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第2話 幽霊騒動4
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しばらくして、洞窟には美味しそうな良い匂いが漂っていた。
驚いたことに、幽霊の少年ユウは、洞窟内で野菜を育てているという(なんとそのために中にいたモンスター達を全員追い払ってしまったらしい。それに、彼はこれを“自家栽培”だと言っている)。
ユウは機嫌良く二人の方へやって来ると、作りたてほやほやの温かいスープとご飯を置いた。
「ユウ君、これどこで作ったの?」
「ん? ここだよ?」
「す、凄いね……!」
ホノカはそう言って洞窟を見渡した。
(とても良い環境ではないのに、よくこんな立派な料理作れるなぁ)
思わず感嘆のもらすと、ユウはくすりと笑った。
「魔法を使えば意外と作れるものだよ」
「魔法!? 使えるの? 凄いね」
「別に、珍しくないと思うよ……?」
ホノカは目を輝かせてユウを見た。
ホノカは魔法や魔術といった類のものは使えず、また、使っている人も見たことがなかった。(もちろん、シュリはめっぽう物理タイプなので、もはや魔法なんてものは伝説の中のものだと思っていた)
だから、実際に使える人というのは尊敬に値する。
ホノカの熱い視線に気がついたのか、ユウは居心地悪そうに目を逸らした。
それでも見つめ続けるホノカをちらりと見ると、ユウは誤魔化すように咳払いをした。
「……えいっ」
ユウが人差し指を立てて小さなかけ声を上げると、指先からは綺麗な炎が現れ、洞窟を照らす。
それを見たホノカとシュリは、子供のように「はああ……!」と息をもらした。
「いや、魔法ってやっぱ凄いなぁ~!」
「しかも、このスープすっごい美味しいっ!! 魔法使って洞窟内でこれだけのもの作れるんだ!」
「本当、ユウ君って凄い!」
二人の賛美の言葉に、ユウは顔を真っ赤にして俯いてしまう。
それからそっぽを向くと、ぶっきらぼうに二人に言った。
「……ほら、そんな事ばっか言ってないで早く食べちゃいなよ。お守り、届けてあげなくちゃでしょ?」
「ああ、そうだった! 男の子待ってるんだっけ!」
思い出したかのようにホノカは急ぎ始めた。
その様子を微笑ましそうに見ていたシュリは、ちらりとユウの方を見ると少し困ったような顔をして口を開いた。
「あのさ、凄く図々しいとは思ってるんだけど、ユウ君もう一つ頼まれ事してくれない?」
その言葉を聞いて、ユウと一緒にホノカも首を傾げた。
シュリの言っているもう一つの頼み事とは何だろう?
そう思っていると、ユウも不思議そうな顔をして「なぁに?」と尋ねた。
「実はね、ボクら今日宿とれなかったんだけどさ」
「ああ、あそこの宿高いって聞くね」
ホノカとユウはシュリの言わんとすることを察し、それぞれ頷いた。
それから、ホノカも申し訳無さそうにユウを見る。
「今日はここで過ごしても良いかな?」
ユウはくすっと笑って良いよと言った。
この洞窟はユウが手入れをしているようで、そこらの宿屋よりも居心地が良さそうだ。
(むしろあの高い宿屋より良いんじゃないのかな……)
ホノカは密かにそんな事を思い、満面の笑みを顔に浮かべた。
「ユウ君、何からなにまで本当にありがとう……! 今度お返しするねっ!」
「別に良いよ。僕もずっと一人だったから誰かといた方が楽しいし」
ほら、そんな事よりお守り届けて来なよ。ユウはそう言って二人の背中を押した。
ホノカとシュリは顔を見合わせてガッツポーズをする。
まさかこんな優しい人に会えるなんて……!
「本当、ユウ君に感謝だね」
シュリは機嫌が良さそうにそう言い、ホノカが頷いた。
そして二人は来た道を少し早足で戻っていった。
驚いたことに、幽霊の少年ユウは、洞窟内で野菜を育てているという(なんとそのために中にいたモンスター達を全員追い払ってしまったらしい。それに、彼はこれを“自家栽培”だと言っている)。
ユウは機嫌良く二人の方へやって来ると、作りたてほやほやの温かいスープとご飯を置いた。
「ユウ君、これどこで作ったの?」
「ん? ここだよ?」
「す、凄いね……!」
ホノカはそう言って洞窟を見渡した。
(とても良い環境ではないのに、よくこんな立派な料理作れるなぁ)
思わず感嘆のもらすと、ユウはくすりと笑った。
「魔法を使えば意外と作れるものだよ」
「魔法!? 使えるの? 凄いね」
「別に、珍しくないと思うよ……?」
ホノカは目を輝かせてユウを見た。
ホノカは魔法や魔術といった類のものは使えず、また、使っている人も見たことがなかった。(もちろん、シュリはめっぽう物理タイプなので、もはや魔法なんてものは伝説の中のものだと思っていた)
だから、実際に使える人というのは尊敬に値する。
ホノカの熱い視線に気がついたのか、ユウは居心地悪そうに目を逸らした。
それでも見つめ続けるホノカをちらりと見ると、ユウは誤魔化すように咳払いをした。
「……えいっ」
ユウが人差し指を立てて小さなかけ声を上げると、指先からは綺麗な炎が現れ、洞窟を照らす。
それを見たホノカとシュリは、子供のように「はああ……!」と息をもらした。
「いや、魔法ってやっぱ凄いなぁ~!」
「しかも、このスープすっごい美味しいっ!! 魔法使って洞窟内でこれだけのもの作れるんだ!」
「本当、ユウ君って凄い!」
二人の賛美の言葉に、ユウは顔を真っ赤にして俯いてしまう。
それからそっぽを向くと、ぶっきらぼうに二人に言った。
「……ほら、そんな事ばっか言ってないで早く食べちゃいなよ。お守り、届けてあげなくちゃでしょ?」
「ああ、そうだった! 男の子待ってるんだっけ!」
思い出したかのようにホノカは急ぎ始めた。
その様子を微笑ましそうに見ていたシュリは、ちらりとユウの方を見ると少し困ったような顔をして口を開いた。
「あのさ、凄く図々しいとは思ってるんだけど、ユウ君もう一つ頼まれ事してくれない?」
その言葉を聞いて、ユウと一緒にホノカも首を傾げた。
シュリの言っているもう一つの頼み事とは何だろう?
そう思っていると、ユウも不思議そうな顔をして「なぁに?」と尋ねた。
「実はね、ボクら今日宿とれなかったんだけどさ」
「ああ、あそこの宿高いって聞くね」
ホノカとユウはシュリの言わんとすることを察し、それぞれ頷いた。
それから、ホノカも申し訳無さそうにユウを見る。
「今日はここで過ごしても良いかな?」
ユウはくすっと笑って良いよと言った。
この洞窟はユウが手入れをしているようで、そこらの宿屋よりも居心地が良さそうだ。
(むしろあの高い宿屋より良いんじゃないのかな……)
ホノカは密かにそんな事を思い、満面の笑みを顔に浮かべた。
「ユウ君、何からなにまで本当にありがとう……! 今度お返しするねっ!」
「別に良いよ。僕もずっと一人だったから誰かといた方が楽しいし」
ほら、そんな事よりお守り届けて来なよ。ユウはそう言って二人の背中を押した。
ホノカとシュリは顔を見合わせてガッツポーズをする。
まさかこんな優しい人に会えるなんて……!
「本当、ユウ君に感謝だね」
シュリは機嫌が良さそうにそう言い、ホノカが頷いた。
そして二人は来た道を少し早足で戻っていった。
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