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第1章
とりあえずセレとして過ごします
「僕の可愛い天使。ほら、美味しいよ?」
アル兄様が私にスプーンで掬ったプリンを差し出してくれます。
いえ。ちょっと待って下さい。いくら見た目は5歳とはいえ、15歳の美少年に膝抱っこされ、プリンを食べさせてもらうというのはちょっと、色々問題があります。
そう。色々と、主にグレイスとしての精神面で。
「アル兄様?ひとりで食べれます」
「どうしてそんな悲しいことを言うんだい?僕のことが嫌いになったの?セレスティーナに嫌われたら、僕はもう生きていけない」
ええと。何でしょうか。この、罪悪感は。あからさまに肩を落とし、本当に顔色まで悪くなっています。
子供の自立心を育てるのも、年上の仕事だと思うのですが、仕方ありません。
セレスティーナには意識が戻った後に頑張ってもらいましょう。
そうです。あれから心の中に呼びかけてみたりしたのですが、セレスティーナの反応はありませんでした。毎日、地道に話しかけてみるしかありません。
「あーん」
とりあえずはアル兄様です。私は、小鳥のように小さく口を開きました。
雛鳥が親に餌を強請っているような様子に、控えているメイド達も微笑ましそうに見ています。
恥ずかしい。羞恥プレイです。精神年齢は16歳なのです。
ですが、アル兄様が嬉しそうに私にプリンを食べさせるものですから、我慢します。
従妹に冷たくされたからといって、皇太子殿下が死んだりしたら大変ですから。私が我慢すればいいだけの話です。
「あらあら、セレはまたアレクシスに甘えているのね」
「お母様!」
ぴょんとアル兄様の膝から飛び降り、お母様に駆け寄ります。
アル兄様。そんな悲しそうな顔しないでください。そして、お母様。あの顔見たらわかりますよね?甘えているのはアル兄様の方です。
「可愛いセレ。私ともお茶を飲んでくれるかしら?」
「もちろんです!お母様」
私は、セレスティーナが戻ってきた時に困らないように、セレとしてみんなと仲良く過ごすようにしています。
あまりにもグレイスとして過ごした日々と違いすぎて、このままセレスティーナとして生きていけたら、と思ってしまいます。
お父様とお母様、皇太子殿下である従兄に甘やかされる毎日。セレスティーナはとても愛らしい容姿です。
このままセレスティーナとして生きれば、グレイスとしての人生より何倍も幸せを感じられるでしょう。
だからー
だから、早くセレスティーナにこの体を返さなければなりません。
返したくない。そう思ってしまう前に。
アル兄様が私にスプーンで掬ったプリンを差し出してくれます。
いえ。ちょっと待って下さい。いくら見た目は5歳とはいえ、15歳の美少年に膝抱っこされ、プリンを食べさせてもらうというのはちょっと、色々問題があります。
そう。色々と、主にグレイスとしての精神面で。
「アル兄様?ひとりで食べれます」
「どうしてそんな悲しいことを言うんだい?僕のことが嫌いになったの?セレスティーナに嫌われたら、僕はもう生きていけない」
ええと。何でしょうか。この、罪悪感は。あからさまに肩を落とし、本当に顔色まで悪くなっています。
子供の自立心を育てるのも、年上の仕事だと思うのですが、仕方ありません。
セレスティーナには意識が戻った後に頑張ってもらいましょう。
そうです。あれから心の中に呼びかけてみたりしたのですが、セレスティーナの反応はありませんでした。毎日、地道に話しかけてみるしかありません。
「あーん」
とりあえずはアル兄様です。私は、小鳥のように小さく口を開きました。
雛鳥が親に餌を強請っているような様子に、控えているメイド達も微笑ましそうに見ています。
恥ずかしい。羞恥プレイです。精神年齢は16歳なのです。
ですが、アル兄様が嬉しそうに私にプリンを食べさせるものですから、我慢します。
従妹に冷たくされたからといって、皇太子殿下が死んだりしたら大変ですから。私が我慢すればいいだけの話です。
「あらあら、セレはまたアレクシスに甘えているのね」
「お母様!」
ぴょんとアル兄様の膝から飛び降り、お母様に駆け寄ります。
アル兄様。そんな悲しそうな顔しないでください。そして、お母様。あの顔見たらわかりますよね?甘えているのはアル兄様の方です。
「可愛いセレ。私ともお茶を飲んでくれるかしら?」
「もちろんです!お母様」
私は、セレスティーナが戻ってきた時に困らないように、セレとしてみんなと仲良く過ごすようにしています。
あまりにもグレイスとして過ごした日々と違いすぎて、このままセレスティーナとして生きていけたら、と思ってしまいます。
お父様とお母様、皇太子殿下である従兄に甘やかされる毎日。セレスティーナはとても愛らしい容姿です。
このままセレスティーナとして生きれば、グレイスとしての人生より何倍も幸せを感じられるでしょう。
だからー
だから、早くセレスティーナにこの体を返さなければなりません。
返したくない。そう思ってしまう前に。
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