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第一章
一人は退屈
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「なにを見ていってるんだ?さっきも言ったが俺にはそれは光ってるようにしか見えないんだよ。」
「あ、いや、その・・・」
ガロにやれやれという感じでため息をつかれて、どう説明したものかと悩む。そもそもリンゴはこの世界にあるのかとかもあるし、一つ一つ聞いてみるしかないか。
「えっと、この世界に果物とかはある?リンゴがあると一番いいんだけど・・・」
「ん、果物か?あるぞこの世界にも。それにリンゴもあるぞ。名前だけ同じで違うものな可能性もあるが、必要なら買ってこようか?」
「ほんと!?じゃあお願いしたい!あ、でも他にも冷たいままで食材を保存したりできるところってある?」
何とも言えない説明になってしまったが、魔道具のある世界ならそういうのがある可能性もある。
「あぁ、そういう魔道具ならうちにもあるぞ。食材を保存するのには必須だからな。旅に出てたのもあって今は何も冷やしてないけどな。」
「お、おぉ、じゃああとで見せてもらうよ。うまくいくかはわからないけどやわらかいパンができるかもしれないから。」
「やわらかいパン?そんなのが作れるのか?もしかしてその魔道具にそういうのが書いてあるのか?」
「書いてあるっていうか、そういうのを調べられるというか、そんな感じだね。これで元の世界の知識がある程度のことは調べられるよ。」
といっても明らかに前のスマホとは違う。アプリがなくなりすぎてるっていうのもあるけど、それに合わせて時計もないことに気が付いたんだ。あと拾ってきてる電波は最大になってるけど、どっから拾ってきてるのか謎だし。通信料金とか大丈夫かなこれ。
そして何よりおかしいのが充電が100%から動いてないことだ。バッテリーの故障かもしれないけど、異世界だしずっとバッテリーが続く可能性もあるよね。
「ほう、元の世界の知識ねぇ。とりあえずは食うものか。うまくないと思うものをずっと食わせ続けるわけにもいかないしな。」
「あ、でも買ってくるんだよね?お金返せないや・・・」
「そのくらいは気にするな、こう見えても結構持ってるからな。それでリンゴ以外に必要なものはないか?」
うーん、食事の問題は付きまとうからここは甘えるしかないか。いつかどうにかして返すしかないな。
「それじゃあお言葉に甘えて。えっとリンゴと砂糖それを入れるための蓋つきの瓶だね。あ、砂糖ってこの世界にあるのかな・・・」
「砂糖ってたぶん甘くて白い粉だよな?ちょっと高いがあるぞ。」
「そっか、あってよかった。水は多分この家にあるでしょ?あとはさっき聞いた冷たいまま保存できる魔道具があれば一週間くらいでできるかな?」
「いっしゅうかんってなんだ?」
「あ、えっと七日間だね。」
そうか、一週間という概念がないのか。というか言語自体は同じなんだよな。ちょっと疑問に思ったけど、話せなかったりしたら不便だったからそれはそれでよし。
「そんなにかかるのか、それまでの間食事はどうする?悪いが俺は簡単に何か焼くか市販の物を買ってきてやるくらいしかできないぞ?」
「う、うーん、僕も煮るだの焼くだの少しくらいはできるけど、まずはたてるようになるまで回復しなきゃだよね・・・」
「そうだな、とりあえずの今日の分は買ってくる。俺が作るからあんまりうまくないかもしれないが、我慢してくれよ?」
「作ってもらったものならしっかり食べきるよ。」
食べ物には感謝を、特に作ってもらったものには感謝を。ちょっと苦いとか辛いとか美味しくないからと言って残すのはよくないことだとは思ってる。さすがに付け合わせの唐辛子とかは残しちゃうときもあるけど。
「さっきもなんだかんだ言いつつも食べきったもんな、それじゃあ買い物に行ってくる。立てるようになっても外には出るなよ?周りに騒がれると面倒なことになるかもしれないからな。」
「うん、ここでは僕珍しいわけだもんね、わかってる。」
「それならいい。」
そうなんだよね、ガロがかくまってはくれてるけど、人間の自分はここでは珍しい存在だから、目立ったりするとどうなるかわからない。それこそどっかの研究者が現れて実験動物にされたり?
