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全てに決着がついた後、私はリズと一緒にソリアン国へと戻ってきた頃には、既に一週間も経ってしまっていた。
「思ったより遅くなってしまいましたね~」
「色々と、向こうの方とお話しないといけないことがありましたからね」
お父様が亡くなり、お義母様もお姉様もいない以上、誰がカルネシアラ国の王家を務めるのか……そのことについて、色々と貴族の代表の方々とお話をしていたら、帰るのが遅くなってしまった。
とりあえずは、新しい宰相様が代表となって、国王の仕事を務めつつ、次の国王を誰にするか慎重に協議するという形で落ち着いた。
それと、大変な状況に陥っているカルネシアラ国を、ソリアン国が援助するという形も決まったの。
そんな大切なことを、私一人で決めて良いのかって思う方もいるかもしれない。このことについては、実は前々からアルフレッドやフェルト殿下も交えて、何度も話し合いは行われているし、今回もソリアン王家の遣いが来て、話し合いに参加している。
そうそう……私が女王としてカルネシアラ国を治めてほしいという声もあったのだけど、それは丁重にお断りした。
なにせ、私は元々王になることを前提とした教育を受けていない。そんな私が王になったところで、ただのお飾りにしかならない。それなら、もっと適任な方を話し合いで決めた方が、国のためになると思ったの。
「アルフレッド様、きっと心配してますよ。いや、あの人のことですから、セリア様がいないと眠れない! って言いながら、毎日夜泣きしているかも?」
「ちょっとリズ、そんな失礼なことを言ってはいけませんわ」
「えへっ、ごめんなさい。でもでも、なんとなく想像できますよね?」
「そんなこと……ない……ですわ」
「歯切れが悪すぎて、全然隠せてませんよ?」
「こほんっ! アルフレッド様には、逐一お手紙を送ってご報告をしておりましたので、問題ありませんわ。とにかく、これでカルネシアラ国は、元の美しい国に戻ってくれるでしょう」
民を不幸にする身勝手な王は、もういない。だから、祖国は今まで以上に発展していくと、私は確信していた。
「そうだ。リズに一つ、提案というか……お願いがありますの」
「お願いですか? 私に出来ることなら、なんでも!」
「ありがとうございます。ようやく色々と終わって一息つけそうなので、あなたのお母様にお会いして、ちゃんとご挨拶がしたいのですわ」
「えぇ!? いいのですか!? きっと母も喜ぶと思います!」
よかった、迷惑だからやめてほしいなんて言われたら、どうしようと不安になってたの。
前々から、リズのお母様のお墓参りをして、リズにとてもお世話になっていることや、リズとお友達をさせてもらっていることや、他にも色々とお話したいことがあったの。
「お母さんに、村の外のお友達を紹介するなんて、初めての経験だ……喜んでくれるかな……えへへ……」
ほんのりと頬を赤らめながら、嬉しそうに笑うリズの姿を見ていると、提案して良かったと心から思えると同時に、私のことを主としてだけではなく、お友達として思ってくれているのが、とても嬉しかった。
その後は、いつなら行けそうかとか、お墓参りの他にもしてもらいたいことがあるといった、旅の計画のお話を楽しんでいると、いつの間にか城下町に到着していた。
「あら、なにかしら……皆様、随分と忙しそう」
「そうですね。出店とかもありますし……何かのお祭りとか?」
「そんな話は聞いておりませんが……とりあえず帰って聞いてみましょう」
無事にお城に帰ってきてすぐに、アルフレッドがものすごい勢いで走ってきて、そのまま私を抱きしめてきた。
「ああ、おかえり! 久しぶりに感じるセリアの温もり……ああ、君がいない日々は、寂しすぎて頭がどうにかなりそうだし、夜も眠れなくて困ってたよ!」
……大体が、リズの言った通りになっているわね。わかりやすいけど、だからこそまっすぐって感じもして、照れくさくなっちゃうの。
「とりあえず、部屋に行きましょう」
「そうだね。荷物は僕が持つよ」
「わたしのは自分で持てるので、大丈夫です~!」
「そうかい? 無理は良くないよ。つらかったらすぐに言ってくれ」
長旅の荷物を運んでもらいながら、私は少し久しぶりな自室へと帰ってきた。
「ところでアルフレッド。そちらの話し合いはどうでしたか?」
「ああ、何度も説得をしたかいあって、ようやくあちらのボスに納得してもらい、協定を結んでもらえたよ。もう、王家が襲われることは無い」
「まあ、それはなによりですわ!」
実は、ソリアン国の王家は、この三ヶ月の間、戦争の真実を反王家の方々に伝え、何度も和解の話し合いを行っていた。それが、ついに実ったということね!
