そこは獣人たちの世界

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第一章

魔法訓練開始

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「訓練の覚悟があるのならば地下訓練所に行くとするかの。」

「おぉ、訓練所とかもあるんだ。大丈夫です、お願いします。」

「訓練所か、そういえば最近は使ってなかったな。どのギルドにも地下には必ずあるからギルドに登録して初めのころはよく通うことになる場所だけどな。」

「どこにでもあるんだ。」

「そうじゃの。ではついてきてくれ。」

確かにあまり賑わってないこの町のギルドでさえあるなら全部のギルドにあっても不思議ではないんだろう。どんなふうになってるのかちょっと楽しみな感じでビャクラクさんについていく。
僕の後ろからガロはついてきてる感じで並んで歩く最中に、3階を通り過ぎたところでふと気になったことを聞いてみる。

「そういえばギルドの2階と3階はどういう施設があるんですか?」

「ぬ?そうか、ギルドがそもそもで初めてなんだったかの。2階はいくつか小部屋になっていて商談や小さな会議に使われておる。3階には資料室があるからの、そこから討伐目標の資料を持ってきたりするんじゃ。」

「なるほど、他のギルドもおんなじ感じですか?」

「まぁ王都以外は大体が地下を含めた5階構成じゃの。最上階がマスタールームじゃ。」

最上階がギルドマスターの部屋っていうのはやっぱえらいからなのかな?それともほかの観点が会ったりするんだろうか?地下迄おり切ったのもあってそこまでは聞かなかったけど。
地下はすごく広くて、テニスコートくらいの広さのへこみが規則正しく12個並んでできていた。そのうち一番降りてきたとこから遠いところの2つは中が完全に見えない状態になっていた。
そして目の前の一つで、おそらくちょっと太い猫らしき背後の人が的に向かて投げたのであろう火の玉が、あらぬ方向に飛んでへこみから外に出そうになったところで、見えない壁にぶつかったようにはじけ飛んだ。
隣の細身の猫種の女性は多分キャビンアテンダントのようなきれいな服を着ているし、ギルドの人なのだろう。元気づけるように、肩を叩きつつも指導しているようだ。

「儂らも隣に入るとするかの。」

「あ、はい。」

誘われるままに隣のへこみの階段部分を下る。その階段横の青い石にビャクラクさんが触れると石は白色にと変化した。

「これで他の物は入ってこれなくなり、さっきのように外に魔法を誤射しても安心じゃ。」

「あの、奥のへこみのように見えなくすることもできるんですか?」

「うむ。ここでもできる。次に触れるとまたこの魔道具が青に戻る。そしてまた触れるときに白ではなく魔道具が黒になるまで触れ続ければよい。」

やっぱこれも魔道具なんだ。見えない壁を作る魔道具とかなのかな?それなら訓練所以外にもいろいろ使われてそうな気がするけど。

「なるほど、ありがとうございます。」

「なんだ?隠れてやりたいことでもあったか?」

「いや、そういうわけじゃないけど、一応知っておかないとね。」

ちょっと茶化すように言ったガロだったけど、僕の言葉で察したらしくてばつの悪そうな顔になってた。人間に戻っちゃったときに見られるとまずいからね。

「ふむ、知識欲豊富なのはいいことじゃ。知ろうとすることは大切じゃぞ。ただ世の中には知りすぎる闇というのもあるがの。それはさておき、魔法訓練を始めるとするかの。」

ビャクラクさんが魔道具の石の横についてる壁の取っ手に手をかけると、横開きに壁が大きく開く。ちょっと変な感じがしたけど道具を仕舞い込むなら壁の中が一番なんだろうな。
なかには木でできたようなさまざまな武器とかいろんな形の盾が入っていた。その横にはいろんな形の木の的もあって、さっきちらっと見えた丸い形の的もある。ビャクラクさんが取り出したのはその丸い的を3つだ。形的には棒に丸が付いてるから道路標識っぽい?いや、短いから扇風機にもちょっと見える。

「的出すの早くねぇか?まずは力を出すところからだろ?」

「いやの、キオ君が何やらやる気満々じゃったからついの。」

ちらりと僕の腰元に眼が行くのが見える。あぁぁ、尻尾揺れまくっててわかっちゃったってことか!うーん、どうしようもないことだけどこうもわかりやすいんだなと思うと恥ずかしい面もあるな。

「なんか、すいません。」

「しょうがないことじゃ。さて、ではさっそく始めるかの?」

「はい、お願いします!」

魔法が使えるかもしれないなら興奮しちゃうのもしょうがないでしょ?ガロがまずは力を出すところからって言ってたけど、どうするんだろうか?

