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第1章
第5話:キンノサカナ
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私がカシオペイアで生活するようになって
一週間が経とうとした頃、
正確にはもっと日にちが経過しているらしいのだが、眠っている間に高速で流れる時間については、自分ではわからないので起きている時間感覚で一週間くらいといった頃だ。
私はスミカから教わったらいくつかの薬草を取りに森に出ていた。
私にとってはカシオペイアに住み出してから初めての外出だ。
スミカからはカシオペイアからあまり離れすぎるな的なことを言われたが、少し言い方が変だった。
遠くに行くなと言うことに変わりは無いのだが、まるでカシオペイアが私達人のように目を配らせている存在のような感じがした。
そんなことを考えながら私は迷子になるまいと、この森で唯一知っている道に沿って歩いていた。
ほんとは自称、「森の調律師」の師匠の力を借りたかったが、
「かあーっ!わかってねえなあ!これは姉さんから弟子への愛の試練に違いねえ!自分で乗り越えてみせな!」と突っぱねられてしまったので、この道を余儀なくされたのだ。
ここに来た頃はあまり草木の種類に目をやる余裕が無かったので気づかなかったが、あまり目にしたことがない不思議な植物がなっていた。
花びらが外側でなく内側に咲いている花や葉のような茎が幾重も積み重なっていたり、見慣れない植物ばかりだった。
それもカシオペイアから離れれば離れるほど見たことの無い珍しい植物が群生している。
ほんとは道中に目当ての植物が生っていたのだが、森の木々の先にキラキラと光るなにかにつれられて進んでいる
このあたりまでくると時折、さわさわと周りで生き物の気配がするようになってきた。
まだ光る目的地までは数百メートルはありそうだった。
そんな距離感を自分の中で見積もった時、突然森がザワザワ音をたて始めた。
私もその正体に気づき走り出す。
雨だ。
それも通り雨のようにいきなりシャワーの先を向けられるような強い雨。
同時に雷も鳴っている。
私は少しでも雨宿りできないか、大きな葉が生っている植物や木の下に入るが、あまり意味を成さず、雨宿りできそうな目に入るポイントを伝いながら走っていた。
一瞬、視界全部を真っ白にするほど大きな光に包まれた。
そしてすぐさま特大の雷鳴が響き渡る。
「きゃあっ!」
思わず声がでてしまった。
もとの景色に目が慣れようとした頃、
空から光る何かが降ってきた。
それはここから10メートルもしないところに落ちた。
私は流れ星のように地に降り注いだ正体を確かめるべく、光が落ちた先に向かった。
雨はさっきの特大の雷をピークに小雨になっていた。
「この辺だったはず…」
足元に注意しながら視線を張り巡らせると、普通じゃこの場にいないはずの生き物を見つけた。
その生き物は雨が降ってできたばかりの水溜まりの上で時折ピチピチ跳ねている
「金魚…?」
確かに見た目は金魚なのだが、その体は見慣れた赤や黒といった色ではなく、紛れもなく金色だったのだ。
『たす…けて…』
金魚が苦しげにそう言ったような気がした。
このままでは死んでしまう…!
『この先に…湖が…』
今度は確かにそう聞こえた。
「この先…あの光っているところね!」
私は苦しそうに助けを求めるこの金魚を僅かでもいいので水と運べないか考えた。
一瞬、フードを破こうとしたが、フードを引っ張ろうとした時、頭のてっぺんが一緒に引かれるような感覚を覚えて諦めた。
水を運ぶのに穴が空いていたんじゃ意味がない…!
仕方なく両手で金魚を掬い上げ走り出す。
『助け…て く…るしい…』
手元から悲痛な声を感じる
『くるしいよ、くるしいよ』
一歩、また一歩踏み込むごとにその声は鮮明に伝わってくる
『くるしいよ、息ができないよ、誰か助けて…』
私も息ができないくらい全速力で走った。正しく息継ぎできているかすら怪しい、それでも助けたい気持ちが先行するので無我夢中で走った。
『死にたくない、死にたくないよ~』
途中ぬかるんだ地に足をとられながらもなんとか光のもとにたどり着いた。
そこには小さな湖があり水面が日の光で反射してキラキラ輝いていた。
不思議と湖の周辺は雨が降っていなかった。
「はぁ、はぁ、はぁ、げほっげほっ」
私は息を整えるのと同時に大切に金魚を運んでいた両手をゆっくり開いて口を開いた
「ついたよ!さあ、水だよ!」
そう伝え、
水面に優しく金魚を掬った両手をつける。
しかし金魚はピクリともしなかった。
「え…?」
私は信じられなかった。
さっきまであんなに苦しさを訴えて、まだ生きているということを感じ取れていたのに、今となっては何も言葉も発しないのだ。
私の体はその場にペタンと座り込む形で力尽きた。
信じられない気持ちの次に降り注いだ感覚は疲労感だった。
そして次に私を襲ったのは罪悪感だった。
頭のイメージの中で
無我夢中で走っている自分。
大切に両手で抱えた金魚が悲痛な声をあげる
『くるしいよ、助けて…。』
そしてイメージの中の私はあろうことか、両手をぎゅっと、金魚を握り潰すかのように力を込め始めた。
「ち、ちがう!私はそんなことしてない!」
『たす…けて…たす…』
悲痛な声がグチャっと生々しい音と共に途絶えた。
「いやあああああああああああ!」
今まで自分が挙げたことのない叫びをあげていた。
私は両手を水面につけるような形で前屈みとなり、水面に写った自分を見ていた。
水面に写った自分の顔はひどいありさまで、雨なのか、汗なのか涙なのか分からないくらいぐっしょりで恐怖に怯えていた。
