死に戻りの魔女は溺愛幼女に生まれ変わります

みおな

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第1章

セレスティーナとグレイス《アレクシス視点》

 隣で瞼を伏せ祈りを捧げる少女に視線を向ける。

 セレスティーナ・アルバム。
父上の弟、つまり叔父上の娘で僕の従妹。
 銀の髪と銀の瞳。僕や叔父上、父上と同じ、王家の証をその身に受けた愛らしい皇女。

 僕は歳の離れた従妹をとても可愛がっていた。
 甘えん坊なところも、何もかも可愛くて仕方なかった。

 だから、セレスティーナが誕生日のあの日に倒れて目を覚さなくて、気が狂うかと思った。
 だけど、娘を溺愛している叔父上が黙々と国王として責務を果たしているのに、僕が皇太子としての責任を放棄するわけにはいかなかった。

 1週間後、目覚めたセレスティーナは、どこかよそよそしかった。
 そして言われたのだ、自分はセレスティーナではないと。グレイスなのだと。

 グレイス・シュラット。
稀代の魔女と呼ばれた少女。灰色の髪と瞳をしていたらしい。

 莫大な魔力を持つ彼女は、大人しく慎ましやかな女性だったそうだ。
 それを当時婚約者であったマーベラス王国の王太子が、衆人の前で婚約破棄を告げ、しかも死して償えなどと言ったらしい。

 馬鹿か?
そんなのが国を継いだら、滅びの未来しかないだろう。

 本来、王族の婚姻というのは、家と家の繋がりで、将来国を治めるに相応しい人間が選ばれる。

 恋愛感情を考慮する王族もあるらしいが、それでも王妃として隣に立てないと判断されれば、側妃とされる。

 その婚約を、国王の許可なく破棄し、で死ねとまで言ったんだ。そんな阿呆は処刑されても当然だろう。

 即座に王太子を処刑して、自分たちは王位から退き、僕の父に国の存続を託したマーベラス国王陛下は優れた人だったのだろう。
 そんな方から、何で王太子のような馬鹿が生まれたんだ?

 しかも、冤罪だ。
王太子が言ったように、グレイスは妹の聖女をいじめたりしていない。

 グレイス自身も言っていたが、グレイスが死んだ後に、聖女自身が王太子を糾弾している。

 そして、聖女もその家族もマーベラス王国を去ることを決意した。

 グレイスは自分を灰色の魔女だと、地味でいいところなしのように言っていたが、周囲の評価は違う。
 優しく穏やかで、心美しい令嬢。膨大な魔力を持ち、マーベラス王国を守り導いてくれる稀代の魔女。

 否定的な言葉を述べていたのは王太子のみで、聖女の妹も姉を慕い、尊敬していたようだ。

 つまりは、マーベラス王太子が阿呆なせいでグレイスは死に、マーベラス王家は滅亡したのだ。

 それをグレイスに伝えるべきか迷っている。
 自分が皆から愛されていたと知ったら、グレイスは心置きなく天に還るのではないだろうか。

 何か心残りがあるから、セレスティーナの中にいるのではないかと、僕は思っている。

 セレスティーナは可愛い。
大切な、大切な従妹だ。

 だけど、グレイスともう少し一緒にいたい。

 贈られた刺繍入りのハンカチをポケットの上から押さえた。


 
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