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第一話 追放
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「マシェリー様、申し訳ないが……僕と婚約破棄をしてください」
突然謁見の間へと呼び出された私は、申し訳なさそうに頭を下げる婚約者……ノア・ジュスティ様に突然告げられました。
彼はこの国の宰相を務めていた男性の一人息子。最近彼の父君がお亡くなりになり、その地位に就いたばかりの方ですの。クリーム色のサラサラした髪と、海の様に青く輝く瞳が大変美しい方ですわ。
「ノア様、大変恐縮でございますが……なぜそのような決断をされたのか、教えていただけないでしょうか?」
「え、そんなのもわからないの? お姉様ってば本当におバカさんなのね~!」
「やめなさいコルエ。本当の事を言ったら可哀想でしょう? クスクス」
一緒に聞いていた二人の女性が、私を馬鹿にするように、クスクスと笑い声を漏らしておりました。
彼女達の名前は、コルエ・グロースと、イザベラ・グロース。
コルエは私の腹違いの妹で、腰まで届く長い金髪と、新緑を思わせる緑の瞳が特徴的な女性です。
コルエは甘やかされて育ったからか、その性格は大変ワガママですの。気に入らない事があったら泣きわめきますし、私の私物を何度持っていかれたか……。
そして、もう一人の方は私の継母に当たる方です。幼い頃に病気で亡くなったお母様の次の妃として、お父様がご結婚されたんです。
元々はお母様の友人でもあり、お父様とも交流があった彼女ですが、私の事を嫌っているようでして……こうして隙があれば私を馬鹿にしたり、虐めてきます。
最近お父様が病気で亡くなってしまった影響か、最近私への態度が、より一層悪くなった気がします。
ちなみに、私が成人して女王になるまでの繋ぎとして、代理女王を努めております。
「ま、それも仕方ないよね。ずっと勉強ばかりの毎日で、友人の一人もいないような根暗だもんね」
「…………」
それは間違っておりませんわ。私は幼い頃から、お父様の後を継ぐ為に勉強ばかりさせられてきました。だから、人間の友達など一人もできた事がありません。
「それで、理由をお聞きしても?」
「……コルエ様に酷い苛めをしていたそうではありませんか」
「……はい?」
私が、コルエに虐め? 私はそのような悪趣味な事をした事などありませんわ。何かの間違いじゃないでしょうか?
「そうよ! あたしの大切な本を破ったり、食事に虫を入れたり、ドレスを汚したり……本当につらかった!」
「そ、そんな事はしておりません!」
むしろ、それは私がコルエにされた事ではありませんか! お母様からプレゼントされた大切な本を渡せと言われて断った事があるのですが、その腹いせに本を破られた事があるのです。
他にも、私が大の苦手なイモムシをスープに入れて、驚いて泣き叫ぶ私を笑ったり、お気に入りのドレスに汚い水をかけて台無しにしたり……今思い出しても悲しくなりますわ。
「いまだに僕も信じられないが、兵士や使用人からも証言を得ています。そんな方と結婚していいのか……そう悩んでた時に、イザベラ様に提案されました。婚約破棄をして、コルエ様と結婚すればいいじゃないかと」
「そ、そんな!? 考え直してください! 私はそのような事をしておりません! むしろ私が――」
「あら、この期に及んでまだ反論するのかしら? 全く往生際が悪い子ね」
「お義母様……!」
口に元に手を当てながら、見下すような目で仰るお義母様は、まるでこの状況を喜んでいるようでした。
もしかして、私は嵌められたのでしょうか? お義母様とコルエが私の事を嫌っているのは存じておりましたが、まさかここまでするだなんて……!
「とにかく、もうこれは決定事項よ。お前の代わりに、コルエがノアと結婚するから心配いらないわ。それと、もう一つ伝える事があってね」
「な、なんですか……?」
「散々私の可愛い可愛い一人娘を虐めた罰として、お前を国外追放をする事が決まったの」
国外、追放……!? 私の聞き間違いですわよね? そうじゃなければ、でっち上げられた嘘が原因で、私は地位も婚約者も、住む場所も失うというんですの!?
