そこは獣人たちの世界

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第一章

性事情の話

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混濁とした意識の中、何とか目を覚ます。どうやらソファーの上に寝てるようだ。ただその寝た時の記憶がない。そして少し頭が痛い。

「おう、起きたか?大丈夫か?」

「ガロ、もしかしてガロがここに寝かせてくれた?」

声をかけられたほうを見るとふわっとほのかにあの甘ったるい匂いがする。でもそれを消すようにお風呂の石鹸の匂いが強いみたいでぼーっとはしてこない。

「あぁ、キッチンの中で寝てたから心配したぞ。俺の皿洗ってはくれたみたいだが、皿を乾かすところにも置いてなかったしな。」

「あぁ、ごめんね。」

「いや、謝ることはないんだが、急にどうしたんだ?」

「え、えっと・・・」

そういわれてどう言おうかちょっと考える。そのままを伝えてしまっていいのだろうか?そのまま伝えないとしてなんて言ってごまかせば?

「まさかと思ったか、やっぱり俺の発情期の匂いが原因か?」

「うっ、わからないけど多分、甘ったるい感じの匂い嗅いだら急にぼーっとしちゃってね。」

薄々気が付いてたなら隠したってしょうがないか、でも他種族には影響ないってガロから聞いていたのに、なんでこうなったんだろうか。

「そりゃ完全に発情期の匂いが原因じゃねぇか。そうかと思ってがっつり風呂で洗ってきておいて正解だったぜ。ただ寝室には近づかないほうがいいな。あそこは匂いがこもってる。換気も俺の発情期が終わるまではできないしな。」

「発情期が終わったら平気なの?」

「あぁ、発情期が終わっても匂いは残るが影響はないな。」

「そうなんだ。」

うーん、どうなってるんだろうか、発情期中の匂いの強さとかが原因なのかな?あ、あんまり考えると頭痛いな。

「おい、また頭抱えて大丈夫か?とりあえず安静にしてろ。それと今寝たってことはもう少しすると急激に来るはずだから、その時は風呂場で済ませてくれて構わないからな。」

「来るって、何が来るの?」

「抜きたい欲とか出したい欲っていえばわかるか?キオは雄だろ?」

そういわれてカーッと頭が熱くなる。そうか、この匂いで僕も発情したみたいな感じなら、そういうことになるのか!

「うん、わ、わかった。その時はお風呂場使わせてもらうね。」

「そうだ、丁度いい、ちょっと辛いかもだが今のうちキオの性事情でも聞いておくか。」

「え、えぇ!?」

にやにやと牙を出して悪い顔をしていたが、すぐに真剣な感じの顔に戻る。あ、結構大切な話なのかも?

「キオの世界での結婚や性行為はどうなっていたんだという話だ。例えば雄と雌でやるとかそういう話だな。」

「あぁ、なるほど、僕の世界では国ごとに一応違うらしいけど、僕のいた国では男と女で結婚する愛し合うってのが普通だったかな。」

「ほう、国がいくつもあったのか。それなら他の国では同性の結婚や性事情もあったと?」

「あるって聞いたことはあるけど、ちょっと実感はわかないかな。」

そうか、この世界は国が一つなのか。でも実際の権力はギルドにあるんだっけ。でも王国だってそれなりの権利はあるんだろうな。

「そうか、ならこの世界の感覚はキオには会わないかもしれないな。まず同性同士での恋愛結婚は普通だ、雄同士雌同士でも愛し合うってことだな。」

「そ、そうなんだ。でも子供ってどうなるの?」

「ん?別に同性同士でも子供はできるぞ。それどころか掛け合う種族でさえ関係ないからな。」

わお、つまりガロも一見狼でも純粋な狼じゃない可能性があるってことか?でもガロはちゃんと狼って感じがするけど。

「急にじろじろ見てきたな、なんか変なこと考えなかったか?一応俺は純粋な狼と狼の元に生まれてるんだけどな。」

「あ、やっぱりそうなんだ。」

「はぁ、まぁいい。それよりも大事な話はだ、キオは狙われやすいだろうということを覚悟しておけということだ。しかも発情期の匂いでダウンするならなおさらな。」

「へ、どういうこと?」

僕が狙われやすい?人間だから一見すれば変な生物で狙われるってことはないと思うんだけど。もしかしてそうじゃないのか?

「お前がどう思ってるのかわからないが、結構かわいい顔をしているからな。さらわれる可能性だってあるぞ。この町ならそんな危ない場所はないが、大きい街とか王都に行ったら要注意だな。」

「そ、そうなのか。で、それと発情期の匂いでダウンするのがどう関係があるの?」

かわいいと言われても実感わかないよ。それよりダウンで思い出したけど、頭痛はだいぶましになってきたな。ただ恥ずかしいことにちょっと下の方に熱が集まってきてるけど。

「あぁ、裏の薬なんだがわざと発情期に自分をしてずっと匂いを出し続ける薬がある。その匂いを同族に嗅がせ続けると、発情してない普通の匂いでもかがされた相手に対して強制発情するとかって話だ。」

「え、な、なにそれ?じゃあガロのこの甘ったるい匂い嗅ぎ続けると僕もそうなるってこと?」

「いや、二日三日じゃならないはずだし、今は石鹸の匂いのほうがちゃんと強いだろ?俺はそんな風にはするつもりはないけど、もしそうなったら責任は取ってやるよ。」

責任は取るって、つまりそういうことなんだろう。まったく知識はないわけじゃないけど、さすがに出会ったばかりのガロとそうなるかどうかなんて・・・

「って、そういう話じゃなくってだ。そうやって奴隷化させられるかもしれないから気を付けろって話だ。この町ならまずないとは言ったが可能性はゼロじゃない。それに衛兵にも頼れないしな。」

「うへぇ、でもそうか、人間の僕なんて衛兵頼ってもどうなるかわかったもんじゃないって感じか。」

「ま、そういうこった。それでもお前が望むならいつでも出て行って構わない。俺としてはまた料理作ってほしいものだけどな。」

うーん、そこまで言われて勝手に出ていくつもりはない。というかガロ以外に頼れる人がいないというのが正しいか。ほんとガロ以外に拾われてたらどうなってたかわかったもんじゃないわけだ。感謝こそすれど否定することはないな。
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