変なこと考えるのはやめよう、ガロが出て行って静かになったけど、立てないし眠くないしでどう時間を潰したものか・・・やっぱスマホ触ってるしかないか。
気になったのはまだ残っているマップのアプリだ。充電を多く使うだろうから開くのかどうか悩んでたけど、ここまで使って1%も減ってないし、そもそも寝てる間ポケットに入れてて充電してなかったのに100%表示なわけだ。模しきれちゃったら切れちゃったでその時はあきらめるとして、気にせずスマホは使っていちゃえばいいや。
マップを開くとびっくりすることに周辺の地図がしっかりと出る。拡大縮小もちゃんとできる。さすがに前のマップに会った衛星画像やストリートビューの昨日は消えてる。同じアイコンで同じような地図なんだけどなぁ・・・
この町の大きさを確認しようとズームアウトしていくけど、以前は世界地図レベルまでできたはずのズームアウトができなくなってる。さらに今いる位置から少ししか動かすことができなくなってるから周辺しか見ることはできない。前は別の国まで見れてたはずなのに、どうなってるんだこれ?
ただ目安距離1kmの表示が大体自分の親指分くらいの大きさでそこそこ広い範囲は見えてるから、町の大きさは大体わかった、4㎞くらいの範囲だけ白い表示で、他は全部緑だからだ。町が4㎞って大きいのか小さいのかちょっとわからないけど。
ズームアウトしてても町がどんな感じなのかわからないので、とりあえずズームインしなおす。一番ズームインすると目安距離の表示は20mで止まる。まぁこれ以上ズームインしてもしょうがないか。ここまでズームインすると町中の範囲は全部スライドしてみていくことができるようだ。つまり僕から一定以上離れたところは確認できないようになってるのか?
どうにも以前とは違うけど、そもそもめったにマップなんて開いてなかったか。いつも同じ道、いつも同じ場所。3年前に誰もいなくなった実家の処理に行ったときはさすがに使ったけど、それっきりかも?
うっ、ちょっと泣けてきたから忘れよ。あ、ここもしかしてさっきガロと転移した教会だ。他の建物は一切名前がついてないけど、教会だけは教会と名前がついてる。でも何教会とか書いてないのは変な感じだ。
というかむしろガロの家だけガロの家と書いてある。これってもしかして、自分自身が覚えた名前で行ったことある場所だけ記録されてるのか?うーん、こればかりは外に出ないとわからないか。
はぁ、周りにどういう店があるとか知りたかったけど、これじゃ見てても退屈しのぎになりそうにない。しょうがないブラウザで何か調べ物するか小説でも読むか・・・
「あ、いや、その・・・」
ガロにやれやれという感じでため息をつかれて、どう説明したものかと悩む。そもそもリンゴはこの世界にあるのかとかもあるし、一つ一つ聞いてみるしかないか。
「えっと、この世界に果物とかはある?リンゴがあると一番いいんだけど・・・」
「ん、果物か?あるぞこの世界にも。それにリンゴもあるぞ。名前だけ同じで違うものな可能性もあるが、必要なら買ってこようか?」
「ほんと!?じゃあお願いしたい!あ、でも他にも冷たいままで食材を保存したりできるところってある?」
何とも言えない説明になってしまったが、魔道具のある世界ならそういうのがある可能性もある。
「あぁ、そういう魔道具ならうちにもあるぞ。食材を保存するのには必須だからな。旅に出てたのもあって今は何も冷やしてないけどな。」
「お、おぉ、じゃああとで見せてもらうよ。うまくいくかはわからないけどやわらかいパンができるかもしれないから。」
「やわらかいパン?そんなのが作れるのか?もしかしてその魔道具にそういうのが書いてあるのか?」
「書いてあるっていうか、そういうのを調べられるというか、そんな感じだね。これで元の世界の知識がある程度のことは調べられるよ。」
といっても明らかに前のスマホとは違う。アプリがなくなりすぎてるっていうのもあるけど、それに合わせて時計もないことに気が付いたんだ。あと拾ってきてる電波は最大になってるけど、どっから拾ってきてるのか謎だし。通信料金とか大丈夫かなこれ。
そして何よりおかしいのが充電が100%から動いてないことだ。バッテリーの故障かもしれないけど、異世界だしずっとバッテリーが続く可能性もあるよね。
「ほう、元の世界の知識ねぇ。とりあえずは食うものか。うまくないと思うものをずっと食わせ続けるわけにもいかないしな。」
「あ、でも買ってくるんだよね?お金返せないや・・・」
「そのくらいは気にするな、こう見えても結構持ってるからな。それでリンゴ以外に必要なものはないか?」