「明日の朝には迎えが来るから、今のうちに荷造りをしておきなさい」
「こんな事、許されるはずがありませんわ! ノア様、もう一度考え直してくださいませ! 私は無実ですの!」
「……申し訳ない、マシェリー様」
もう私とは向き合わないと言わんばかりに、ノア様は私に背を向けました。それでも諦めきれない私は、ノア様に詰め寄ろうとしましたが……お義母様とコルエが立ちふさがりましたわ。
「まだ諦めてないわけ? もうお姉様の居場所はここに無いの。早く出ていってくれる~?」
「コルエ……! あなたって人は……!!」
「コルエを虐めていた分際で、あまり調子に乗らないでくれる? もう決まった事なのよ。衛兵、マシェリーを部屋に連れていきなさい」
「は、離しなさい! 私はまだ話があるのです!」
必死の抵抗も虚しく、不敵な笑みを浮かべる二人に見送られながら、私は自室へと戻されてしまいました。
どうしてこんな事に……私はただ、亡くなったお父様の遺志を継いで、王としてこのグロース国に住む民を幸せにしたかったのに……どうして……!
「くぅ~ん……」
「あ、モコ……」
自室に帰ってくると、ベッドの上で丸くなっていた一匹の白い小型犬が、寂しそうな声を漏らしながらすり寄ってきましたわ。
この子はモコ。少し前に城下町に用事があって赴いた時、街の不良に虐められていた所を保護しましたの。
それ以来、凄く懐かれてしまって……こうして私が面倒をみておりますの。私の最初の友人であり、最後の家族でもありますわ。
ちなみに名前の由来は、毛がモコモコしているからモコですわ。愛らしい名前でしょう?
「私、もうこのお城にはいられないようですの。でも大丈夫、モコの事は私がちゃんと面倒を見ますわ」
モコの事を抱っこしながら呟くと、私を慰めるように、小さな舌で頬を舐めてくれました。
それがきっかけとなって……今までずっと我慢して貯めていたものが、涙となって溢れてしまいました。
私は何も悪い事はしておりません。なのに……私の居場所は奪われた。反論の余地も無かった。どうしてこうなってしまったのでしょう。
「……荷造りをしませんと」
無理に元気を出してから、私は荷造りを始めました。とは言っても、あまり大きな荷物を持っていく事は出来ないので、最低限必要な物だけを持っていきましょう。
「あれだけは絶対に持っていかないと……」
私は化粧台の引き出しに入っていた宝石箱から、赤と青の宝石を取り出しました。これは幼い頃にお父様とお母様から頂いた、誕生日プレゼント。
他にも様々な物を頂いたのだけれど……全部コルエに取られてしまったんですの。
「……私の顔、思ったより酷いですわね」
鏡に映った自分の姿は、酷く疲れているように見える。丸くて大きい青い瞳の輝きや、銀色の髪に艶が少ないように見えるのは、きっと気のせいではないですわね……。
「思った以上に、持っていく物って少ないですね」
自分の顔を見てからすぐに作業を再開したおかげか、それほど時間が経たないうちに、荷造りは無事に完了しました。バッグ一つに収まった物は、全て私の大切な思い出の品ばかりですわ。
さっきの宝石以外だと、大好きな本だったり、ぬいぐるみだったり、モコの大好きなおやつだったり。
……え、最後のは思い出ではない? 良いんですの。モコのおやつは、とても大切な物ですから。
「ワンッ!」
「あらモコ、あなたも荷造りができたの? 本当にあなたは賢い子だわ」
モコが気に入っている小さなバッグの中には、いつも遊んでいるトカゲのぬいぐるみや、どこからか拾ってきた石ころが入っておりました。
この子ったら、私の真似をして遊んでいたのかしら? 本当に可愛い子だわ。
そう思ってほっこりしていた私の元に……見たくもない顔が現れるのは、さほど時間がかからなかった。
