そこは獣人たちの世界

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第二章

*ぎこちなく始まる

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おそらくそれほど時間は立っていなかったのだろうが、自分にとってはとても長い沈黙が続いた。その間、自分を見るカレントを強く見つめ返していただけだった。
青い竜の体は、あの時の水龍砲を思い起こさせる。完全なるひとめぼれ。惚れたものには弱くなるなどと眉唾だと信じていたが、それからの自分はカレントがガロとくっつくことを応援しつつも、くっつくことをあきらめないかと二律背反の思いを背負い続けていた。
今ここで拒否ならば拒否で諦めもつく。カレントにはガロしか見えていなかった。ほかの者とくっつくことはもうない。それだけでも少しいいと思える。だがここで受けてもらえるならば、できうる限り大切にする。

「わかった、パートナーになろう。」

「っ!そうか!」

「うおぉ!だ、抱き着くなよ!?そんなうれしかったのかよ?」

「あっ、あぁ、悪かった。」

ほとんど無意識に抱き寄せていた。服から露出した鱗肌が自分の毛皮越しにも一瞬冷たく感じたが、まだ軽く触れている今は心なしか温かくなっていっている。

「いつまで触ってるんだ?もしかして、ドラドは触ったりが好きなのか?」

「あ、あぁ、いや、鱗肌を触ったのは初めてでな。」

いつまで触っているんだといわれて謝りもしたのに触れる手を離せなかった。むしろ軽く腕を撫でてより感触を確かめてしまう。

「あー、触り心地はどうだ?」

「なかなかいいな。感触も毛と違いつるつるで、初めは冷たかったのに、温かくなっていっている。」

「そこは鍛えてるいい腕だとか言ってくれよ!温かくなってるのは鱗系に多いんだ。興奮し始めると対面温度も上がるやつがな。」

「つまり腕を触れられて興奮したと?」

「ちげぇよ!抱き着かれてだ!」

「あぁ、すまない。」

別にそんな強く言い返さなくてもわかっていたんだが、そういう反応も悪くない。なんというか、これが惚れた相手への弱みか。不思議な感覚だ。ほかの者にこういう反応されても何とも思わなかっただろう。

「・・・で、するのか?やっぱ。」

「カレントがしたいのならば。」

「じゃあお互い脱ごうぜ?そのあともっと、その、触っていいからよ。」

手をはがされたが、緊張気味にも誘ってくるその言葉に軽く唾をのむ。人前で脱いだ経験は店でしかない。あそこは店側も相手もプロで全裸になる雰囲気を醸し出していた。
でもここにはお互いそういう店での経験しかない者同士で、当然そちら方面のプロではない。この宿も行為を了承していて潤滑油も置いてはいるが、雰囲気としては専用の店には劣る。
だがカレンとは気にせず上を脱ぎ、そして下を脱ぎだす。すべての衣服が取り払われて全身美しい青一色の竜種の姿が洗われる。一言に青といっても腹部は少し薄めになっている。そういうところを見るのは初めてだ。

「・・・綺麗だ。」

「見とれるのはいいんだけどよ、オレだけは不公平だろ?」

「わ、わかった。」

自分もカレントに言われるままに上も下も脱ぎ捨てる。カレントとは全く違う茶色の毛皮と胸元と股間部の白い毛皮の2色編成。遠征時以外はしっかり洗ってはいる。今回の遠征もドーパーで海近くということもあり風呂場付き宿をとれている。だが、カレントのような美しさは自分にはないだろう。

「確か武器はやりメインだろ?だけどちゃんと鍛えた体だな。毛皮越しにもわかる。」

「ん、それは基礎体力作りは冒険者には基本だからな。」

「まぁそりゃそうだろうが、オレはそういう体好きだぜ?」

「そ、そうか。」

自分以外もほめるような言葉だが、素直にうれしく感じた。大した言葉でもないのに肌かというところが合わさってか恥ずかしくも感じたが。

「で、どうするんだ?とりあえず触り合から始めるか?」

「そ、そうだな。」

いつの間にか主導権はカレントにといっていた。服を脱ぐ前は少し緊張気味だったはずなのに。いや、緊張はしているのか。立ち尽くして自分の胸に手を伸ばし、ペタペタと触り始めた。
手がかなり温かい。いや、少し熱いくらいか?かなり興奮状態なのだろう。自分も、かなり興奮状態だ。といってもまだ下の部分にまで反応するほどではなかったが、胸元を触られ始めるとさすがに露出下自分のがピクリと反応してしまった。
それに反してカレントの股間部には何もないように見える。鱗種特有の収納で外部に露出していないんだったか。その部分も気にはなるが、いきなりは失礼だろう。自分もカレントの胸元をぎこちなく触り始める。
完全に暖かくなった胸元はかなりの筋肉質。魔法以外は素手で戦うカレントだからこその筋肉だろう。そんな筋肉を美しいと思えてしまうのはやはり惚れたからなのか。胸元を撫でまわすと、軽くカレントがんん、と声をあげる。

「な、なんかこれだけなのに恥ずかしいもんだな。」

「そうだな、お互い店での経験しかないからだろうな。」

「結構冷静だな、というか、なんか、んん、くすぐったいもんだな。毛付きの手で胸元撫でられるの。」

「不快だったか?というよりも、店で毛のある者と経験があるのかと思ったのだが。」

ガロとの行為のために有毛種戸の経験を積んでいるのかと思ったが、違うのだろうか?いや、そういう考えは失礼か?

「いや、そんなことはしねぇよ。やっぱ店では似た種族のほうが具合いいからな。」

「そういうものか。」

「そういうもんだろ。実際、ドラドもそうだろ?」

「確かに、自分も有毛種としか経験はないな。」

「だろ?」

他愛ない話をしながらもお互い胸元をまさぐっていた。ふと考えてしまう。カレントは今何を思うのだろうか。ガロとだったらという気持ちが少しはあるのだろうか?いや、それを考えても仕方ないか。たとえそういう気持ちがあったとしても、自分で埋めるくらいの生きがいを見せなくてはいけないのかもしれないな。それが卑怯者のせめてもの気の持ちようだろう。
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