死に戻りの魔女は溺愛幼女に生まれ変わります

みおな

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第1章

それで私はどこの誰ですか?

 まさか、名前がわからないとも言えなくて、皇妃様らしいお母様に撫でてもらっていると、扉がノックされました。

「皇妃様、皇帝陛下と皇太子殿下がいらっしゃいました」

「あらあら。セレ、構わない?」

「はい」

 やっぱり皇族みたいです。
皇帝陛下のお顔を見たら、自分が何者かわかるかもしれません。

 仮にもマーベラス王国の王太子殿下の婚約者だったのです。
 王太子妃になるべく教育も受けて来ました。他国の王族の顔も覚えています。

「おお!セレスティーナ。目覚めたのか!!」

 入って来たのは、20代半ばくらいのイケメンです。
 あれ?覚えがありません。おかしいですね。皇妃様はともかく、皇帝陛下のお顔なら覚えているはずなんですが。

 それから、私の名前、セレスティーナなんですね。愛称がセレですか。

「僕の天使。セレが目覚めなかったら、僕も生きていられなかったよ」

 お父様である皇帝陛下に似た、10代半ばの美少年が、そんなことを言いながら、私の手を握り締めます。

 メイドの方、皇太子殿下って言ってましたよね?ということは、私のお兄様ということですよね?
 なんでしょうか。この、妹溺愛っぷりは。ずいぶんと歳の離れた兄妹みたいですから、そのせいでしょうか?

「お、父様?」

「うん?どうした?セレスティーナ」

「おしごとは?」

「ちゃ、ちゃんと済まして来たとも!」

 なんだかちょっと嘘くさいですね。
きっと、1週間も目覚めなかった娘が目覚めたと聞いて、慌てて来てくれたのでしょう。

「お父様、ありがとう」

「セレ。大丈夫かい?もう少し横になってた方がいいんじゃない?」

「大丈夫です。お兄様」

「セレ?いつものように、アル兄様と呼んで?」

 さっき皇妃様がアレクシスと言っていたから、アルは愛称ね。

「アル兄様もわざわざありがとう」

「そんな他人行儀なこと言わないで、僕の天使。セレが目覚めなくてどれほど心配したか。セレがいないと太陽が隠れてしまったかのようだった」

 ええと。多分、15歳くらいだと思うのだけど、この口説き文句は何かしら?

 私の元婚約者は、一度だってこんなこと言ってくれたことはありません。
 それはそうですよね。こんな可愛い美少女と、灰色の魔女では、全然違いますものね。

 でも、なんだかむず痒い気がします。それに、妹に言う台詞じゃない気がしますし。
 この少年は、どのご令嬢に対してもこうなのかしら?
 要らぬ誤解をたくさん生みそうですわ。

 でも、お父様である皇帝陛下のお顔にも、皇太子殿下のお名前にも覚えがありません。

 ここは、どこの国なのでしょうか?

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