「なにこれ、まるで誰かが死んだみたいな重い空気~! もしかしてお通夜でもやってる?」
「仕方ないわコルエ。だって部屋の主が辛気くさくて汚い子なんだから、空気も重くなるものよ」
「コルエ……お義母様……!」
突然謁見の間へと呼び出された私は、申し訳なさそうに頭を下げる婚約者……ノア・ジュスティ様に突然告げられました。
彼はこの国の宰相を務めていた男性の一人息子。最近彼の父君がお亡くなりになり、その地位に就いたばかりの方ですの。クリーム色のサラサラした髪と、海の様に青く輝く瞳が大変美しい方ですわ。
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コルエは私の腹違いの妹で、腰まで届く長い金髪と、新緑を思わせる緑の瞳が特徴的な女性です。
コルエは甘やかされて育ったからか、その性格は大変ワガママですの。気に入らない事があったら泣きわめきますし、私の私物を何度持っていかれたか……。
そして、もう一人の方は私の継母に当たる方です。幼い頃に病気で亡くなったお母様の次の妃として、お父様がご結婚されたんです。
元々はお母様の友人でもあり、お父様とも交流があった彼女ですが、私の事を嫌っているようでして……こうして隙があれば私を馬鹿にしたり、虐めてきます。
最近お父様が病気で亡くなってしまった影響か、最近私への態度が、より一層悪くなった気がします。
ちなみに、私が成人して女王になるまでの繋ぎとして、代理女王を努めております。
「ま、それも仕方ないよね。ずっと勉強ばかりの毎日で、友人の一人もいないような根暗だもんね」
「…………」
それは間違っておりませんわ。私は幼い頃から、お父様の後を継ぐ為に勉強ばかりさせられてきました。だから、人間の友達など一人もできた事がありません。
「それで、理由をお聞きしても?」
「……コルエ様に酷い苛めをしていたそうではありませんか」
「……はい?」
私が、コルエに虐め? 私はそのような悪趣味な事をした事などありませんわ。何かの間違いじゃないでしょうか?
「そうよ! あたしの大切な本を破ったり、食事に虫を入れたり、ドレスを汚したり……本当につらかった!」
「そ、そんな事はしておりません!」
むしろ、それは私がコルエにされた事ではありませんか! お母様からプレゼントされた大切な本を渡せと言われて断った事があるのですが、その腹いせに本を破られた事があるのです。
他にも、私が大の苦手なイモムシをスープに入れて、驚いて泣き叫ぶ私を笑ったり、お気に入りのドレスに汚い水をかけて台無しにしたり……今思い出しても悲しくなりますわ。
「いまだに僕も信じられないが、兵士や使用人からも証言を得ています。そんな方と結婚していいのか……そう悩んでた時に、イザベラ様に提案されました。婚約破棄をして、コルエ様と結婚すればいいじゃないかと」
「そ、そんな!? 考え直してください! 私はそのような事をしておりません! むしろ私が――」
「あら、この期に及んでまだ反論するのかしら? 全く往生際が悪い子ね」
「お義母様……!」
口に元に手を当てながら、見下すような目で仰るお義母様は、まるでこの状況を喜んでいるようでした。
もしかして、私は嵌められたのでしょうか? お義母様とコルエが私の事を嫌っているのは存じておりましたが、まさかここまでするだなんて……!
「とにかく、もうこれは決定事項よ。お前の代わりに、コルエがノアと結婚するから心配いらないわ。それと、もう一つ伝える事があってね」
「な、なんですか……?」
「散々私の可愛い可愛い一人娘を虐めた罰として、お前を国外追放をする事が決まったの」
国外、追放……!? 私の聞き間違いですわよね? そうじゃなければ、でっち上げられた嘘が原因で、私は地位も婚約者も、住む場所も失うというんですの!?
