あなたなんて大嫌い

みおな

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第9話

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 ミリィは呆然としているマグエルを見ながら、これからどうするべきか必死に考えていた。

 ミリィが病弱なのは事実だ。季節の変わり目には必ず熱を出して寝込む。
 だが、ベッドから起き上がれないほど毎日体調が悪いわけではないし、普通に食事も取れる。

 ミリィとしては、義兄になったマグエルが甘やかしてくれるのが楽しくて、だからマグエルが婚約者と出かけるのがつまらなくて、体調が悪いフリをしていただけなのだ。

 最初は一緒について行こうかと思ったのだが、マグエルの幼馴染だという伯爵家令嬢がデートに一緒に行っているらしいと知って、それなら自分は体調を崩したことにしようと思ったのだ。

 マグエルの婚約者、ニケ・セラフィム子爵令嬢は、銀の髪に紫色の瞳をした、とても綺麗な女性だった。

 初めて体調不良だとデートをキャンセルしてもらった日(本当に熱が出たのだ)にニケは果物のゼリーを買って、お見舞いに来てくれた。

 優しく、具合が悪いのは仕方ないことなのだからと言ってくれたニケに好感が持てた。

 少なくともマグエルの幼馴染のエリンが、ミリィの体調を気遣ってくれたことなどない。

 だから、ニケとのデートをキャンセルさせるたびに罪悪感があった。
 だけど、1人屋敷に残されるのが寂しくて、エリンもついて行っているのだからと自分に言い聞かせていたのだ。

 そのうち、マグエルと結婚したらニケはミリィの姉になる。
 いずれはミリィもどこかへ嫁がねばならないが、優しい姉が出来ることを楽しみにしていた。

 それなのに。
マグエルとニケが婚約解消?マグエルが廃籍?

 ロートレック侯爵は、ミリィの実の父ではない。

 男爵令嬢だった母は、かつて伯爵家に嫁いでいた。その伯爵との子供がミリィだ。

 だが、伯爵の母親とソリが合わなかった母は、ミリィが5歳の時に離縁を言い渡されたのだ。

 それでも伯爵は、母とミリィに申し訳ないと多額の賠償金を払ってくれた。
 嫁ぎ先から離縁されたことで、実家に戻るにも戻れず、その賠償金と貴族の屋敷にメイドとして仕えることで、何とか母娘暮らしていた。

 その仕えていた屋敷がロートレック侯爵家で、侯爵は母を見初めて再婚する運びとなったのだ。

 ロートレック侯爵は妻をマグエルが10歳の時に病で亡くしていた。
 再婚した侯爵は、母の連れ子であるミリィのことも娘として大切にしてくれた。

 その父から告げられた厳しい言葉に、ミリィは自分のしたことを後悔せずにいられなかった。

 優しい兄に甘えたかった。
祖母に虐げられていた母と自分を迎え入れてくれた義父と義兄。
 ほんの少し、甘えて幸せを噛みしめたかっただけなのだ。

 ただそれだけだったのに、マグエルを廃籍などという立場に追い込んでしまった。

 ニケに謝って婚約解消をやめてもらえたなら、そうすればマグエルを救えるかもしれない。

 一縷の望みにかけるしかなかった。



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