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第二話

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そのあと、ゆうやさんは口止めのためか、すぐさま立ち去ろうとした俺を呼び止め。
近くのファミレスへと引きずった。

キャラを崩さまいと、警戒していたのだが、
ゆうやさんは中々本題に入らずメニューを眺めていた。

友達との飲みの後の俺は、お腹が空いていなかったため、眠気覚ましのコーヒーを頼むことにした
対象的にゆうやさんは、定食を頼んでいる。
そんなに長く話す予定ではないのにな、と心の中で呟く。
早く終わらせて寝たい俺は自分から本題を切り出すことにした。

「あの~…どうしたんですか?
 急に。」

まずは、知らんぞんぜぬで通そう。
姉の為に問い詰める労力も時間も無駄だ。
あわよくば、このまま帰りたい。
なんて願いを込めながらゆうやさんの様子を伺う
ゆうやさんは、俺の反応に疑問を持ったのか、首を僅かに傾げた、だがその数秒後彼は崩したキャラを戻さずこう言った。


「理央くんは俺に話があると思って。」

自信ありげに言った彼の発言に疑問が湧いた。
その疑問をそのまま彼にぶつける。

「何でそう思うんです‥?」

「だって、理央くん見てたじゃん。
 俺は気付いてたよ。」

楽しそうに言ったゆうやさん。口止めのつもりかと思ったがそれにしては、緊張感が全くない。
その様子にただ単純に興味をそそられた

「じゃあ、聞きますけど。
 なぜ、姉が居ながらあんなことを?」

「うーん‥正直に話すと初恋から1回も好きな人が出来たことないんだよね。普通の恋愛はつまんないし。スリルが欲しくて。」

ねぇ、と俺の手を握る。
嫌悪感。

「このあとホテル行かない?」

だがその嫌悪感の奥にある好奇心
何より姉はこいつにベタ惚れなんだ。
大好きな婚約者が、大嫌いな弟、しかも男を抱いた身体で自分を抱いてるなんて、最高の復讐じゃないか。
やった事は必ず自分に返って来るんだから‥

「いいよ。行こ?ホテル」

さっきまで姉の事を心配する弟を演じていたため、こんな返事をすると驚くかと思ったが、ゆうやさんは顔色一つ変えなかった。

「行ってくれるんだ?どして?」

適当な理由を並べる

「婚約者が浮気者なんて姉が知ったら悲しむじゃないですか。弟ならバレないようにできますよ。」

そう、最高のタイミングでバラしてやるんだ。

「だからゆうやさん。
これから浮気するの俺だけにしてくださいね。」


「いいよ、理央くん俺の初恋の人に似てるし。」

「じゃあ早く定食、食べ終わってくださいね。」


…………………



いつも利用しているホテル。
見慣れた部屋で俺は姉の婚約者を押し倒した。

「ゆうやさんは動かないで、大人しくしてて下さいね?」

にこりと騎乗位の形で笑いかける

「えー。俺そっちの趣味はないんだけど~」

と言いながら俺の腰を掴んだ手に更に手を添え

「試してみないとわからないでしょ?
案外ハマるかも。」

彼は不敵な笑みを浮かべ。


「そ~だね。じゃあ俺を満足させてみて?」

挑発された。
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