そこは獣人たちの世界

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第二章

トリプルショット

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カレントさん改め水竜に一応は認められた見たいだけど、あの量の水を出せることがあるんだろうか?僕は今の水の大きさで精いっぱいだというのに。
いや、あれほどに到達できなくても、手札をできる限り増やして戦うしかないか。

「そういえばよ、なんで水を使ったんだ?確か火も雷も使えるんだろ?」

「なんでお前はそんなことも知ってるんだ。」

「はん、冒険者として情報収集したにすぎねぇよ。で、使うなら雷だと思てたんだがな。」

「そこらの魔物に使うなら雷のほうが効きやすいだろうけど、威力としてはウォーターガンが一番強いと思ったからね。他のはまだガンにするのに時間もかかるし安定しない。」

火のほうは8割型成功するけどたまに失敗して筒に燃え広がってしまってすぐ消す羽目になることがある。雷に至っては5割も成功しないし失敗すると腕の毛が全部逆立っちゃうのでちょっと練習もしたくなくなる。

「だけどよ、おそらくショットなら使えるだろ?見せてもらってもいいか?的はすぐ用意する。」

「えっと、まぁいいけど。」

「おいキオ、あんま安請け合いしなくてもいいんだぞ?」

「水竜は結構ガロと組んだことがあるし、Sランクなんでしょ?なら僕のほかの属性も見てもらって参考になる意見でも聞けたらなって。」

ガロが心配そうに言うけど、ガロからだけじゃなく、ビャクラクさんだけじゃなく、他の人の意見も参考にしたい。ただでさえ今使える魔法は少ないから。

「はっ、そんなことならお安い御用だ。何ならガロよりも魔法としての操作は上だからいろいろ教えられるぜ?」

「まぁ、あんな水の竜を作れるんだ。操作面でいえばお前よりも上なのは両手で数えられるほどだろ。」

「へぇ、じゃあもしかして、ガロより強かったりするの?」

「キオ、お前、俺をあおってるのか?」

「い、いや、そんなつもりはないよ。」

ちょっと興味本位に出た言葉だけど、ガロに思いっきり不快な顔をされちゃった。どうしようと思ってたらガロの肩を水竜がたたいた。

「くっははは!しょうがねぇだろ?一応オレはSランク歴が長く、お前はこの間なったばかりじゃねぇか。でもなキオ、パートナーの実力を疑ったりするなよ?後、俺との模擬戦とかは期待するな。雷と水じゃかなりオレが不利だ。」

確かに水と雷がぶつかるのを想像すると雷のほうが優勢なイメージが付く。でも水によって雷が分散されたりだってするだろうし、一概には言えないはずだけど。

「なにより、オレは近接戦では絶対ガロに勝てねぇ。というかガロと近接戦だけは絶対やりたくねぇ。魔法のみの模擬戦なら、ギリギリやってもいいが、魔素保有量はガロのほうが多いからな。打ち合いになったら負ける。」

「カレント、お前、あんな自信たっぷりに話しておいて俺との模擬戦はしたくないってか?」

「あぁ、お断りしたいね。ボロボロにされる未来しか見えねぇ。」

ガロってどれだけ強いの?カレントだって水竜なんて呼び名が付くくらいだしSランクだ。さっきの魔法を見てもかなりの実力者なのは間違いない。その水竜がボロボロにされる未来しか見えないとは。
というかちょっと意外だ。なんというかガロに突っかかって何度も模擬戦をするようなイメージだった。

「意外だな。だがこれで納得がいった。他のAランクの奴にちょくちょく模擬戦を申し込むことがあっても俺にだけはしなかった理由がな。」

「拮抗してるか下くらいの奴はいいんだよ。お前は確実に上だ。どれだけ特訓してもお前も特訓してる。そもそもオレがSランクに行けたのはほぼお前のおかげだからな。実力的には俺もA程度さ。」

「カレント・・・それは気にするなといってるだろ。むしろ俺の面倒を受けてくれたことには感謝してる。」

過去になんかあったみたいだ。というか実力的にはAランクなんて自分でいうもんなんだろうか?それともガロにだけなのかな?

