そこは獣人たちの世界

レクセル

文字の大きさ
72 / 303
第一章

*ニンゲンの話

しおりを挟む
「さて、それでは本題じゃが、キオ君は元の種族は何の種族だったのかの?」

「それを聞いてくるか。俺が濁してたのはわかってただろ?」

「わかっておる。話を聞いてから上にどこまで話すか決めよう。お主とキオ君の仲を引き裂くような真似はせぬよ。」

「それを聞いて安心した。あいつは元はニンゲンという種族だったんだ。」

「なんじゃと!?」

じじいのとてつもない大声に思わず俺もたじろいでしまった。いろいろ驚かせたつもりだったが、まさかニンゲンといってこんなに驚くとは思ってなかった。

「な、なんだじじいしってるのか。」

「知っているのか、ではない。それで儂の元に連れてきたというわけか。相手が儂でよかったというしかないの。」

「どういうことだ?」

「ニンゲンについてはもう二度と他で話すなということじゃ。10年以上ギルドマスターを務めている一部のものしか知らぬ内容じゃからの。」

「そんな内容なのか、わかった。」

これは、キオを人の目にさらさないようにしてた俺の判断は間違ってなかったようだな。珍しい見た目というだけで済まなそうな内容だ。

「はぁ、しょうがない、話すとするかの。本来お主に話すと儂も立場が危うくなるのじゃが、知らなければキオ君を守るのも難しいじゃろうからな。」

「あぁ、わるいなじじい。」

「かまわんよ。お主はギルドができた経緯についてはしっておるかの?」

「あぁ、何年前かは忘れたが、2代目国王が作ったんだろ?それが何の関係があるんだ?」

「そう、元二代目国王、初代グランドマスターがおよそ3000年前に作ったのじゃ。破天荒な人じゃったと聞く。王という立場に縛られたくなくて世界を旅したもの。」

「そして世界で困る人々を助けるためにギルドという施設を作り歩いた男だろ?」

「そうじゃ。これは2代目王がギルドを作ったという偉業を大きく出すために作られた話じゃ。じゃが実際には少し違う。ギルドを作る提案をしたのは一人のニンゲンという種族の女だったらしい。」

「んな!?」

おいおい、なんだその話!?ニンゲンが絡む話なんだろうとは思ったが、初代グランドマスターであり、その時の王であるそいつにそこまでかかわってる存在なのか。

「儂が知っているのは2代目王が開発したとされる魔道具も、そのニンゲンが開発したものが多いと聞いたところまでじゃ。つまりニンゲンの価値を王族はしておる。注意するんじゃな。」