「これで、カルネシアラ国とソリアン国は本当の友好国になって、王家に不満を持っていた人達とも仲直りが出来たということですね! まさに、めでたしめでたし!」
「まさにリズ嬢の言う通りだ。だから、全てが終わった記念として、城下町で宴を開くことにしたんだ」
「なるほど、帰ってくる際に、城下町で皆様が慌ただしく動いていたのは、そういうことでしたのね」
通りで多くの人が忙しなく行き交っていたり、出店の準備がされていたわけだ。この国の宴ってどんなものなんだろう? とても楽しみだわ。
「そうだ。宴の前に、君に伝えておくことがある」
「あっ、ではわたしは席を外してますね。何かあったら呼びに来ますので!」
「あっ、リズ!」
呼び止めても一切聞かずに、部屋を逃げるように去っていった。
あの子のことだから、多分気を利かせたんだと思う。あとでお礼をしないといけないわね。
「もう……それで、なんでしょうか?」
「ほら、カルネシアラ国にいた時に、君が言っていたじゃないか。戻って来たら、結婚したいって」
「……そうですわね」
改めて正面から言われると、嘘偽りのない気持ちとはいえ、気恥ずかしさを感じる。きっと私、顔が赤くなっているでしょうね……。
「あの時伝えた通り、僕も君と結婚したい。だから……ほら」
アルフレッドは、懐から小さな箱を取り出し、中を見せてくれた。そこにあったのは、キラキラと輝く宝石があしらわれた、美しい指輪だった。
「これって……」
「僕達の愛の証だ。君が良ければ、受け取ってほしい。そして、宴の最後に民に結婚の報告をさせてほしいんだ」
「嬉しい……! はい、もちろんですわ!」
私は、嬉しさが爆発して、感情に身を委ねて、アルフレッドに勢いよく抱きつきそうになる欲を必死に抑えて、アルフレッドに指輪をはめてもらった。
ここで抱きついてアルフレッドを驚かせた結果、指輪をはめるまえに落としてしまったら、死んでも死にきれないもの。
「セリア……必ず、僕は幸せにしてあげるからね」
「既にとても幸せですのに、これ以上幸せにしてくれるのですか?」
「もちろん。君には世界で一番幸せになってもらうからね。この程度で満足なんてさせないよ」
「まあ、アルフレッドったら……私も、あなたが幸せと思えるように頑張りますわ」
私達は控えめに笑い合いながら、互いに顔を寄せ合って口づけを交わすと、コンコンッと控えめにノックをする音が聞こえてきた。
「セリア様、アルフレッド様。宴の準備が出来たみたいですよ~!」
「ええ、すぐに行くわ。リズが呼びに来てくれたので、行きましょうか」
「そうだね。さあ、僕の手を取って」
いつもしてもらっていることなのに、いつも以上の幸せを感じながら、アルフレッドと一緒にお城を後にして城下町に向かうと、そこには沢山の人と、沢山の笑顔が溢れていた。
「…………」
「セリア、どうかしたのかい?」
「民の方々の笑顔を見たら、なんていうか……皆様を助けられたんだなって、改めて実感して……感慨深くなってしまってました」
きっかけは、自分の破滅の未来だった。そこから家族へ復讐したり、リズと一緒にソリアン国に来て、アルフレッドと知り合って。色々あって恋仲になったと思ったら、故郷に帰って大立ち回りをして……本当に、色々あった。
あの予知の不幸は、お父様に殺されかけて以降、一度も訪れていない。私の考えとしては、アルフレッドが身を挺して庇ってくれたおかげで、不幸の未来が無くなったのではないかと考えている。
もしかしたら、またいつか私に不幸が襲い掛かってくるかもしれないけど……何度来たって、全て跳ね返してあげるつもりだ。
だって、私には愛する人と、大切なお友達がいるんだもの。みんなで力を合わせれば、乗り越えられない不幸は無いわ。
「アルフレッド、私を妻として選んでくれてありがとう。リズ、私をお友達に選んでくれてありがとう。私、取っても幸せよ」
私の感謝の言葉は、私達を歓迎する民の歓声にかき消されてしまった。仕方がないから、また後でゆっくり二人に伝えよう。なにせ、私達には長い時間があるのだから。
――ああ、今日も良いお天気ね。お母様は、今日も天国で見守ってくれているかしら? もしそうなら、きっと私の声は天まで届くはずだ。
「お母様……私、とっても幸せですわ!」
「思ったより遅くなってしまいましたね~」
「色々と、向こうの方とお話しないといけないことがありましたからね」