「おっと、話がそれちまった。キオ、お前のほかの属性も見せてみろ。ほらこれに当てろ!」

無理やり話を戻された。多分僕には話したくないことなんだろう。それは水竜だけじゃなくガロもなのかな?ちらっと見たらちょっと目をそらされてしまった。
ちょっとずるいな、僕が知らないガロのことをいろいろ知ってるカレントが。僕ももっとガロのことを知りたい。でも、僕はどうだろうか?僕の元の世界でのことを聞かれたいだろうか?
・・・やめよう。今は目の前の的に集中しよう。魔素で筒を作り出し、そこに火、雷と塊を詰めて発射する。

「ファイアショット!サンダーショット!」

連射してどっちも十字の的を射抜くけど、さっきのショットに比べたら穴はいびつだし突抜はしたけど向こう側はかなり小さい穴だ。特に雷のほうは木に貫通しづらいみたいで途中で穴が止まってる。

「連発!?結構すごいな、違う属性を即座に連発できるなんて。火は木の的に対してこれだと少し威力不足だな。雷はまぁしょうがねぇのかこれは?連発させずに威力に集中させた方がいいぞ。」

「あ、うん、そうだね。」

今のはどっちもちゃんと威力に集中してたんだけど、ガンに比べるとやっぱりショットは威力不足だ。生物に雷が効きやすいから暴れ牛を倒せたり出来ただけだろう。

「おいキオ、お前まさかショットまで2属性同時に使えるようになってないよな?」

「え?一応練習してショット3属性同時に打てるけど?連発にしたのは筒を一つしか作らなかったのと、同時だとかなり弾が小さくなるからだね。」

「おいガロ、キオは冗談を言ってるのか?今3属性同時と聞こえたんだが。」

「俺も冗談だと思いたかった。キオ、いつそんな練習してたんだ?俺が見てる間にはバレットを出せる程度だっただろ?」

「え、えっと、なんか3属性の話の後ビャクラクさんに話したか聞いてなくって。一応練習はしたかったけどしていいかわからなかったから、ガロがいないときに。」

ちょっと怖い顔だったので思わず本当のことを離したら余計に怖い顔になった。だって使っていいのかどうか教えてくれなかったけど、いざって時の切り札にはしたかったんだもん。あと一番の問題がある。

「はぁ、あまり人前では使わなければいいが、今は見せてくれ。カレントなら口は堅い。」

「おいおい、まぁ話さねぇけどよ。今やるのか?」

「あぁ、できるだろ?」

「うん、まぁできるけど。」

再び少し穴の開いた的に向かって今度は魔素の小さな筒を三つだす。それぞれに水、火、雷を込めて放とうとするけどちょっと違和感がある。あ、魔法の名前が必要なのか。練習の時みたいに全部の属性を並べて言うのもちょっと人前だとカッコ悪いしこれだな。

「名付けて、トリプルショット!」

僕がトリプルショットと唱えればしっかり放たれる。どうやら即席の名前でもちゃんとできたみたいだ。そしてビー玉より小さい程度の3色の魔法弾がそれぞれの筒から発射されて木の的に当たる。少し穴があいたくらいかな?こりゃやっぱり練習不足なのもあって威力不足だな。

「今つけたのかよ!まぁ弾は確かに小さいな。だが十分な速さがあったし、悪くないんじゃねぇか?ちょっとさっきよりも威力不足だが。」

「弾の大きさ的に仕方ないだろう。魔素消費量での疲労はないか?」

「うん、大丈夫。こんな威力だったからね。」

「いや、今の時点でこれなら十分だろ。」

水竜がそう言ってくれたけど何やら思うところがあったのか悩んでいる様子だ。何かアドバイスしてくれるつもりなのかな?

「ふっ、なら威力をしっかり上げれるよう俺と特訓だな。」

「うっ、りょ、了解。」

まぁ魔法的な特訓ならいいや。剣のほうだともっと疲れるだろうからね。ちらっと見たけど水竜もまだ悩んでるみたいだ。ちょっとアドバイスに期待してもいいのかな?
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