「明日の朝には迎えが来るから、今のうちに荷造りをしておきなさい」
「こんな事、許されるはずがありませんわ! ノア様、もう一度考え直してくださいませ! 私は無実ですの!」
「……申し訳ない、マシェリー様」
もう私とは向き合わないと言わんばかりに、ノア様は私に背を向けました。それでも諦めきれない私は、ノア様に詰め寄ろうとしましたが……お義母様とコルエが立ちふさがりましたわ。
「まだ諦めてないわけ? もうお姉様の居場所はここに無いの。早く出ていってくれる~?」
「コルエ……! あなたって人は……!!」
「コルエを虐めていた分際で、あまり調子に乗らないでくれる? もう決まった事なのよ。衛兵、マシェリーを部屋に連れていきなさい」
「は、離しなさい! 私はまだ話があるのです!」
必死の抵抗も虚しく、不敵な笑みを浮かべる二人に見送られながら、私は自室へと戻されてしまいました。
どうしてこんな事に……私はただ、亡くなったお父様の遺志を継いで、王としてこのグロース国に住む民を幸せにしたかったのに……どうして……!
「くぅ~ん……」
「あ、モコ……」
自室に帰ってくると、ベッドの上で丸くなっていた一匹の白い小型犬が、寂しそうな声を漏らしながらすり寄ってきましたわ。
この子はモコ。少し前に城下町に用事があって赴いた時、街の不良に虐められていた所を保護しましたの。
それ以来、凄く懐かれてしまって……こうして私が面倒をみておりますの。私の最初の友人であり、最後の家族でもありますわ。
ちなみに名前の由来は、毛がモコモコしているからモコですわ。愛らしい名前でしょう?
「私、もうこのお城にはいられないようですの。でも大丈夫、モコの事は私がちゃんと面倒を見ますわ」
モコの事を抱っこしながら呟くと、私を慰めるように、小さな舌で頬を舐めてくれました。
それがきっかけとなって……今までずっと我慢して貯めていたものが、涙となって溢れてしまいました。
私は何も悪い事はしておりません。なのに……私の居場所は奪われた。反論の余地も無かった。どうしてこうなってしまったのでしょう。
「……荷造りをしませんと」
無理に元気を出してから、私は荷造りを始めました。とは言っても、あまり大きな荷物を持っていく事は出来ないので、最低限必要な物だけを持っていきましょう。
「あれだけは絶対に持っていかないと……」
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他にも様々な物を頂いたのだけれど……全部コルエに取られてしまったんですの。
「……私の顔、思ったより酷いですわね」
鏡に映った自分の姿は、酷く疲れているように見える。丸くて大きい青い瞳の輝きや、銀色の髪に艶が少ないように見えるのは、きっと気のせいではないですわね……。
「思った以上に、持っていく物って少ないですね」
自分の顔を見てからすぐに作業を再開したおかげか、それほど時間が経たないうちに、荷造りは無事に完了しました。バッグ一つに収まった物は、全て私の大切な思い出の品ばかりですわ。
さっきの宝石以外だと、大好きな本だったり、ぬいぐるみだったり、モコの大好きなおやつだったり。
……え、最後のは思い出ではない? 良いんですの。モコのおやつは、とても大切な物ですから。
「ワンッ!」
「あらモコ、あなたも荷造りができたの? 本当にあなたは賢い子だわ」
モコが気に入っている小さなバッグの中には、いつも遊んでいるトカゲのぬいぐるみや、どこからか拾ってきた石ころが入っておりました。
この子ったら、私の真似をして遊んでいたのかしら? 本当に可愛い子だわ。
そう思ってほっこりしていた私の元に……見たくもない顔が現れるのは、さほど時間がかからなかった。
「なにこれ、まるで誰かが死んだみたいな重い空気~! もしかしてお通夜でもやってる?」
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