「魔道具も関係してるのかよ。それで、もしかして王族は見た目も知っているのか?」

「さぁの。儂はどんな姿じゃったかは聞かされておらん。」

「そうか・・・」

じじいで分からないからといって姿のほうは伝わってないと楽観視はできねぇな。ますますSランクになる必要性が増えてきた。

「それでSランクかの。どうやらかなり緊急な話のようじゃし、何とかしてやるかの。それで、キオ君はどのくらい狼種の姿で居れるのかの?」

「昨日は昼過ぎまで平気だったな。精を取り込んだ量でおそらく変わるだろうから、今日はもう少しは長いと思うけどな。」

「ほう、なぜそういえるのじゃ?」

あ、やべ、つい口が滑っちまった。余計なことを言うんじゃなかったな。

「おう、それを聞くのか?」

「ぬ、言いにくいことじゃったか?じゃが上に種族変異の手掛かりがつかめたと報告はするつもりじゃ。時間はあけるがの。」

「そうか、もしかしたらキオは種族変異とはちょっと違うかもしれねぇけどな。」

「そうかもしれぬの。ニンゲンと同じ原因かは不明といえるからの。じゃがこればかりはまた問題が起こらないようにしたいから少しでも手掛かりがほしいところなのじゃ。」

「そうか・・・まぁ、その、あれだ。コブまで入れたんだよ。」

「なに!?3回目でそこまでしたというのか!?強避妊薬は当然使ったじゃろうな!?」

「もちろん使ったさ。あぁでも、そういう反応されるだろうから言いたくなかったんだよ。」

「はぁ、それにしてもお主にそこまでの仲になるものができるとはのう。単に狼種にするために行為をしてるのではないのじゃろ?」

「あたりまえだろ。」

「まぁ態度で分かるわ。変なことを聞いてわるかったわい。」

失礼なことを聞くとは思ったが、確かに少しだけ狼種になるためにといって行為につなげてるところもある。言い訳にしていいことじゃないんだけどな。

「話を戻すがの、明日からギルドには通ってもらうつもりじゃ。もちろん儂の言うノルマをこなさなければいくらキオ君のことがあっても返さぬからの?」

「あぁ、その辺はわかってる。ただキオにもちゃんというつもりだ。」

「そうじゃの、お主がギルドに通う間あの子もギルドで訓練を重ねるといいじゃろうな。ギルド登録はお主がしてやるといい。させるつもりなんじゃろ?」

「気を利かせて悪いなじじい。」

もちろん魔法が使えるレベルならば、後は近接戦闘を教え込むためにもギルド登録させるつもりだった。俺のパートナーにも出来るしな。

「パートナー登録は儂が行ってやろう。他の役員だと騒ぐじゃろうからな。」

「つくづく感謝する。で、俺は何を返せばいい?」

「お主にはいろいろ世話になったからの。初めに遠出の依頼を受けてくれた恩もある。きにせんでよいぞ。」

「そうか、ありがとうな、ビャクラクさん。」

「・・・あぁ。キオ君が待っておるぞ、行ってやりなさい。」

ほんと世話になりっぱなしなのに久しぶりにその名で呼んだ気がする。そのせいかいつも以上に柔らかな笑顔で俺を送り出してくれた。
しおりを挟む
感想 64

あなたにおすすめの小説

吊るされた少年は惨めな絶頂を繰り返す

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

身体検査

RIKUTO
BL
次世代優生保護法。この世界の日本は、最適な遺伝子を残し、日本民族の優秀さを維持するとの目的で、 選ばれた青少年たちの体を徹底的に検査する。厳正な検査だというが、異常なほどに性器と排泄器の検査をするのである。それに選ばれたとある少年の全記録。

カテーテルの使い方

真城詩
BL
短編読みきりです。

男子高校に入学したらハーレムでした!

はやしかわともえ
BL
閲覧ありがとうございます。 ゆっくり書いていきます。 毎日19時更新です。 よろしくお願い致します。 2022.04.28 お気に入り、栞ありがとうございます。 とても励みになります。 引き続き宜しくお願いします。 2022.05.01 近々番外編SSをあげます。 よければ覗いてみてください。 2022.05.10 お気に入りしてくれてる方、閲覧くださってる方、ありがとうございます。 精一杯書いていきます。 2022.05.15 閲覧、お気に入り、ありがとうございます。 読んでいただけてとても嬉しいです。 近々番外編をあげます。 良ければ覗いてみてください。 2022.05.28 今日で完結です。閲覧、お気に入り本当にありがとうございました。 次作も頑張って書きます。 よろしくおねがいします。

少年探偵は恥部を徹底的に調べあげられる

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

R指定

ヤミイ
BL
ハードです。

月弥総合病院

僕君☾☾
キャラ文芸
月弥総合病院。極度の病院嫌いや完治が難しい疾患、診察、検査などの医療行為を拒否したり中々治療が進められない子を治療していく。 また、ここは凄腕の医師達が集まる病院。特にその中の計5人が圧倒的に遥か上回る実力を持ち、「白鳥」と呼ばれている。 (小児科のストーリー)医療に全然詳しく無いのでそれっぽく書いてます...!!

スライムパンツとスライムスーツで、イチャイチャしよう!

ミクリ21
BL
とある変態の話。

処理中です...