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第1章
グレイスのお墓
アル兄様が調べてくれたことを頭の中で思い出します。
霊廟にセレスティーナが行った日は、グレイスの死んだ日で、セレスティーナの誕生日だということ。
グレイスが死んだ後、その亡骸はシュラット侯爵、つまりお父様が高台の墓地に埋葬したこと。
聖女であるディアナが、グレイスにいじめられてなどいないことを明言して、ジルベール王太子を糾弾したこと。
王家を見限ったシュラット侯爵家は、他国へと亡命したこと。
聖女と王太子を失った王家は、その後継を遠縁のアルバム伯爵に頼み、歴史の表舞台から消えたこと。
お父様たちがどこへ行かれたのか、国王陛下と王妃様がどうされたのか、そのあたりまではわからなかったようです。
ですが、グレイスの亡骸が高台の墓地に埋葬されているということは、霊廟で何かあったというわけではないのでしょう。
グレイスが埋葬されたという高台。
そこに私はアル兄様に連れられて来ています。
高台と聞いた時点で、ここだと思っていました。
ここは、私がグレイスだった頃、何かあるたびにこっそりやって来ては涙を拭っていた場所です。
可愛げのなかった私は、ジルベール様に冷たくされても誰にも泣きつくことも出来ず、1人でこの場所で泣いていました。
1度だけ、ディアナとここに訪れたことがあります。街を一望できる、とても景色の良い場所なのです。
きっと、心優しいディアナがお父様に言って、ここに埋葬する様に言ってくれたのでしょう。
本当に、あの子は聖女に相応しい人間です。ジルベール様も、婚約解消を申し出て下さればよかったのです。
私の死を望まれたばかりに、ご自身はもちろんのこと、王家まで失うことになってしまわれたのですから。
しかし、これでセレスティーナの精神がどうなったのか、分からなくなってしまいました。
霊廟で憑依したものとばかり思っていたのです。
それとも、私は王家を恨んで、霊廟で彷徨っていたのでしょうか?
ジルベール様に死ねと言われた時、悲しいとは思いました。
お父様やお母様は侯爵家に泥を塗った私をお許しにならないだろうとも思いました。
ですが、ジルベール様を憎いとも、王家やシュラット侯爵家が滅べば良いとも、カケラも思っていません。
私が、灰色の魔女だったのがいけないのです。
可愛い妹のディアナが選ばれるのは当たり前のことなのです。
納得したからこそ、毒を噛んだはずなのに、何故私はセレスティーナの中で目覚めてしまったのでしょうか。
「花が供えられているな」
アル兄様の言葉に、頷きます。
グレイスのお墓には供えられたばかりの、百合の花が置かれてありました。
シュラット侯爵家の人間は、もうこの国にはいないはずなのに。
20年もたっているのに、花を手向けて下さる方がいるのですね。
霊廟にセレスティーナが行った日は、グレイスの死んだ日で、セレスティーナの誕生日だということ。
グレイスが死んだ後、その亡骸はシュラット侯爵、つまりお父様が高台の墓地に埋葬したこと。
聖女であるディアナが、グレイスにいじめられてなどいないことを明言して、ジルベール王太子を糾弾したこと。
王家を見限ったシュラット侯爵家は、他国へと亡命したこと。
聖女と王太子を失った王家は、その後継を遠縁のアルバム伯爵に頼み、歴史の表舞台から消えたこと。
お父様たちがどこへ行かれたのか、国王陛下と王妃様がどうされたのか、そのあたりまではわからなかったようです。
ですが、グレイスの亡骸が高台の墓地に埋葬されているということは、霊廟で何かあったというわけではないのでしょう。
グレイスが埋葬されたという高台。
そこに私はアル兄様に連れられて来ています。
高台と聞いた時点で、ここだと思っていました。
ここは、私がグレイスだった頃、何かあるたびにこっそりやって来ては涙を拭っていた場所です。
可愛げのなかった私は、ジルベール様に冷たくされても誰にも泣きつくことも出来ず、1人でこの場所で泣いていました。
1度だけ、ディアナとここに訪れたことがあります。街を一望できる、とても景色の良い場所なのです。
きっと、心優しいディアナがお父様に言って、ここに埋葬する様に言ってくれたのでしょう。
本当に、あの子は聖女に相応しい人間です。ジルベール様も、婚約解消を申し出て下さればよかったのです。
私の死を望まれたばかりに、ご自身はもちろんのこと、王家まで失うことになってしまわれたのですから。
しかし、これでセレスティーナの精神がどうなったのか、分からなくなってしまいました。
霊廟で憑依したものとばかり思っていたのです。
それとも、私は王家を恨んで、霊廟で彷徨っていたのでしょうか?
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お父様やお母様は侯爵家に泥を塗った私をお許しにならないだろうとも思いました。
ですが、ジルベール様を憎いとも、王家やシュラット侯爵家が滅べば良いとも、カケラも思っていません。
私が、灰色の魔女だったのがいけないのです。
可愛い妹のディアナが選ばれるのは当たり前のことなのです。
納得したからこそ、毒を噛んだはずなのに、何故私はセレスティーナの中で目覚めてしまったのでしょうか。
「花が供えられているな」
アル兄様の言葉に、頷きます。
グレイスのお墓には供えられたばかりの、百合の花が置かれてありました。
シュラット侯爵家の人間は、もうこの国にはいないはずなのに。
20年もたっているのに、花を手向けて下さる方がいるのですね。
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