「キオ君はさっき調べて最低でも8属性という多種多様な属性を持っているからの。まずはもっとも扱いやすい属性から一つ一つ試していくかの。ちなみにじゃが、一番扱いやすいのはどの属性じゃと思う?」

「えっと、火、ですかね?」

火と答えたのは一番メジャーどころな気がしたからだ。いろんなアニメやゲームを見てきたけど、火は一番スタンダードというイメージがある。

「おしいな。一番発動させやすいのは確かに火だ。」

「ガロの言う通り。火は一番発動させやすい属性じゃの。じゃが実は扱いやすさでいえばそれほどでもない。火は形のイメージが付きすぎてて形の変化させづらいと言われておるからの。一番扱いやすいのは水じゃ。発動させやすさもあるだけじゃなく、形も変化させやすいからの。」

「なるほど、じゃあ初めは水ということですね。」

確かに言われてみると火はあの燃えてるイメージが強くてそっちに引っ張られやすいけど、水ってコップの水とか流れてる水とかいろいろあるもんね。

「そうじゃ。ではまずこれを持ってもらおうかの。」

「えっと、これは?」

渡されたのは10センチくらいの鉄のような素材の丸い棒。渡されるままに持ったけど、何か特別な棒なのかな?ビャクラクさんはガロにも渡して、ビャクラクさん自身も同じ棒を手に持ってる。

「すさまじく懐かしいなこれ。」

「ほほ、そうじゃろうな。キオ君にはちゃんと教えようかの。これは魔素属性伝導棒というもでの。体内の魔素を属性にと高め伝導させて発生させやすくする棒じゃ。」

「な、なるほど?」

「まぁ要するに、この棒を持っていると魔法となる力の発動が楽になるということじゃの。それだけじゃなく、火を手元に起こしてやけどするなんて事故も起こらないからの。」

「おー、なるほど、わかりました。」

要するに杖とかと同じようなもんなのかもしれない。杖にしては小さな棒だけど、タクトだと思えば変な感じもしないし。

「ではまず儂の手本を見ておくのじゃ。といっても見ただけですぐできるものでもないはずじゃがの。この棒の先端に水を集めるイメージをするだけじゃ。そうするとこうなる。」

ビャクラクさんの持つ棒から蛇口を少しひねった時のようにちょろちょろと水が流れ始める。すぐに止めてくれたけど。床に落ちた水に足元が濡れそうだなってちょっと思っちゃった。

「ほら、ガロも見せてあげるのじゃ。」

「俺は雷だぞ?今からやる水には関係なくないか?」

「僕はガロのも見たいけどな。」

「・・・そうか。」

ガロが棒をぎゅっと握ると、棒全体にびりびりと青い電気の流れが発生する。目に見えるほどの電気、いや雷をきれいだと思ったけど、すぐに止めてしまった。ちょっと残念。

「うむ、さすがガロじゃな。洗練されておる。」

「じじいのほどじゃねぇよ。わざとあの量にしてるんだろ?しかもしっかり濡れない水だしよ。」

「濡れない水なんてできるんですね!」

「ほほ、まぁの。キオ君もすぐにではないができるようになるかもしれんの。じゃが今はまず発動させるところからじゃ。やってみてくれ。」

「はい!」

僕もガロみたいにギュっと棒を握って、棒の先に水の集まるイメージをする。川の水、蛇口の水、水滴のようなイメージととにかく水っぽいイメージをいろいろ思い浮かべて集中すると、杖の先にほんのり水滴が出てきて、床にぽたんと垂れる。

「うっ、全然だめだ。」

「なにを言っておるんじゃ。こんなにすぐに発動できるとは、それも二滴目が滴っておる。」

「すごいなキオ、俺でも初めての時は半日は発動までかかったぞ?」

「え、そんなにすごいんですか?こんなもんなんですけど・・・」

閉め忘れた蛇口のように水滴が垂れてるだけである。でも意識してる間はずっと垂れ続けてる。僕が水のイメージをやめるとピタッと止まる。なんというか、ちょっと面白い。水が跳ねて足元がほんのり濡れちゃったのはあれだけど。
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