『キミは優しいね』
そう金魚が言ったような気がした。
その声が聞き取れた頃には私の体はトプンという音をたてて陸から湖の中へ姿をくらませた
一週間が経とうとした頃、
正確にはもっと日にちが経過しているらしいのだが、眠っている間に高速で流れる時間については、自分ではわからないので起きている時間感覚で一週間くらいといった頃だ。
私はスミカから教わったらいくつかの薬草を取りに森に出ていた。
私にとってはカシオペイアに住み出してから初めての外出だ。
スミカからはカシオペイアからあまり離れすぎるな的なことを言われたが、少し言い方が変だった。
遠くに行くなと言うことに変わりは無いのだが、まるでカシオペイアが私達人のように目を配らせている存在のような感じがした。
そんなことを考えながら私は迷子になるまいと、この森で唯一知っている道に沿って歩いていた。
ほんとは自称、「森の調律師」の師匠の力を借りたかったが、
「かあーっ!わかってねえなあ!これは姉さんから弟子への愛の試練に違いねえ!自分で乗り越えてみせな!」と突っぱねられてしまったので、この道を余儀なくされたのだ。
ここに来た頃はあまり草木の種類に目をやる余裕が無かったので気づかなかったが、あまり目にしたことがない不思議な植物がなっていた。
花びらが外側でなく内側に咲いている花や葉のような茎が幾重も積み重なっていたり、見慣れない植物ばかりだった。
それもカシオペイアから離れれば離れるほど見たことの無い珍しい植物が群生している。
ほんとは道中に目当ての植物が生っていたのだが、森の木々の先にキラキラと光るなにかにつれられて進んでいる
このあたりまでくると時折、さわさわと周りで生き物の気配がするようになってきた。
まだ光る目的地までは数百メートルはありそうだった。
そんな距離感を自分の中で見積もった時、突然森がザワザワ音をたて始めた。
私もその正体に気づき走り出す。
雨だ。
それも通り雨のようにいきなりシャワーの先を向けられるような強い雨。
同時に雷も鳴っている。
私は少しでも雨宿りできないか、大きな葉が生っている植物や木の下に入るが、あまり意味を成さず、雨宿りできそうな目に入るポイントを伝いながら走っていた。
一瞬、視界全部を真っ白にするほど大きな光に包まれた。
そしてすぐさま特大の雷鳴が響き渡る。
「きゃあっ!」
思わず声がでてしまった。
もとの景色に目が慣れようとした頃、
空から光る何かが降ってきた。
それはここから10メートルもしないところに落ちた。
私は流れ星のように地に降り注いだ正体を確かめるべく、光が落ちた先に向かった。
雨はさっきの特大の雷をピークに小雨になっていた。
「この辺だったはず…」
足元に注意しながら視線を張り巡らせると、普通じゃこの場にいないはずの生き物を見つけた。
その生き物は雨が降ってできたばかりの水溜まりの上で時折ピチピチ跳ねている
「金魚…?」
確かに見た目は金魚なのだが、その体は見慣れた赤や黒といった色ではなく、紛れもなく金色だったのだ。
『たす…けて…』
金魚が苦しげにそう言ったような気がした。
このままでは死んでしまう…!
『この先に…湖が…』
今度は確かにそう聞こえた。
「この先…あの光っているところね!」
私は苦しそうに助けを求めるこの金魚を僅かでもいいので水と運べないか考えた。
一瞬、フードを破こうとしたが、フードを引っ張ろうとした時、頭のてっぺんが一緒に引かれるような感覚を覚えて諦めた。
水を運ぶのに穴が空いていたんじゃ意味がない…!
仕方なく両手で金魚を掬い上げ走り出す。
『助け…て く…るしい…』
手元から悲痛な声を感じる
『くるしいよ、くるしいよ』
一歩、また一歩踏み込むごとにその声は鮮明に伝わってくる
『くるしいよ、息ができないよ、誰か助けて…』
私も息ができないくらい全速力で走った。正しく息継ぎできているかすら怪しい、それでも助けたい気持ちが先行するので無我夢中で走った。
『死にたくない、死にたくないよ~』
途中ぬかるんだ地に足をとられながらもなんとか光のもとにたどり着いた。
そこには小さな湖があり水面が日の光で反射してキラキラ輝いていた。
不思議と湖の周辺は雨が降っていなかった。
「はぁ、はぁ、はぁ、げほっげほっ」
私は息を整えるのと同時に大切に金魚を運んでいた両手をゆっくり開いて口を開いた
「ついたよ!さあ、水だよ!」
そう伝え、
水面に優しく金魚を掬った両手をつける。
しかし金魚はピクリともしなかった。
「え…?」
私は信じられなかった。
さっきまであんなに苦しさを訴えて、まだ生きているということを感じ取れていたのに、今となっては何も言葉も発しないのだ。
私の体はその場にペタンと座り込む形で力尽きた。
信じられない気持ちの次に降り注いだ感覚は疲労感だった。
そして次に私を襲ったのは罪悪感だった。
頭のイメージの中で
無我夢中で走っている自分。
大切に両手で抱えた金魚が悲痛な声をあげる
『くるしいよ、助けて…。』
そしてイメージの中の私はあろうことか、両手をぎゅっと、金魚を握り潰すかのように力を込め始めた。
「ち、ちがう!私はそんなことしてない!」
『たす…けて…たす…』
悲痛な声がグチャっと生々しい音と共に途絶えた。
「いやあああああああああああ!」
今まで自分が挙げたことのない叫びをあげていた。
私は両手を水面につけるような形で前屈みとなり、水面に写った自分を見ていた。
水面に写った自分の顔はひどいありさまで、雨なのか、汗なのか涙なのか分からないくらいぐっしょりで恐怖に怯えていた。
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