お父様が亡くなり、お義母様もお姉様もいない以上、誰がカルネシアラ国の王家を務めるのか……そのことについて、色々と貴族の代表の方々とお話をしていたら、帰るのが遅くなってしまった。
とりあえずは、新しい宰相様が代表となって、国王の仕事を務めつつ、次の国王を誰にするか慎重に協議するという形で落ち着いた。
それと、大変な状況に陥っているカルネシアラ国を、ソリアン国が援助するという形も決まったの。
そんな大切なことを、私一人で決めて良いのかって思う方もいるかもしれない。このことについては、実は前々からアルフレッドやフェルト殿下も交えて、何度も話し合いは行われているし、今回もソリアン王家の遣いが来て、話し合いに参加している。
そうそう……私が女王としてカルネシアラ国を治めてほしいという声もあったのだけど、それは丁重にお断りした。
なにせ、私は元々王になることを前提とした教育を受けていない。そんな私が王になったところで、ただのお飾りにしかならない。それなら、もっと適任な方を話し合いで決めた方が、国のためになると思ったの。
「アルフレッド様、きっと心配してますよ。いや、あの人のことですから、セリア様がいないと眠れない! って言いながら、毎日夜泣きしているかも?」
「ちょっとリズ、そんな失礼なことを言ってはいけませんわ」
「えへっ、ごめんなさい。でもでも、なんとなく想像できますよね?」
「そんなこと……ない……ですわ」
「歯切れが悪すぎて、全然隠せてませんよ?」
「こほんっ! アルフレッド様には、逐一お手紙を送ってご報告をしておりましたので、問題ありませんわ。とにかく、これでカルネシアラ国は、元の美しい国に戻ってくれるでしょう」
民を不幸にする身勝手な王は、もういない。だから、祖国は今まで以上に発展していくと、私は確信していた。
「そうだ。リズに一つ、提案というか……お願いがありますの」
「お願いですか? 私に出来ることなら、なんでも!」
「ありがとうございます。ようやく色々と終わって一息つけそうなので、あなたのお母様にお会いして、ちゃんとご挨拶がしたいのですわ」
「えぇ!? いいのですか!? きっと母も喜ぶと思います!」
よかった、迷惑だからやめてほしいなんて言われたら、どうしようと不安になってたの。
前々から、リズのお母様のお墓参りをして、リズにとてもお世話になっていることや、リズとお友達をさせてもらっていることや、他にも色々とお話したいことがあったの。
「お母さんに、村の外のお友達を紹介するなんて、初めての経験だ……喜んでくれるかな……えへへ……」
ほんのりと頬を赤らめながら、嬉しそうに笑うリズの姿を見ていると、提案して良かったと心から思えると同時に、私のことを主としてだけではなく、お友達として思ってくれているのが、とても嬉しかった。
その後は、いつなら行けそうかとか、お墓参りの他にもしてもらいたいことがあるといった、旅の計画のお話を楽しんでいると、いつの間にか城下町に到着していた。
「あら、なにかしら……皆様、随分と忙しそう」
「そうですね。出店とかもありますし……何かのお祭りとか?」
「そんな話は聞いておりませんが……とりあえず帰って聞いてみましょう」
無事にお城に帰ってきてすぐに、アルフレッドがものすごい勢いで走ってきて、そのまま私を抱きしめてきた。
「ああ、おかえり! 久しぶりに感じるセリアの温もり……ああ、君がいない日々は、寂しすぎて頭がどうにかなりそうだし、夜も眠れなくて困ってたよ!」
……大体が、リズの言った通りになっているわね。わかりやすいけど、だからこそまっすぐって感じもして、照れくさくなっちゃうの。
「とりあえず、部屋に行きましょう」
「そうだね。荷物は僕が持つよ」
「わたしのは自分で持てるので、大丈夫です~!」
「そうかい? 無理は良くないよ。つらかったらすぐに言ってくれ」
長旅の荷物を運んでもらいながら、私は少し久しぶりな自室へと帰ってきた。
「ところでアルフレッド。そちらの話し合いはどうでしたか?」
「ああ、何度も説得をしたかいあって、ようやくあちらのボスに納得してもらい、協定を結んでもらえたよ。もう、王家が襲われることは無い」
「まあ、それはなによりですわ!」
実は、ソリアン国の王家は、この三ヶ月の間、戦争の真実を反王家の方々に伝え、何度も和解の話し合いを行っていた。それが、ついに実ったということね!