うーん、食事の問題は付きまとうからここは甘えるしかないか。いつかどうにかして返すしかないな。
「それじゃあお言葉に甘えて。えっとリンゴと砂糖それを入れるための蓋つきの瓶だね。あ、砂糖ってこの世界にあるのかな・・・」
「砂糖ってたぶん甘くて白い粉だよな?ちょっと高いがあるぞ。」
「そっか、あってよかった。水は多分この家にあるでしょ?あとはさっき聞いた冷たいまま保存できる魔道具があれば一週間くらいでできるかな?」
「いっしゅうかんってなんだ?」
「あ、えっと七日間だね。」
そうか、一週間という概念がないのか。というか言語自体は同じなんだよな。ちょっと疑問に思ったけど、話せなかったりしたら不便だったからそれはそれでよし。
「そんなにかかるのか、それまでの間食事はどうする?悪いが俺は簡単に何か焼くか市販の物を買ってきてやるくらいしかできないぞ?」
「う、うーん、僕も煮るだの焼くだの少しくらいはできるけど、まずはたてるようになるまで回復しなきゃだよね・・・」
「そうだな、とりあえずの今日の分は買ってくる。俺が作るからあんまりうまくないかもしれないが、我慢してくれよ?」
「作ってもらったものならしっかり食べきるよ。」
食べ物には感謝を、特に作ってもらったものには感謝を。ちょっと苦いとか辛いとか美味しくないからと言って残すのはよくないことだとは思ってる。さすがに付け合わせの唐辛子とかは残しちゃうときもあるけど。
「さっきもなんだかんだ言いつつも食べきったもんな、それじゃあ買い物に行ってくる。立てるようになっても外には出るなよ?周りに騒がれると面倒なことになるかもしれないからな。」
「うん、ここでは僕珍しいわけだもんね、わかってる。」
「それならいい。」
そうなんだよね、ガロがかくまってはくれてるけど、人間の自分はここでは珍しい存在だから、目立ったりするとどうなるかわからない。それこそどっかの研究者が現れて実験動物にされたり?
変なこと考えるのはやめよう、ガロが出て行って静かになったけど、立てないし眠くないしでどう時間を潰したものか・・・やっぱスマホ触ってるしかないか。
気になったのはまだ残っているマップのアプリだ。充電を多く使うだろうから開くのかどうか悩んでたけど、ここまで使って1%も減ってないし、そもそも寝てる間ポケットに入れてて充電してなかったのに100%表示なわけだ。模しきれちゃったら切れちゃったでその時はあきらめるとして、気にせずスマホは使っていちゃえばいいや。
マップを開くとびっくりすることに周辺の地図がしっかりと出る。拡大縮小もちゃんとできる。さすがに前のマップに会った衛星画像やストリートビューの昨日は消えてる。同じアイコンで同じような地図なんだけどなぁ・・・
この町の大きさを確認しようとズームアウトしていくけど、以前は世界地図レベルまでできたはずのズームアウトができなくなってる。さらに今いる位置から少ししか動かすことができなくなってるから周辺しか見ることはできない。前は別の国まで見れてたはずなのに、どうなってるんだこれ?
ただ目安距離1kmの表示が大体自分の親指分くらいの大きさでそこそこ広い範囲は見えてるから、町の大きさは大体わかった、4㎞くらいの範囲だけ白い表示で、他は全部緑だからだ。町が4㎞って大きいのか小さいのかちょっとわからないけど。
ズームアウトしてても町がどんな感じなのかわからないので、とりあえずズームインしなおす。一番ズームインすると目安距離の表示は20mで止まる。まぁこれ以上ズームインしてもしょうがないか。ここまでズームインすると町中の範囲は全部スライドしてみていくことができるようだ。つまり僕から一定以上離れたところは確認できないようになってるのか?
どうにも以前とは違うけど、そもそもめったにマップなんて開いてなかったか。いつも同じ道、いつも同じ場所。3年前に誰もいなくなった実家の処理に行ったときはさすがに使ったけど、それっきりかも?
うっ、ちょっと泣けてきたから忘れよ。あ、ここもしかしてさっきガロと転移した教会だ。他の建物は一切名前がついてないけど、教会だけは教会と名前がついてる。でも何教会とか書いてないのは変な感じだ。
というかむしろガロの家だけガロの家と書いてある。これってもしかして、自分自身が覚えた名前で行ったことある場所だけ記録されてるのか?うーん、こればかりは外に出ないとわからないか。
はぁ、周りにどういう店があるとか知りたかったけど、これじゃ見てても退屈しのぎになりそうにない。しょうがないブラウザで何か調べ物するか小説でも読むか・・・
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