入れ替わり転生〜生まれ変わったら、私を殺した婚約者の最愛になっていました〜

私は悪女になります

「ウェンディ嬢・・・無事だったのか」

　ラミリス公爵閣下と公爵夫人に、ユエリティ皇女殿下の中にウェンディの魂が入っていることを説明いたしました。

　以前、聖女様の中に私の魂が入っていると話していましたので、今回はすぐに納得していただけたようです。

　どうやら、聖女様がお消えになったのにウェンディの本体が目覚めないことで、心配して下さっていたみたいですわ。

「おじ様、おば様、ご心配をおかけしました」

「いや、無事で良かった。しかし、何故メトルファン皇国の皇女殿下の中に」

「私がウェンディに戻るには、どうやらジュリアーノ王太子殿下を後悔させなければならないそうなのです。そのために、私はユエリティ皇女殿下としてジュリアーノ王太子殿下を夢中にさせなければなりません」

　次はないと言われています。

　私はたとえ悪女と罵られるとしても、ウェンディに戻るために、殿下を後悔させるつもりです。

「私たちに何か手伝えることはあるかい？」

「聖女様の好きだったものは分かりますか？ジュリアーノ王太子殿下に夢中になってもらうには、聖女様を思い出させるのが一番早いと思うのです」

「なるほど。聖女様に付いていた侍女たちからも聞いておこう。レンブラン公爵夫妻・・・ご両親には？」

「・・・会いたいですが、会わずにおきますわ。怪しまれても困りますし、それに、もし・・・もしも戻れなければもっと悲しませることになってしまいますから」

　私は絶対に戻るつもりですけど、あの神様のお考えが完全には理解できていません。

　ですので、万が一ということもあります。

　それからおじ様とおば様は、聖女様の好きだった食べ物やドレスの色やデザイン、言動や口癖まで色々と調べて来て下さいました。

　完璧に似せる必要はありません。
どこか似ている、と王太子殿下の心に引っ掛かればいいのです。

「リーシア、レミア。貴女たちの言いたいことは分からないでもないわ。でも、お願い。しばらくは、私のしたいようにやらせてちょうだい。そうしたら、きっと元の私に戻るから」

「ユエリティ様？」

「ふふっ。ごめんなさい、よく分からないわよね。でも、約束するわ。メトルファン皇国の皇女として、お父様とお母様たちを悲しませることはしないわ。だから、今は黙って見守っていて欲しいの」

「「かしこまりました、ユエリティ様。ユエリティ様のお心のままに」」

　記憶喪失とは言ってあるけど、今までと違う言動の私に不安と不信感を感じるわよね。

　でも、私がやり遂げなければユエリティ皇女殿下も取り戻せないの。