「これで、カルネシアラ国とソリアン国は本当の友好国になって、王家に不満を持っていた人達とも仲直りが出来たということですね! まさに、めでたしめでたし!」
「まさにリズ嬢の言う通りだ。だから、全てが終わった記念として、城下町で宴を開くことにしたんだ」
「なるほど、帰ってくる際に、城下町で皆様が慌ただしく動いていたのは、そういうことでしたのね」
通りで多くの人が忙しなく行き交っていたり、出店の準備がされていたわけだ。この国の宴ってどんなものなんだろう? とても楽しみだわ。
「そうだ。宴の前に、君に伝えておくことがある」
「あっ、ではわたしは席を外してますね。何かあったら呼びに来ますので!」
「あっ、リズ!」
呼び止めても一切聞かずに、部屋を逃げるように去っていった。
あの子のことだから、多分気を利かせたんだと思う。あとでお礼をしないといけないわね。
「もう……それで、なんでしょうか?」
「ほら、カルネシアラ国にいた時に、君が言っていたじゃないか。戻って来たら、結婚したいって」
「……そうですわね」
改めて正面から言われると、嘘偽りのない気持ちとはいえ、気恥ずかしさを感じる。きっと私、顔が赤くなっているでしょうね……。
「あの時伝えた通り、僕も君と結婚したい。だから……ほら」
アルフレッドは、懐から小さな箱を取り出し、中を見せてくれた。そこにあったのは、キラキラと輝く宝石があしらわれた、美しい指輪だった。
「これって……」
「僕達の愛の証だ。君が良ければ、受け取ってほしい。そして、宴の最後に民に結婚の報告をさせてほしいんだ」
「嬉しい……! はい、もちろんですわ!」
私は、嬉しさが爆発して、感情に身を委ねて、アルフレッドに勢いよく抱きつきそうになる欲を必死に抑えて、アルフレッドに指輪をはめてもらった。
ここで抱きついてアルフレッドを驚かせた結果、指輪をはめるまえに落としてしまったら、死んでも死にきれないもの。
「セリア……必ず、僕は幸せにしてあげるからね」
「既にとても幸せですのに、これ以上幸せにしてくれるのですか?」
「もちろん。君には世界で一番幸せになってもらうからね。この程度で満足なんてさせないよ」
「まあ、アルフレッドったら……私も、あなたが幸せと思えるように頑張りますわ」
私達は控えめに笑い合いながら、互いに顔を寄せ合って口づけを交わすと、コンコンッと控えめにノックをする音が聞こえてきた。
「セリア様、アルフレッド様。宴の準備が出来たみたいですよ~!」
「ええ、すぐに行くわ。リズが呼びに来てくれたので、行きましょうか」
「そうだね。さあ、僕の手を取って」
いつもしてもらっていることなのに、いつも以上の幸せを感じながら、アルフレッドと一緒にお城を後にして城下町に向かうと、そこには沢山の人と、沢山の笑顔が溢れていた。
「…………」
「セリア、どうかしたのかい?」
「民の方々の笑顔を見たら、なんていうか……皆様を助けられたんだなって、改めて実感して……感慨深くなってしまってました」
きっかけは、自分の破滅の未来だった。そこから家族へ復讐したり、リズと一緒にソリアン国に来て、アルフレッドと知り合って。色々あって恋仲になったと思ったら、故郷に帰って大立ち回りをして……本当に、色々あった。
あの予知の不幸は、お父様に殺されかけて以降、一度も訪れていない。私の考えとしては、アルフレッドが身を挺して庇ってくれたおかげで、不幸の未来が無くなったのではないかと考えている。
もしかしたら、またいつか私に不幸が襲い掛かってくるかもしれないけど……何度来たって、全て跳ね返してあげるつもりだ。
だって、私には愛する人と、大切なお友達がいるんだもの。みんなで力を合わせれば、乗り越えられない不幸は無いわ。
「アルフレッド、私を妻として選んでくれてありがとう。リズ、私をお友達に選んでくれてありがとう。私、取っても幸せよ」
私の感謝の言葉は、私達を歓迎する民の歓声にかき消されてしまった。仕方がないから、また後でゆっくり二人に伝えよう。なにせ、私達には長い時間があるのだから。
――ああ、今日も良いお天気ね。お母様は、今日も天国で見守ってくれているかしら? もしそうなら、きっと私の声は天まで届くはずだ。
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