ファスナーはしっかりと最後まで下げるように書かれている。
メモに従いファスナーを最後まで下ろすと、【しーちゃん】はうつ伏せに倒れた。
僕は心配になり声をかけようとした時、【しーちゃん】の中身が体を揺すり始めた。
僕は何もできずに、この状況をただただ傍観する。
【しーちゃん】の背中のファスナーから中身がゆっくりと出てくる。
中身が出て、皮だけとなった【しーちゃん】が床に落ちる。
僕の目の前には目だけが見えているピンク色の人が現れた。
その目は僕を見て微笑んでいるようだった。
ピンク色の人は目だけが見えているマスクを外し、僕の前に現れたその姿は真奈美だった。
髪はしっとりと汗で濡れている。
真奈美は僕の帰りをかなり長い時間、【しーちゃん】の中で待ってれていたのだろう。
真奈美はピンク色のネオプレーンゴムのスーツを着たまま、僕と向かい合うと言った。
「私が【しーちゃん】なの」
だから、お店に行っても当然【しーちゃん】に会うこともできないし、何よりお父さんに付き合っている事を知られたくなかった事を聞かされた。
そして、高校の時に手伝いをしていたお店で、よく来店していた僕の事が好きになり、【しーちゃん】としてでも一緒にいたかった事も教えてくれた。
さらに本当はダメなことなのだが、個人情報から僕の大学やクラブを調べ、同じ大学、同じクラブに入り付き合うまで至った事を。
僕はそれを聞いて真奈美をギュッと抱きしめた。
そして疑問に思っていた事を真奈美に聞いてみた。
「このスーツはファスナーはないけど、どうなってるの?」
真奈美は首のところを引っ張り言う。
「凄く伸びるでしょ、ここから着るの」
「じゃあ、スーツの中は?」
真奈美は黙って下を向く。
「確かめてもいい?」
真奈美は顔を赤らめて頷いた。
俺は小柄な真奈美をお姫様抱っこして、ベッドへ連れて行き、スーツの中身を確認した。
事が済んだ後で、真奈美にはもう一度【しーちゃん】になってもらい、【しーちゃん】を初めて抱きしめました。
僕は大好きな真奈美と【しーちゃん】の両方を手に入れる事ができました。
完
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